船客せんきゃく傷害しょうがい賠償ばいしょう責任せきにん保険ほけん

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保険ほけん契約けいやくしゃ[編集へんしゅう]

社団しゃだん法人ほうじん日本にっぽん旅客船りょかくせん協会きょうかい契約けいやくしゃとする一括いっかつ契約けいやくと、それ以外いがい旅客船りょかくせん事業じぎょうしゃ契約けいやくしゃとする一般いっぱん契約けいやくとがある。

保険ほけんしゃ[編集へんしゅう]

旅客りょかく運送うんそうごうとしてっているものである。つまり、船舶せんぱく所有しょゆうしゃ船舶せんぱく賃借ちんしゃくじん定期ていき傭船ようせんしゃとうであって、船長せんちょう船員せんいんその船舶せんぱく乗組のりくみいんはこの保険ほけん保険ほけんしゃではない。なお、日本にっぽん旅客船りょかくせん協会きょうかい会員かいいんである旅客りょかく航路こうろ事業じぎょうしゃおよびどう協会きょうかい総トン数そうとんすう5トン未満みまん船舶せんぱくのみの事業じぎょうしゃがなれるじゅん会員かいいんについては日本にっぽん旅客船りょかくせん協会きょうかい一括いっかつ契約けいやくにより加入かにゅうしている。

保険ほけん期間きかん[編集へんしゅう]

原則げんそくとして1年間ねんかんとされている。

担保たんぽ危険きけん[編集へんしゅう]

保険ほけんしゃ旅客船りょかくせん事業じぎょうしゃ)が所有しょゆう使用しよう管理かんりするこの保険ほけんされた船舶せんぱくづけ対象たいしょう船舶せんぱく)による旅客りょかく船客せんきゃく)の運送うんそうかんし、事故じこにより生命せいめい身体しんたいがいした場合ばあい死亡しぼう傷害しょうがい疾病しっぺい)に、保険ほけんしゃ法律ほうりつじょう賠償ばいしょう責任せきにん負担ふたんすることによってこうむ財産ざいさんじょう損害そんがい填補てんぽする。なお、日本にっぽん旅客船りょかくせん協会きょうかい契約けいやくかぎり、保険ほけんしゃ法律ほうりつじょう賠償ばいしょう責任せきにん負担ふたんすることなく、慣習かんしゅうじょう支払しはらいをしたことによる損害そんがいは「慣習かんしゅうじょう支払しはらい担保たんぽ特約とくやく条項じょうこう」で、当該とうがい船舶せんぱくがい第三者だいさんしゃあたえた身体しんたい障害しょうがいたいして保険ほけんしゃ法律ほうりつじょう賠償ばいしょう責任せきにん負担ふたんすることによってこうむ損害そんがいは「ふねがいだい三者傷害賠償責任担保特約条項」によって担保たんぽしている。

船舶せんぱくによる旅客りょかく運送うんそうかんし」とは、船舶せんぱく乗船じょうせんちゅうのほか、船舶せんぱく下船げせんするための連絡れんらくようふね搭乗とうじょうちゅうじょう下船げせんようのタラップでの事故じこふくんでいる。

旅客りょかく[編集へんしゅう]

旅客りょかくとは、運送うんそうじん旅客りょかく運送うんそう契約けいやく実際じっさいには運送うんそう約款やっかんによる)を締結ていけつして乗船じょうせんするものであり、船員せんいんその船内せんないにおいて業務ぎょうむ従事じゅうじするもの以外いがいものである。また、船舶せんぱく所有しょゆうしゃ船舶せんぱく賃借ちんしゃくじん船舶せんぱく管理人かんりにんとう旅客りょかく運送うんそうじん旅客りょかくではない。

づけ対象たいしょう船舶せんぱく[編集へんしゅう]

この保険ほけん対象たいしょうとする船舶せんぱくは、その大小だいしょうみずうみがわ港湾こうわん海上かいじょう航行こうこうべつわず旅客りょかく運送うんそうようきょうされる日本にっぽん国籍こくせき船舶せんぱくつぎのものである。

  • 旅客船りょかくせん観光かんこう遊覧ゆうらんふね水中翼船すいちゅうよくせん、ホバークラフト、高速艇こうそくていふくむ)
  • 貨客船かきゃくせん自動車じどうしゃこうおくふねふくむ)
  • つうせん交通こうつうせん
  • 渡船とせん

免責めんせき規定きてい[編集へんしゅう]

おも免責めんせき規定きていつぎのとおりである。

直接ちょくせつであると間接かんせつとをわず、つぎ事由じゆう起因きいんする損害そんがい[編集へんしゅう]

  • 保険ほけん契約けいやくしゃ保険ほけんしゃ船長せんちょうまたは乗組のりくみいん故意こい
  • 襲撃しゅうげき捕獲ほかく拿捕だほまたは抑留よくりゅう
  • 戦争せんそう宣戦せんせん有無うむわない)、変乱へんらん一揆いっき暴動ぼうどう政治せいじてきまたは社会しゃかいてき騒擾そうじょうその類似るいじ事変じへん
  • 地震じしん噴火ふんか津波つなみなどの天災てんさい
  • 原子核げんしかく反応はんのうまたは原子げんし崩壊ほうかい

つぎ期間きかんしょうじた損害そんがい[編集へんしゅう]

  • 船舶せんぱくおよび船舶せんぱく下船げせんするための連絡れんらくようふね以外いがい運送うんそう用具ようぐによって船客せんきゃく運送うんそうしている期間きかん
  • いちじるしく定員ていいんをこえて船客せんきゃくまたは船舶せんぱく下船げせんするための連絡れんらくようふねにより船客せんきゃく運送うんそうしている期間きかん

法律ほうりつじょう賠償ばいしょう責任せきにん[編集へんしゅう]

法律ほうりつじょう賠償ばいしょう責任せきにん契約けいやく運送うんそう約款やっかん)、みん商法しょうほう一般いっぱん原則げんそく債務さいむ不履行ふりこう責任せきにん不法ふほう行為こうい責任せきにん)、国際こくさい条約じょうやくとうによってさだめられる。

運送うんそう約款やっかん[編集へんしゅう]

海上かいじょう運送うんそうほう(9じょう1こう)は、一般いっぱん定期ていき航路こうろ事業じぎょうしゃ旅客りょかく不定期ふていき航路こうろ事業じぎょうしゃ自動車じどうしゃこうおく貨物かもつ定期ていき航路こうろ事業じぎょうしゃたいして運送うんそう約款やっかん制定せいてい変更へんこうについて国土こくど交通こうつう大臣だいじん認可にんかようするとしている。 標準ひょうじゅん運送うんそう約款やっかんでは、つぎのとおりさだめている。

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当社とうしゃ賠償ばいしょう責任せきにん

だい20じょう

1.当社とうしゃは、旅客りょかくが、船長せんちょうまた当社とうしゃ係員かかりいん指示しじしたがい、乗船じょうせんこう乗降じょうこう施設しせつ改札かいさつこうがある場合ばあいにあっては、改札かいさつこう以下いかおなじ。)にたっしたときから下船げせんこう乗降じょうこう施設しせつはなれたときまでのあいだに、その生命せいめいまた身体しんたいがいした場合ばあいは、これによりしょうじた損害そんがいについて賠償ばいしょうする責任せきにんいます。

2.前項ぜんこう規定きていは、つぎ各号かくごうのいずれかに該当がいとうする場合ばあいは、適用てきようしません。

(1)当社とうしゃが、船舶せんぱく構造こうぞうじょう欠陥けっかんおよ機能きのう障害しょうがいがなかったことならびに当社とうしゃおよびその使用人しようにん当該とうがい損害そんがい防止ぼうしするために必要ひつよう措置そちをとったことまた不可抗力ふかこうりょくなどの理由りゆうによりその措置そちをとることができなかったことを証明しょうめいした場合ばあい

(2)当社とうしゃが、旅客りょかくまた第三者だいさんしゃ故意こいしくは過失かしつにより、また旅客りょかくがこの運送うんそう約款やっかんまもらなかったことにより当該とうがい損害そんがいしょうじたことを証明しょうめいした場合ばあい

3.当社とうしゃは、手回てまわひんその旅客りょかく保管ほかんする物品ぶっぴん滅失めっしつ、きそんとうによりしょうじた損害そんがいについては、当社とうしゃまたはその使用人しようにん過失かしつがあったことが証明しょうめいされた場合ばあいかぎり、これを賠償ばいしょうする責任せきにんいます。

4.当社とうしゃだい5じょうりゃく)の規定きていによる措置そちをとったことによりしょうじた損害そんがいについては、だい1こうまた前項ぜんこう規定きていにより当社とうしゃ責任せきにん場合ばあいのぞき、当社とうしゃは、これを賠償ばいしょうする責任せきにんいません。

旅客りょかくたいする賠償ばいしょう請求せいきゅう

だい21じょう

1.旅客りょかくが、その故意こいしくは過失かしつにより、またはこの運送うんそう約款やっかんまもらなかったことにより当社とうしゃ損害そんがいあたえた場合ばあいは、当社とうしゃは、当該とうがい旅客りょかくたいし、その損害そんがい賠償ばいしょうもとめることがあります。

――――――

賠償ばいしょう責任せきにんしょうじる事例じれいとして、つぎのものがかんがえられる。

  • 本船ほんせんじょう下船げせんのための連絡れんらくようふね搭乗とうじょうしているあいだふねふねにぶつかりその衝撃しょうげき負傷ふしょうした。
  • 乗降じょうこう施設しせつない乗船じょうせんちの旅客りょかくふねからげられたトモつなたって受傷じゅしょうした。
  • 船内せんない食事しょくじ原因げんいんで、下船げせん食中毒しょくちゅうどく症状しょうじょうあらわれた。

商法しょうほうじょう規定きてい[編集へんしゅう]

商法しょうほうじょうにおける旅客りょかく運送うんそうじん責任せきにんは、みずうみがわ港湾こうわんのみを航行こうこうするうち水船みずぶねと、海洋かいようじょう航行こうこうするうみせんとでことなり、前者ぜんしゃだい3へん商行為しょうこうい運送うんそう営業えいぎょうかんする規定きてい適用てきようされ、後者こうしゃはこのほかだい4へんうみしょう規定きていによるとされている。

内水うすいせんかんする責任せきにん[編集へんしゅう]

商法しょうほうじょう旅客りょかく運送うんそうじんは、自己じこまたはその使用人しようにん運送うんそうかん注意ちゅういおこたらなかったことを証明しょうめいしなければ、旅客りょかく運送うんそうのためにけた損害そんがい賠償ばいしょうするせめまぬかれない(商法しょうほう590じょう1こう )とし、過失かしつ責任せきにん主義しゅぎちつつも過失かしつ立証りっしょう責任せきにん運送うんそうじんわせ、被害ひがいしゃ保護ほごはかっている。

うみせんかんする責任せきにん[編集へんしゅう]

うみせんについても内水うすいせん規定きてい準用じゅんようしている(商法しょうほう786じょう1こう )が、船舶せんぱく所有しょゆうしゃ船舶せんぱく賃借ちんしゃくじんどう704じょう1こうとう旅客りょかく運送うんそうじんは、特約とくやくしても自己じこ過失かしつ船員せんいんその使用人しようにん悪意あくいもしくは重過失じゅうかしつ、または船舶せんぱくこらえこう能力のうりょく欠如けつじょ起因きいんしてしょうじた損害そんがいについて賠償ばいしょう責任せきにんまぬかれない(どう786じょう・739じょう )として、このたね特約とくやく無効むこうとしている。船舶せんぱく所有しょゆうしゃ船長せんちょうその船員せんいんがその職務しょくむおこなうにあたって故意こいまたは過失かしつによって他人たにんあたえた損害そんがい賠償ばいしょうする責任せきにんがある(どう690じょう )。

国際こくさい条約じょうやくとの関係かんけい[編集へんしゅう]

船客せんきゃく傷害しょうがい賠償ばいしょう責任せきにん保険ほけんは、船舶せんぱく所有しょゆうしゃのほか、旅客りょかく運送うんそう事業じぎょうしゃ負担ふたんする法律ほうりつじょう賠償ばいしょう責任せきにん填補てんぽするものであるが、他方たほうでこの保険ほけん填補てんぽされる被害ひがいしゃへの賠償金ばいしょうきん一般いっぱん債権さいけんしゃたいして支払しはらわれるべき賠償金ばいしょうきんがく一部いちぶ構成こうせいし、わせて後記こうき船主せんしゅ責任せきにん制限せいげんほう適用てきようける。

船主せんしゅ責任せきにん制限せいげんほう成立せいりつ[編集へんしゅう]

海上かいじょう航行こうこう船舶せんぱく所有しょゆうしゃ責任せきにんかんする国際こくさい条約じょうやく (International Convention Relating to the Limitation of the Liability of Owners of Sea-Going Ships。以下いか船主せんしゅ責任せきにん制限せいげん条約じょうやく」という。昭和しょうわ32ねんだい10かい海洋かいよう外交がいこう会議かいぎ成立せいりつ昭和しょうわ43ねん5がつ31にち発効はっこう)により、「海上かいじょう航行こうこう船舶せんぱく」つまり、内水うすいから海上かいじょうにわたって航海こうかいする船舶せんぱく内水うすいのみ航行こうこうする船舶せんぱくのぞく)はこの条約じょうやく適用てきようけることとなり、日本にっぽんでは条約じょうやく成立せいりつけて「船舶せんぱく所有しょゆうしゃとう責任せきにん制限せいげんかんする法律ほうりつ以下いか船主せんしゅ責任せきにん制限せいげんほう」という)が制定せいていされた。その船主せんしゅ責任せきにん制限せいげん条約じょうやく1976ねん海事かいじ債権さいけんについての責任せきにん制限せいげんかんする条約じょうやく(76LLMC)昭和しょうわ61ねん12月1にち発行はっこうにより改正かいせいされ、1976ねん海事かいじ債権さいけんについての責任せきにん制限せいげんかんする条約じょうやく改正かいせいする1996ねん議定ぎていしょ(96LLMC)平成へいせい16ねん5がつ13にち発効はっこうにより、さら改正かいせいされた。

責任せきにん制限せいげん適用てきよう[編集へんしゅう]

船舶せんぱく所有しょゆうしゃとう責任せきにん制限せいげんすることができる債権さいけん制限せいげん債権さいけん)の種類しゅるい船主せんしゅ責任せきにん制限せいげんほう3じょう規定きていされており、船舶せんぱくじょう船舶せんぱく運航うんこう直接ちょくせつ関連かんれんしてしょうずる身体しんたい障害しょうがい船舶せんぱく以外いがい財物ざいぶつ損壊そんかい運送うんそう遅延ちえんによる損害そんがい損害そんがい防止ぼうし措置そちによりしょうずる損害そんがいなどが列挙れっきょされている。ただし、故意こいまた損害そんがい発生はっせいのおそれがあることを認識にんしきしながらった無謀むぼう行為こういによってしょうじた損害そんがいについては責任せきにん制限せいげんみとめられることによる利益りえき享受きょうじゅすることはできない。

船舶せんぱく所有しょゆうしゃとう責任せきにん制限せいげん認定にんてい地方裁判所ちほうさいばんしょにおいて、かく船舶せんぱくについていち事故じこごとにおこなわれる。たとえば、事故じこ複数ふくすうある場合ばあいはそれぞれの事故じこごとに責任せきにん制限せいげん手続てつづきおこなわれる。また、どういち船舶せんぱくどういち事故じこにおける複数ふくすうものたとえば船舶せんぱく所有しょゆうしゃ傭船ようせんしゃ)が損害そんがい賠償ばいしょう責任せきにん真正しんせい連帯れんたい債務さいむとなり、そのうち一人ひとりについて後述こうじゅつ責任せきにん制限せいげん手続てつづきがされた場合ばあいは、他方たほう債務さいむしゃ責任せきにん制限せいげん利益りえきけることになる。

責任せきにん制限せいげんがく[編集へんしゅう]

責任せきにん限度げんどがくは、船舶せんぱくトン数とんすうおうじてさだめられ、もの損害そんがいのみの場合ばあいと、それ以外いがい場合ばあいひと損害そんがい場合ばあい人物じんぶつとも損害そんがいがある場合ばあい)でことなり、もの損害そんがいのみである場合ばあいは、船舶せんぱく責任せきにん制限せいげんほう7じょう1こう1ごうにより、それ以外いがい場合ばあいどう2ごうによる。 後者こうしゃ、つまりぶつ損害そんがいのみでない場合ばあいれいにとると、

  • 2,000トン以下いか船舶せんぱく…300まんSDR
  • 2,000トンをえる船舶せんぱく
    • 2,000トンちょう30,000トン以下いかトン数とんすう×1,200+600,000SDR
    • 30,000トンちょう70,000トン以下いかトン数とんすう×900+9,600,000SDR
    • 70,000トンちょうトン数とんすう×600+30,600,000SDR

ちゅう)SDRはIMFのホームページを参照さんしょうhttp://www.imf.org/external/np/fin/rates/rms_sdrv.cfm

なお、実際じっさい責任せきにん制限せいげんがく適用てきようされる事例じれいはPI保険ほけん全体ぜんたい支払しはらいやく8~9,000けんちゅうやく0.1%前後ぜんごとされている(だい162かい国会こっかい法務ほうむ委員いいんかいだい21ごう平成へいせい17ねん6がつ8にち)。

損害そんがい賠償ばいしょうがく[編集へんしゅう]

商法しょうほう590じょう2こう は、旅客りょかく運送うんそうじん負担ふたんすべき損害そんがい賠償ばいしょうがく算定さんていにあたって、裁判所さいばんしょは、被害ひがいしゃおよびその家族かぞく情況じょうきょう斟酌しんしゃくすべきとしている。これは、物品ぶっぴん運送うんそう場合ばあいにおけるような画一かくいつてき取扱とりあつかい商法しょうほう580じょう )によらないことを規定きていしたものであり、民法みんぽうじょう債務さいむ不履行ふりこう責任せきにん不法ふほう行為こうい責任せきにんもとづく損害そんがい賠償ばいしょう同様どうようとするものである。損害そんがいには、治療ちりょうとう現実げんじつ支出ししゅつによる損害そんがいのほか、被害ひがいしゃ将来しょうらいとくべかりし利益りえき遺族いぞくたいする慰謝いしゃりょうなどがふくまれる。

歴史れきし[編集へんしゅう]

日本にっぽん定期ていき交通こうつうせん協会きょうかい現在げんざい日本にっぽん旅客船りょかくせん協会きょうかい)の設立せつりつ[編集へんしゅう]

旅客りょかく航路こうろ事業じぎょう改善かいぜん発展はってんはか海上かいじょう交通こうつうならびに海上かいじょう観光かんこう振興しんこうすることを目的もくてきとして、昭和しょうわ26ねん2がつ国内こくない旅客船りょかくせん事業じぎょうしゃ旅客りょかく定員ていいん13めい以上いじょう)の全国ぜんこく団体だんたいである日本にっぽん定期ていき交通こうつうせん協会きょうかい(その改組かいそされて日本にっぽん定期ていきせん協会きょうかいとなり、昭和しょうわ28ねん4がつ社団しゃだん法人ほうじん許可きょかけ、昭和しょうわ29ねん社団しゃだん法人ほうじん日本にっぽん旅客船りょかくせん協会きょうかい改称かいしょう今日きょういたっている)が設立せつりつされた。

船客せんきゃく傷害しょうがい賠償ばいしょう保険ほけん創設そうせつ[編集へんしゅう]

自動車じどうしゃ損害そんがい賠償ばいしょう責任せきにん保険ほけん創設そうせつ先立さきだつこと2ねん昭和しょうわ28ねん4がつ1にちづけで、日本にっぽん定期ていきせん協会きょうかい保険ほけん契約けいやくしゃとなり、どう協会きょうかい会員かいいんである全国ぜんこく定期ていき旅客船りょかくせん事業じぎょうしゃ保険ほけんしゃ日産火災海上保険にっさんかさいかいじょうほけん株式会社かぶしきがいしゃ現在げんざい株式会社かぶしきがいしゃ損害そんがい保険ほけんジャパン)以下いか民間みんかん損害そんがい保険ほけん会社かいしゃを13しゃ保険ほけんしゃとする団体だんたい保険ほけん締結ていけつされた。当時とうじこの保険ほけん船客せんきゃく傷害しょうがい賠償ばいしょう保険ほけん)は、傷害しょうがい保険ほけん普通ふつう保険ほけん約款やっかんをベースとし、旅客船りょかくせん事業じぎょうしゃ船客せんきゃくたいする賠償ばいしょう責任せきにん担保たんぽする特別とくべつ約款やっかんしたものであった。当時とうじ船客せんきゃく1めいたいする保険ほけん金額きんがくは50まんえんまたは25まんえん任意にんい選択せんたくによる2種類しゅるいとされていた。

海上かいじょう運送うんそうほう改正かいせい[編集へんしゅう]

旅客船りょかくせん事業じぎょう所轄しょかつ官庁かんちょうである運輸省うんゆしょう現在げんざい国土こくど交通省こうつうしょう)は、この保険ほけん普及ふきゅう徹底てっていおおきな関心かんしんをもち、損害そんがい賠償ばいしょうのための保険ほけん契約けいやく締結ていけつについて、必要ひつようおう旅客船りょかくせん事業じぎょうしゃたい強制きょうせい命令めいれいおこなえるよう海上かいじょう運送うんそうほう改正かいせい昭和しょうわ28ねんどうほう19じょうの2 )をおこなった。

賠償ばいしょう資力しりょく確保かくほのための保険ほけんは、この保険ほけんでなくてもたとえば傷害しょうがい保険ほけんでもとされる(ただし、自賠責しばいせき保険ほけん同様どうよう保険ほけん金額きんがくは1めいあたり3,000まんえん以上いじょうとされる)が、実際じっさいじょうはこの保険ほけん保険ほけんりょう低廉ていれんであるためにこの保険ほけんへの加入かにゅうおおい。 そのおおきな改正かいせいは、平成へいせい12ねん10がつ需給じゅきゅう調整ちょうせい廃止はいしされて免許めんきょせい許可きょかせいになるなど、旅客船りょかくせん事業じぎょうかんする規制きせい緩和かんわされたことである。

過去かこだい事故じこ[編集へんしゅう]

昭和しょうわ29ねん9がつ 北海道ほっかいどう函館はこだて港外こうがいで、台風たいふう15ごうのため青函せいかん連絡れんらくせん洞爺とうやまるとうけい5せき沈没ちんぼつした洞爺とうやまる事故じこによって、死者ししゃ総計そうけい1,430めい事故じこきている。

昭和しょうわ32ねん 瀬戸内海せとないかいこっただい北川きたがわまる南海なんかいまる事故じこ契機けいきとして、旅客船りょかくせん遭難そうなん事故じこによる被害ひがいしゃ救済きゅうさい問題もんだい国会こっかいげられた。

船客せんきゃく傷害しょうがい賠償ばいしょう責任せきにん保険ほけんへの切替きりかえ[編集へんしゅう]

昭和しょうわ32ねん賠償ばいしょう責任せきにん保険ほけん一般いっぱん発売はつばいされたのをに、普通ふつう保険ほけん約款やっかん独立どくりつふくめて抜本ばっぽんてき見直みなおしがおこなわれ、昭和しょうわ33ねん12月にほん保険ほけん認可にんかくだり、保険ほけん名称めいしょうも「船客せんきゃく傷害しょうがい賠償ばいしょう責任せきにん保険ほけん」と改称かいしょう昭和しょうわ34ねん発売はつばいされた。この約款やっかん構成こうせい見直みなおしにともない、従来じゅうらい賠償ばいしょう責任せきにんとは無関係むかんけい担保たんぽしていた弔慰ちょういきん見舞みまいきんは、特約とくやくとして普通ふつう保険ほけん約款やっかんからはなしてべつ担保たんぽすることとされた。

P&I保険ほけん[編集へんしゅう]

船客せんきゃく傷害しょうがい賠償ばいしょう責任せきにん保険ほけん同様どうよう船舶せんぱく運航うんこうかんする諸種しょしゅ賠償ばいしょう責任せきにん危険きけん担保たんぽするものとして、昭和しょうわ25ねん設立せつりつされ、船主せんしゅ相互そうご保険ほけん組合くみあいほうもとづき損害そんがい保険ほけん事業じぎょういとな日本にっぽん船主せんしゅ責任せきにん相互そうご保険ほけん組合くみあい(The Japan Ship Owners' Mutual Protection & Indemnity Association)が、原則げんそくとして国際こくさい船級せんきゅう協会きょうかい連合れんごう(IACS)加盟かめい船級せんきゅうまた同等どうとう機関きかん(JGとう)ならびにISMコードを保持ほじ国際こくさい航海こうかい従事じゅうじする船舶せんぱく対象たいしょうとして、いわゆる「P&I保険ほけん」をあつかっている。この保険ほけんでは、ふねとう人身じんしん傷害しょうがい積荷つみに損害そんがいふねおよびふね以外いがい財物ざいぶつ損害そんがい、その関連かんれんするしょ費用ひよう担保たんぽしている 。なお、P&I保険ほけんでは、船客せんきゃく傷害しょうがい賠償ばいしょう責任せきにん保険ほけんふくめ、同種どうしゅ危険きけん担保たんぽするほか保険ほけん契約けいやくがある場合ばあいには、その重複じゅうふくする部分ぶぶんについては填補てんぽしないむねさだめている(保険ほけん優先ゆうせんはらい条項じょうこう) 。