ワ族ぞく（読よみ）ワぞく（英語えいご表記ひょうき）Wa

ミャンマー北東ほくとう部ぶから中国ちゅうごくの雲南うんなん省しょう南西なんせい部ぶにかけての先住民せんじゅうみん。中国ちゅうごくでは佤族と表記ひょうきする。アウストロアジア語族ごぞくのモン・クメール語族ごぞくに属ぞくする言語げんごを話はなし，言語げんご系統けいとう上じょうは西方せいほうに住すむパラウン族ぞくやタイ北西ほくせい部ぶのラワ族ぞくに近ちかい。人口じんこうはミャンマーに約やく8万まん（統計とうけい年ねん不ふ詳しょう），中国ちゅうごくに約やく35万まん2000（1990）。焼畑やきばたで陸稲おかぼ（おかぼ）などを作つくり，一部いちぶでは水稲すいとう耕作こうさくも行おこなう。山やまの腰部ようぶや丘おかの上うえの村むらに砦とりで状じょうの大だい集落しゅうらくを営いとなみ，高床たかゆか家屋かおくに住すむ。父系ふけい外がい婚こん氏し族制ぞくせいをもつ。各かく集落しゅうらくにはスリット・ドラム（割目われめ太鼓たいこ。普通ふつうは1対つい）があり，信号しんごう用ように用もちいられるが，山やまから太鼓たいこを運はこび込こむのは重要じゅうような儀礼ぎれいである。伝統でんとう的てきな生活せいかつを残のこしてきた地域ちいきでは20世紀せいき半なかばまで首狩くびがりを行おこない，春はるの播種はしゅ期きに首くびを狩かりとってくることにより，その年としの豊作ほうさくを確実かくじつにした。オタマジャクシから怪物かいぶつに変身へんしんし，洞窟どうくつに住すんだ始祖しそ夫婦ふうふが死しぬとき子孫しそんに首狩くびがりをしろと遺言ゆいごんした，と神話しんわは語かたっている。隣接りんせつするシャン族ぞくをはじめとするタイ系けい諸しょ族ぞくなどの影響えいきょうによって，〈熟蕃じゅくばん化か〉の過程かていが19世紀せいきから進行しんこうしていた。
執筆しっぴつ者しゃ：大林おおばやし 太良たら