胸膜きょうまく

胸膜きょうまく（きょうまく、pleura）とは、肺はいと胸郭きょうかくの内側うちがわを覆おおう膜まくのこと。

胸膜きょうまく

胸壁きょうへき側がわには感覚かんかく神経しんけいがあり、肺はい側がわには分布ぶんぷしていない。だから胸痛きょうつうが発生はっせいした場合ばあいは壁かべ側がわ胸膜きょうまくに刺激しげきが与あたえられたのである。この場合ばあい、鋭するどく短みじかい痛いたみを訴うったえる場合ばあいが多おおい。

胸膜きょうまくに覆おおわれた空間くうかんが胸膜きょうまく腔である。胸膜きょうまく腔は肺はいが広ひろがっている限かぎり肺はいで占しめられ、空間くうかんとしては存在そんざいしない。ここには正常せいじょうでも約やく10～20mlの胸水きょうすいが存在そんざいする。肺はい側がわの胸膜きょうまく(臓側胸膜きょうまく)に弱よわい部分ぶぶんが出来できると、そこから風船ふうせん状じょうに膨ふくらむ(成因せいいんによりブラ、ブレブと呼よばれる)、そしてそこに穴あながあき空気くうきが漏もれて肺はいが萎しぼんだ状態じょうたいが、気胸ききょうとなる。そして、本来ほんらいごく少量しょうりょうしかない胸水きょうすいが癌がん細胞さいぼうや、細菌さいきんの刺激しげきで増ふえると、肺はいの一部いちぶが押おしつぶされ肺はい水すい貯留ちょりゅうという状態じょうたいになる。

胸膜きょうまくの疾患しっかん

• 胸膜炎きょうまくえん
• 胸むね膿うみ
• 自然しぜん気胸ききょう
• 巨大きょだい肺はい嚢胞のうほう
• 胸膜きょうまく腫瘍しゅよう皮かわ腫しゅ

胸膜きょうまく肺はい摘除てきじょ術じゅつは、肺結核はいけっかく性せいと悪性あくしょうに適応てきおうしている。

関連かんれん

• 胸膜きょうまく播種はしゅ

腫瘍しゅようが胸膜きょうまくに浸潤しんじゅん、そして胸膜きょうまくを破やぶり胸むね控ひかえに露出ろしゅつした場合ばあい、そこから腫瘍しゅよう細胞さいぼうが胸腔きょうこう内ないにこぼれおちる事ことになる。その細胞さいぼうの一部いちぶのが胸膜きょうまくの表面ひょうめんに着きしょうし増殖ぞうしょくし、胸膜きょうまく上じょうで腫瘍しゅよう塊かたまりを形成けいせいした場合ばあい、胸膜きょうまく播種はしゅ巣すと言いい腫瘍しゅよう進行しんこう形式けいしきを胸膜きょうまく播種はしゅという。この進行しんこう形式けいしきをとるのは、肺はいがん、肺はい線せん腫しゅ、胸膜きょうまく中ちゅう皮かわ腫しゅの順じゅんで多おおい。

腫瘍しゅようの広ひろがりは、胸腔きょうこうにとどまる。

治療ちりょうは、胸腔きょうこう内ないへの抗癌剤こうがんざいや胸腔きょうこう癒着ゆちゃく剤ざいの注入ちゅうにゅうとなる。