HP 38G (F1200A, F1892A)とはヒューレット・パッカード社(以下HP社)によって開発されたプログラミング可能なグラフ電卓である。
教育向けに開発され、HP社の電卓の特徴であるRPN(逆ポーランド記法)を搭載していない。
1995年に希望小売価格$80(USD)で販売された。
HP社はこの電卓の設計を援助するために8つの高校の委員会、コミュニティ・カレッジ(アメリカ合衆国の公立2年制大学)、大学教授たちを参加させた。
この電卓のハードウェアは、より強力で科学技術計算向けのHP 48シリーズを元にしている。
HP 38GはHPの大半の電卓と違って、RPN(逆ポーランド記法、後置記法)ではなく中置記法(通常の数式記法)を使用する。[1]
この電卓はプログラミング可能であり、アプレット(aplets)と呼ばれる小規模で対話的なアプリケーションをサポートしている。プログラミング言語はPascal風のen:HP BASICを使用する。
- CPU:Yorke (Saturnコア)[2] 周波数不明(HP 48Gのハードウェアを元にしているので、4 MHz?)
- RAM:32 KB[3] [4]
- ROM:512 KB[4]
- 画面解像度:131×64 画素(8 行 x 22 文字[3])
- 通信:赤外線(独自方式)[3]、シリアル通信[3][4](HP 48Gのハードウェアを元にしているので、RS-232の変形規格?)
- 電源:単4電池×3本[3]
HP 38G後のHP社のRPNなしグラフ電卓
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詳細は HP 39/40 シリーズ を参照すること。
1998年にHP 38の後継になる予定だったHP 38G+[5]が開発中止になった。
その後、2000年にHP 38GはHP 39Gに置換えられた。HP 39Gのために非公式なCAS(数式処理システム)アプレットが配布された。
2000年にHP 39シリーズと並行して、主にヨーロッパ向けのHP 40Gが販売された。この機種はCASを内蔵している。
2003年にHP 39g+が発売されたが、HP 40Gと違ってCAS機能がない。さらにHP 39g+用のインストール可能なCASアプレットも存在しない。HP 39g+からARMアーキテクチャを採用するようになった。
2006年にHP 39gsとHP 40gsが発売された。
2011年8月にHP 39gIIが発売された。これがHP 38Gから始まったRPNを搭載しないHP社のグラフ電卓の最終版である。
以上のようにHP社はHP 38G/HP 39Gシリーズ/HP 40Gシリーズによって教育市場の開拓を狙ったが、成功しなかった。
調査会社NPDデータ社によると、2013年7月~2014年6月のアメリカ合衆国のグラフ電卓市場のシェア93%はテキサス・インスツルメンツ社であり、カシオは残りの7%となり[6]、ヒューレット・パッカード社のシェアはないに等しい。
逆ポーランド記法(RPN)
HP 39/40 シリーズ(HP 38Gの後継機種)
TI-84 Plus シリーズ(アメリカ合衆国の教育市場におけるグラフ電卓の勝者)
HP 48 シリーズ(HP 38Gのハードウェアの元になった)
HP Prime(HP 38GのHP BASICはHP Prime用プログラミング言語PPLの元になった)
HP Saturn(本機で使われているCPU)
- ^ http://h10032.www1.hp.com/ctg/Manual/c00442257.pdf
- ^ en:HP Saturn
- ^ a b c d e HP 38g Calculator - Product Specifications
- ^ a b c HP 38G User's guide
- ^ http://www.hpmuseum.org/forum/thread-845-post-9199.html#pid9199
- ^ https://www.washingtonpost.com/news/innovations/wp/2014/09/02/the-unstoppable-ti-84-plus-how-an-outdated-calculator-still-holds-a-monopoly-on-classrooms/