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TEMS

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TEMS(テムスToyota Electric Modulated Suspension)とは、トヨタ自動車とよたじどうしゃ乗用車じょうようしゃ装備そうびされている電子でんし制御せいぎょサスペンション名称めいしょう。「トヨタ電子でんし制御せいぎょサスペンション」の略称りゃくしょうである。

概要がいよう[編集へんしゅう]

TEMSはコンピューター制御せいぎょによって前後ぜんご4ほんショックアブソーバー減衰げんすいりょく自動じどうあるいは手動しゅどうえられるように工夫くふうしたシステムであり、そのシステム構成こうせい搭載とうさいされるくるまのクラスによって若干じゃっかんちがいがあるが、路面ろめん状況じょうきょう走行そうこうじょうきょう、そしてドライバーのこのみにおうじてショックアブソーバーの減衰げんすいりょく変化へんかさせるてんでは共通きょうつうしている。

TEMSはそもそも積載せきさい条件じょうけんわりやすいワンボックスしゃのために開発かいはつされたシステムで(元来がんらいのワンボックスしゃのサスペンション設計せっけい多人数たにんずう乗車じょうしゃ状態じょうたいでの安定あんていせい確保かくほ心地ごこち確保かくほ見地けんちから、しょう人数にんずう乗車じょうしゃにはかためのセッティングとなっていた)、必要ひつようおうじてショックアブソーバーの減衰げんすいりょくえることでフレキシビリティを確保かくほしようというのがそもそものコンセプトである。

そのワンボックスモデルのみならず高級こうきゅうしゃからスポーツカー、そしてバブルには大衆たいしゅうしゃにも設定せってい拡大かくだいされていた。しかしバブル崩壊ほうかい、ユーザーが必要ひつよう以上いじょう贅沢ぜいたくこのまなくなったことからTEMSの設定せってい高級こうきゅうモデルのみの設定せっていにとどまったが、システム自体じたい改良かいりょうつづき、ピエゾ素子そし応用おうようした「ピエソしきTEMS」、「スカイフックTEMS」、「インフィニティTEMS」が登場とうじょうした。近年きんねんふたたミニバンへの装備そうびれいえている。

レクサスブランドの車種しゃしゅや、クラウン(13代目だいめ以降いこうマークXなどではTEMSにわりAVS (Adaptive Variable Suspension System)という名称めいしょうもちいられるようになった。

操作そうさ方法ほうほう[編集へんしゅう]

1980年代ねんだい一般いっぱんてきなTEMSには走行そうこう状態じょうたいおうじて減衰げんすいりょくすう段階だんかいりかえる「AUTO」モードと、たかめの減衰げんすいりょく維持いじする「SPORT」モードが存在そんざいし、ドライバーのこのみで選択せんたくすることができる(一般いっぱん走行そうこうではAUTOモードの使用しよう推奨すいしょうされる)。また、改良かいりょうがたではダイヤルで減衰げんすいりょく任意にんい調節ちょうせつするものもあらわれている。

TEMSのシステム構成こうせい[編集へんしゅう]

TEMSを構成こうせいするパーツはコントロールスイッチ、インジケータランプ、専用せんようショックアブソーバ、ショックアブソーバコントロールアクチュエータ、ショックアブソーバコントロールコンピュータ、車速しゃそくセンサ、ストップランプスイッチ、スロットルセンサ(3段階だんかいのみ)、かじかくセンサ(3段階だんかいのみ)である。

TEMSのショックアブソーバの構造こうぞうは、オリフィスすう段階だんかい変化へんかさせることで数種類すうしゅるい減衰げんすいりょくられるようになっている。高級こうきゅうしゃようの3段階だんかいTEMSでは「SOFT - MID - HARD」の3段階だんかいがわちぢがわがあるので6種類しゅるい減衰げんすいりょくす。そして廉価れんかばんの2段階だんかいTEMSには「SOFT - HARD」ようの4種類しゅるい減衰げんすいりょくられる。これらオリフィスは各種かくしゅセンサやスイッチ操作そうさによってアクチュエータ指令しれいされ、オリフィスを回転かいてんさせて減衰げんすいりょく変化へんかさせる。

TEMSの動作どうさイメージ[編集へんしゅう]

1980年代ねんだい一般いっぱんてきな2段階だんかいしきTEMSの動作どうさ実際じっさい走行そうこうシーンにてはめて解説かいせつする。

  • 通常つうじょう走行そうこう(0 - 100 km/h程度ていど
減衰げんすいりょくは「SOFT」が選択せんたくされ、やわらかめの心地ごこち提供ていきょうする。
  • 高速こうそく走行そうこう(100 - 85 km/h程度ていど
高速こうそく走行そうこう判断はんだんすると減衰げんすいりょくは「HARD」が選択せんたくされ、スタビリティ重視じゅうし心地ごこちとなり、ロールピッチングおさえる。
  • ブレーキング(50 km/h以上いじょうから)
ノーズダイブを抑制よくせいするために、それまでの減衰げんすいりょくが「SOFT」であってもブレーキ操作そうさ感知かんちして自動的じどうてきに「HARD」に移行いこうする。ブレーキペダルOFFの状態じょうたいが2びょう以上いじょうつづくと「SOFT」に復帰ふっきする。
  • きゅう加速かそく(3段階だんかいしきのみ、アクセルひらき一定いってい以上いじょう
アクセルペダルのスイッチによって一定いってい以上いじょう操作そうさ検知けんちして減衰げんすいりょくを「HARD」にえてスクワットを抑制よくせいする。
  • コーナリング(3段階だんかいしきのみ、ステアリングかじかく一定いってい以上いじょう
ステアリングけられたかじかくセンサによって一定いってい以上いじょうかじかくあたえられるとロールを抑制よくせいするために減衰げんすいりょくを「HARD」にえる。
  • SPORTモード
状況じょうきょうかかわらずに「HARD」を選択せんたくする。(3段階だんかいしき場合ばあいは、MIDを選択せんたくする)

問題もんだいてん[編集へんしゅう]

一見いっけん理想りそうてきかとおもえるTEMSであるが、欠点けってん存在そんざいする。

まずショックアブソーバーの価格かかく非常ひじょうたかく、交換こうかんよう部品ぶひん価格かかく標準ひょうじゅんてきなショックアブソーバーと比較ひかくして2 - 3ばいというこう価格かかくになっている。一部いちぶでは「それだけこう価格かかくならば最初さいしょからコストをかけたショックアブソーバーを採用さいようしたほうがよいのでは」と意見いけんもある[よう出典しゅってん]

また減衰げんすいりょくのセッティングはば種類しゅるいしかなく、ユーザーへの「かりやすさ」を重視じゅうしした結果けっかとして「SOFT」はフワフワしぎ、「HARD」にすると心地ごこちわるぎるという問題もんだいしょうじる。しかし本当ほんとうにちょうど変化へんかめると、ユーザーから「ありがたがない」という本末転倒ほんまつてんとうなクレームをけることになる。そこで近年きんねんでは推奨すいしょうするかたさ(たとえば5だんちゅう「SOFT」から2番目ばんめとう)をしめしたり、多段ただんしてユーザーがダイヤル操作そうさえらべるようにしたものなどがある(この場合ばあいりょうはし減衰げんすいりょくはあえて極端きょくたんなセッティングの場合ばあいもある)。

過去かこにTEMSが装備そうびされていた車種しゃしゅ(オプション設定せっていふくむ)[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]