移流いりゅう

移流いりゅう（いりゅう、英えい: advection）とは、温度おんどや物質ぶっしつ濃度のうどなどにばらつきがある空間くうかんのある地点ちてんにおいて、空間くうかん内ないの物質ぶっしつの移動いどうによって温度おんどや物質ぶっしつ濃度のうどの変化へんかが起おこる（物理ぶつり量りょうが空間くうかん内ないで運はこばれる）こと。物理ぶつり学がくのうち特とくに流体りゅうたい力学りきがくに関係かんけいが深ふかい。上記じょうきの空間くうかんを基点きてんとした考かんがえ方かたはオイラー的てきな考かんがえ方かたとされ、逆ぎゃくに物質ぶっしつを基点きてんとしたラグランジュ的てきな考かんがえ方かたが以下いかのように述のべられる（連続れんぞく体力たいりょく学がく#連続れんぞく体たいの記述きじゅつ方法ほうほうを参照さんしょう）。

例れいとして、ある地点ちてんの上空じょうくうに冷つめたい空気くうきがあって、その西にしに暖あたたかい空気くうきがあるとする。ここで、西風せいふうによって暖あたたかい空気くうきが運はこばれることを移流いりゅうといい、その地点ちてんでは気温きおんの上昇じょうしょうが観測かんそくされる（オイラー記述きじゅつ）。暖あたたかい空気くうきが西側にしがわ、冷つめたい空気くうきが東側ひがしがわに存在そんざいし、西風せいふうによって冷つめたい空気くうきはある地点ちてんから東側ひがしがわへ、暖あたたかい空気くうきは東側ひがしがわのある地点ちてんへ移動いどうする（ラグランジュ記述きじゅつ）。

移流いりゅう方程式ほうていしき

移流いりゅうを表あらわす偏へん微分びぶん方程式ほうていしきを移流いりゅう方程式ほうていしきという。物理ぶつり量りょう ψぷさい(t, x) が、速度そくど c で移流いりゅうすることを表あらわす移流いりゅう方程式ほうていしきは

${\frac {\partial \psi (t,{\boldsymbol {x}})}{\partial t}}=-{\boldsymbol {c}}\cdot {\boldsymbol {\nabla }}\psi (t,{\boldsymbol {x}})$

と表あらわされる。ここで、∇は空間くうかん微分びぶんを表あらわす。

1次元じげんの場合ばあい、移流いりゅう方程式ほうていしきは

${\frac {\partial \psi (t,x)}{\partial t}}+c{\frac {\partial \psi (t,x)}{\partial x}}=0$

となる。

この方程式ほうていしきは解析かいせき的てきに解とくことができて、任意にんいの関数かんすう f を用もちいて

$\psi (t,{\boldsymbol {x}})=f({\boldsymbol {x}}-{\boldsymbol {c}}t)$

と表あらわされる。

関連かんれん項目こうもく

• 拡散かくさん
• 拡散かくさん方程式ほうていしき
• 移流いりゅう拡散かくさん方程式ほうていしき
• 連続れんぞくの方程式ほうていしき
• 波動はどう方程式ほうていしき

外部がいぶリンク

• 『移流いりゅう』 - コトバンク