船屋ふなや

加茂かも浜はまの跡地あとち

船屋ふなやの街並まちなみ

藤堂とうどう高虎たかとら供養くよう碑ひ

船屋ふなや（ふなや）は、京都きょうと府ふ木津川きづがわ市し加茂かも町まちの一いち地区ちく。

概要がいよう

1475年ねん（文明ぶんめい7年ねん）の「浄瑠璃寺じょうるりでら流りゅう記事きじ」で初はじめて「船屋ふなや」の名前なまえを確認かくにんすることができる。名なは舟運しゅううんにかかわる船問屋ふなどんやが集あつまっていたことからきていると考かんがえられる。

歴史れきし

船屋ふなや地区ちくは江戸えど時代じだい、伊賀いが街道かいどうの宿場しゅくば町まち（加茂かも宿やどと呼よばれる）や、信楽しがらき街道かいどうの分岐ぶんき点てんとしての役割やくわりを果はたし、非常ひじょうに賑にぎわった。また、木津川きづがわ筋すじ六ろく力りょく浜はまのひとつの加茂かも浜はまもここにあり、木津川きづがわ舟運しゅううんによっても栄さかえた。この浜はまは藤堂とうどう藩はん領りょうの西北せいほく端はしに位置いちし、藩はんにとってもまた重要じゅうような地ちであった。1648年ねん（慶安けいあん元年がんねん）には既すでに宿場しゅくばとして機能きのうしていたことが分わかっている。しかし、元禄げんろく期きのたびたびの火災かさい、水害すいがいの発生はっせい、さらには1712年ねん（正徳まさのり2年ねん）の大だい洪水こうずいにより、大おおきな打撃だげきを被こうむった。そのため本村もとむらを移転いてんせざるを得えなくなった。その際さい、移転いてんする人々ひとびとと行動こうどうを共ともにせず、居残いのこった人々ひとびとがいた。彼かれらは舟運しゅううんに携たずさわっていたため、浜はまを離はなれるわけにはいかなかったのである。これらの人々ひとびとと兎並うなみ・北村きたむらの両りょう村民そんみんにより、船屋ふなや地区ちくは復興ふっこうし、以前いぜんのように宿場しゅくば町まちとしても再生さいせいした。また、大だい洪水こうずいにより破損はそんした伊賀いが街道かいどうを修復しゅうふくする関係かんけいで、船屋ふなや地区ちくでも浜はまへ出でる地点ちてんで直角ちょっかくに折おれて東進とうしんする東西とうざいの道みちが整備せいびされた。これが、現在げんざいもその姿すがたを残のこしているL字じ型がたの街並まちなみの成なり立たちである。船屋ふなや地区ちくの復興ふっこうは順調じゅんちょうに進すすみ、このころ「船屋ふなや」という名前なまえが単たんに舟運しゅううんの職業しょくぎょうやその集団しゅうだんを指さすだけでなく、地名ちめいとしても確立かくりつされていった。また賀茂かもの字じを加茂かもに改あらためたのもこの頃ころである。江戸えど時代じだいが終おわり明治めいじを迎むかえると、1897年ねん（明治めいじ30年ねん）の加茂かも駅えきの開業かいぎょうと1901年ねん（明治めいじ34年ねん）の恭きょう仁じん大橋おおはしの架設かせつが、舟運しゅううんから陸上りくじょう交通こうつうへとその機能きのうを転換てんかんするきっかけとなった。1965年ねん（昭和しょうわ40年ねん）頃ごろになると、家いえや商店しょうてんの街並まちなみが現あらわれ始はじめた。こうして船屋ふなやは加茂かも地方ちほう随一ずいいちの市街地しがいち、また商店しょうてん街がいとして発達はったつした。

歴史れきし的てき建造けんぞう物ぶつ

藤堂とうどう高虎たかとら供養くよう碑ひ

船屋ふなやを一望いちぼうすることのできるイシバ山やまに所在しょざいする、藤堂とうどう藩はん祖そ藤堂とうどう高虎たかとらの供養くよう碑ひである。

旧家きゅうか

船屋ふなやの南みなみ、西にし、中なか、東町ひがしまちでは伝統でんとう的てきな町屋まちやが多おおく所在しょざいし、江戸えど時代じだいの酒蔵さかぐら跡あと、旅籠はたご跡あとなども現存げんそんする。

行事ぎょうじ

加茂かも船屋ふなや雛ひなまつり

毎年まいとし3月がつ上旬じょうじゅんに加茂かも町まち船屋ふなや、新町しんまち地域ちいきで行おこなわれている。2019年ねん（平成へいせい31年ねん）で第だい14回かいを迎むかえ、商店しょうてんや集会しゅうかい所しょなど合あわせて約やく50軒けんに雛人形ひなにんぎょうが展示てんじされた。

参考さんこう文献ぶんけん

• 『日本にっぽん歴史れきし地名ちめい大系たいけい第だい二に六ろく巻かん－京都きょうと府ふの地名ちめい』平凡社へいぼんしゃ、1981年ねん。