ポイントガード

ポイントガード（Point Guard; PG）は、バスケットボールのポジションの呼よび名な。ポジション名めいを番号ばんごうでは「1番ばん」と呼よぶ。

概説がいせつ

ポイントガードの「ポイント」とは得点とくてんではなく線路せんろの分岐ぶんき器き (ポイント) を意味いみし、チームの司令塔しれいとうの役割やくわりを担になう。そのため、ポイントガードは通常つうじょうチーム内ないで最もっとも器用きような選手せんしゅが務つとめる。チーム戦術せんじゅつによっては大おおきな選手せんしゅが務つとめることもあるが、センターやパワーフォワードとは違ちがい高だか身長しんちょうが要求ようきゅうされるわけではない。体格たいかくに関かかわりなく敏捷びんしょう性せい、状況じょうきょう判断はんだん力りょく、リーダーシップなどが要求ようきゅうされる。NBAの最低さいてい身長しんちょう選手せんしゅは160cmのマグシー・ボーグスであるが、ボーグスはリーダーシップを発揮はっきする名めいポイントガードとして知しられた。

要求ようきゅうされる能力のうりょく

オフェンス時じには優すぐれたドリブルテクニックでボールを敵陣てきじんに確実かくじつに運はこび、ディフェンスの布陣ふじんや味方みかたの状況じょうきょうを広ひろい視野しやを持もって的確てきかくに把握はあくし、味方みかたの得点とくてんをアシストしなければならない。必要ひつような時ときには自みずからショットを決きめることで相手あいてディフェンスを引ひきつけ、アシストする上じょうでも有利ゆうりとなるようなショット力りょくを要ようする、ショットセレクションに関かんしては最もっとも厳きびしい要求ようきゅうのあるポジションである。またディフェンスも積極せっきょく的てきでなければならず、スティールもできる判断はんだん力りょくと、俊敏しゅんびん性せいも要求ようきゅうされる。オフェンス、ディフェンス両方りょうほうでゲームのリズムを保たもち、あるいは変かえ、ゲームメイクする能力のうりょくが要求ようきゅうされ、その役割やくわりから「コート上じょうのコーチ」とも呼よばれ、選手せんしゅ引退いんたい後ごコーチに転身てんしんする選手せんしゅが多おおいポジションである。

ポイントガードは通常つうじょうリバウンドに参加さんかせず、リバウンドを取とった選手せんしゅからのアウトレットパスを受うけやすい位置いちに動うごく。オフェンスからディフェンスへの切きり替かえ時じにはセーフティとなり敵てきの速攻そっこうを止とめたり、遅おくらせたりする。ゲームメイクには戦術せんじゅつを指示しじするだけでなく、リズムが悪わるいときなどに前向まえむきな声こえを出だして、チームを活気かっきづけることも重要じゅうようになってくる。

プレースタイル

ポイントガードのスタイルによりチームのスタイルが決きまる。オールラウンドであることが理想りそうであるが、NBAでさえも、攻撃こうげき主体しゅたいのプレーヤーと、アシストとディフェンスでゲームメイクを主体しゅたいとするプレーヤーとに分わかれる。攻撃こうげき型がたポイントガードを中心ちゅうしんとしたチームは、ポストマンのセンターやシューティングガードによってアシストされる場合ばあいも多おおくなる。アシストを得意とくいとするポイントガードは、ピックアンドロールなど、大型おおがた選手せんしゅを使つかいこなす技量ぎりょうを併あわせ持もっている場合ばあいが多おおい。他ほかにもコントロール型がたのポイントガードもあり、チームの精神せいしん的てき支柱しちゅうとして声こえをだしたり指示しじをしたりしてチームをコントロールするポイントガードもいる。そのためには安定あんていしたボール運はこびや指示しじ、時ときには自分じぶんで得点とくてんをするなど、常つねに冷静れいせいで周まわりが見みえるようにならなければならない。

レブロン・ジェームズに代表だいひょうされるが、当初とうしょポイントガードを経験けいけんさせ、オールラウンダーに成長せいちょうさせる例れいもある。

歴代れきだいのポイントガード

NBAでは様々さまざまな世代せだいに傑出けっしゅつしたポイントガードが存在そんざいする。

ジョン・ストックトンは15,806アシスト、3,265スティールともに歴代れきだい1位いである。カール・マローンと共ともに、ピック&ロールでユタ・ジャズ最強さいきょう時代じだいを築きずき、華麗かれいなプレーを見みせた。

アシスト数すう2位いのジェイソン・キッドは12,091アシスト、2,684スティールを記録きろくしている。晩年ばんねんにダーク・ノヴィツキー率ひきいるダラス・マーベリックスで初はじめて優勝ゆうしょうを経験けいけんした。

アシスト数すう3位いのスティーブ・ナッシュは10,335アシストを記録きろくしている。優勝ゆうしょう経験けいけんこそないが、フェニックス・サンズの7秒びょうオフェンスはリーグを席巻せっけんし、30代だいで2回かいのシーズンMVPを獲得かくとくした選手せんしゅである。

アシスト数すうベスト10の中なかで最もっとも優勝ゆうしょう回数かいすうの多おおいプレーヤーはマジック・ジョンソンであり、5度どのチャンピオンに輝かがやいている。1987年ねんのアシスト王おうであったジョンソン以降いこう、アシスト王おうを獲得かくとくした選手せんしゅの所属しょぞくチームはチャンピオンになっていない。近年きんねんは、ポイントガードにアシストを集中しゅうちゅうさせず、全体ぜんたいでのボールムーブメント向上こうじょうを図はかっているチームがチャンピオンを獲得かくとくする傾向けいこうが見みられる。2014年ねんのサンアントニオ・スパーズに象徴しょうちょうされるように、全すべてのポジションが起点きてん(ポイント)となりうることが、スイングマンやポイントフォワードなどの複ふく合あいポジションの台頭たいとうを後押あとおししている。