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自称じしょう騎士きし修道しゅうどうかい

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
スウェーデンの自称じしょうせいブリジット騎士きし修道しゅうどうかい」の徽章きしょう

自称じしょう騎士きし修道しゅうどうかい(じしょうきししゅうどうかい、えい: Self-styled order)または擬似ぎじ騎士きし修道しゅうどうかい(pseudo-chivalric order)とは、騎士きし修道しゅうどうかい名乗なのるものの、くに国際こくさい機関きかんから正当せいとうなものとしてみとめられていない組織そしきのことである。

ほとんどの自称じしょう騎士きし修道しゅうどうかいは18世紀せいきなか以降いこう誕生たんじょうし、最近さいきんになって創設そうせつされたものもおおい。ほとんどの騎士きし修道しゅうどうかい短命たんめいで、すうじゅうねん存続そんぞくしない。

騎士きし修道しゅうどうかい正統せいとうせい

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おおくのくに装飾そうしょくひん着用ちゃくよう規制きせいしておらず、特定とくてい勲章くんしょう正当せいとうかどうかについては中立ちゅうりつたもっている。どのような勲章くんしょう正当せいとうなものとしてみとめられるかを明確めいかく規定きていしているくにもある。たとえば、スウェーデンでは、軍服ぐんぷく着用ちゃくようする勲章くんしょう勲章くんしょうかんする決定けってい参謀さんぼう本部ほんぶゆだねられている。

レジオンドヌール勲章くんしょうは、レジオン・ドヌール勲章くんしょう章典しょうてんによってみとめられた勲章くんしょうのみおおやけ着用ちゃくようすることができ、外国がいこく勲章くんしょう着用ちゃくようする場合ばあい許可きょかなければならない。王朝おうちょう時代じだい勲章くんしょうは、当該とうがい王朝おうちょう現在げんざい主権しゅけんしゃとして承認しょうにんされていないかぎ禁止きんしされている[1]たとえば、ロイヤル・ヴィクトリア勲章くんしょう明確めいかく承認しょうにんされているが、せいマウリッツィオ・ラザロ勲章くんしょう承認しょうにんされていない[2])。フランス政府せいふは、一括いっかつして認可にんかされた騎士きし修道しゅうどうかい網羅もうらてきなリストが公表こうひょうしている[2]

勲章くんしょう授与じゅよする許可きょか君主くんしゅからている協会きょうかいもあるが、それらはみぎむね着用ちゃくようするものである。英国えいこく市民しみんは、君主くんしゅ許可きょかなく外国がいこく勲章くんしょう受章じゅしょうし、着用ちゃくようすることはできない。さらに政府せいふは、民間みんかん協会きょうかい機関きかん授与じゅよする外国がいこくしょう許可きょかあたえられないと明言めいげんしている[3][4]

また、民間みんかん組織そしきである国際こくさい騎士きし修道しゅうどうかい委員いいんかい(ICOC)も、騎士きし修道しゅうどうかい本物ほんものかどうかを評価ひょうかするための原則げんそくさだめている。ICOCはいかなる国際こくさい条約じょうやくによっても公式こうしき承認しょうにんされておらず、その定義ていぎおおくのくにによって明確めいかく否定ひていされている(上記じょうきのフランス、イギリス、スウェーデンのれい参照さんしょう)。ICOCは1960ねん8がつ国際こくさい系図けいず紋章もんしょうがく会議かいぎ英語えいごばん臨時りんじ委員いいんかいとして設立せつりつされたが、現在げんざい恒久こうきゅうてきかつ独立どくりつした国際こくさい機関きかんとなっている[5][6]

ICOCは、騎士きし修道しゅうどうかい真正しんせいなものであるためには、その創設そうせつしゃまたは主要しゅよう後援こうえんしゃフォンソノルム英語えいごばん: fons honorum和訳わやく名誉めいよいずみ)がいなければならないと主張しゅちょうしている。フォンソノルムとは、騎士きし修道しゅうどうかい設立せつりつされた時点じてんかそれ以前いぜん主権しゅけんっていた人物じんぶつのことである。ICOCは、騎士きし修道しゅうどうかい創設そうせつまえ主権しゅけんゆうしていたのは、かつての主権しゅけんしゃ騎士きし修道しゅうどうかい創設そうせつまえ主権しゅけん放棄ほうきしたのではなく、退位たいいさせられたか、またはその方法ほうほう権力けんりょくうしなっていた場合ばあいかぎり、真正しんせい騎士きし修道しゅうどうかい創設そうせつするために有効ゆうこうであるとかんがえる[7]。ICOCの見解けんかいでは、この要件ようけんたし、みずからにかけじょう正当せいとうせいあたえるために、にせのフォンソノルム創設そうせつする組織そしきがある。ICOCは、どのような組織そしき本物ほんもの騎士きし修道しゅうどうかいとみなすかについて登録とうろくおこなっている[8]

一見いっけん騎士きし修道しゅうどうかいてき性格せいかくつようにえる組織そしき(アウグスト協会きょうかい国際こくさい騎士きしどう連盟れんめい(International Fellowship of Chivalry-Now)のように、自分じぶんたちは騎士きし修道しゅうどうかいではないと公言こうげんしている組織そしきもある)でも、自称じしょう騎士きし修道しゅうどうかい各国かっこくによって公認こうにんされた騎士きし修道しゅうどうかい国際こくさい機関きかんによって本物ほんものとみなされた騎士きし修道しゅうどうかいとは慎重しんちょう区別くべつしている。

中世ちゅうせい以降いこう貴族きぞく爵位しゃくい爵位しゃくい、およびヨーロッパで国家こっか承認しょうにんした騎士きし修道しゅうどうかい会員かいいん資格しかく授与じゅよする排他はいたてき権利けんり君主くんしゅによって横領おうりょうされた[9][10]が、例外れいがいとして、王妃おうひたとえば、ほしじゅう勲章くんしょう英語えいごばん)や王位おうい請求せいきゅうしゃあたえられた王朝おうちょう勲章くんしょうについては、ゴータ年鑑ねんかん英語えいごばんなどに記録きろくされている。

自称じしょう騎士きし修道しゅうどうかい共通きょうつうする特徴とくちょう

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自称じしょう騎士きし修道しゅうどうかい共通きょうつうする、その特徴とくちょう以下いかのとおり:

  1. 聖地せいちやイベリア半島はんとうにある中世ちゅうせい西欧せいおう軍事ぐんじ騎士きし修道しゅうどうかい保護ほごしゃであったローマ教皇きょうこうちょうによって、はるかむかし弾圧だんあつされていたと主張しゅちょうしている[11]
  2. 西洋せいようのどの主権しゅけん国家こっかも、これらを正当せいとう騎士きし修道しゅうどうかいとしてみとめていない[12][13]
  3. かれらは、「さまよえる司教しきょう」(Episcopi vagantes)や無名むめい王子おうじたちの強力きょうりょく庇護ひごしたにある、あるいはそのちょうであると主張しゅちょうしている[14]
  4. かれらはにせ爵位しゃくいもの密接みっせつ関係かんけいしている。

フリーメーソン

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18世紀せいき以降いこうフリーメーソンはいくつかの中世ちゅうせい騎士きし修道しゅうどうかいのシンボルと儀式ぎしきおおくのメーソン団体だんたい英語えいごばんれてきた。とくに「コンスタンティヌス赤十字せきじゅうじ騎士きし修道しゅうどうかい」(せいゲオルギウス神聖しんせい軍事ぐんじコンスタンティヌス騎士きし修道しゅうどうかいきよし墳墓ふんぼ騎士きし修道しゅうどうかい由来ゆらい)、「マルタ騎士きし修道しゅうどうかい」(ひじりヨハネ騎士きしだん由来ゆらい)、「神殿しんでん騎士きし修道しゅうどうかい」(中世ちゅうせいテンプル騎士きし修道しゅうどうかい由来ゆらい)は、フリーメーソンのヨーク儀式ぎしき英語えいごばんおおきくげられている。

どのメイソン団体だんたい騎士きしだん名乗なのることはなく、徽章きしょうおおやけ着用ちゃくようすることもない(騎士きしだんあたえられる権利けんり)。したがって、それらは自称じしょう騎士きしだんではなく、たんなる友愛ゆうあい団体だんたいにすぎない。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Article R.160, CODE DE LA LÉGION D'HONNEUR ET DE LA MÉDAILLE MILITAIRE - mars 2015”. Legiondhonneur.fr. 2017ねん2がつ27にち閲覧えつらん
  2. ^ a b Procédure relative à la constitution d'un dossier de demande d'autorisation de port de décorations étrangères”. 2014ねん10がつ27にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2024ねん1がつ7にち閲覧えつらん
  3. ^ Rules Governing the Accepting and Wearing of Foreign Orders, Decorations and Medals by Citizens of the United Kingdom and Her Overseas Territories (Annex D of the document)
  4. ^ Department of the Official Report (Hansard), House of Commons, Westminster. “House of Commons Hansard Written Answers for 24 Nov 2005 (pt 24)”. Publications.parliament.uk. 2014ねん5がつ3にち閲覧えつらん
  5. ^ Authority and Status of the ICOC”. Icocregister.org. 2014ねん5がつ3にち閲覧えつらん
  6. ^ Legitimacy and Orders of Knighthood”. Heraldica.org (2004ねん2がつ25にち). 2014ねん5がつ3にち閲覧えつらん
  7. ^ International Commission for Orders of Chivalry”. Icocregister.org. 2014ねん5がつ3にち閲覧えつらん
  8. ^ Register of Orders of Chivalry”. Icocregister.org. 15 February 2021閲覧えつらん
  9. ^ Mills, Charles (1861). The history of chivalry. Philadelphia: H.C. Carey and I. Lea. pp. 34 
  10. ^ Bush, M.L. (1988). Rich noble, poor noble. Manchester: Manchester University Press. pp. 65. ISBN 9780719023811 
  11. ^ Official Statement of the Holy See on Self-Styled Orders”. Heraldica.org (2002ねん7がつ24にち). 2014ねん5がつ3にち閲覧えつらん
  12. ^ French Law and Unofficial Orders”. Heraldica.org. 2014ねん5がつ3にち閲覧えつらん
  13. ^ Italian Law and Unofficial Orders;
  14. ^ Fantasy Royalty”. Chivalricorders.org. 2014ねん5がつ14にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2014ねん5がつ3にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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エステルゴムのフランシスコかい教会きょうかいにて、サンドル・ハプスブルグが「黄金おうごん拍車はくしゃ騎士きし総長そうちょう」に任命にんめいされる(2012ねん)。

関連かんれん文献ぶんけん

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  • Ordres et contre-ordres de chevalerie by Arnaud Chaffanjon, Mercure de France Paris 1982.
  • Faux Chevaliers vrais gogos by Patrice Chairoff, Jean Cyrile Godefroy Paris 1985.
  • The knightly twilight by Robert Gayre of Gayre, Lochore Enterprises Valletta 1973.
  • Orders of knighthood, Awards and the Holy See by Peter Bander van Duren and Archbishop H.E. Cardinale (Apostolic Delegate in the United Kingdom), Buckinghamshire 1985.
  • World Orders of Knighthood and Merit by Guy Stair Sainty(editor) and Rafal Heydel-Mankoo (deputy editor), Burke's Peerage 2006.
  • Ephemeral Decorations, Gillingham, H. E. New York, 1935. American Numismatical Society: Numismatic Notes and Monographs 66.
  • Peter Kurrild-Klitgaard, Knights of Fantasy: an overview, history, and critique of the self-styled 'Orders' called 'of Saint John' or 'of Malta', in Denmark and other Nordic countries, Turku 2002, ISBN 951-29-2265-7

外部がいぶリンク

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