酎金

酎金（ちゅうきん）は、前漢ぜんかんの朝廷ちょうていにおける、祭祀さいしの際さいに拠出きょしゅつする金かねのこと。武たけ帝みかどの時ときに列侯れっこうが大量たいりょうに取とり潰つぶされる理由りゆうとなった。

『漢書かんしょ』武たけ帝みかど紀きの顔かお師し古いにしえ等ひとしの注ちゅうによれば、「酎」とは純度じゅんどの高たかい酒さけで、漢かんでは8月がつになるとその酒さけを宗廟そうびょうに供そなえるという儀式ぎしきがあり、その際さいには列侯れっこうは封ふう国こくの戸数こすうに応おうじた量りょうの黄金おうごんを皇帝こうていへ献上けんじょうしなければならなかった。

武たけ帝みかどの時代じだい、元もと鼎かなえ5年ねん（紀元前きげんぜん112年ねん）に、南越なんごしを討うつ際さいに卜ぼく式しきという者ものが自みずから従軍じゅうぐんを願ねがった。武たけ帝みかどは彼かれを顕彰けんしょうし天下でんかに布告ふこくしたが、列侯れっこうは百ひゃく人にん以上いじょういたものの、誰だれも従軍じゅうぐんを申もうし出でなかった。そんな折おりの酎を供そなえる儀式ぎしきの際さい、少しょう府ふが献上けんじょうされた金かねを取とり調しらべ、金かねの純度じゅんどが規定きていに満みたなかった列侯れっこう105人にんが摘発てきはつされ、領地りょうちを没収ぼっしゅうされた。さらに当時とうじの丞相じょうしょう趙ちょう周あまねは、金かねの純度じゅんどが足たりないと知しりながら糾弾きゅうだんしなかった罪つみで獄ごくに下くだされ、自殺じさつした。

列侯れっこうでもあった丞相じょうしょう趙ちょう周あまねも含ふくめると、列侯れっこう106人にんが国くにを失うしない、高祖こうそ劉邦りゅうほうの功臣こうしんの子孫しそんで国くにを保たもった者ものはこれによりほとんど絶たえた。

参考さんこう文献ぶんけん

• 『漢書かんしょ』巻まき6武ぶ帝みかど紀き、巻まき19下か百官ひゃっかん公卿くぎょう表ひょう下か、巻まき24下した食しょく貨志下か