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自然 しぜん 享受 きょうじゅ 権 けん (しぜんきょうじゅけん、英語 えいご : right of public access to the wilderness / freedom to roam / right to roam / everyman's right 、スウェーデン語 ご : allemansrätten (アッレマンスレット)、フィンランド語 ご : jokamiehenoikeus (ヨカミエヘンオイケウス)[ 1] )とは、土地 とち の所有 しょゆう 者 しゃ に損害 そんがい を与 あた えない限 かぎ りにおいて、すべての人 ひと に対 たい して他人 たにん の土地 とち への立 た ち入 い りや自然 しぜん 環境 かんきょう の享受 きょうじゅ を認 みと める権利 けんり 。自然 しぜん 環境 かんきょう 享受 きょうじゅ 権 けん 。
北欧 ほくおう に古 ふる くからある慣習 かんしゅう 法 ほう であり、自国 じこく 以外 いがい の旅行 りょこう 者 しゃ などすべての人 ひと に対 たい して認 みと める権利 けんり である[ 注釈 ちゅうしゃく 1] 。例 たと えば利用 りよう 者 しゃ の権利 けんり として以下 いか のような行為 こうい が認 みと められている。
通行 つうこう 権 けん (徒歩 とほ 、スキー、自動車 じどうしゃ による通行 つうこう )
滞在 たいざい 権 けん (テントでの宿泊 しゅくはく を含 ふく め、休息 きゅうそく 、水浴 みずあ びのための短期 たんき 滞在 たいざい )
自然 しぜん 環境 かんきょう 利用 りよう 権 けん (ヨット、モーターボート等 とう の使用 しよう 、水浴 みずあ び、氷上 ひかみ スポーツ、魚釣 さかなつ りなど)
果実 かじつ 採取 さいしゅ 権 けん (土地 とち の所有 しょゆう 者 しゃ に対価 たいか を支払 しはら わない、野性 やせい の果実 かじつ やキノコ類 るい の採取 さいしゅ )
禁止 きんし されている行為 こうい は原則 げんそく として自然 しぜん を破壊 はかい することと、所有 しょゆう 者 しゃ を煩 わずら わせることである。
デンマーク
自然 しぜん 保護 ほご 法 ほう (1969年 ねん )で明文化 めいぶんか される。デンマークは人口 じんこう 密度 みつど が高 たか いため利用 りよう 者 しゃ の権利 けんり には制限 せいげん がある。
ノルウェー
古 ふる くから慣習 かんしゅう 法 ほう として成立 せいりつ し、野外 やがい 余 あまり 暇 ひま 法 ほう のなかで明文化 めいぶんか (1957年 ねん )されている。柵 しがらみ (さく)で囲 かこ われた内野 ないや (innmark)と囲 かこ われていない外野 がいや (utmark)によって権利 けんり が区別 くべつ されている。
スウェーデン
古 ふる くから慣習 かんしゅう 法 ほう としてあり、自然 しぜん 享受 きょうじゅ 権 けん は憲法 けんぽう で保障 ほしょう されている。例 たと えば、誰 だれ でも人 ひと の庭 にわ で果物 くだもの を取 と ることが許 ゆる されている。自然 しぜん は人 ひと が所有 しょゆう するものではない。共 とも に分 わ かち合 あ い、いつくしむものである、との考 かんが えに基 もと づいている。ただし多 おお くの部分 ぶぶん が慣習 かんしゅう 法 ほう に委 ゆだ ねられている。鳥獣 ちょうじゅう の狩猟 しゅりょう については自然 しぜん 享受 きょうじゅ 権 けん に含 ふく まれない。
この権利 けんり は国有 こくゆう 地 ち 、私有地 しゆうち に関 かか わらず慣習 かんしゅう 的 てき に保護 ほご されている。土地 とち 所有 しょゆう 者 しゃ は森林 しんりん や再生 さいせい 可能 かのう 資源 しげん の保護 ほご を義務付 ぎむづ けられており、土地 とち 所有 しょゆう 権 けん と利用 りよう 権 けん を持 も つと同時 どうじ に自然 しぜん 環境 かんきょう の維持 いじ 義務 ぎむ を負 お うことになる。スウェーデンでは近年 きんねん 、ハンググライダーやマウンテンバイクなどアウトドアスポーツの普及 ふきゅう で大会 たいかい などが頻繁 ひんぱん に開 ひら かれるようになり、自然 しぜん が踏 ふ み荒 あ らされるケースが出 で 始 はじ め、自然 しぜん 享受 きょうじゅ 権 けん についての論争 ろんそう が起 お きている。このため、自然 しぜん 享受 きょうじゅ 権 けん は個人 こじん の権利 けんり で、団体 だんたい に認 みと められたものではないという新 あら たなガイドラインが付 つ け加 くわ えられた。
これに類 るい するものとして、日本 にっぽん では環境 かんきょう 権 けん のうち「個別 こべつ 的 てき 環境 かんきょう 権 けん 」にあたる、自由 じゆう に海浜 かいひん に出入 でい りする権利 けんり ・入 にゅう 浜 はま 権 けん が主張 しゅちょう されているが、海岸 かいがん 線 せん 及 およ び水面 すいめん はすべて公有 こうゆう で一個人 いっこじん には認 みと められるものではないとして、行政 ぎょうせい 訴訟 そしょう では否定 ひてい され続 つづ けてきている。
^ 北欧 ほくおう の福祉 ふくし 制度 せいど を長 なが らく研究 けんきゅう してきた一番 いちばん ヶ瀬 せら 康子 やすこ 日本女子大学 にほんじょしだいがく 名誉 めいよ 教授 きょうじゅ によれば、日照 ひでり の少 すく ない北欧 ほくおう では健康 けんこう 維持 いじ の必要 ひつよう 上 じょう 日光 にっこう を浴 あ びる権利 けんり は皆 みな 平等 びょうどう であるという考 かんが え方 かた があるという。
^ フローレンス・ウィリアムズ『NATURE FIX 自然 しぜん が最高 さいこう の脳 のう をつくる』NHK出版 しゅっぱん 、2017年 ねん 、184頁 ぺーじ 。ISBN 978-4-14-081718-6 。
石 いし 渡利 わたり 康 やすし 『北欧 ほくおう の自然 しぜん 環境 かんきょう 享受 きょうじゅ 権 けん 』(北欧 ほくおう 法 ほう 双書 そうしょ )高文 たかふみ 堂 どう 出版 しゅっぱん 社 しゃ 、1995年 ねん ISBN 4770704941
「自然 しぜん の権利 けんり 訴訟 そしょう 」吉 よし 盛 もり 一郎 いちろう (長岡 ながおか 大学 だいがく 生涯 しょうがい 学習 がくしゅう 研究 けんきゅう 年報 ねんぽう 2009-3)[2]