覚書おぼえがき

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覚書おぼえがき(おぼえがき、英語えいご:memo(メモ))

概要がいよう[編集へんしゅう]

覚書おぼえがきはどのような書式しょしきでもよい場合ばあいと、オフィスあるいは組織そしきさだめられた書式しょしき使用しようする場合ばあいがある。

法律ほうりつ分野ぶんやにおいては、覚書おぼえがき取引とりひき条件じょうけん契約けいやく記録きろくとなり、ポリシーメモ(policy memo)、了解りょうかい覚書おぼえがき(MOU、memorandum of understanding)、合意ごうい覚書おぼえがき(MOA、memorandum of agreement)、基本きほん定款ていかんイギリス英語えいご:MOA、memorandum of association)などがある。備忘録びぼうろく(memos)、ブリーフィング・ノート(briefing notes)、報告ほうこくしょ(reports)、書簡しょかん(letters)、かり契約けいやくしょ(binders)なども覚書おぼえがきである。それらは1ページの場合ばあいもあるし複数ふくすうページにわたる場合ばあいもある。一般いっぱんてきには、覚書おぼえがき上司じょうしけの手書てがきメモである。

ディーン・アチソン(Dean Acheson)の有名ゆうめい言葉ことばに「覚書おぼえがき相手あいてらせるためではなく、まもるためにかれる」がある。チャールズ・ペータース(Charles Peters)は、「官僚かんりょう覚書おぼえがき理由りゆうは、いているあいだ仕事しごとをしているようにえ、またひとたびえるとかれらが仕事しごとをしたことの証明しょうめいとなるからである」[2]べた。

政策せいさくブリーフィング・ノート[編集へんしゅう]

覚書おぼえがきいち種類しゅるいとして、政策せいさく意思いし決定けってい分野ぶんやにおいて政策せいさく分析ぶんせき結果けっか提供ていきょうする文書ぶんしょである「政策せいさくブリーフィング・ノート」(policy briefing note)がある(司法しほう行政ぎょうせい分野ぶんやでは、政策せいさく課題かだい文書ぶんしょ(policy issues paper)、政策せいさく覚書おぼえがき(policy memoranda)、内閣ないかく提出ていしゅつよう覚書おぼえがき(cabinet submission)などとしてられる)。通常つうじょうブリーフィング・ノートは「参考さんこう情報じょうほうとして」または「意思いし決定けっていのため」に作成さくせいされる。

用語ようご起源きげん[編集へんしゅう]

「ブリーフィング」という用語ようご起源きげんは、「法的ほうてき文書ぶんしょ(ブリーフ)」(briefs、訴訟そしょう事件じけん摘要てきようしょ弁論べんろん趣意しゅいしょ)および「軍事ぐんじ発表はっぴょう(ミリタリー・ブリーフィング)」(military briefings)に由来ゆらいする[3]

目的もくてき[編集へんしゅう]

意思いし決定けっていのため」のブリーフィング・ノートのだいいち目的もくてきは、意思いし決定けってい支援しえんすること、つまり「特定とくてい問題もんだいかんしてより意思いし決定けっていおこなうために意思いし決定けっていしゃ支援しえんする(ときには影響えいきょうおよぼす)」[4]ことである。

構成こうせい[編集へんしゅう]

政策せいさく分析ぶんせきプロセスにかんする情報じょうほう伝達でんたつ手段しゅだんとして、ブリーフィング・ノートは政策せいさく課題かだいかんする明瞭めいりょう概要がいよう提供ていきょうし、課題かだいたいする様々さまざま政策せいさくオプションを識別しきべつし、ことなる見通みとおしを組織そしきし、推奨すいしょうオプションを提言ていげんすべきである。通常つうじょうブリーフィング・ノートには、提言ていげんする政策せいさく説明せつめい関連かんれんする背景はいけい情報じょうほうかぎとなる事柄ことがら検討けんとう実現じつげん可能かのうせい財務ざいむめん利害りがい関係かんけいしゃ影響えいきょう予測よそくされる事態じたいふくむ)、その政策せいさくかんする議論ぎろん要約ようやく、そして推奨すいしょうする意思いし決定けってい、がふくまれる。提言ていげんはじまりその根拠こんきょべていく政策せいさく文書ぶんしょは、より正確せいかくには行政ぎょうせい白書はくしょばれる。

品質ひんしつ基準きじゅん[編集へんしゅう]

ブリーフィング・ノートの世界せかい標準ひょうじゅん存在そんざいしないが、通常つうじょう政策せいさく課題かだい簡潔かんけつ明瞭めいりょう要約ようやくおよび提言ていげんのための明快めいかい論理ろんりもとめられる。「政治せいじてき嗅覚きゅうかく論理ろんりてきのうつぎ財務ざいむ官僚かんりょうにとってもっと重要じゅうよう技能ぎのうは、素晴すばらしい文章ぶんしょううでである」[5] 英国えいこくのウェストミンスター/ホワイトホールの政治せいじ環境かんきょうでは、政策せいさくアナリストが中立ちゅうりつてき政策せいさくサービスの観点かんてんから問題もんだい分析ぶんせきし、ブリーフィング・ノートをくことが期待きたいされる。しかしその「意思いし決定けっていのための」ブリーフィング・ノートは、「公共こうきょう政策せいさくかんする重要じゅうよう事項じこうはすべて価値かち判断はんだん必要ひつようとしているが、その判断はんだんのち弁明べんめいされるにちがいない」ことをみとめながらの提言ていげんとなる[6]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ 覚書おぼえがき - 世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん だい2はんコトバンク
  2. ^ Charles Peters. How Washington Really Works. Reading, MA: Addison-Wesley, 1983.
  3. ^ Simpson, J.A. and E.S.C. Weiner (ed.) 1989. Oxford English Dictionary. 2nd ed. OED Online. Oxford: Oxford University Press
  4. ^ Quade, E.S. 1975. Analysis for public decisions. New York: Elsevier. p. 13
  5. ^ Heclo, H. and A. Wildavsky. 1974. The Private Government of Public Money. Berkeley: University of California Press, p. 58
  6. ^ Majone, G. 1989. Evidence, Argument, and Persuasion in the Policy Process. New Haven, CT: Yale University Press. p. 21

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]