出典 しゅってん : フリー百科 ひゃっか 事典 じてん 『ウィキペディア(Wikipedia)』
SIG MKMS は、1934年 ねん にスイス で開発 かいはつ された短 たん 機関 きかん 銃 じゅう である。名称 めいしょう は「軍用 ぐんよう 自動 じどう カービン、側面 そくめん 排 はい 莢 さいかち 型 がた 」(Maschinenkarabiner für Militär, Hülsenauswurf seitlich)を略 りゃく したものである。
MKMO・MKPOの機関 きかん 部 ぶ を示 しめ す構造 こうぞう 図 ず
スイス工業 こうぎょう 社 しゃ (SIG)では、ベルクマン社 しゃ とのライセンス契約 けいやく のもと、1920年 ねん から短 たん 機関 きかん 銃 じゅう の製造 せいぞう 販売 はんばい に着手 ちゃくしゅ した。当時 とうじ 、スイス軍 ぐん では短 たん 機関 きかん 銃 じゅう の必要 ひつよう 性 せい をさほど認 みと めていなかったため、SIG社 しゃ はもっぱら国外 こくがい での販売 はんばい に焦点 しょうてん を当 あ てていた。当初 とうしょ の製品 せいひん はMP18 に独自 どくじ の改良 かいりょう を取 と り入 い れたモデルだったが、1927年 ねん にはライセンスが失効 しっこう したため、新 あら たな短 たん 機関 きかん 銃 じゅう を独自 どくじ に設計 せっけい しなければならなくなった。
1930年 ねん 、単 たん に自動 じどう カービン(Maschinenkarabiner)とも称 しょう された実験 じっけん 的 てき な9mmパラベラム弾 だん 仕様 しよう 短 たん 機関 きかん 銃 じゅう の設計 せっけい が進 すす められていた。これは全長 ぜんちょう 950mm、銃身 じゅうしん 長 ちょう 250mm、質量 しつりょう 4.65kgという大 おお きさで、全長 ぜんちょう /銃身 じゅうしん 長 ちょう ともにMP18よりも長 なが かった。ゴットハルト・エンド(Gotthard End)とガエツキ(Gaetzki)の両 りょう 技師 ぎし は、この時点 じてん で後 のち のMKMOシリーズの特徴 とくちょう となる弾倉 だんそう 折 おり 畳 たたみ の構造 こうぞう を世界 せかい で初 はじ めて設計 せっけい に取 と り入 い れていたが、折 お り畳 たた み方向 ほうこう は前方 ぜんぽう ではなく後方 こうほう であった。1935年 ねん 、1930年 ねん 式 しき 自動 じどう カービンの設計 せっけい を元 もと に、ハンガリー出身 しゅっしん のキラーイ・パール 技師 ぎし が改良 かいりょう した前方 ぜんぽう 折 おり 畳 たたみ 式 しき の弾倉 だんそう を備 そな える新型 しんがた 短 たん 機関 きかん 銃 じゅう が発表 はっぴょう された。このモデルにはMKMO 、すなわち「軍用 ぐんよう 自動 じどう カービン、上面 うわつら 排 はい 莢 さいかち 型 がた 」(Maschinenkarabiner für Militär, Hülsenauswurf oben)なる製品 せいひん 名 めい が与 あた えられた。
使用 しよう 弾 だん は、拳銃 けんじゅう 弾 だん としては強力 きょうりょく な9x25mmモーゼル弾 だん (英語 えいご 版 ばん ) (モーゼル・エクスポート弾 だん )であった。また、この強力 きょうりょく な銃弾 じゅうだん を安全 あんぜん に射撃 しゃげき するために、キラーイが考案 こうあん したレバー遅延 ちえん 式 しき ブローバック機構 きこう (キラーイ・システム)を採用 さいよう していた[2] 。排 はい 莢 さいかち 口 こう は銃 じゅう の真上 まうえ に設 もう けられていた。1930年代 ねんだい の短 たん 機関 きかん 銃 じゅう としては長 なが めの銃身 じゅうしん が特徴 とくちょう の1つで、着剣 ちゃっけん 装置 そうち も備 そな えていた[3] 。弾倉 だんそう は40連発 れんぱつ で、運搬 うんぱん 時 じ には銃身 じゅうしん 下 か に折 お り畳 たた むことができる。銃床 じゅうしょう や照準 しょうじゅん 器 き の形状 けいじょう は、K31 (英語 えいご 版 ばん ) 小銃 しょうじゅう を踏襲 とうしゅう している。そのほか、機関 きかん 部 ぶ 後 ご 端 はし のキャップが締 し まりきっていないと引 ひ き金 がね が動 うご かない、セーフティレバーを掛 か けた状態 じょうたい でないとキャップを外 はず せないなど、複数 ふくすう の機械 きかい 的 てき な安全 あんぜん 措置 そち が組 く み込 こ まれている[2] 。引 ひ き金 がね は2段式 だんしき で、軽 かる く引 ひ けばセミオート射撃 しゃげき が、強 つよ く引 ひ けばフルオート射撃 しゃげき が行 おこな えた[3] 。
MKPO 、すなわち「警察 けいさつ 用 よう 自動 じどう カービン、上面 うわつら 排 はい 莢 さいかち 型 がた 」(Maschinenkarabiner für Polizei, Hülsenauswurf oben)は、警察 けいさつ 向 む けに設計 せっけい されたモデルで、MKMOよりも銃身 じゅうしん が短 みじか く、着剣 ちゃっけん 装置 そうち を備 そな えない。折 おり 畳 たたみ 構造 こうぞう の都合 つごう から、銃身 じゅうしん と同様 どうよう に短縮 たんしゅく した30連発 れんぱつ の箱 はこ 型 がた 弾倉 だんそう を使用 しよう する[2] 。
MKMOは丁寧 ていねい に作 つく られた短 たん 機関 きかん 銃 じゅう ではあったが、競合 きょうごう 製品 せいひん よりも複雑 ふくざつ かつ高価 こうか で、売上 うりあげ は振 ふ るわず、1937年 ねん には製造 せいぞう が中止 ちゅうし された。同年 どうねん 、複雑 ふくざつ なキラーイ・システムをシンプルブローバック方式 ほうしき に置 お き換 か え、簡素 かんそ 化 か を図 はか ったMKMS が発表 はっぴょう された。MKMSの使用 しよう 弾 だん は、7.63x25mmモーゼル弾 だん 、7.65x21mmパラベラム弾 だん 、9x19mmパラベラム弾 だん の3種類 しゅるい あったが、9x19mm弾 だん 仕様 しよう のモデルが最 もっと も大量 たいりょう に製造 せいぞう された[2] 。「側面 そくめん 排 はい 莢 さいかち 型 がた 」という名称 めいしょう が示 しめ すように、排 はい 莢 さいかち 口 こう は右 みぎ 斜 なな め上 じょう に変更 へんこう された。MKPOと同様 どうよう の警察 けいさつ 向 む けモデルとして、MKPS が存在 そんざい する。
MKMS/MKPSも売上 うりあげ は振 ふ るわず、1933年 ねん から1939年 ねん までの製造 せいぞう 数 すう は4種類 しゅるい を合 あ わせてもわずか1,228丁 ちょう だった。バチカンのスイス衛兵 えいへい やフィンランド軍 ぐん によって使用 しよう された[2] 。1940年 ねん に製造 せいぞう が終了 しゅうりょう した。スイスでは警察 けいさつ で採用 さいよう されたものの、調達 ちょうたつ 数 すう はわずか60丁 ちょう で、1960年代 ねんだい にはこのうちの25丁 ちょう が廃棄 はいき されたという記録 きろく がある。
282丁 ちょう のMKMSを購入 こうにゅう したフィンランド軍 ぐん は、最 もっと も多 おお くこの銃 じゅう を運用 うんよう した組織 そしき である。これらのMKMSは、冬 ふゆ 戦争 せんそう の最中 さいちゅう に有用 ゆうよう 性 せい が示 しめ された短 たん 機関 きかん 銃 じゅう の配備 はいび が拡大 かくだい される過程 かてい において、国産 こくさん 短 たん 機関 きかん 銃 じゅう の不足 ふそく を補 おぎな う目的 もくてき で調達 ちょうたつ されたものである[2] 。ただし、最初 さいしょ の40丁 ちょう ほどがフィンランドに到着 とうちゃく したのは、冬 ふゆ 戦争 せんそう 終結 しゅうけつ から5日 にち 後 ご だった。フィンランドは90,121スイス・フラン を支払 しはら い口径 こうけい を9x19mm仕様 しよう を242丁 ちょう 購入 こうにゅう 、同様 どうよう に16,100スイスフランで7.65x21mm仕様 しよう を40丁 ちょう 購入 こうにゅう している。これら合 あ わせて282丁 ちょう のMKMSは、3月から6月 がつ にかけて5回 かい に分 わ けて到着 とうちゃく した。予備 よび の弾倉 だんそう やスペアパーツも付属 ふぞく していたほか、フィンランドではのちに予備 よび 銃身 じゅうしん を国内 こくない で生産 せいさん している。その後 ご の継続 けいぞく 戦争 せんそう では、本国 ほんごく 部隊 ぶたい や輜重 しちょう 部隊 ぶたい 、沿岸 えんがん 防衛 ぼうえい 部隊 ぶたい など、主 おも に後方 こうほう で使 つか われた。継続 けいぞく 戦争 せんそう を通 つう じ、購入 こうにゅう したMKMSの3分 ぶん の1が失 うしな われた。戦後 せんご は予備 よび 装備 そうび として保管 ほかん されていたが、1960年代 ねんだい には7.65mm仕様 しよう の銃 じゅう は廃棄 はいき あるいは輸出 ゆしゅつ して処分 しょぶん され、残 のこ りも1970年代 ねんだい 初頭 しょとう に各国 かっこく 軍 ぐん および民間 みんかん の顧客 こきゃく に放出 ほうしゅつ された。フィンランドでは生産 せいさん 地 ち に基 もと づくノイハウゼン短 たん 機関 きかん 銃 じゅう (KP NEUHAUSEN)の呼称 こしょう で知 し られ、7.65mm仕様 しよう が765 KP NEUHAUSENあるいは7,65 kp/Neuh.、9mm仕様 しよう が900 KP NEUHAUSENあるいは9,00 kp/Neuh.と呼 よ ばれた[3] 。
Wollert, Günter; Reiner, Lidschun (1999). Infanteriewaffen Illustrierte Enzyklopädie der Infanteriewaffen aus aller Welt . Brandenburgisches Verlagshaus in der Dornier Medienholding. ISBN 3-89488-036-8
ウィキメディア・コモンズには、
SIG MKMO に
関連 かんれん するカテゴリがあります。