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InChI

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア（Wikipedia）』
InChI
開発元かいはつもと InChI Trust
初版しょはん 2005年ねん4月がつ15日にち (2005-04-15)[1][2]
最新さいしん版ばん
1.04 / 2011年ねん9月がつ (13年ねん前まえ) (2011-09)
リポジトリ
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対応たいおうOS Microsoft Windows and Unix-like
プラットフォーム IA-32 and x86-64
サイズ 4.3 MB
対応たいおう言語げんご 英語えいご
サポート状じょう況きょう Active
ライセンス IUPAC / InChI Trust Licence
公式こうしきサイト https://www.inchi-trust.org/
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InChI(International Chemical Identifier)は、標準ひょうじゅん的てきかつ人間にんげんが読よめる方法ほうほうで分子ぶんし情報じょうほうを提供ていきょうし、またウェブ上じょうでのデータベースからの情報じょうほうの検索けんさく機能きのうを提供ていきょうする。元々もともと、2000年ねんから2005年ねんにIUPACとNISTによって開発かいはつされ、フォーマットとアルゴリズムは非ひ営利えいりであり、開発かいはつの継続けいぞくは、IUPACも参画さんかくする非ひ営利えいり団体だんたいのInChI Trustにより、2010年ねんまでサポートされていた。現在げんざいの1.04版はんは、2011年ねん9月がつにリリースされた。

1.04版はんの前まえまでは、ソフトウェアはオープンソースのGNU Lesser General Public Licenseで無償むしょうで入手にゅうしゅできたが[3]、現在げんざいは、IUPAC-InChI Trust Licenseと呼よばれる固有こゆうのライセンスとなっている[4]。

概要がいよう

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識別子しきべつしは、情報じょうほうのレイヤーとして化学かがく物質ぶっしつを記述きじゅつする。レイヤーには、原子げんしとその結合けつごう、互変異性いせい情報じょうほう、同位どうい体たい情報じょうほう、立体りったい化学かがく、電荷でんかの情報じょうほうがある。しかし全すべてのレイヤーが提供ていきょうされる訳わけではなく、例たとえば互変異性いせいのレイヤーは省略しょうりゃくされることがある。

広ひろく用もちいられているCAS登録とうろく番号ばんごうとは、以下いかの点てんで異ことなる。

  • 自由じゆうに使つかえ、非ひ営利えいりである。
  • 構造こうぞう情報じょうほうから計算けいさんでき、組織そしきによる割当わりあてが必要ひつようない。
  • ほとんどの情報じょうほうは、人ひとが読よむことができる。

そのため、InChIは、IUPAC命名めいめい法ほうを一般いっぱん化か、極端きょくたんな定式ていしき化かしたものと見みなすことができる。単純たんじゅんなSMILES記法きほうよりも多おおくの情報じょうほうを表現ひょうげんでき、全すべての構造こうぞうが、データベースの応用おうように必要ひつような独自どくじのInChI文字もじ列れつを持もつ点てんが異ことなっている[要よう出典しゅってん]。原子げんしの3次元じげん配列はいれつの情報じょうほうはInChIでは表あらわせず、この目的もくてきのためにはPDB等ひとしのフォーマットが用もちいられる。

InChIアルゴリズムは、入力にゅうりょくされた構造こうぞう情報じょうほうを、正規せいき化か（冗長じょうちょうな情報じょうほうの除去じょきょ）、標準ひょうじゅん化か（各かく原子げんしに固有こゆうの番号ばんごうを生成せいせい）、整列せいれつ化か（特徴とくちょうの文字もじ列れつを付与ふよ）の3段階だんかいの過程かていで固有こゆうの識別子しきべつしに変換へんかんする。

hashed InChIとも呼よばれるInChIKeyは、25文字もじの固定こてい長ちょうであるが、デジタル表現ひょうげんなので人間にんげんには読よむことができない。InChIKeyの仕様しようは、ウェブでの検索けんさくを可能かのうにするために、2007年ねん9月がつにリリースされた[5]。InChIそのものとは異ことなり、InChIKeyは一意いちいではなく、非常ひじょうに稀まれではあるが重複じゅうふくが発生はっせいする[6]。

2009年ねん1月がつ、InChIソフトウェアの最終さいしゅうの1.02版はんがリリースされた。これにより、いわゆるstandard InChIの生成せいせいが可能かのうとなった。standard InChIは、InChI文字もじ列れつと、異ことなったグループによって生成せいせいされたキーの比較ひかくを容易よういにし、データベースやウェブ資源しげん等とうの広範こうはんな情報じょうほう源げんからのアクセスを可能かのうにした。

フォーマットとレイヤー

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InChI format
MIMEタイプchemical/x-inchi
種別しゅべつchemical file format

全すべてのInChIは、InChI=という文字もじ列れつから始はじまり、バージョン（現在げんざいは1）が続つづく。standard InChIでは、これにSの文字もじが続つづく。残のこりの情報じょうほうは、レイヤーとサブレイヤーの配列はいれつとして構造こうぞう化かされ、各々おのおののレイヤーは、1つの種類しゅるいの情報じょうほうを収おさめる。レイヤーとサブレイヤーは、区切くぎり文字もじ / で隔へだてられ、（メインレイヤーの化学かがく式しきサブレイヤーを除のぞき）固有こゆうの接頭せっとう文字もじで始はじまる。6つのレイヤーと各々おのおのの重要じゅうようなサブレイヤーは、以下いかの通とおりである。

  1. メインレイヤー
    • 組成そせい式しき（接頭せっとう文字もじなし） - 全すべてのInChIに現あらわれる唯一ゆいいつのサブレイヤー
      元素げんそはHill順位じゅんい則そく、すなわち炭素たんそC、水素すいそH、他たの元素げんそをアルファベット順じゅん、で記述きじゅつされる
    • 原子げんしの繋つながり（接頭せっとう文字もじ: c） - 組成そせい式しき中ちゅうの水素すいそ以外いがいの元素げんそには出現しゅつげん順じゅんに番号ばんごうが付与ふよされる。このサブレイヤーでは、原子げんしが他たのどの原子げんしと結合けつごうされているかを記述きじゅつする。
    • 水素すいそ原子げんし（接頭せっとう文字もじ: h） - 各々おのおのの原子げんしにいくつの水素すいそ原子げんしが結合けつごうしているかを記述きじゅつする。
  2. 電荷でんかレイヤー
    • プロトンサブレイヤー（接頭せっとう文字もじ: p）中性ちゅうせいの系けいからプロトンを何なん個こ付加ふか/除去じょきょするかを表あらわす
    • 電荷でんかサブレイヤー（接頭せっとう文字もじ: q）系けいの電荷でんかを表あらわす
  3. 立体りったい化学かがくレイヤー
    • 二に重じゅう結合けつごうとクムレン（接頭せっとう文字もじ: b）
    • 原子げんしの四よん面体めんてい配置はいちとアレーン（接頭せっとう文字もじ: t, m）
    • 立体りったい化学かがくの種類しゅるいの情報じょうほう（接頭せっとう文字もじ: s）
  4. 同位どうい体たいレイヤー（接頭せっとう文字もじ: i, h、同位どうい体たい立体りったい化学かがくに対たいしては b, t, m, s）
  5. 固定こていHレイヤー（接頭せっとう文字もじ: f） - 原子げんしの繋つながり以外いがいの、上記じょうきの一部いちぶまたは全すべてのレイヤーを含ふくむ。oサブレイヤーで終おわってもよい。
    InChI生成せいせいで構造こうぞうを正規せいき化かする際さいに水素すいそは除去じょきょされるため、互変異性いせい体たいや双そう性せいイオンなどは同おなじInChIを与あたえる場合ばあいがある。これらを区別くべつするために水素すいそが結合けつごうしている原子げんしを明示めいじ的てきに与あたえる必要ひつようがある。
  6. 再さい接続せつぞくレイヤー（接頭せっとう文字もじ: r） - 金属きんぞく原子げんしと再さい接続せつぞくする全すべての構造こうぞうのInChIを含ふくむ。standard InChIには含ふくまれない。

区切くぎり文字もじと接頭せっとう文字もじのフォーマットは、使用しよう者しゃが特定とくていのレイヤーのみ合致がっちする識別子しきべつしを探さがすために容易よういにワイルドカード検索けんさくを実施じっしできる点てんで優位ゆうい性せいがある。

例れい

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CH3CH2OH
エタノール 		InChI=1/C2H6O/c1-2-3/h3H,2H2,1H3

InChI=1S/C2H6O/c1-2-3/h3H,2H2,1H3 (standard InChI)

CH3N+H3
メチルアンモニウム 		InChI=1/CH5N/c1-2/h2H2,1H3/p+1

InChI=1S/CH5N/c1-2/h2H2,1H3/p+1 (standard InChI)


L-アスコルビン酸さん 		InChI=1/C6H8O6/c7-1-2(8)5-3(9)4(10)6(11)12-5/h2,5,7-10H,1H2/t2-,5+/m0/s1

InChI=1S/C6H8O6/c7-1-2(8)5-3(9)4(10)6(11)12-5/h2,5,7-8,10-11H,1H2/t2-,5+/m0/s1 (standard InChI)


名前なまえ

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このフォーマットは、元々もともとIChI(IUPAC Chemical Identifier)と呼よばれていたが、2004年ねん7月がつにINChI(IUPAC-NIST Chemical Identifier)と改名かいめいされ、同年どうねん11月がつにInChI(IUPAC International Chemical Identifier)に再さい改名かいめいされ、IUPACの商標しょうひょうとされた。

開発かいはつの継続けいぞく

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InChIの管理かんりは、IUPACのVIII小しょう委員いいん会かいで行おこなわれており、新あたらしい標準ひょうじゅんの拡張かくちょうのための調査ちょうさ等とうの経費けいひは、IUPACとInChI Trustが負担ふたんしている。InChI Trustは、InChIの発展はってん、試験しけん、文書ぶんしょ整備せいびのための資金しきんを出だしている。現在げんざいの拡張かくちょうでは、重じゅう合体がったい及および混合こんごう物ぶつ、マルクーシュ構造こうぞう、反応はんのうと有機ゆうき金属きんぞくの取扱とりあつかいについて定義ていぎしており、VIII小しょう委員いいん会かいに承認しょうにんされればアルゴリズムに加くわえられる。

採用さいよう

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InChIは、ChemSpiderやPubChem等ひとしを含ふくむ大小だいしょう様々さまざまなデータベースに採用さいようされている。しかし、多おおくのデータベースで構造こうぞうとInChIの食くい違ちがいが見みられ、リンク用ようデータベースの課題かだいとなっている[7]。

関連かんれん項目こうもく

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出典しゅってん

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  1. ^ “IUPAC International Chemical Identifier Project Page”. IUPAC. 5 December 2012閲覧えつらん。[リンク切きれ]
  2. ^ Heller, S.; McNaught, A.; Stein, S.; Tchekhovskoi, D.; Pletnev, I. (2013). “InChI - the worldwide chemical structure identifier standard”. Journal of Cheminformatics 5 (1): 7. doi:10.1186/1758-2946-5-7. PMC 3599061. PMID 23343401. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3599061/?tool=pmcentrez. 
  3. ^ McNaught, Alan (2006年ねん). “The IUPAC International Chemical Identifier:InChl”. Chemistry International (IUPAC) 28 (6). http://www.iupac.org/publications/ci/2006/2806/4_tools.html 2007年ねん9月がつ18日にち閲覧えつらん。 
  4. ^ http://www.inchi-trust.org/sites/default/files/inchi-1.04/LICENCE.pdf [リンク切きれ]
  5. ^ “The IUPAC International Chemical Identifier (InChI)”. IUPAC (5 September 2007). 2007年ねん9月がつ18日にち閲覧えつらん。[リンク切きれ]
  6. ^ E.L. Willighagen (17 September 2011). “InChIKey collision: the DIY copy/pastables”. 2012年ねん11月6日にち閲覧えつらん。
  7. ^ Akhondi, S. A.; Kors, J. A.; Muresan, S. (2012). “Consistency of systematic chemical identifiers within and between small-molecule databases”. Journal of Cheminformatics 4 (1): 35. doi:10.1186/1758-2946-4-35. PMC 3539895. PMID 23237381. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3539895/?tool=pmcentrez. 

外部がいぶリンク

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ウィキデータにはInternational Chemical IdentifiersのプロパティであるP234があります。（使用しよう状じょう況きょう）

ドキュメントとプレゼンテーション

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ソフトウェアとサービス

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  • NCI/CADD Chemical Identifier Resolver Generates and resolves InChI/InChIKeys and many other chemical identifiers
  • ChemSpider InChI resolver
  • Search Google for molecules (generates InChI from interactive chemical and searches Google for any pages with embedded InChIs). Requires Javascript enabled on browser
  • ChemSketch, free chemical structure drawing package that includes input and output in InCHI format
  • PubChem online molecule editor that supports SMILES/SMARTS and InChI
  • ChemSpider Services that allows generation of InChI and conversion of InChI to structure (also SMILES and generation of other properties)
  • MarvinSketch from ChemAxon, implementation to draw structures (or open other file formats) and output to InChI file format
  • BKchem implements its own InChI parser and uses the IUPAC implementation to generate InChI strings
  • CompoundSearch implements an InChI and InChI Key search of spectral libraries
  • JNI-InChI Java library that wraps the InChI library
  • the Chemistry Development Kit uses JNI-InChI to generate InChIs, can convert InChIs into structures, and generate tautomers based on the InChI algorithms
  • Bioclipse generates InChI and InChIKeys for drawn structures or opened files
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