綴つづり字じ

綴つづり字じ（つづりじ）とは、ある語かたりを文字もじで表あらわす際さいに、どの音おとや意味いみ・文法ぶんぽう的てき機能きのうにどの字じを用もちいるかという規則きそくのこと。綴字ていじ（ていじ、てつじ）、スペリング（英語えいご名詞めいし: spelling）、スペル（英語えいご動詞どうし: spell）ともいう。

言語げんごによって決きめられている綴つづり字じの規則きそく体系たいけいを綴字ていじ法ほう、または綴つづり字じ法ほうと呼よび、正書法せいしょほうの最もっとも中心ちゅうしん的てきな役割やくわりを果はたしている。綴字ていじ法ほうにより、ある言語げんごにおいて同おなじ語ごは同おなじ綴つづりで書かかれる。

日本語にほんごにおいては複数ふくすうの文字もじ体系たいけいを使つかうが、仮名かめいについての綴字ていじ法ほうのことを特とくに仮名遣かなづかいと呼よんでいる。

表音ひょうおん主義しゅぎ

綴つづり字じにおいて、音おとと字じが1対たい1対応たいおうすることを目指めざすことを表音ひょうおん主義しゅぎという。現実げんじつ的てきに完全かんぜんな表音ひょうおんということはありえず、言語げんごによって表音ひょうおん主義しゅぎに近ちかいか遠とおいかの差さがある。例たとえば、英語えいごは歴史れきし的てきな音韻おんいん変化へんかにより表音ひょうおん主義しゅぎからかなり離はなれた綴つづり字じとなっており、「a」1つだけでもcat/æ/（ă）take/eɪ/（ā）, father/ɑː/（ä）, water/ɔː/…といった多おおくの音おとを表あらわしている。

日本語にほんごの現代げんだい仮名遣かなづかいの場合ばあい、表音ひょうおん主義しゅぎに近ちかく作つくられているが、徹底てっていはしていない。例たとえば助詞じょしの「へ・を・は」や、[oː]という音おとを表あらわすのに「おう」「おお」の2通とおりがあるといったことがある。これらを表音ひょうおん主義しゅぎにもとづいて綴つづれば、誰だれにでも読よみ書かきが学まなびやすくなるといった長所ちょうしょがあるが、古語こごとの関連かんれん性せいが断たたれたり、語源ごげんの明示めいじ性せいが失うしなわれるといった短所たんしょがある。また、語かたりは他たの語かたりと結合けつごうしたり、文法ぶんぽう的てき機能きのうに応おうじて語形ごけい変化へんかしたりすることで発音はつおんを変化へんかさせる。これを表音ひょうおん主義しゅぎに基もとづけば一々いちいち綴つづり字じを変かえることになるが、経済けいざい性せいを重おもんじて綴つづり字じは同おなじまま発音はつおんだけが変かわったり、発音はつおんの変化へんかに対応たいおうできるような綴つづり字じを工夫くふうしたりすることもなされる。

カナモジカイなど現代げんだい仮名遣かなづかいを徹底的てっていてきに表音ひょうおん主義しゅぎ化かすべきとの論者ろんしゃもいる。ギャル語ごなど俗語ぞくごでは現代げんだい仮名遣かなづかい以上いじょうに表音ひょうおん主義しゅぎ化かすることがある。

綴つづり字じにおいて字じは音おとだけを表あらわすとは限かぎらず、文法ぶんぽう規則きそくや発音はつおん規則きそくを表あらわすために使つかわれることがある。例たとえば英語えいごのcakeやsiteにおけるeは発音はつおんされず、子音しいんの前まえの母音ぼいんが長ちょう母音ぼいん（二に重母音じゅうぼいん）であることを示しめすための記号きごうであり、このような発音はつおんされない字じを黙だま字じと呼よぶ。

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