太田おおた（読よみ）オオタ

群馬ぐんま県けん南東なんとう部ぶの市し。2005年ねん3月がつ旧きゅう太田おおた市しと尾島おじま（おじま），新田にった（にった），薮塚本やぶづかほん町まち（やぶづかほんまち）の3町まちが合体がったいして成立せいりつした。人口じんこう21万まん6465（2010）。

太田おおた

太田おおた市し東部とうぶの旧きゅう市しで工業こうぎょう都市とし。1948年ねん市制しせい。人口じんこう14万まん7906（2000）。利根川とねがわと渡良瀬川わたらせがわにはさまれた広ひろい低地ていちを占しめ，北部ほくぶに八王子はちおうじ丘陵きゅうりょう，中央ちゅうおう部ぶに金山かなやま丘陵きゅうりょうがある。中世ちゅうせいは新田にった氏しの所領しょりょうで，金山かなやまには金山かなやま城じょうが築きずかれた。徳川とくがわ家康いえやすが建立こんりゅうした大光たいこう院いん（子こ育そだて呑竜）の門前もんぜ町まちとして，また日光にっこう例幣れいへい使し街道かいどうの宿場しゅくば町まちとして発達はったつした。1919年ねん中島なかじま飛行機ひこうき製作所せいさくしょが設立せつりつされ，第だい2次じ大戦たいせん中ちゅうは一大いちだい軍需ぐんじゅ工業こうぎょう地帯ちたいの中心ちゅうしんとなった。戦後せんご軍需ぐんじゅ工場こうじょうは壊滅かいめつしたが，50年ねんころからスクーター製造せいぞうやメリヤス工業こうぎょうが興おこり，その後ご中島なかじま飛行機ひこうきの跡あとを継ついだ富士重工ふじじゅうこうの自動車じどうしゃ生産せいさんを頂点ちょうてんに，電機でんき，機械きかい，金属きんぞく，プラスチックなどの工場こうじょうが立地りっちし，近年きんねんは高崎たかさき，前橋まえばしを大おおきくひきはなして群馬ぐんま県内けんない第だい1位い，1兆ちょう2670億おく円えん，県けん全体ぜんたいの16%（1995）の工業こうぎょう出荷しゅっか額がくを誇ほこっている。東武とうぶ伊勢崎いせざき線せんが通つうじ，桐生線きりゅうせん，小泉線こいずみせんを分岐ぶんきする。2008年ねん北関東きたかんとう自動車じどうしゃ道どうが開通かいつう。
執筆しっぴつ者しゃ：有末ありすえ 武夫たけお

太田おおた宿やど

上野うえの国こく新田にった郡ぐん，日光にっこう例幣れいへい使し街道かいどうの宿駅しゅくえき。1613年ねん（慶長けいちょう18）に建立こんりゅうされた大光たいこう院いん（寺領じりょう300石せき）の門前もんぜ町まちが複ふく合あわして発展はってんした。43年ねん（寛永かんえい20）に町まち割わりされ，45年ねん（正保しょうほう2）に宿やどが成立せいりつした。81年ねん（天和てんわ1）以降いこう天領てんりょう。1843年ねん（天保てんぽう14）の宿やど高だか548石せき余あまり，家数やかず406，人口じんこう1496，本陣ほんじん，脇本わきもと陣じん，問屋とんやのほか旅籠はたご屋や10。
執筆しっぴつ者しゃ：井上いのうえ 定幸さだゆき

尾島おじま

太田おおた市し南西なんせい端はしの旧きゅう町まち。旧きゅう新田にった郡ぐん所属しょぞく。人口じんこう1万まん4263（2000）。利根川とねがわ中流ちゅうりゅう北岸ほくがんの低地ていちを占しめる。中心ちゅうしん集落しゅうらくの尾島おじまは繭まゆ取引とりひきの市場いちば町まちから発達はったつした周辺しゅうへん農村のうそんの商業しょうぎょう中心ちゅうしんである。かつては養蚕ようさんを主おもとした農村のうそんであったが，第だい2次じ世界せかい大戦たいせん中ちゅうに旧きゅう太田おおた市しに進出しんしゅつした旧きゅう中島なかじま飛行機ひこうきの分ぶん工場こうじょうがつくられ，軍需ぐんじゅ産業さんぎょうで活況かっきょうを呈ていした。1950年代ねんだい中ちゅうごろから桑園そうえんの普通ふつう畑はたけへの転換てんかんが進すすみ，現在げんざいは野菜やさいの産地さんちとなっている。特産とくさんのヤマトイモをはじめゴボウ，ネギなどが多おおい。60年ねんには首都しゅと圏けん市街地しがいち開発かいはつ区域くいきに指定していされ，軍需ぐんじゅ工場こうじょう跡あとに三菱電機みつびしでんきを誘致ゆうちした。中世ちゅうせいに新田にった荘そうに属ぞくし，新田にった氏しとの関係かんけいが深ふかく，また徳川とくがわ氏しが新田にった一族いちぞくの後裔こうえいを称しょうした関係かんけいで，長楽寺ちょうらくじ，東照宮とうしょうぐうなど両氏りょうしゆかりの社寺しゃじが多おおい。

新田にった

太田おおた市し西部せいぶ中央ちゅうおうの旧きゅう町まち。旧きゅう新田にった郡ぐん所属しょぞく。人口じんこう2万まん9606（2000）。旧きゅう太田おおた市しの西にしに接せっする。町まち域いきの北部ほくぶは大間々おおまま扇状地せんじょうちの扇おうぎ端はしにあたり，畑地はたちが卓越たくえつし，標高ひょうこう55m前後ぜんごの湧水わきみず帯たい以南いなんは水田すいでんが広ひろがる。平安へいあん末期まっきから中世ちゅうせいには新田にった荘そうに含ふくまれ，中心ちゅうしん集落しゅうらくの木崎きざきは，江戸えど時代じだいは日光にっこう例幣れいへい使し街道かいどうの宿場しゅくば町まちであった。米べいと養蚕ようさんを中心ちゅうしんとする農村のうそんであったが，近年きんねんはキュウリ，トマトなどの施設しせつ園芸えんげいや畜産ちくさんが盛さかんになっている。1960年代ねんだい中ちゅうごろから工場こうじょう誘致ゆうちを進すすめ，70年代ねんだいには従業じゅうぎょう者しゃ数すう，出荷しゅっか額がくとも大おおきくふえた。東武とうぶ伊勢崎いせざき線せん木崎きざき駅えき付近ふきんにはビール工場こうじょうが立地りっち。生品なましな（いくしな）神社じんじゃ付近ふきんは新田にった義貞よしさだ伝説でんせつ地ちとして国くにの史跡しせきに指定していされ，照明寺しょうめいじの寺地てらちは義貞よしさだの反町そりまち（そりまち）館かん跡あとといわれる。

藪塚本やぶづかほん町まち

太田おおた市し北西ほくせい部ぶの旧きゅう町まち。旧きゅう新田にった郡ぐん所属しょぞく。人口じんこう1万まん8247（2000）。渡良瀬川わたらせがわの大だい間あいだ々扇状地せんじょうちの扇おうぎ央ひさし部ぶを占しめる。北東ほくとうは八王子はちおうじ丘陵きゅうりょうが連つらなって桐生きりゅう市しに接せっし，東武とうぶ桐生線きりゅうせんが通つうじる。扇状地せんじょうちは笠懸かさかけ野の（かさかけの）と呼よばれ，江戸えど時代じだい初期しょきに岡おか登のぼる（おかのぼり）用水ようすいが開削かいさくされて水田すいでんとなった。中心ちゅうしん集落しゅうらくの大原おおはら（おおばら）はこのときの新田にった集落しゅうらくで，足尾あしお鉱山こうざんの銅どうを江戸えどへ運はこぶ銅どう（あかがね）街道かいどうの宿場しゅくば町まちでもあった。第だい2次じ大戦たいせん後ご，平地ひらち林りんの開墾かいこんが進すすみ，現在げんざいは野菜やさい畑はたけとして利用りようされている。漬物つけものにするダイコンを特産とくさんする。酪農らくのうも行おこなわれる。八王子はちおうじ丘陵きゅうりょうのふもとには北山きたやま古墳こふん，西山にしやま古墳こふんなどがあるほか，藪塚やぶづか温泉おんせん（含炭酸たんさん重曹じゅうそう泉いずみ，25℃）や世界せかいのヘビを集あつめたスネークセンターがある。東武とうぶ桐生線きりゅうせんが通つうじ，2008年ねんに開通かいつうした北関東きたかんとう自動車じどうしゃ道どうの太田おおた藪塚やぶづかインターチェンジがある。
執筆しっぴつ者しゃ：千葉ちば 立りつ也

茨城いばらき県けん常陸太田ひたちおおた市しの旧名きゅうめい。すでに《常陸ひたち国こく風土記ふどき》や《和名わみょう抄しょう》の中なかに久慈くじ郡ぐん太田おおた里さと・大田おおた郷きょうとしてあらわれる。平安へいあん末期まっきのころ，久慈くじ郡ぐん佐竹さたけ郷きょうを領有りょうゆうしていた常陸ひたち介かい隆義たかよしがこの地ちに移住いじゅうして太田おおた四郎しろうと称しょうし，その子こ秀義ひでよしの時代じだいには《吾妻あづま鏡きょう》の治ち承うけたまわ4年ねん（1180）11月8日にち条じょうによれば，頼朝よりともの挙兵きょへいに従したがわなかったためその所領しょりょうを没収ぼっしゅうされたが，没収ぼっしゅう所領しょりょうの中なかには常陸ひたち国こく奥おく七なな郡ぐんなどとともに太田おおたもふくまれていたことが判明はんめいする。爾来じらい400年ねん佐竹さたけ氏しはここを居城きょじょうとしていたが，室町むろまち時代じだいに一族いちぞく内紛ないふんにより太田おおたを追おわれたこともある。戦国せんごく時代じだい末まつ，佐竹さたけ義重よししげのとき江戸えど氏しを追おってその居城きょじょう水戸みとに移うつり，さらに関ヶ原せきがはらの戦後せんご，佐竹さたけ義宣よしのぶが秋田あきたに転てん封ふうしてからは太田おおたは水戸みと藩はんに編入へんにゅうされた。近世きんせいには米穀べいこく，タバコ，こんにゃくなど常陸ひたち北部ほくぶの特産とくさん物ぶつの取引とりひき市場いちばに変貌へんぼうし，繁栄はんえいした。1768年ねん（明和めいわ5）ころから77年ねん（安永やすなが6）の間あいだ，この地ちの木前きまえ（木崎きざき）に銭ぜに座ざが設もうけられ，毎年まいとしその益金えききんの中なかから2万まん両りょうが水戸みと藩はんに進すすむ納おさめされたと伝つたえられている。1954年ねん，太田おおた町まち以下いかの諸しょ村むらが合体がったいし，常陸太田ひたちおおた市しとなった。
執筆しっぴつ者しゃ：佐々木ささき 銀ぎん弥わたる

→大仙だいせん［市し］