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Power-to-gas

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

Power-to-gas (りゃく:P2G) とは、太陽光たいようこう発電はつでん風力ふうりょく発電はつでんからされる電力でんりょく再生さいせい可能かのうれんりょく)で水素すいそメタン合成ごうせいガスLPGアンモニアなどのガスを製造せいぞうすることをいう。

また、メチルアルコールなどの液体えきたい燃料ねんりょう製造せいぞうすることを、Power to Fuel(PtF)やPower to Liquids(PtL)、[1]こうして生成せいせいされた燃料ねんりょうe-fuelという。

これにより蓄電池ちくでんちよりもはるかにおおくのエネルギーを容易ようい貯蔵ちょぞう運搬うんぱんできるようになる。

こうして合成ごうせいされたガス、有機物ゆうきぶつはエネルギーげんとしてのみならず様々さまざま工業こうぎょう原料げんりょうあるいは食糧しょくりょう原料げんりょうとしても利用りよう可能かのうである。

ガスの種類しゅるい

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水素すいそ社会しゃかいなどとはやされるとお水素すいそ代表だいひょうてきだが、それ以外いがいにもメタン、合成ごうせいガス(CO、H2混合こんごうガス)、LPG、アンモニアなどいろいろなガスがかんがえられる。

アンモニアなどは水素すいそより沸点ふってんひくていコストで液化えきか貯蔵ちょぞう輸送ゆそうできる[2]有毒ゆうどくほか、メタンの場合ばあい既存きそんのガスインフラの利用りよう可能かのうだが合成ごうせいのためどこからか大量たいりょう二酸化炭素にさんかたんそ入手にゅうしゅしなければならないなどガスによって長短ちょうたんがある。

またこれらのガスから現場げんば水素すいそあらためしつして燃料ねんりょう電池でんち燃料ねんりょう利用りようすることもかんがえられる。

エネルギー貯蔵ちょぞう輸送ゆそう

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Power-to-gasはエネルギーの貯蔵ちょぞう搬性を格段かくだん向上こうじょうさせる。

電力でんりょくからガスへのシステムは、風力ふうりょく発電はつでんまたは太陽光たいようこう発電はつでんなど再生さいせい可能かのうエネルギー不安定ふあんていせいおぎなうものとして利用りようできる。貯蔵ちょぞうされたエネルギーは数時間すうじかん数日すうじつ、またはすうげつ使用しようできる。

再生さいせい可能かのうエネルギーを豊富ほうふられる無人むじん砂漠さばく地帯ちたいなどからLNGせん利用りようして需要じゅよう大陸たいりくあいだ輸送ゆそうしたり、既存きそんのパイプラインを利用りようすることもできる。

原料げんりょうとしての利用りよう

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石油せきゆ化石かせき燃料ねんりょう燃料ねんりょうとしてのみならずプラスチックなどの工業こうぎょう原料げんりょうもちいられているほか化石かせき燃料ねんりょうから合成ごうせいされた水素すいそもまたアンモニアなど肥料ひりょう原料げんりょうとして利用りようされてきた。

これらを代替だいたいする方法ほうほうとしてP2Gは有効ゆうこうである。さらにガスを微生物びせいぶつべさせ繁殖はんしょくさせることで天候てんこう土地とち制約せいやく病原びょうげんたい影響えいきょうけないあたらしい食料しょくりょうげんとすることもできる。繁殖はんしょくさせた微生物びせいぶつはヒトの食用しょくようほか家畜かちくさかな養殖ようしょくのための飼料しりょうとしてもちいることができる。

れいとして水素すいそをエネルギーげん繁殖はんしょくする水素すいそ細菌さいきんメタンをエネルギーげんとするメタン細菌さいきんメチロコッカス・カプスラタスがげられる。[3]

食料しょくりょう以外いがいにもさけ発酵はっこう過程かていられるように、エタノール、メタノールなど有用ゆうよう原料げんりょう資源しげんさら変換へんかんしたり、きん電気でんき分解ぶんかいやメタン生成せいせい補助ほじょとするバイオリアクターとしてももちいることができる。

石油せきゆ化学かがくにおいて重要じゅうよう役割やくわりになエチレン電力でんりょく・CO2・みずもと生成せいせいするエチレン合成ごうせい細菌さいきん遺伝子いでんしえで開発かいはつされている。[4][5]

効率こうりつ

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最大さいだい問題もんだい効率こうりつである。2013ねん時点じてんで、単純たんじゅんなPower-to-gasの電力でんりょく効率こうりつは50%をおおきく下回したまわっており、方式ほうしき、たとえば位置いちエネルギーをかいする揚水ようすい発電はつでんの70%程度ていどという効率こうりつくらべるときわめてひくい。

これをおぎなうためにコンバインドサイクル発電はつでんしょ使用しようすることで、水素すいそパスは最大さいだい効率こうりつ〜43%、メタンは〜39%に到達とうたつすることができる。電気でんきねつ両方りょうほう生産せいさん利用りようするコージェネレーション使用しようすれば、効率こうりつは60%をえることができるが、それでも揚水ようすい発電はつでん蓄電池ちくでんちにはおよばない。[6]しかし、電力でんりょくからガスへの貯蔵ちょぞう効率こうりつたかめる可能かのうせいはある。SOECSOFC併用へいようし、貯蔵ちょぞうプロセスではいねつさい利用りようすることで、80%をえる電力でんりょく効率こうりつ達成たっせいできることがあきらかになった。 [7]

みず電気でんき分解ぶんかい、メタネーションをもちいた経路けいろべつ燃料ねんりょうべつ総合そうごうエネルギー変換へんかん効率こうりつ[8]
燃料ねんりょう 効率こうりつ 条件じょうけん
経路けいろ: 電気でんき→ガス
水素すいそ 54–72 % 200 bar 加圧かあつ
メタン (SNG) 49–64 %
水素すいそ 57–73 % 80 bar 加圧かあつ (天然てんねんガスパイプライン)
メタン (SNG) 50–64 %
水素すいそ 64–77 % 加圧かあつなし
メタン (SNG) 51–65 %
経路けいろ: 電気でんき→ガス→電気でんき
水素すいそ 34–44 % 80 bar 加圧かあつ発電はつでんで60%が電気でんきもど
メタン (SNG) 30–38 %
経路けいろ: 電気でんき→ガス→電気でんきねつ (コージェネレーション)
水素すいそ 48–62 % 80 bar 加圧かあつ電気でんきねつは40/45 %
メタン (SNG) 43–54 %

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 環境かんきょう用語ようごしゅう:「Power to Gas」|EICネット”. www.eic.or.jp. 2022ねん6がつ29にち閲覧えつらん
  2. ^ 水素すいそ・アンモニア発電はつでんコスト および CCS火力かりょく発電はつでんコスト試算しさん”. けいさんしょう. 2022ねん2がつ24にち閲覧えつらん
  3. ^ 培養ばいようにくがこのさき有望ゆうぼう」な食材しょくざいになりうる事情じじょう | 食品しょくひん”. 東洋とうよう経済けいざいオンライン (2020ねん4がつ22にち). 2022ねん6がつ29にち閲覧えつらん
  4. ^ 微生物びせいぶつ利用りようしたCO2変換へんかん技術ぎじゅつ開発かいはつ”. らせ. 2022ねん6がつ29にち閲覧えつらん
  5. ^ エチレンを大量たいりょう生産せいさんする細菌さいきん”. www.naro.affrc.go.jp. 2022ねん6がつ29にち閲覧えつらん
  6. ^ Volker Quaschning, Regenerative Energiesysteme. Technologie - Berechnung - Simulation, Hanser 2013, p 373.
  7. ^ 再生さいせい可能かのうエネルギーを活用かつようする 水素すいそ電力でんりょく貯蔵ちょぞうシステム”. 東芝とうしばレビュー Vol.68 No.7: 35-38. (2013). https://www.global.toshiba/content/dam/toshiba/migration/corp/techReviewAssets/tech/review/2013/07/68_07pdf/f04.pdf. 
  8. ^ (German) Fraunhofer -Energiewirtschaftliche und ökologische Bewertung eines Windgas-Angebotes, p. 18

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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