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くろボク

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くろボク(くろボクど)は、日本にっぽんでよくられる土壌どじょうひとつである。

概要がいよう

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くろボク土壌どじょう断面だんめん

くろボクとは、いろ乾燥かんそうしたさわった場合ばあいのボクボクした感触かんしょく由来ゆらいし、古来こらいからの農民のうみんによるであった。また、黒土こくどばれることもおおいが、日本にっぽん国外こくがい黒土こくどチェルノーゼム)と性質せいしつことなる。また、地域ちいきによってはくろノッポ、くろフスマ、くろニガといった使つかうこともある[1]

くろボク日本にっぽん国土こくどの31%程度ていど分布ぶんぷし、国内こくないはたけやく47%をおおっているが[2]国外こくがいではほとんどられない。北海道ほっかいどう東北とうほく関東かんとう九州きゅうしゅうおおられる。

ははざいである火山灰かざんばい腐植ふしょく構成こうせいされている。表層ひょうそう腐植ふしょくおおいためいろ黒色こくしょくまた黒褐色こっかっしょく下層かそう褐色かっしょくとなる。火山かざん山麓さんろく台地だいち平地ひらちでよくられ、一部いちぶ火山灰かざんばい由来ゆらいしないくろボク存在そんざいし、この場合ばあい火山かざんよりとおはなれたでもられる。

火山かざん噴火ふんかにより地上ちじょう火山灰かざんばいもり、そのうえ植物しょくぶつしげる。れた植物しょくぶつ分解ぶんかいされて腐植ふしょくとなり、なが時間じかんをかけてくろボク形成けいせいする。ロームそう火山灰かざんばい由来ゆらいとするが、ロームそう形成けいせいされた時代じだい気候きこう冷涼れいりょうだったため植物しょくぶつ分解ぶんかいされず、くろボクとはことなる土壌どじょうとなった。

火山灰かざんばいふくまれる活性かっせいアルミナ有機物ゆうきぶつ結合けつごうするため、日本にっぽん国内こくないほか土壌どじょうくらべると有機物ゆうきぶつ含有がんゆうりょう非常ひじょうおおいうえ、有機物ゆうきぶつ効力こうりょく植物しょくぶつてきしただんつぶ構造こうぞうをなす。保水ほすいせい透水とうすいせいく、緻密ちみつかたさ)がひくく、こうおこり容易よういであることから土壌どじょうくらべて物理ぶつりせい良好りょうこうである[2]

一方いっぽうで、アルミナの影響えいきょうリンさんぶん吸着きゅうちゃくりょくたかいため、リンさんぶん不足ふそくしやすく、施肥せひをおこなわないとやせた土壌どじょうとなる。

くろボクぐん分類ぶんるい

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くろボクは、土壌どじょう発達はったつ程度ていど生成せいせい環境かんきょう水分すいぶんははざいとう)におうじて、以下いかの6つの土壌どじょうぐん分類ぶんるいされる[2]

  • 土壌どじょうとして発達はったつなもの:未熟みじゅくくろボク(D1)
  • 地下水ちかすいたか場所ばしょにあり、いちねんつうじてみず飽和ほうわされているそうが50cm以内いないてくるもの[3]:グライくろボク(D2)
  • 地下水ちかすい影響えいきょう湿しめっているもの[4]多湿たしつくろボク(D3)
  • 有機物ゆうきぶつおおふくむがくろくないもの:褐色かっしょくくろボク(D4)
  • 結晶けっしょうせい粘土ねんどふくむもの:アロフェンしつくろボク(D5)
  • アロフェン主体しゅたいのもの:アロフェンしつくろボク(D6)

未熟みじゅくくろボクはリンさん吸収きゅうしゅう係数けいすうひくい。グライくろボクぜんそうまたは下層かそうがグライしている。

多湿たしつくろボクおも排水はいすいわる地域ちいきにあり下層かそう地下水ちかすいとう影響えいきょうによる斑紋はんもんがみられる。

褐色かっしょくくろボク森林しんりん植生しょくせいにおいて発達はったつし、土壌どじょう有機ゆうき炭素たんそ含量はたかいものの土色つちいろくろくない。

アロフェンしつくろボクは、強酸きょうさんせいで、岩手いわてけん南部なんぶ宮城みやぎけん北部ほくぶ東海とうかい山陰さんいんおおられる。

アロフェンしつくろボク北海道ほっかいどう青森あおもりけん東部とうぶ岩手いわてけん北部ほくぶ関東かんとう九州きゅうしゅうおおられ、アロフェンしつよりリンさん保持ほじ能力のうりょくたかい。

国際こくさいてき呼称こしょう

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FAO土壌どじょう分類ぶんるいでは"Andosols"(アンドソル)、USDA土壌どじょう分類ぶんるいでは"Andisols"(アンディソル)とされる[5]

これらの名称めいしょうは、戦後せんごGHQ日本にっぽん派遣はけんしたアメリカの土壌どじょう学者がくしゃJames Thorpらが、特徴とくちょうてき不良ふりょうとしてくろボクを「Ando(くら) soil」として紹介しょうかいしたことに由来ゆらいする[6][7]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 久馬きゅうまとはなにだろうか?』京都大学きょうとだいがく学術がくじゅつ出版しゅっぱんかい、2005ねん12月15にち 
  2. ^ a b c 農業のうぎょう食品しょくひん産業さんぎょう技術ぎじゅつ総合そうごう研究けんきゅう機構きこう. “くろボク”. 日本にっぽん土壌どじょうインベントリー. 2017ねん12月31にち閲覧えつらん
  3. ^ 農業のうぎょう食品しょくひん産業さんぎょう技術ぎじゅつ総合そうごう研究けんきゅう機構きこう. “グライくろボク”. 日本にっぽん土壌どじょうインベントリー. 2017ねん12月31にち閲覧えつらん
  4. ^ 農業のうぎょう食品しょくひん産業さんぎょう技術ぎじゅつ総合そうごう研究けんきゅう機構きこう. “多湿たしつくろボク”. 日本にっぽん土壌どじょうインベントリー. 2017ねん12月31にち閲覧えつらん
  5. ^ Food Watch Japan『はたけ iii/くろボク(3)』、2017ねん1がつ閲覧えつらん
  6. ^ 浅海あさみ重夫しげお渡邊わたなべ眞紀子まきこ. “アンドソルとは”. コトバンク. 日本にっぽんだい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ). 2021ねん10がつ20日はつか閲覧えつらん
  7. ^ 福田ふくだ克彦かつひこ三里塚さんりづかアンドソイル』平原へいげんしゃ、2001ねん、57p

外部がいぶリンク

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