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NHK受信じゅしんりょう訴訟そしょう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
最高裁判所さいこうさいばんしょ判例はんれい
事件じけんめい 受信じゅしん契約けいやく締結ていけつ承諾しょうだくとう請求せいきゅう事件じけん
事件じけん番号ばんごう 平成へいせい26(オ)1130
2017ねん平成へいせい29ねん)12月6にち
判例はんれいしゅう みんしゅうだい71かん10ごう1817ぺーじ
裁判さいばん要旨ようし
1 放送ほうそうほう64じょう1こうは,日本にっぽん放送ほうそう協会きょうかい放送ほうそう受信じゅしんすることのできる受信じゅしん設備せつび設置せっちしたものたいしその放送ほうそう受信じゅしんについての契約けいやく締結ていけつ強制きょうせいするむねさだめた規定きていであり,日本にっぽん放送ほうそう協会きょうかいからの上記じょうき契約けいやく申込もうしこみにたいして上記じょうきもの承諾しょうだくをしない場合ばあいには,日本にっぽん放送ほうそう協会きょうかいがそのものたいして承諾しょうだく意思いし表示ひょうじめいずる判決はんけつもとめ,その判決はんけつ確定かくていによって上記じょうき契約けいやく成立せいりつする。
2 放送ほうそうほう64じょう1こうは,どうほうさだめられた日本にっぽん放送ほうそう協会きょうかい目的もくてきにかなう適正てきせい公平こうへい受信じゅしんりょう徴収ちょうしゅうのために必要ひつよう内容ないようの,日本にっぽん放送ほうそう協会きょうかい放送ほうそう受信じゅしんについての契約けいやく締結ていけつ強制きょうせいするむねさだめたものとして,憲法けんぽう13じょう,21じょう,29じょう違反いはんしない。
3 日本にっぽん放送ほうそう協会きょうかい放送ほうそう受信じゅしんについての契約けいやく締結ていけつしたもの受信じゅしん設備せつび設置せっちつきからさだめられた受信じゅしんりょう支払しはらわなければならないむね条項じょうこうふく上記じょうき契約けいやく申込もうしこみにたいする承諾しょうだく意思いし表示ひょうじめいずる判決はんけつ確定かくていによりどう契約けいやく成立せいりつした場合ばあいどう契約けいやくもとづき,受信じゅしん設備せつび設置せっちつき以降いこうぶん受信じゅしんりょう債権さいけん発生はっせいする。
4 日本にっぽん放送ほうそう協会きょうかい放送ほうそう受信じゅしんについての契約けいやくもとづき発生はっせいする,受信じゅしん設備せつび設置せっちつき以降いこうぶん受信じゅしんりょう債権さいけん上記じょうき契約けいやく成立せいりつ履行りこう到来とうらいするものをのぞく。)の消滅しょうめつ時効じこうは,上記じょうき契約けいやく成立せいりつから進行しんこうする。
だい法廷ほうてい
裁判さいばんちょう 寺田てらだ逸郎いつお
陪席ばいせき裁判官さいばんかん 岡部おかべ喜代子きよこ小貫おぬき芳信よしのぶ鬼丸おにまるかおる木内きうちみちさち山本やまもといさおこう山崎やまざきさとしたかし池上いけがみ政幸まさゆき大谷おおや直人なおと小池こいけひろし木澤きさわ克之かつゆき菅野かんの博之ひろゆき山口やまぐちあつし戸倉とくら三郎さぶろうはやしけいいち
意見いけん
多数たすう意見いけん 寺田てらだ逸郎いつお岡部おかべ喜代子きよこ小貫おぬき芳信よしのぶ鬼丸おにまるかおる、山本やまもといさおこう山崎やまざきさとしたかし池上いけがみ政幸まさゆき大谷おおや直人なおと小池こいけひろし木澤きさわ克之かつゆき菅野かんの博之ひろゆき山口やまぐちあつし戸倉とくら三郎さぶろうはやしけいいち
反対はんたい意見いけん 木内きうちみちさち
参照さんしょう法条ほうじょう
放送ほうそうほう1じょう放送ほうそうほうだい3しょう 日本にっぽん放送ほうそう協会きょうかい放送ほうそうほう64じょう1こう民法みんぽう414じょう2こうただししょ民事みんじ執行しっこうほう174じょうこう本文ほんぶん憲法けんぽう13じょう憲法けんぽう21じょう憲法けんぽう29じょう民法みんぽう166じょう1こう
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NHK受信じゅしんりょう訴訟そしょう(NHKじゅしんりょうそしょう)とは、NHK受信じゅしんりょうめぐ訴訟そしょう[1][2][3][4][5]

概要がいよう

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東京とうきょう男性だんせい2006ねん3月22にち以降いこう自宅じたくにテレビを設置せっちしており、NHK2011ねん9月21にち到達とうたつ書面しょめんにより受信じゅしん契約けいやくもうみをしたが、男性だんせい拒否きょひした[6]。そこでNHKは主位しゅいてき請求せいきゅうとして「受信じゅしん設備せつび設置せっちしたものはNHKと受信じゅしん契約けいやくしなければならない」と規定きていした放送ほうそうほうだい64じょうだい1こうにより2006ねん4がつぶんから2014ねん1がつぶんまでの受信じゅしんりょうとして合計ごうけい21まん5640えん支払しはらいをもとめ、予備よびてき請求せいきゅう1として受信じゅしんりょう同額どうがく損害そんがい賠償ばいしょうを、予備よびてき請求せいきゅう2として男性だんせいには放送ほうそうほう規定きていもとづく受信じゅしん契約けいやく承諾しょうだく義務ぎむがあるとして承諾しょうだく意思いし表示ひょうじとそれにともな成立せいりつする受信じゅしん契約けいやくもとづく受信じゅしんりょう支払しはらいを、予備よびてき請求せいきゅう3として男性だんせい受信じゅしん契約けいやく締結ていけつしないことで不当ふとう利得りとく返還へんかんもとめて訴した[6]一方いっぽう男性だんせい放送ほうそうほうだい64じょうだい1こう訓示くんじ規定きていであり、受信じゅしん設備せつび設置せっちしゃ受信じゅしん契約けいやく締結ていけつ強制きょうせいするものではなく、かり受信じゅしん契約けいやく締結ていけつ強制きょうせいする規定きていであるとすれば受信じゅしん契約けいやく設置せっちしゃ契約けいやく自由じゆう権利けんり財産ざいさんけん侵害しんがいし、日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい13じょうだい21じょうだい29じょう違反いはんすると主張しゅちょうした[6]

2013ねん10がつ10日とおか東京とうきょう地裁ちさい申込もうしこみしょとどいた時点じてんでは契約けいやく成立せいりつしないとして主位しゅいてき請求せいきゅうおよ予備よびてき請求せいきゅう1を棄却ききゃくし、放送ほうそうほう規定きていは「テレビ設置せっちしゃ放送ほうそう費用ひよう分担ぶんたんさせるものだ」として予備よびてき請求せいきゅう2を許容きょようして男性だんせいやく20まんえん支払しはらいをめいじる判決はんけつをいいわたした(予備よびてき請求せいきゅう3については判断はんだんせず)[6][7]2014ねん4がつ23にち東京とうきょう高裁こうさいいちしん判決はんけつ支持しじ[6][7]、これにたい男性だんせい上告じょうこくおよび上告じょうこく受理じゅりもうて、NHKが上告じょうこく受理じゅりもうてをそれぞれおこなった[6]。なお、2017ねん4がつ12にち法務大臣ほうむだいじん権限けんげんほうだい4じょうもとづき、法務大臣ほうむだいじん放送ほうそうほうだい64じょうだい1こう合憲ごうけんであるとする意見いけんしょ最高さいこう裁判所さいばんしょ提出ていしゅつした[6]

2017ねん12月6にち最高裁判所さいこうさいばんしょだい法廷ほうてい放送ほうそうほうだい64じょうだい1こう規定きていがテレビの設置せっちしゃ契約けいやく強制きょうせいするものだとし、NHK受信じゅしんりょう制度せいどは「憲法けんぽう保障ほしょうする表現ひょうげん自由じゆう国民こくみん権利けんり具体ぐたいするという放送ほうそうほう目的もくてきにかなう合理ごうりてき仕組しくみで、契約けいやく強制きょうせいゆるされる」とした[8]一方いっぽうで、契約けいやくこば受信じゅしんしゃとのあいだ契約けいやく成立せいりつさせるには、NHKが契約けいやくもとめる訴訟そしょうこし、勝訴しょうそ判決はんけつ確定かくてい必要ひつようとの判断はんだんしめした[8]

木内きうちみちさち裁判官さいばんかんは「確定かくてい判決はんけつ契約けいやく成立せいりつしない」とする反対はんたい意見いけんべた[8]岡部おかべ喜代子きよこ裁判官さいばんかんは「緊急きんきゅうなどの必要ひつようときにNHKを視聴しちょうでき、公平こうへい負担ふたん趣旨しゅしからも受信じゅしん設備せつび設置せっちしゃ契約けいやくもとめることは合理ごうりてき」とする補足ほそく意見いけんを、鬼丸おにまるかおる裁判官さいばんかんは「締結ていけつ強制きょうせい契約けいやく締結ていけつ自由じゆうという私法しほうだい原則げんそく例外れいがい受信じゅしん契約けいやく内容ないよう法定ほうていされるのがのぞましい。」とする補足ほそく意見いけんを、小池こいけひろし菅野かんの博之ひろゆき裁判官さいばんかんは「受信じゅしん設備せつび廃止はいししたとしても、過去かこ設置せっちから廃止はいしまでの期間きかん受信じゅしん契約けいやく締結ていけつ強制きょうせいできる」とする共同きょうどう補足ほそく意見いけんをそれぞれべた[よう出典しゅってん]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 上田うえだ健介けんすけ, 尾形おがたけん & 片桐かたぎり直人なおと (2020), p. 88.
  2. ^ 法相ほうしょう最高裁さいこうさい意見いけんしょ…NHK受信じゅしんりょう訴訟そしょう」『読売新聞よみうりしんぶん読売新聞社よみうりしんぶんしゃ、2017ねん4がつ12にち
  3. ^ 「NHK受信じゅしんりょう訴訟そしょう支払しはらつとむづけは合憲ごうけん 法相ほうしょう意見いけんしょ」『朝日新聞あさひしんぶん朝日新聞社あさひしんぶんしゃ、2017ねん4がつ12にち
  4. ^ 「NHK受信じゅしんりょう訴訟そしょう法相ほうしょうが「合憲ごうけん意見いけんしょ 最高裁さいこうさいに」『日本経済新聞にほんけいざいしんぶん日本経済新聞社にほんけいざいしんぶんしゃ、2017ねん4がつ12にち
  5. ^ 法相ほうしょう最高裁さいこうさい意見いけんしょ…NHK受信じゅしんりょう訴訟そしょう」『毎日新聞まいにちしんぶん毎日新聞社まいにちしんぶんしゃ、2017ねん4がつ12にち
  6. ^ a b c d e f g 長谷部はせべ恭男やすお, 石川いしかわ健治けんじ & 宍戸ししどつね寿ことぶき (2019), p. 167.
  7. ^ a b 「NHK受信じゅしんりょう訴訟そしょう 最高裁さいこうさいはつ判断はんだんいちしん支払しはら命令めいれい」『東京とうきょう新聞しんぶん中日新聞ちゅうにちしんぶん東京とうきょう本社ほんしゃ、2016ねん11月3にち
  8. ^ a b c 「NHK受信じゅしんりょう合憲ごうけん 最高裁さいこうさい テレビ設置せっちから義務ぎむ」『東京とうきょう新聞しんぶん中日新聞ちゅうにちしんぶん東京とうきょう本社ほんしゃ、2017ねん12月7にち

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 長谷部はせべ恭男やすお石川いしかわ健治けんじ宍戸ししどつね寿ことぶき へん憲法けんぽう判例はんれいひゃくせんI』(だい7はん有斐閣ゆうひかく別冊べっさつジュリスト ; No.245〉、2019ねん11月29にちASIN 4641115451ISBN 978-4-641-11545-3NCID BB29262076OCLC 1130124702 
  • 上田うえだ健介けんすけ尾形おがたけん片桐かたぎり直人なおと憲法けんぽう判例はんれい50!』(だい2はん有斐閣ゆうひかく〈START UP〉、2020ねん3がつ21にちASIN 4641227861ISBN 978-4-641-22786-6NCID BB29904377OCLC 1158037178国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん書誌しょしID:030274098 

関連かんれん項目こうもく

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