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能動のうどう輸送ゆそう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
Na+/K+ ATPアーゼしき。Na+細胞さいぼうがいへ、K+細胞さいぼうないへそれぞれくみしている

能動のうどう輸送ゆそう(のうどうゆそう)とは、細胞さいぼうアデノシンさんリンさん (ATP) のちから直接ちょくせつあるいは間接かんせつてき利用りようして物質ぶっしつ濃度のうど勾配こうばいさからって輸送ゆそうする作用さようである。

特徴とくちょう

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通常つうじょうまくへだてた物質ぶっしつ輸送ゆそう濃度のうどたかほうからひくほうかっておこなわれるが(受動じゅどう拡散かくさん)、能動のうどう輸送ゆそうはATPのエネルギーを利用りようすることによって濃度のうど勾配こうばいさからって物質ぶっしつ輸送ゆそうおこなう。能動のうどう輸送ゆそうにはなんらかの輸送ゆそうたい関与かんよしており、これらは標的ひょうてきとなる化合かごうぶつ化学かがく構造こうぞう認識にんしきして輸送ゆそうするため類似るいじ構造こうぞうった化合かごうぶつによって輸送ゆそう阻害そがいされるという特徴とくちょうがある。また、低温ていおん状態じょうたいにおいても輸送ゆそう阻害そがいしょうじる。能動のうどう輸送ゆそう輸送ゆそう速度そくど飽和ほうわ現象げんしょうみとめられ、ミカエリス・メンテンしき依存いぞんする。

能動のうどう輸送ゆそうはいくつかのパターンにけられる。

たん輸送ゆそう(ユニポート)
物質ぶっしつ輸送ゆそう共役きょうやくせず、その物質ぶっしつのみで輸送ゆそうされるタイプ。ATPのエネルギーを必要ひつようとしない促進そくしん拡散かくさんとはことなる。たとえば Ca+ ATPアーゼなど。
対向たいこう輸送ゆそう(アンチポート)
細胞さいぼうない細胞さいぼうがい存在そんざいする分子ぶんしたがいに交換こうかんするタイプ。たとえば Na+/K+ ATPアーゼ、Na+/H+ ぎゃく輸送ゆそうけい、Na+/抗菌こうきんやくぎゃく輸送ゆそうけいなど。
きょう輸送ゆそう(シンポート)
濃度のうど勾配こうばい沿ったイオン移動いどう濃度のうど勾配こうばいさからった物質ぶっしつのくみげを同時どうじおこなうタイプ。結果けっかとしてイオンと物質ぶっしつおな方向ほうこううごく。たとえば Na+/アミノ酸あみのさんきょう輸送ゆそうけいなど。

いちせい能動のうどう輸送ゆそうせい能動のうどう輸送ゆそう

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いちせい能動のうどう輸送ゆそう

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ATPのエネルギーを直接ちょくせつ利用りようして輸送ゆそうおこな形式けいしき能動のうどう輸送ゆそう。Na+/K+ ATPアーゼや H+/K+ ATPアーゼなどのイオン輸送ゆそうたいげられ、P-とうタンパク質たんぱくしついち輸送ゆそうたい一種いっしゅである。

せい能動のうどう輸送ゆそう

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せい能動のうどう輸送ゆそういちせい能動のうどう輸送ゆそうによりしょうじたイオンの濃度のうど勾配こうばいのエネルギーを利用りようして物質ぶっしつ輸送ゆそうする形式けいしきである。せい能動のうどう輸送ゆそう関与かんよする輸送ゆそうのタイプとしてきょう輸送ゆそうおよ対向たいこう輸送ゆそうげられる。

輸送ゆそうたい分類ぶんるい

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ABC輸送ゆそうたい

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ABC輸送ゆそうたい(ATP結合けつごうカセット輸送ゆそうたい)は分子ぶんしりょうちいさな物質ぶっしつ通過つうかさせるまくタンパク質たんぱくしつであり、総称そうしょうしてABCスーパーファミリーともばれる。現在げんざいまでにおよそ250しゅのABC輸送ゆそうたい同定どうていされている。2つのまく貫通かんつうドメインおよび2つのATP結合けつごうドメインをち、ウォーカーAモチーフおよびウォーカーBモチーフというアミノ酸あみのさん配列はいれつ生物せいぶつしゅえてよく保存ほぞんされている。哺乳類ほにゅうるいにおいてリン脂質ししつあぶら溶性ようせい薬物やくぶつ輸送ゆそう関与かんよしている。細菌さいきんにおいてはアミノ酸あみのさんとうペプチド輸送ゆそうおこなっている。

ABC輸送ゆそうたいなかにはさらにサブファミリーが存在そんざいする。そのなかでもMDR/TAPおよびMRP/CFTRサブファミリーが薬物やくぶつ輸送ゆそう関与かんよしている。

P-とうタンパク質たんぱくしつは1,280アミノ酸あみのさんより構成こうせいされる分子ぶんしりょうやく 170 kDa のまくタンパク質たんぱくしつであり、12かいまく貫通かんつうがたタンパク質たんぱくしつである。MDRサブファミリーにぞくする。あぶら溶性ようせいたか薬物やくぶつ細胞さいぼうがい排出はいしゅつし、異物いぶつ侵入しんにゅうふせぐバリアーとして機能きのうしていることがかっている。こうがんざいたいしてざいたいせいしめすがん細胞さいぼうより発見はっけんされたが、その小腸しょうちょう上皮じょうひ血液けつえきのう関門かんもん形成けいせいするのう毛細血管もうさいけっかん内皮ないひ細胞さいぼうなど様々さまざま組織そしき発現はつげんしていることがわかった。

PがたATPアーゼ

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PがたATPアーゼはイオン輸送ゆそうおこなう。代表だいひょうてきなものとして、筋肉きんにくNa+/K+ ATPアーゼ、Ca+ ATPアーゼ、いただきはしまくの H+/K+ ATPアーゼなどがげられる。

FがたATPアーゼ

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FがたATPアーゼ(ATP合成ごうせい酵素こうそ)は呼吸こきゅうくさり共役きょうやくしてATPさんせいおこな重要じゅうよう分子ぶんしであり、その構造こうぞうちゅうにF0およびF1ドメインをふくむ。H+ながれとともにモーター部分ぶぶん回転かいてんしてATPさんせいおこなう。

VがたATPアーゼ

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VがたプロトンポンプはATPのエネルギーを利用りようしてH+輸送ゆそうおこな

VがたATPアーゼ(えき胞型ATPアーゼ)はまく表面ひょうめんにありATPアーゼ活性かっせいしめし、FがたATPアーゼと類似るいじした構造こうぞうつ。V1ドメインとまく内部ないぶ存在そんざいして物質ぶっしつ透過とうか機能きのうするV0ドメインをつ。リソソームやエンドソーム、細胞さいぼうまく分泌ぶんぴつしょうなどに発現はつげんしており、VがたATPアーゼ特異とくいてき阻害そがいざいバフィロマイシンA1により機能きのう阻害そがいされる。VがたH+ポンプは細胞さいぼうないpHの調節ちょうせつ関与かんよしている。

関連かんれん項目こうもく

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