黒くろ鉱こう

秋田大学あきただいがく附属ふぞく鉱業こうぎょう博物館はくぶつかんで展示てんじされている黒くろ鉱こう

日本にっぽんの黒くろ鉱こうベルトの分布ぶんぷ

黒くろ鉱こう（くろこう、kuroko、black ore）とは、日本海にほんかい側がわの鉱山こうざんで採掘さいくつされる外見がいけんの黒くろい鉱石こうせきの総称そうしょうである。黒くろい鉱石こうせきの正体しょうたいは、閃亜鉛あえん鉱こう（ZnS）、方ほう鉛なまり鉱こう（PbS）、黄銅こうどう鉱こう（CuFeS₂）などであり、それぞれ亜鉛あえんや鉛なまり、銅どうなどの鉱石こうせきとして広ひろく採掘さいくつされた。

黒くろ鉱こうは海底かいていへ噴出ふんしゅつした熱ねつ水すいから沈殿ちんでんした硫化りゅうか物ぶつなどが起源きげんであると考かんがえられている。日本にっぽん国内こくないに見みられる黒くろ鉱こうの大半たいはんは、新生代しんせいだい第だい三さん紀きのグリーンタフ変動へんどうに伴ともなって生成せいせいされている。黒くろ鉱こうの周囲しゅういには金きむや銀ぎんなどが濃こ集しゅうすることから、江戸えど時代じだいには主おもにそれら貴金属ききんぞくが、明治めいじ時代じだいに入はいり精錬せいれん技術ぎじゅつが向上こうじょうするにつれて黒くろ鉱こう自体じたいが注目ちゅうもくされるようになった。また、黒くろ鉱こうは金属きんぞく鉱物こうぶつのみでなく、大量たいりょうの沸にえ石せき類るいや石膏せっこう、重じゅう晶あきら石せきなどを伴ともなう。

1915年ねん、加藤かとう武夫たけおは黒くろ鉱こうの成因せいいんについて『地学ちがく雑誌ざっし』22巻かん257号ごうに発表はっぴょうし、議論ぎろんがおこった。

黒くろ鉱こう鉱床こうしょう

黒くろ鉱こうが濃縮のうしゅくしている鉱床こうしょうを黒くろ鉱こう鉱床こうしょうという。

関連かんれんする鉱山こうざん

• 小樽おたる松倉まつくら鉱山こうざん（北海道ほっかいどう） - 重じゅう晶あきら石せきが大だい部分ぶぶんを占しめる黒くろ鉱こうといわれる。
• 花岡はなおか鉱山こうざん（秋田あきた県けん）
• 小坂鉱山こさかこうざん（秋田あきた県けん）
• 吉野よしの鉱山こうざん（山形やまがた県けん）
• 須崎すさき鉱山こうざん（静岡しずおか県けん下田しもだ市し）

関連かんれん項目こうもく

• 鉱床こうしょう
• 熱ねつ水すい噴出ふんしゅつ孔あな
• 浮遊ふゆう選鉱せんこう

参考さんこう文献ぶんけん

• 石川いしかわ洋平ようへい　『黒くろ鉱こう - 世界せかいに誇ほこる日本にっぽん的てき資源しげんを求もとめて』　共立きょうりつ出版しゅっぱん〈地学ちがくワンポイント〉、1991、ISBN 4-320-04629-3。