デジタル大辞泉だいじせん 「憎にくしみ」の意味いみ・読よみ・例文れいぶん・類語るいご にくし‐み【憎にくしみ】 憎にくいと思おもうこと。憎悪ぞうおの気持きもち。「憎にくしみに満みちたまなざし」「周囲しゅういの憎にくしみを買かう」[類語るいご]嫌悪けんお・憎悪ぞうお・厭いや悪わる・恨うらみ・怨恨えんこんえんこん・怨嗟えんさえんさ・意趣いしゅ・私怨しえんしえん・遺恨いこんいこん・怨念おんねんおんねん・宿意しゅくい・宿怨しゅくえんしゅくえん・宿やど恨・積怨せきえんせきえん・旧怨きゅうえんきゅうえん・仇かたきあだ・復讐ふくしゅう心しんふくしゅうしん・逆恨さかうらみ・恨うらめしい 出典しゅってん 小学館しょうがくかんデジタル大辞泉だいじせんについて 情報じょうほう | 凡例はんれい
日本にっぽん大だい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ) 「憎にくしみ」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ 憎にくしみにくしみhate 好すき嫌きらいの感情かんじょうと同おなじように、愛あいと憎にくしみは対立たいりつした感情かんじょうであるが、好すき嫌きらいの場合ばあいには感情かんじょう的てき評価ひょうかが主おもとなっており、愛憎あいぞうはより衝動しょうどう的てきなものである。この対立たいりつした感情かんじょうのなかには、羨望せんぼう(せんぼう)、嫉妬しっと(しっと)、敵意てきい、恨うらみなどが隠かくされている。愛憎あいぞうの対立たいりつは「かわいさ余あまって憎にくさ百ひゃく倍ばい」といわれるように、相互そうごに転換てんかんされるものである。フロイトは愛あいは性せい衝動しょうどうに由来ゆらいし、憎にくしみは自己じこ保存ほぞんの衝動しょうどうに由来ゆらいするというが、この限かぎりでは、愛あいより憎にくしみのほうが発生はっせい的てきに早はやいと考かんがえられる。愛憎あいぞうの対立たいりつが現あらわれるのは、性せい心理しんり的てきな発達はったつ段階だんかいでいえば、男根だんこん期き(エディプス期き)以後いごになってからといわれる。それ以前いぜんの発達はったつ段階だんかいでは、性せい衝動しょうどうは対象たいしょうを征服せいふくし支配しはいし、ときによれば破壊はかいしようとする傾向けいこうがあるので、愛あいと憎にくしみを区別くべつすることは困難こんなんである。このため愛あいと憎にくしみは、無意識むいしき系けいでは区別くべつされないものと考かんがえられる。これらの感情かんじょうはもともと両面りょうめん感情かんじょう的てきであり、ときによって愛あいあるいは憎にくしみとして意識いしきされるにすぎない。[外林そとばやし大作たいさく・川幡かわはた政道まさみち]『フロイト著ちょ、小此木おこのぎ啓吾けいご訳やく「本能ほんのうとその運命うんめい」(『フロイト著作ちょさく集しゅう6』所収しょしゅう・1970・人文書院じんぶんしょいん)』 出典しゅってん 小学館しょうがくかん 日本にっぽん大だい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ)日本にっぽん大だい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ)について 情報じょうほう | 凡例はんれい