出典 しゅってん : フリー百科 ひゃっか 事典 じてん 『ウィキペディア(Wikipedia)』
受精 じゅせい 後 ご の哺乳 ほにゅう 動物 どうぶつ の卵子 らんし の分割 ぶんかつ の最初 さいしょ の段階 だんかい 。図表 ずひょう のz.p.は透明 とうめい 帯 たい 。p.gl.はen:Polar body :極 ごく 体 からだ 。aは2細胞 さいぼう 期 き 。bは4細胞 さいぼう 期 き 。cは8細胞 さいぼう 期 き 。d、eは桑 くわ 実 じつ 胚 はい 期 き 。
透明 とうめい 帯 たい (とうめいたい、ラテン語 らてんご : zona pellucida )は哺乳類 ほにゅうるい の卵 たまご 母 はは 細胞 さいぼう の細胞 さいぼう 膜 まく を取 と り囲 かこ む糖 とう タンパク質 たんぱくしつ のマトリックス である。この構造 こうぞう が精子 せいし と結合 けつごう して、先 さき 体 たい 反応 はんのう (acrosome reaction)を開始 かいし させる。また、子宮 しきゅう へ移動 いどう 中 ちゅう の胚 はい が卵管 らんかん の壁 かべ に付着 ふちゃく することを防 ふせ いでいる。子宮 しきゅう に着 き 床 ゆか する際 さい には胚 はい は透明 とうめい 帯 たい を破 やぶ り「孵化 ふか 」する必要 ひつよう がある[1] 。
同様 どうよう の構造 こうぞう は哺乳類 ほにゅうるい 以外 いがい の卵 たまご にもあり、ウニではゼリー層 そう 、魚 さかな ではコリオン、カエルでは卵黄 らんおう 膜 まく と呼 よ ばれる[2] 。
動物 どうぶつ 種 しゅ によって精子 せいし 結合 けつごう への関与 かんよ の仕方 しかた は異 こと なる。
例 たと えばヒトでは透明 とうめい 帯 たい はZP1~ZP4の4種類 しゅるい がある。ただヒトの場合 ばあい は卵子 らんし の提供 ていきょう が乏 とぼ しいため研究 けんきゅう が進 すす んではいない。
ウシ、ブタなど家畜 かちく 系 けい の動物 どうぶつ でも透明 とうめい 帯 たい の研究 けんきゅう は進 すす んでおり、この場合 ばあい はZP3α あるふぁ 、ZP3β べーた の2成分 せいぶん が精子 せいし 結合 けつごう に関与 かんよ しているといわれる。マウスでは透明 とうめい 帯 たい の糖 とう タンパク質 たんぱくしつ であるZP3 が精子 せいし の細胞 さいぼう 膜 まく のタンパク質 たんぱくしつ に付着 ふちゃく することによって、精子 せいし は先 さき 体 たい 小 しょう 胞 の内容 ないよう 物 ぶつ を放出 ほうしゅつ する。
マウスではZP3の1成分 せいぶん だけが受精 じゅせい に関 かか わっていることを考 かんが えると動物 どうぶつ 種 しゅ により透明 とうめい 帯 たい の機能 きのう 、構造 こうぞう は異 こと なり複雑 ふくざつ なシステムが存在 そんざい し受精 じゅせい における種 たね 特異 とくい 性 せい を担 にな っていると考 かんが えられる。
1980年代 ねんだい からブタ の透明 とうめい 帯 たい に対 たい する抗体 こうたい を用 もち いたゾウ 、シカ などの野生 やせい 動物 どうぶつ の避妊 ひにん が行 おこ なわれている。
また透明 とうめい 帯 たい は糖 とう たんぱく質 しつ でありこの糖 とう 鎖 くさり に精子 せいし が結合 けつごう すると言 い う説 せつ と、たんぱく質 しつ の骨格 こっかく 部分 ぶぶん に精子 せいし が結合 けつごう すると言 い う説 せつ がある。
どちらの主張 しゅちょう も完璧 かんぺき な証拠 しょうこ はなく、現在 げんざい も混沌 こんとん としている状態 じょうたい である。
不 ふ 妊 にん 治療 ちりょう の一環 いっかん として胎児 たいじ が透明 とうめい 帯 たい を飛 と び出 だ して着 き 床 ゆか する過程 かてい をハッチングとよぶが、この際 さい に透明 とうめい 帯 たい を人工 じんこう 的 てき に壊 こわ してスムーズに妊娠 にんしん を成立 せいりつ させるという治療 ちりょう 法 ほう が近年 きんねん 多 おお く使 つか われている。
Oehninger S. 2003. Biochemical and functional characterization of the human zona pellucida. Reprod Biomed Online 7:641-8.