藤山ふじやま種たね廣ひろ

1867年ねんパリ万国博覧会ばんこくはくらんかいにおける佐賀さが藩はん使節しせつ団だん。後列こうれつ左ひだりが藤山ふじやま種たね廣こう。

藤山ふじやま 種たね廣ひろ（ふじやま たねひろ、1838年ねん（天保てんぽう9年ねん） - 1886年ねん（明治めいじ19年ねん））は、幕末ばくまつの佐賀さが藩はん士し、明治めいじ時代じだいのガラス工芸こうげい技師ぎし。別名べつめいは文一ぶんいち。長男ちょうなんの藤山ふじやま常一つねいちは北海ほっかいカーバイド工場こうじょう（現在げんざいのデンカ）の創立そうりつ者しゃ、次男じなんの田中たなか不二ふじは田中たなか林太郎りんたろうの娘むすめ婿むこ。

来歴らいれき

幕末ばくまつ

肥前ひぜん国こく神埼かんざき郡ぐん尾崎おざき村むら唐とう香が原はら（現在げんざいの佐賀さが県けん神埼かんざき市し）に生うまれる。幕末ばくまつには佐賀さが藩はん精錬せいれん方かたとして同どう藩はんの硝子がらす工場こうじょうで技術ぎじゅつを磨みがき、1867年ねん（慶応けいおう3年ねん）に江戸えど幕府ばくふ・佐賀さが藩はん・薩摩さつま藩はんが参加さんかしたパリ万国博覧会ばんこくはくらんかいには、佐賀さが藩はん使節しせつ団だんの一員いちいんとして派遣はけんされた。

明治維新めいじいしん後ご

1873年ねん（明治めいじ6年ねん）、明治めいじ新しん政府せいふ（工こう部ぶ省しょう）は富国強兵ふこくきょうへいの政策せいさくに則のっとり、全国ぜんこくから17名めいの技術ぎじゅつ伝習でんしゅう生せいを選定せんていしてウィーン万国博覧会ばんこくはくらんかいへ派遣はけんし、藤山ふじやまもその一人ひとりとして、ガラス製造せいぞう・活版かっぱん印刷いんさつ・鉛筆えんぴつ製造せいぞうに関かんする技術ぎじゅつ伝習でんしゅう生せいとして、明治めいじ新しん政府せいふの使節しせつ団だんに参加さんかして現地げんちに留学りゅうがくし、翌年よくねん帰国きこくした。1874年ねん（明治めいじ7年ねん）、井口いぐち直樹なおきらとともに国産こくさん鉛筆えんぴつの製造せいぞう技術ぎじゅつを完成かんせいさせたほか、1877年ねん（明治めいじ10年ねん）には工こう部ぶ省しょう品川しながわ工作こうさく分ぶん局きょく（後ごの品川しながわ硝子がらす製造せいぞう所しょ）で初はつの日本人にっぽんじん技師ぎしを務つとめて洋式ようしきガラスの技術ぎじゅつを指導しどうし、近代きんだいガラス工芸こうげいの基礎きそを築きずいた。晩年ばんねんは佐賀さがへ帰郷ききょうし、没後ぼつごは出生しゅっしょう地ちである佐賀さが県けん神埼かんざき郡ぐん内ないに墓地ぼちが建立こんりゅうされた。

年表ねんぴょう

• 1838年ねん（天保てんぽう9年ねん） - 肥前ひぜん国こく神埼かんざき町まち唐とう香が原はら（現在げんざいの佐賀さが県けん神埼かんざき市し）に生うまれる。
• 時期じき不ふ詳しょう - 佐賀さが藩はん精錬せいれん方かたとなる。
• 1867年ねん（慶応けいおう3年ねん） - 佐野さの永壽ながとし左衛門さえもん（佐野さの常民じょうみん）に随行ずいこうし、パリ万国博覧会ばんこくはくらんかいとフランス・オランダ・ベルギー・イギリス視察しさつのため渡わたり欧おう。
• 1868年ねん（明治めいじ元年がんねん） - 帰国きこく。
• 1871年ねん（明治めいじ4年ねん） - 工こう部ぶ省しょう勧すすむ工こう寮りょう十じゅう等とう出で任にん。
• 1872年ねん（明治めいじ5年ねん） - 工こう部ぶ省しょう勧すすむ工こう寮りょう九きゅう等とう出で任にん。10月、ウィーン万国博覧会ばんこくはくらんかいへ派遣はけん。
• 1873年ねん（明治めいじ6年ねん） - 工こう部ぶ省しょう勧すすむ工こう寮りょう九きゅう等とう出で役やく。1月、ウィーンへ派遣はけんされ、活字かつじ銅版どうはん、鉛筆えんぴつ製造せいぞう、硝子がらす製造せいぞう技術ぎじゅつを習得しゅうとく。
• 1874年ねん（明治めいじ7年ねん） - 帰国きこく。正院しょういん印刷いんさつ局きょくに出で任にん。
• 1875年ねん（明治めいじ8年ねん） - 大蔵省おおくらしょう紙幣しへい寮りょう初代しょだい活版かっぱん局長きょくちょうとなる。
• 1877年ねん（明治めいじ10年ねん） - 品川しながわ硝子がらすに移うつり、洋式ようしきガラス製法せいほう教授きょうじゅする。
• 1881年ねん（明治めいじ14年ねん） - 品川しながわ硝子がらす工場こうじょう総轄そうかつとして本邦ほんぽう硝子がらす工業こうぎょうの近代きんだい化かに貢献こうけん。
• 1883年ねん（明治めいじ16年ねん） - 品川しながわ硝子がらすを辞職じしょくし、佐賀さがへ帰郷ききょう。
• 1884年ねん（明治めいじ17年ねん） - 硝子がらす製造せいぞう薬やく料りょう調合ちょうごう法ほうを発表はっぴょうする。

参考さんこう文献ぶんけん

• 『幕末ばくまつ明治めいじ海外かいがい渡航とこう者しゃ総覧そうらん』柏書房かしわしょぼう（手塚てづか晃あきら, 国立こくりつ教育きょういく会館かいかん編へん）、1992年ねん。
• 『朝ちょう日にち日本にっぽん歴史れきし人物じんぶつ事典じてん』朝日新聞社あさひしんぶんしゃ、1994年ねん。
• 『佐賀さが藩はん精煉せいれん方かた藤山ふじやま種たね廣ひろの足跡あしあと』井上いのうえ曉子あきこ（日本にっぽんガラス工芸こうげい学会がっかい）、1975年ねん。