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嘔吐(オウト)とは? 意味や使い方 - コトバンク

嘔吐おうとみ)オウト英語えいご表記ひょうき)vomiting

翻訳ほんやくvomiting

デジタル大辞泉だいじせん嘔吐おうと」の意味いみみ・例文れいぶん類語るいご

おう‐と【×嘔吐おうと

(スル)べたものをからもどすこと。「くるしそうに嘔吐おうとする」
[せつ]書名しょめい別項べっこう。→嘔吐おうと
[類語るいご]反吐へどへど吐瀉としゃとしゃげろむかむかもたれもたれるむかつくむねける胸焼むねや気持きもわるむかっとえずくもどげるつわり悪阻つわりおそ二日酔ふつかよ悪酔わるよげるべろんべろんぐでんぐでん

おうと【嘔吐おうと】[書名しょめい

原題げんだい、〈フランスLa Nauséeサルトル小説しょうせつ。1938ねん刊行かんこう外界がいかい事物じぶつによってもたらされる主人公しゅじんこうロカンタンの嘔吐おうとかんつうじて「存在そんざい」の偶然ぐうぜんせい探求たんきゅうされる。実存じつぞん哲学てつがく小説しょうせつされた作品さくひん

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精選せいせんばん 日本にっぽん国語こくごだい辞典じてん嘔吐おうと」の意味いみみ・例文れいぶん類語るいご

おう‐と【嘔吐おうと

  1. [ 1 ] 名詞めいし ( 「嘔」「吐」とも「く」。「おうど」とも )
    1. べたものをきもどすこと。へどをくこと。または、はきけ。てんじて、ひどく不快ふかいかんじることにいう。
      1. [初出しょしゅつ実例じつれい]「嘔吐おうとむねなおぎゃくきょろうあし」(出典しゅってん菅家すがやしゅう(903ごろじょいちひゃくいん)
      2. 「つくづくおもはば嘔吐おうと(オウト)すべきことなり」(出典しゅってん洒落本しゃれぼんかくちゅう掃除そうじざつへん(1777))
      3. [その文献ぶんけん]〔みかどないけいもとといろくげん正紀まさきだいろん
    2. おくび(にち葡辞しょ(1603‐04))。
  2. [ 2 ] ( 原題げんだい[フランス語ふらんすご] La Nausée ) 小説しょうせつ。サルトルさくいちきゅうさんはちねん発表はっぴょう主人公しゅじんこうロカンタンがある地方ちほう都市とし日常にちじょうてき現実げんじつ嘔吐おうとをもよおす自分じぶんづき、その現象げんしょう媒介ばいかいとして現実げんじつ接触せっしょくしながら、実存じつぞん認識にんしき到達とうたつする過程かてい追究ついきゅうしたもので、実存じつぞん主義しゅぎ文学ぶんがく代表だいひょうてき作品さくひんとされる。

え‐ずきゑづき嘔吐おうと

  1. 名詞めいし きもどすこと。おうと。〔しょげんこう節用せつようしゅう(1717)〕

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改訂かいてい新版しんぱん 世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん嘔吐おうと」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

嘔吐おうと (おうと)
vomiting

内容ないようぶつくちからされる反射はんしゃ運動うんどう一種いっしゅ毒物どくぶつたいする防御ぼうぎょ反応はんのうで,嘔吐おうとさいしてはともなう。

nauseaは悪心あくしんともいい,舌根ぜっこん咽頭いんとう,むなもとにかんじる特有とくゆう不快ふかいかんで,〈むかつく〉とも表現ひょうげんされ,同時どうじ唾液だえき分泌ぶんぴつ増加ぞうかなまつば),冷汗ひやあせ顔面がんめん蒼白そうはく脈拍みゃくはくすう増加ぞうかこる。呼吸こきゅうふかく,はやく,不規則ふきそくになる。ついで呼吸こきゅうすじ痙攣けいれんけいれんせい収縮しゅうしゅくし,声門せいもんじる。これによって吐物が気管きかんない吸引きゅういんされるのをふせいでいる。幽門ゆうもん収縮しゅうしゅくし,一方いっぽうからだ噴門ふんもん弛緩しかんする。ときに幽門ゆうもんから噴門ふんもんにむかうぎゃく蠕動ぜんどう(ぜんどう)がこる。ここで横隔膜おうかくまく腹筋ふっきんつよ収縮しゅうしゅくすると腹腔ふくこうないあつ上昇じょうしょうし,圧迫あっぱくされ,内容ないよう食道しょくどう逆流ぎゃくりゅうする。そのさい内容ないよう一部いちぶ口腔こうくうからそとし,のこりは食道しょくどうない上下じょうげする。つづいて横隔膜おうかくまく弛緩しかんし,ぜんよびいきすじ腹筋ふっきん収縮しゅうしゅくすると声門せいもんじているから胸腔きょうこうないあつたかまり,食道しょくどう圧迫あっぱくされて内容ないようくちからそとる。このときの鼻腔びこうへの逆流ぎゃくりゅう口蓋こうがいきょじょう咽頭いんとうすじ収縮しゅうしゅくによりふせがれるが,わないと内容ないようはなからもる。乳児にゅうじちちみすぎたりはら圧迫あっぱくしたりするとちちくが,これは嘔吐おうとではない。乳児にゅうじ入口いりくちじているすじ噴門ふんもん括約筋かつやくきん)の収縮しゅうしゅくりょく緊張きんちょう)がよわいので,ないあつたかまれば容易ようい逆流ぎゃくりゅうこすのである。

嘔吐おうと反射はんしゃ中枢ちゅうすう嘔吐おうと中枢ちゅうすう)は延髄えんずいもうさまたいのなかにある。上部じょうぶ消化しょうかかんをはじめ腹部ふくぶ胸部きょうぶ臓器ぞうきや漿膜に異常いじょう刺激しげき(たとえば炎症えんしょう)がくわわると,その情報じょうほうはその領域りょういき分布ぶんぷする迷走めいそう神経しんけい交感神経こうかんしんけいない求心きゅうしんせい神経しんけいつうじて嘔吐おうと中枢ちゅうすう伝達でんたつされ,嘔吐おうと中枢ちゅうすう刺激しげきする。嘔吐おうと中枢ちゅうすう十分じゅうぶん刺激しげきされると,この刺激しげき胸部きょうぶ腹部ふくぶ咽頭いんとう喉頭こうとう食道しょくどうすじ支配しはいする遠心えんしんせい神経しんけいによってつたえられて嘔吐おうとこる。嘔吐おうとさせようとするときゆび口内こうないにさしこんで舌根ぜっこんすのは,この反射はんしゃ利用りようしたものである。このほか,内耳ないじ異常いじょう前庭ぜんてい神経しんけいかいして嘔吐おうと中枢ちゅうすうつたわり,嘔吐おうとこさせる(たとえばメニエールびょう乗物のりもの場合ばあい)。はげしい感情かんじょう動揺どうよう情動じょうどう)によっても嘔吐おうとこるが,これはあいだのうあたりえんけいから嘔吐おうと中枢ちゅうすういた求心きゅうしんせい神経しんけいがあるためであろう。だから〈もよおすようなにおい(光景こうけい)〉などという表現ひょうげんまれる。頭蓋とうがい腔内あつのうあつ)が上昇じょうしょうしたりのう流量りゅうりょう減少げんしょうしたりすると嘔吐おうと中枢ちゅうすう酸素さんそ不足ふそくおちいり,これによっても嘔吐おうとこる。そのほか延髄えんずいだいよんのうしつりょう側壁そくへき最後さいごばれる部分ぶぶんには化学かがく受容じゅようがあり,血液けつえきちゅう化学かがく物質ぶっしつによって刺激しげきされるとその情報じょうほう嘔吐おうと中枢ちゅうすうつたえられ,嘔吐おうとをひきこす。各種かくしゅ代謝たいしゃ障害しょうがい,たとえば尿毒症にょうどくしょう重症じゅうしょう黄疸おうだん重症じゅうしょう糖尿とうにょうびょう妊娠にんしん中毒ちゅうどくしょうなどのときみられる嘔吐おうとは,このじょによる。放射線ほうしゃせん障害しょうがいによる嘔吐おうとおなじである。最後さいご化学かがく受容じゅよう刺激しげきする薬物やくぶつとしては,ジギタリス,モルヒネるい(ことにアポモルフィン)などがられている。嘔吐おうと頻繁ひんぱんにくりかえされると,ちょう内容ないようぶつ逆流ぎゃくりゅうし,胆汁たんじゅうじったり,下部かぶちょう狭窄きょうさく閉塞へいそくがあると便びんしゅうのあるちょう内容ないようぶつされる。後者こうしゃを〈吐糞しょう〉という。また,胃潰瘍いかいようなどでこんじる場合ばあい吐血とけつという(消化しょうかかん出血しゅっけつ)。はげしい嘔吐おうとこると大量たいりょう胃液いえき吐出としゅつするため脱水だっすい状態じょうたいおちいることがある。また正常せいじょう胃液いえきやく0.1規定きてい塩酸えんさん含有がんゆうするから,塩酸えんさん体外たいがい喪失そうしつによりてい塩素えんそしょう代謝たいしゃせいアルカリ性あるかりせいしょうとなり,ときにはテタニーをひきこす。このような体液たいえきバランスの失調しっちょうとそれによるショックをふせぐにはていpH生理せいりしょく塩水えんすいの輸液が必要ひつようである。
執筆しっぴつしゃ

小児しょうに病気びょうきさいし,成人せいじんくらべて悪心あくしん嘔吐おうとこしやすいが,ときとして,その背後はいごにはじゅうあつし疾患しっかんひそんでいる場合ばあいもあり,また,嘔吐おうと合併症がっぺいしょうとして脱水だっすいしょうあるいははい病変びょうへん窒息ちっそく肺炎はいえんなど)がこる可能かのうせいもあるので,嘔吐おうとしめ小児しょうに場合ばあいには,慎重しんちょう観察かんさつして,早期そうき診断しんだん早期そうき治療ちりょうをすることがたいせつである。嘔吐おうと原因げんいんとなる疾患しっかん年齢ねんれいによってかなりの特異とくいせいがあるが,これらはおおきく,消化しょうか疾患しっかん感染かんせんしょう中枢ちゅうすうせい疾患しっかん代謝たいしゃせい疾患しっかんおよび各種かくしゅ薬剤やくざい過剰かじょう摂取せっしゅなどにけられる。

 新生児しんせいじには,生理せいりてき嘔吐おうととして初期しょき嘔吐おうと生後せいご1~2にち全身ぜんしん状態じょうたい良好りょうこう新生児しんせいじ授乳じゅにゅう開始かいしまえ一時いちじてきにみられる嘔吐おうと),空気くうき嚥下えんかがみられるが,これは特別とくべつ治療ちりょう必要ひつようとしない。これ以外いがい嘔吐おうとは,病的びょうてき嘔吐おうと細心さいしん注意ちゅうい必要ひつようであり,緊急きんきゅう治療ちりょうようする場合ばあいおおい。すなわち,消化しょうかかん奇形きけい食道しょくどう小腸しょうちょう大腸だいちょう閉鎖へいさまたは狭窄きょうさく横隔膜おうかくまくヘルニアなど),ヒルシュスプルングびょうまたは腹膜炎ふくまくえんのように外科げか手術しゅじゅつ必要ひつようとなるものがある。一方いっぽう内科ないかてき治療ちりょうようするものに,メレナ,胃腸いちょうえん敗血症はいけつしょうずいまくえん尿にょう感染かんせんしょう頭蓋とうがいない出血しゅっけつ新生児しんせいじ特発とくはつせい嘔吐おうとしょうフェニルケトン尿にょうしょうガラクトースしょう,および先天せんてんせい副腎ふくじん形成けいせいなどがある。

 乳幼児にゅうようじ嘔吐おうと原因げんいんとしては,先天せんてんせい肥厚ひこうせい幽門ゆうもん狭窄きょうさくしょう下痢げりしょうちょうじゅうせき急性きゅうせい虫垂炎ちゅうすいえん,アセトンせい嘔吐おうとしょう急性きゅうせい中耳炎ちゅうじえん尿にょう感染かんせんしょうずいまくえんなどがある。学童がくどうでは,胃腸いちょうえん虫垂炎ちゅうすいえん消化しょうかせい潰瘍かいよう乗物のりものいがおもな原因げんいんとなる。

 嘔吐おうとはその原因げんいん鑑別かんべつすることがたいせつで,このためには,嘔吐おうとおこかた,吐物の性状せいじょうおよび嘔吐おうと以外いがい症状しょうじょう発熱はつねつ便通べんつう腹部ふくぶ所見しょけん頭痛ずつう意識いしき障害しょうがいこう強直きょうちょく,ケルニッヒ徴候ちょうこう)に留意りゅういすることが必要ひつようである。
執筆しっぴつしゃ

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日本にっぽんだい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ)嘔吐おうと」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

嘔吐おうと医学いがく
おうと

内容ないようぶつ食道しょくどう口腔こうくう(こうくう)を逆流ぎゃくりゅうして排出はいしゅつされる現象げんしょうをいう。嘔吐おうとさいしては、幽門ゆうもん収縮しゅうしゅくし、噴門ふんもん弛緩しかん(しかん)し、横隔膜おうかくまく急激きゅうげきなれんちぢみ腹筋ふっきん収縮しゅうしゅくによって腹腔ふくこうないあついちじるしく上昇じょうしょうし、圧迫あっぱくされて内容ないようぶつ噴門ふんもんから弛緩しかんした食道しょくどうされ、食道しょくどうぎゃく蠕動ぜんどう(ぜんどう)により口腔こうくう吐出はきだされる。このとき、気管きかん鼻腔びこうへの通路つうろじる。このように、嘔吐おうと一連いちれん複雑ふくざつ反射はんしゃ運動うんどう組合くみあわせよりなる異常いじょう運動うんどうである。嘔吐おうとは、延髄えんずいにある嘔吐おうと中枢ちゅうすう直接ちょくせつまたは反射はんしゃてき刺激しげきされておこる。直接ちょくせつ刺激しげきとしては、大脳皮質だいのうひしつからの精神せいしんてき心理しんりてき因子いんし機械きかいてき刺激しげきのうあつ亢進こうしん(こうしん))、化学かがくてき刺激しげき薬物やくぶつ代謝たいしゃ産物さんぶつ)がある。また、腹部ふくぶ内臓ないぞうからの反射はんしゃてき刺激しげきがある。嘔吐おうと中枢ちゅうすう解剖かいぼうがくてき呼吸こきゅう中枢ちゅうすう血管けっかん運動うんどう中枢ちゅうすうなどとせっしているため、嘔吐おうとさいし、発汗はっかんじょみゃく、めまい、蒼白そうはく(そうはく)などの症状しょうじょうもおこる。さらに、嘔吐おうとまえには悪心あくしん(おしん))をともなうことがおおい。なお、嘔吐おうと中枢ちゅうすう刺激しげき閾値(いきち)は個人こじんおおきい。

 嘔吐おうとをきたす疾患しっかんはきわめておおく、消化しょうかかんをはじめ生体せいたいないのほとんどすべての臓器ぞうき器質きしつてき疾患しっかん精神せいしん障害しょうがいふくめ、多岐たきにわたる。まず、疾患しっかんでは急性きゅうせい胃炎いえん消化しょうかせい潰瘍かいよう(かいよう)(十二指腸じゅうにしちょう潰瘍かいよう)、胃癌いがん(がん)などがある。とくに大量たいりょう食物しょくもつざん渣(ざんさ)を場合ばあいは、幽門ゆうもん狭窄きょうさく(きょうさく)がかんがえられる。また、吐物ちゅう血液けつえき混入こんにゅうする場合ばあいは、潰瘍かいようがんおおい。大量たいりょう出血しゅっけつ吐血とけつした場合ばあい出血しゅっけつ直後ちょくごならしん鮮血せんけついろていするが、出血しゅっけつ時間じかんると、血液けつえき胃酸いさん変性へんせいしてコーヒーざん渣様をていする。またはげしい嘔吐おうとかえすと食道しょくどう噴門ふんもん接合せつごう粘膜ねんまく亀裂きれつ(きれつ)がしょうじ、大量たいりょう吐血とけつをみることがある。これをマロリー‐ワイスMallory-Weiss症候群しょうこうぐんという。食道しょくどう静脈じょうみゃくこぶ(りゅう)の破裂はれつ大量たいりょう吐血とけつをきたす。腹部ふくぶ内臓ないぞう疾患しっかんとしては、胆石たんせきしょう胆嚢たんのうえん(たんのうえん)、急性きゅうせい慢性まんせい膵炎(すいえん)、急性きゅうせい肝炎かんえん急性きゅうせい虫垂炎ちゅうすいえんちょうえん腹膜炎ふくまくえんなどがある。腸管ちょうかん閉塞へいそく(へいそく)(イレウス)でははげしい腹痛はらいた嘔吐おうとをきたし、吐物はしだいにくそしゅう(ふんしゅう)をびるのが特徴とくちょうである。そのほか、急性きゅうせい腎盂炎じんうえん(じんうえん)、じん尿にょうかん結石けっせきこころ疾患しっかん(うっけつせい心不全しんふぜん心筋梗塞しんきんこうそく(こうそく))、および卵管らんかんえんなどの婦人ふじん疾患しっかんでもみられる。また、妊娠にんしん可能かのう年齢ねんれい女性じょせいでは、妊娠にんしん初期しょき妊娠にんしん悪阻つわり(おそ)(つわり)による嘔吐おうと重要じゅうようである。一方いっぽう頭痛ずつうともない、ともなわない嘔吐おうと場合ばあいは、のうあつ亢進こうしんによるものがおおく、のうない出血しゅっけつ脳腫瘍のうしゅよう(しゅよう)、ずいまくえん高血圧こうけつあつせい脳症のうしょうなどがある。さらに、食中毒しょくちゅうどく細菌さいきん腐敗ふはいぶつ有毒ゆうどく食品しょくひん)、薬剤やくざい中毒ちゅうどく敗血症はいけつしょうによる毒素どくそ代謝たいしゃ異常いじょう肝不全かんふぜん尿毒症にょうどくしょう糖尿とうにょうびょうなど)によっても嘔吐おうとがおこる。また耳鼻じびてきにはメニエールびょう交通こうつう機関きかんったときにおこる動揺どうようびょうがあり、眼科がんかてきには緑内障りょくないしょう嘔吐おうとがみられる。

 嘔吐おうとさいしては、その原因げんいんとなる疾患しっかんはや確実かくじつあきらかにする必要ひつようがある。治療ちりょうは、はら疾患しっかんたいする治療ちりょう先決せんけつであるが、対症たいしょうてきには嘔吐おうと中枢ちゅうすう鎮静ちんせいする薬剤やくざいもちいたり、鎮痙(ちんけい)ざい粘膜ねんまく麻痺まひ(まひ)ざいなども使つかわれる。とくにはげしい嘔吐おうと場合ばあいは、てき脱水だっすい代謝たいしゃ異常いじょう栄養えいよう障害しょうがいをきたすこともあるので、十分じゅうぶんえき必要ひつようである。

竹内たけうち ただし白鳥しらとり敬子けいこ


嘔吐おうと(サルトルの小説しょうせつ
おうと
La Nausée

フランスの作家さっかサルトルの長編ちょうへん小説しょうせつ。1938年刊ねんかん。アントワーヌ・ロカンタンという人物じんぶつ日記にっきという形式けいしきをとっている。家族かぞくもなく、ただひとりブービルという港町みなとちょうんで、図書館としょかん調しらぶつつづけるロカンタンは、ある突然とつぜん平凡へいぼん物体ぶったいおぼえ、その経験けいけんをつきつめて、ついに存在そんざい偶然ぐうぜんせい発見はっけんみちびかれる。すべてのものは、たまたま「そこにある」にすぎず、存在そんざいすることになんの意味いみもない。人間にんげん同様どうようである。ロカンタンはこれを不条理ふじょうりづけるとともに、もののように存在そんざいしてはいない芸術げいじゅつ世界せかいではすべてが必然ひつぜんてき配置はいちされていることにづき、自分じぶんいちさつ虚構きょこう作品さくひんこうと決意けついかためる。

 フッサールとプルーストにふか影響えいきょうされた1930年代ねんだいのサルトルの思想しそうが、小説しょうせつかたちでみごとに構築こうちくされたもので、すうねんをかけてげたむだのない文体ぶんたいかれ、だい世界せかい大戦たいせん文学ぶんがく絶大ぜつだい影響えいきょうおよぼした。

鈴木すずき道彦みちひこ

白井しらい浩司こうじやく嘔吐おうと』(1994改訂かいていばん人文書院じんぶんしょいん)』

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ブリタニカ国際こくさいだい百科ひゃっか事典じてん しょう項目こうもく事典じてん嘔吐おうと」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

嘔吐おうと
おうと
vomiting

延髄えんずいにある嘔吐おうと中枢ちゅうすう刺激しげきによってぎゃくぜんどう横隔膜おうかくまくきょじょう噴門ふんもん開口かいこうなどがおこり,内容ないよう現象げんしょうをいう。原因げんいんとしては消化しょうか疾患しっかんによるものと,臓器ぞうき疾患しっかんから反射はんしゃてきおこるものや中枢ちゅうすうせいのものがある。疾患しっかんでは,胃炎いえん胃癌いがん胃潰瘍いかいようなどでおこりやすく,がん潰瘍かいよう幽門ゆうもん狭窄きょうさくすると頻発ひんぱつする。ちょう疾患しっかんでは,イレウス (腸閉塞ちょうへいそくしょう) ,虫垂炎ちゅうすいえんなどによくおこる。そのほか,胆石たんせき発作ほっさ急性きゅうせい膵炎でも嘔吐おうとおこりやすい。中枢ちゅうすうせいのものとしては,不快ふかいかん頭蓋とうがいないあつ亢進こうしん尿毒症にょうどくしょう妊娠にんしん中毒ちゅうどくしょうなどのほか,船酔ふなよいやメニエール症候群しょうこうぐんなどの迷路めいろ刺激しげきによることもある。

嘔吐おうと
おうと
La Nausée

フランスの哲学てつがくしゃ作家さっかサルトル小説しょうせつ。 1938年刊ねんかん主人公しゅじんこう内的ないてき体験たいけん日記にっきかたちきした一種いっしゅ哲学てつがく小説しょうせつで,かれアントアーヌ・ロカンタンは周囲しゅうい事物じぶつ人間にんげん,そして自分じぶん自身じしんたいしてときどき不可解ふかかいかんじ,その原因げんいんさぐるうち,それらがすべてなんの存在そんざい理由りゆうもなくそこにあるということからくるのだとさとる。作者さくしゃがのちにとなえる実存じつぞん主義しゅぎ哲学てつがくがすでにその姿すがたあらわしているが,力強ちからづよ表現ひょうげん具体ぐたいてき興味きょうみある挿話そうわとにより,哲学てつがくてき考察こうさつ抽象ちゅうしょうせいかんじさせない。

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普及ふきゅうばん どおり嘔吐おうと」のみ・字形じけい画数かくすう意味いみ

嘔吐おうと】おうと

く。

どおり「嘔」の項目こうもく

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栄養えいよう生化学せいかがく辞典じてん嘔吐おうと」の解説かいせつ

嘔吐おうと

 内容ないようぶつ強制きょうせいてき食道しょくどう口腔こうくう排出はいしゅつされる現象げんしょう

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世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん旧版きゅうばんうち嘔吐おうと言及げんきゅう

悪心あくしん】より

,嘔気ともいい,いまにも嘔吐おうとしそうな不快ふかい感覚かんかくをいう。嘔吐おうと先行せんこうすることがおおい。…

※「嘔吐おうと」について言及げんきゅうしている用語ようご解説かいせつ一部いちぶ掲載けいさいしています。

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