面取めんとり

面取めんとり（めんとり、chamfering）とは、工作こうさく物ぶつの角かくまたは隅すみを斜ななめに削けずる加工かこう法ほうの一ひとつである。

概要がいよう

面取めんとりは、工業こうぎょう製品せいひん（鋼材こうざい、木工もっこうなど）において、角かく部ぶを削けずり角かく面めんや丸まる面めんなどの形状けいじょうに加工かこうする工法こうほうである。加工かこうにおいては、ヤスリや面取めんとり工具こうぐが使用しようされる。人ひとが接触せっしょくした時ときに発生はっせいする可能かのう性せいのある怪我けがを防止ぼうししたり、物ものとの接触せっしょくによる破損はそんを防止ぼうしすることを目的もくてきとしている。

英語えいごとの対応たいおう

日本語にほんごの「面取めんとり」に相当そうとうする英単語えいたんごがいくつかある。

「chamfer」とは、角かくを斜ななめに削けずる処理しょりで、日本語にほんごの「C面取めんとり」に相当そうとうする。厳密げんみつには45°面取めんとりの事ことを指さすが、日常にちじょう英語えいごにおいては大概たいがいの種類しゅるいの面取めんとりは「chamfer」か「bevel」で通用つうようする。

「bevel」とは、日常にちじょう英語えいごにおいては「chamfer」とほぼ同おなじ意味いみで使つかわれる単語たんごである。ただし、機械きかい加工かこうの現場げんばでは「chamfer」と区別くべつして使つかわれている場合ばあいもあり、その場合ばあい、「chamfer」が端はし部ぶの角かくのみを斜ななめに削けずる処理しょりを指さし、「bevel」が端はし部ぶ全体ぜんたいを斜ななめに削けずる処理しょりを指さす。「bevel」とは「傾斜けいしゃ面めん」という意味いみの英語えいごで、斜ななめの角度かくどが付ついた部分ぶぶんを一般いっぱん的てきに指さす言葉ことばであるから、「chamfer（角かくが傾斜けいしゃ面めん）」は「bevel（傾斜けいしゃ面めん）」の中なかに含ふくまれるとする考かんがえもある。その意味いみで面取めんとりを「chamfer」ではなく「bevel」の名称めいしょうで実装じっそうしているCADきゃどソフトもある。「bevel」を「斜はす角かく」「どて」などと翻訳ほんやくする業界ぎょうかいもある。

「round」とは、外部がいぶの角かくを丸まるめる処理しょりで、日本語にほんごの「R面取めんとり」に相当そうとうする。

「fillet」とは、角かくを丸まるめる処理しょりである。「round」と区別くべつする場合ばあい、特とくに内部ないぶの角かくを丸まるめる処理しょりをいうこともある。内部ないぶの角かくを丸まるめる処理しょりは、これはリアルの人間にんげんが行おこなう場合ばあいは切削せっさくではなく溶接ようせつ・はんだ付づけ・ろう付づけによって行おこなうのが一般いっぱん的てきであるため、日本語にほんごでは「面取めんとり」の範疇はんちゅうに含ふくまないことが多おおいが、CADきゃどなどのコンピューター上じょうでは「round」と同等どうとうの処理しょりにあたるため、「面取めんとり」の名称めいしょうで実装じっそうされている場合ばあいもある。日本語にほんごでは、溶接ようせつにおいては「すみ肉にく溶接ようせつ」に相当そうとうし、CADきゃどではそのまま「フィレット」と言いう。

これらの単語たんごは混同こんどうされて使つかわれており、人ひとによって使つかい分わけが微妙びみょうに違ちがう。CADきゃどソフトにおける使つかい分わけも微妙びみょうに違ちがい、例たとえばAutoCADでは縁えんを丸まるめる処理しょりをFilletコマンド、角かくを丸まるめる処理しょりをchamferコマンドとしているが、PTC Creo Parametricでは縁えんや角かくを丸まるめる処理しょりは全すべてroundコマンドとしている。

表記ひょうき

JIS規格きかく

JIS規格きかく-機械きかい製図せいずにおいて、寸法すんぽう補助ほじょ記号きごうの表あらわし方かたが規定きていされている^[1]。丸まるみ面取めんとりの場合ばあいには、記号きごうRを寸法すんぽう数値すうちの前まえに寸法すんぽう数値すうちと同おなじ大おおきさで記入きにゅうして表あらわし、45°面取めんとりの場合ばあいには、記号きごうCを寸法すんぽう数値すうちの前まえに寸法すんぽう数値すうちと同おなじ大おおきさで記入きにゅうして表あらわす。

主おもな面取めんとりの種類しゅるい

丸まる面めん … 角かくを丸まるく削けずったもの。
角かく面めん … 角かくを斜ななめ45度どに削けずったもの。
甲きのえ丸まる面めん … 板いたの厚あつみに対たいして丸まるく削けずったもの。板いたの横よこから見みると坊主ぼうず頭あたまのように見みえるので「ボーズ面めん」とも言いう。
カマボコ面めん … 板いたの厚あつみに対たいして丸まるく削けずったもの。板いたの横よこから見みるとカマボコのように見みえる。
しゃくり面めん … 角かくをしゃくったもの。
几帳面きちょうめん … 几帳きちょうの柱はしらに使つかわれた面取めんとり。角かく面めんの真まん中なかを窪くぼませて平たいらにしたり、さらに三角さんかくに削けずったものなど。いろいろと種類しゅるいがあり、細こまかい作業さぎょうが必要ひつようになるので、細こまかいことにこだわる人ひとのことを「几帳面きちょうめん」と言いう。
猿さる頬ほお面めん … 角かくを斜ななめ60度どくらいに削けずったもの。板いたの横よこから見みると猿さるの頬ほおのようにすぼんで見みえる。

脚注きゃくちゅう

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

^ “17．機械きかい製図せいず-寸法すんぽう補助ほじょ記号きごう（寸法すんぽう記入きにゅう方法ほうほう）”. JIS規格きかく用語ようご集しゅうサイト. 2009年ねん7月がつ閲覧えつらん。