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採光(サイコウ)とは? 意味や使い方 - コトバンク

採光さいこうみ)サイコウ英語えいご表記ひょうき)daylighting

デジタル大辞泉だいじせん採光さいこう」の意味いみみ・例文れいぶん類語るいご

さい‐こう〔‐クワウ〕【採光さいこう

(スル)室内しつない日光にっこうなどの光線こうせんをとりれること。「天窓てんまどから採光さいこうした部屋へや

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精選せいせんばん 日本にっぽん国語こくごだい辞典じてん採光さいこう」の意味いみみ・例文れいぶん類語るいご

さい‐こう‥クヮウ採光さいこう

  1. 名詞めいし 室外しつがいあかるさを、えんまど天窓てんまどなどをとおしてれること。
    1. [初出しょしゅつ実例じつれい]「はかめん玻璃はりまど装置そうち回転かいてん自在じざいならしめ、採光さいこう換気かんき便利べんりはかれり」(出典しゅってん日本にっぽん下層かそう社会しゃかい(1899)〈横山よこやま源之助げんのすけよん)

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改訂かいてい新版しんぱん 世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん採光さいこう」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

採光さいこう (さいこう)
daylighting

室内しつない中庭なかにわ昼間ひるま自然しぜんこうひるひかり)を適切てきせつにとりれて,もののやすい環境かんきょう形成けいせいしたり,あかるい雰囲気ふんいき演出えんしゅつする建築けんちく技術ぎじゅつのこと。人工じんこう光源こうげんもちいる人工じんこう照明しょうめいたいして,自然しぜん照明しょうめいまたはひるひかり照明しょうめいともいう。有効ゆうこう採光さいこうおこなうためになされる建物たてもの配置はいち形状けいじょうまどおおきさ・かたち位置いち材料ざいりょう室内しつない表面ひょうめん仕上しあげ材料ざいりょう色彩しきさいなどにかんするくふうを採光さいこう設計せっけいという。

ひるこうみなもと太陽たいようである。太陽たいようから放射ほうしゃされ地球ちきゅう到達とうたつするひかりは,一部いちぶ大気たいきそう散乱さんらんまたは吸収きゅうしゅうされ,のこりは直射ちょくしゃ日光にっこうとして地表ちひょうとどく。大気たいきそう散乱さんらんまたは吸収きゅうしゅうされたひかりは,直接ちょくせつ,あるいはさらに散乱さんらん吸収きゅうしゅうかえしたのちに,一部いちぶ青空あおぞらこうとして地表ちひょうめんたっし,一部いちぶふたた大気圏たいきけんがいる。曇天どんてん場合ばあいは,くもによる拡散かくさん透過とうか反射はんしゃ曇天どんてんこう地表ちひょうめん到達とうたつする。青空あおぞらひかり曇天どんてんこう総合そうごうして天空てんくうこうび,直射ちょくしゃ日光にっこう天空てんくうこう総合そうごうしてひるひかりぶ。太陽たいようによってあたえられるあかるさは,大気圏たいきけんがい法線ほうせんめんでは平均へいきん12まん6800lx,ぶし天候てんこう左右さゆうされるが地表ちひょうめんでもすうせんからすうまんlxであるから,ひるひかりはきわめておおきな照明しょうめいのための自然しぜんエネルギーであるといえる。

 ひるひかり照明しょうめい特色とくしょくは,自然しぜんせい変動へんどうせいにある。人類じんるいひるひかり条件じょうけんづけられて進化しんかしてきたので,人間にんげん生活せいかつには昼夜ちゅうや反映はんえいしたリズムがあり,生体せいたい内部ないぶにおいても,それに対応たいおうした変化へんかしょうじている。このように,人間にんげん生活せいかつひるこうあいだには本質ほんしつてき不可分ふかぶん側面そくめんがある。開口かいこうからのひるこう導入どうにゅうは,外部がいぶ自然しぜんとの継続けいぞくてき接触せっしょく意味いみし,たんあかるさをあたえるだけでなく,きわめて人間にんげんてき要求ようきゅうであるながめや天候てんこうたいする関心かんしんたしてくれる。分光ぶんこう分布ぶんぷかたよりのないひるひかりは,もっとも自然しぜんひかりしょくかんじられるし,ひるこうした事物じぶついろただしい色彩しきさいられる。また,時々刻々じじこっこくあかるさの変化へんかする環境かんきょうでは,きした雰囲気ふんいき維持いじしやすく,居住きょじゅうしゃ作業さぎょうしゃ単調たんちょうかん倦怠けんたいかんおちいることなしに生活せいかつ仕事しごと遂行すいこうできる。反面はんめんひるひかり照明しょうめい欠点けってん限界げんかい指摘してきできる。時間じかんてき安定あんていした照明しょうめい条件じょうけん空間くうかんてき均整きんせい照明しょうめい条件じょうけんつよもとめられる工場こうじょうなどにおいては,自然しぜんこう変動へんどうせいつごうであり,詳細しょうさい規則きそくせいのある条件じょうけん設定せってい可能かのうにする人工じんこう照明しょうめいたよることとなる。とくに,直射ちょくしゃ日光にっこう方向ほうこうせいつよく,部分ぶぶんてき強烈きょうれつ照射しょうしゃをしやすいので,不用意ふようい採光さいこうは,よい環境かんきょう形成けいせいさまたげるばかりでなく,種々しゅじゅがいおよぼすおそれがある。直射ちょくしゃ日光にっこうおおふくまれる紫外線しがいせん健康けんこう有用ゆうようはたらきをゆうするが,過剰かじょう紫外線しがいせん白内障はくないしょう皮膚ひふえんなどの原因げんいんともなるし,化学かがく作用さようによって敷物しきもの家具かぐ退色たいしょく汚損おそんこす。採光さいこう必然ひつぜんてきともなねつ空気くうきおとなどの要素ようそが,機械きかいてき環境かんきょう制御せいぎょにとっての外乱がいらんとなることもおおい。

構造こうぞうじょう開口かいこうりにくいいし煉瓦れんがくみせきしき構造こうぞう主体しゅたい西洋せいよう建築けんちく発達はったつ歴史れきしは,かべたい荷重におもからいかに解放かいほうして採光さいこうおこなうかのくふうの連続れんぞくることができる。古代こだいエジプトの神殿しんでん建築けんちく採光さいこうは,れつばしら上部じょうぶもうけられたこうまどによっておこなわれ,はめまれたいし格子こうし太陽光たいようあきら入射にゅうしゃりょう調節ちょうせつしていた。古代こだいローマで発達はったつしたアーチは,荷重かじゅう左右さゆうにふりけてなが画期的かっきてき技術ぎじゅつで,建築けんちく開口かいこう拡大かくだいにおおいに寄与きよした。中世ちゅうせいロマネスクからゴシック建築けんちく技術ぎじゅつ発達はったつは,ボールト技術ぎじゅつ発達はったつであった。ゴシックのだい聖堂せいどううつくしいステンドグラスをはめたこうまどは,とんがあたまリブ・ボールトとフライングバットレスという構造こうぞう技術ぎじゅつによって可能かのうとなった。近代きんだい建築けんちく成立せいりつさせているてつコンクリートは,さらにこのような構造こうぞうてき可能かのうせい範囲はんいひろげ,今日きょうでは,ガラスのカーテンウォール建築けんちくなど,全面ぜんめんまどともいえる建築けんちく構造こうぞう出現しゅつげんさせている。

 構造こうぞうならんで採光さいこう発達はったつかんする要因よういんは,ひかり透過とうか材料ざいりょうとしてのガラスである。ガラスはきわめてふる材料ざいりょうであり,古代こだいローマなどではすでにまど材料ざいりょうとして使用しようされていたとつたえられるが,高価こうか貴重きちょう材料ざいりょうであって一般いっぱん普及ふきゅうしていたわけではない。しかし,中世ちゅうせいから近代きんだいにかけて,ガラスの製法せいほう非常ひじょう発達はったつし,生産せいさんりょうおおくなり,世俗せぞく建築けんちくにもガラスがしだいに使用しようされるようになった。やがてガラスをはめんだ木製もくせい鉄製てつせいサッシ開発かいはつされるようになった。産業さんぎょう革命かくめい時代じだい以後いごは,大型おおがたいたガラスが大量たいりょうかつ安価あんか生産せいさんされるようになり,一般いっぱん住宅じゅうたくへの需要じゅようたかまった。1851ねんロンドン万国博覧会ばんこくはくらんかい会場かいじょうとして建築けんちくされたクリスタル・パレスは,だい構のガラス屋根やね実現じつげんあたらしい時代じだい象徴しょうちょうした。

 木造もくぞうじくぐみ構造こうぞうてられる日本にっぽん建築けんちくでは,はしら荷重かじゅうささかべ力学りきがくてき負担ふたんはないので,開口かいこう確保かくほするための苦労くろうはない。まどあいだつうじ,はしらはしらあいだおおうものであり,西洋せいようまど語源ごげんのようにかべにうがったあなとはことなる意味いみをもつ。住宅じゅうたく原型げんけいともいわれる寝殿造しんでんづくり書院造しょいんづくり建築けんちくでは,はしらあいだいっぱいの建具たてぐ使用しようされきわめて開放かいほうてきにつくられた。ふかいひさしとひろ縁側えんがわは,直射ちょくしゃ日光にっこう室内しつないへの利用りようをうまく調節ちょうせつしているし,かみ障子しょうじそとこう拡散かくさんしてやわらかい雰囲気ふんいきをつくるすぐれたくふうであった。
まど

しゅとして,ひるひかりをとりれる開口かいこう位置いちによって分類ぶんるいされる(1)。

外壁がいへきめんもうけられた鉛直えんちょくがわまど(がわまど)によって側面そくめんから採光さいこうするもっとも一般いっぱんてき方法ほうほうがわこう,またはがわまど採光さいこうという。がわまどかず配置はいち観点かんてんからがわこうをさらにければ,片側かたがわ採光さいこう両側りょうがわ採光さいこうめん採光さいこう三面さんめん採光さいこう四面しめん採光さいこうとなる。天窓てんまどその比較ひかくすれば,がわまど構造こうぞう単純たんじゅんであり,あめ仕舞じまいなどにたいする配慮はいりょ施工しこう容易よういである。使用しようさいしては,開閉かいへい操作そうさ清掃せいそう保守ほしゅてん有利ゆうりであり,開放かいほうかんながめ,通風つうふうさえぎねつなどの機能きのうにおいてもすぐれる。反面はんめん隣接りんせつ建物たてものなど周辺しゅうへん状況じょうきょうによって採光さいこう妨害ぼうがいされる可能かのうせいたかい。また,とくに片側かたがわ採光さいこう場合ばあいひかりながれが一方いっぽうてきになり,窓側まどがわしつおくあいだあかるさの極端きょくたん差異さい居住きょじゅうしゃ顔面がんめんなどにおけるつよ陰影いんえいまどめん明暗めいあんによるまぶしさなど,このましくない効果こうかしょうずるおそれもある。

屋根やねまたは天井てんじょうめんもうけた天窓てんまどによる採光さいこういただきこう,または天窓てんまど採光さいこうという。いただきこう得失とくしつは,がわこうのそれとおおむね相反あいはんするが,開口かいこうおおきさにして採光さいこうりょうおおく,上方かみがたより流入りゅうにゅうするひかり室内しつない雰囲気ふんいき形成けいせい強力きょうりょく作用さようするてんは,そのおおきな特色とくしょくである。

いただきこうおなじく上方かみがたからの採光さいこうおこなうが,採光さいこう効果こうかあめ仕舞じまい必要ひつようから高所こうしょもうけた鉛直えんちょくいただきがわまど利用りようする方法ほうほういただきがわこうという。いただきがわこういただきこうおなじような得失とくしつをもち,工場こうじょう建築けんちく採用さいようされるのこぎり屋根やねはその代表だいひょうてきれいである。また,照明しょうめいこう方向ほうこうせいについてきびしい要求ようきゅうがなされる美術館びじゅつかん博物館はくぶつかん建築けんちくにもこの方式ほうしきかんするくふうがおおられる。

以上いじょうぞくさない特殊とくしゅなものとしては,開口かいこうかたちをくふうして地表ちひょうめんよりの反射はんしゃこうなど下方かほうよりのひかりをとりれるそここうがある。これは,日射にっしゃ侵入しんにゅう防止ぼうし照明しょうめい劇的げきてき効果こうかなどを目的もくてきとして計画けいかくされる。そのほか,ひるこう直接的ちょくせつてき導入どうにゅうがむずかしい地下ちかしつだい建築けんちくぶつ中心ちゅうしんへの採光さいこうのため,反射はんしゃきょうわせた日照ひでりきょうかがみうちばりしたひかりダクト,繊維状せんいじょう素材そざいたばねたひかりファイバーなどを利用りようする技術ぎじゅつ開発かいはつされている。

ひるこうによってしょうずる室内しつないあかるさは,天空てんくう状態じょうたい変化へんかおうじて変動へんどうするので,照度しょうど単位たんいlx)などあかるさの絶対ぜったいりょうあらわ単位たんい採光さいこう設計せっけい目標もくひょう評価ひょうか指標しひょうもちいることができない。そこで,室内しつないにおける採光さいこうりょう天空てんくうこう利用りようりつ相当そうとうするひるひかりりつによって表現ひょうげんされる。室内しつないのあるてんひるひかりりつとは,2にしめすように,そのてんにおける水平面すいへいめん照度しょうどEと,天井てんじょうかべなどすべてのしゃへい要素ようそのぞったと仮想かそうした場合ばあいぜん天空てんくうによってしょうずるであろう水平面すいへいめん照度しょうどぜん天空てんくう照度しょうどESとの百分率ひゃくぶんりつ(%)であらわしたものである。ひるひかりりつ実際じっさい測定そくていするには,屋上おくじょうなど,室内しつない照度しょうど測定そくていてんからなるべくちかく,天空てんくう全体ぜんたいのぞめる場所ばしょで,室内しつない照度しょうどどう時刻じこくぜん天空てんくう照度しょうど測定そくていする必要ひつようがある。ひるひかりりつ種々しゅじゅ仮定かていもとづき計算けいさんによって予測よそくすることもでき,予測よそくによって採光さいこうりょう理論りろんてき検討けんとうがなされる。一般いっぱん採光さいこう設計せっけいでは,所要しょようひるひかりりつさだめて,それを実現じつげんするためのまどおおきさなどの建築けんちくてき要素ようそめる。

ひるひかりりつさだまった室内しつないのあるてんにおいては,ぜん天空てんくう照度しょうどがわかれば照度しょうど予測よそくできる。ぜん天空てんくう照度しょうど時間じかんてき不規則ふきそく変動へんどうするが,その出現しゅつげん頻度ひんどはかなり安定あんていしており,定式ていしきできる。3は,午前ごぜん9から午後ごご5までの8あいだ時間じかんたいである一定いっていぜん天空てんくう照度しょうど確保かくほできる時間じかんてき割合わりあい百分率ひゃくぶんりつしめしたものである。たとえば,緯度いど35°付近ふきん地方ちほうでは,やく95%の時間じかんたいで5000lx前後ぜんこうぜん天空てんくう照度しょうどられることがみとれる。この場合ばあいひるひかりりつ2%のてんでは,上記じょうき時間じかんたいの95%では最低さいてい照度しょうど100lxが確保かくほされることになる。このように,要求ようきゅう目的もくてきおうじてことなるレベルの設計せっけいようぜん天空てんくう照度しょうど採用さいようできるが,人工じんこう照明しょうめい設備せつび前提ぜんていとしない最低さいてい照度しょうど確保かくほ目的もくてきとする採光さいこう設計せっけいでは,比較的ひかくてきくら天空てんくうについてのぜん天空てんくう照度しょうど5000lxを目安めやすとしてもちいる。

採光さいこうによる室内しつないあかるさの基準きじゅんとしては,一般いっぱん読書どくしょ事務じむ作業さぎょうなどではひるひかりりつ2%,裁縫さいほう製図せいずなどこまかい作業さぎょうではひるひかりりつ3%,こまかい作業さぎょう長時間ちょうじかん継続けいぞくする場合ばあいにはひるひかりりつ5%程度ていど目安めやすとされる。

室内しつないにおける明暗めいあんは,雰囲気ふんいきづくりにはやくだつが,作業さぎょう環境かんきょうにとってはつごうな場合ばあいおおい。一般いっぱんに,ひるひかりりつ分布ぶんぷ均整きんせいにすることはむずかしいが,教室きょうしつなどでは,極端きょくたんなむらがしょうじないよう配慮はいりょ必要ひつようである。まどはまぶしさの原因げんいんとなりやすい。カーテン,ブラインドなどまどめん輝度きどおさえるくふう,まどめん周辺しゅうへん輝度きど対比たいひちいさくするくふうが不可欠ふかけつである。ひかり方向ほうこうせいたいする配慮はいりょ重要じゅうようである。とくに,がわまど採光さいこう場合ばあい水平すいへい方向ほうこうからのつよひかりによって,にんかおもの立体りったいぞうつよ明暗めいあんしょうじてみにくくなる現象げんしょう手暗てくらがりの現象げんしょうまどにして人物じんぶつ物体ぶったいがシルエットにえる現象げんしょうなどこのましくない状況じょうきょうしょうずるおそれがある。

ひるひかりりつ大小だいしょうにもっとも直接的ちょくせつてき影響えいきょうする要素ようそまどおおきさである。そのため,建築けんちく基準きじゅんほうでは,にん常時じょうじ居住きょじゅうする部屋へや採光さいこう有効ゆうこうまどおおきさの最低さいてい基準きじゅん規定きていしている。居室きょしつ必要ひつようまど面積めんせきのそのゆか面積めんせきたいする割合わりあい開口かいこうりつ)は,しょうなか高等こうとう学校がっこうなどの教室きょうしつでは1/5,住宅じゅうたく病院びょういん病室びょうしつ診療しんりょうしょ寄宿舎きしゅくしゃ寝室しんしつなどでは1/7,これらの建物たてもののその居室きょしつでは1/10とされる。

おなじような形式けいしきまどでは,ひるひかりりつ開口かいこうりつにおおむね比例ひれいするが,かたち位置いち分布ぶんぷことなれば,その影響えいきょうける。がわまど場合ばあいまどまどかべ中央ちゅうおうにあってまどだいたかさが作業さぎょうめんたかさにちかいほどおおきな平均へいきんひるひかりりつあたえる。また,縦長たてながまど分割ぶんかつしないまどのほうが,横長よこながまど分割ぶんかつしたまどよりあかるさのりょうてんでは有効ゆうこうであるが,あかるさの分布ぶんぷてんではおとる。天窓てんまどは,比較的ひかくてきこれらの影響えいきょうけない。

片側かたがわ採光さいこう場合ばあい正方形せいほうけいちか平面へいめんがた部屋へやほどおおきな平均へいきんひるひかりりつられる。ただし,間口まぐち奥行おくゆきのが1:2から2:1程度ていど範囲はんいでは,あまりおおきなちがいはない。

ガラスなどまどもちいられる透過とうか材料ざいりょう透過とうかりつ拡散かくさんせいは,室内しつない導入どうにゅうされるひかりりょうしつてき性状せいじょう影響えいきょうする。一般いっぱん透過とうかりつ拡散かくさんせい相互そうごするので,採光さいこう目的もくてきおうじて各種かくしゅ材料ざいりょう特性とくせい十分じゅうぶん把握はあくしてもちいる必要ひつようがある。

反射はんしゃりつたかあかるい色彩しきさい材料ざいりょう仕上しあげられた部屋へやでは,入射にゅうしゃしたひかり室内しつない表面ひょうめんでよく反射はんしゃ拡散かくさんするので,採光さいこう効率こうりつたかまると同時どうじあかるさの分布ぶんぷ均整きんせいになる。
照明しょうめい
執筆しっぴつしゃ


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日本にっぽんだい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ)採光さいこう」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

採光さいこう
さいこう
daylighting

ひるひかり照明しょうめいまたは自然しぜん照明しょうめいともいう。建物たてものまどからひるひかりれて室内しつないあかるくし、ものやすく、またよい雰囲気ふんいきをつくるための建築けんちくてき技術ぎじゅつである。

松浦まつうら邦男くにお

採光さいこう要件ようけん

だいいちにそのしつ用途ようとおうずるあかるさをたもつことである。まどおおきさと配置はいちとをよくかんがえ、できるだけ室内しつない一様いちようあかるさの分布ぶんぷとなるようにする。まどから直射ちょくしゃ日光にっこうはいると不快ふかいなまぶしさ(グレアglare)をかんずることがあるので、よけなどでこれらを適当てきとう遮蔽しゃへい(しゃへい)できるようにする。また手暗てくらがりやひかりまく(こうまく)反射はんしゃ壁面へきめん展示てんじされた油絵あぶらえ机上きじょう紙面しめんなどがひかってえにくくなる現象げんしょう)がしょうじないようまど配置はいち注意ちゅういする。

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採光さいこうのための光源こうげん

通常つうじょうひるひかり光源こうげんとよぶ。そのみなもと太陽たいようであるが、地表ちひょうでは太陽たいようから大気たいき透過とうかして直接的ちょくせつてき入射にゅうしゃする直射ちょくしゃ日光にっこうと、大気たいきそう散乱さんらんされる青空あおぞらこうおよびくも拡散かくさん透過とうかするかあるいはくもから反射はんしゃされる曇天どんてんこうとがある。青空あおぞらひかり曇天どんてんこうをあわせて天空てんくうこうとよぶ。直射ちょくしゃ日光にっこう天候てんこうにより期待きたいできないことがあるので、安定あんていしたひるひかり光源こうげんとしては天空てんくうこうのみをかんがえる。あるめんへの入射にゅうしゃこうあかるさをしめりょう照度しょうどであり、その単位たんいはルクスである。大気たいきそう外側そとがわでの直射ちょくしゃ日光にっこう法線ほうせんめん照度しょうどやく12まん6800ルクスである。

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採光さいこうによるあかるさとその基準きじゅん

採光さいこうのための安定あんていした光源こうげんとして天空てんくうこうかんがえるが、これも直射ちょくしゃ日光にっこうほどでなくともえず変動へんどうするので、室内しつない照度しょうどもこれにしたがって変動へんどうする。そこで採光さいこうによる必要ひつようあかるさの基準きじゅんとしてなんルクスというように照度しょうどめてもあまり意味いみがない。このてん電灯でんとうなどによる夜間やかん照明しょうめいとはことなるてんである。建物たてもの内部ないぶあかるい部屋へやくら部屋へやというごく一般いっぱん通念つうねんがある。これは天候てんこうのよしあしに無関係むかんけいで、まどおおきい部屋へやあかるく、ちいさい部屋へやくらいという概念がいねんである。このような概念がいねん室内しつないあかるさとそとあかるさとの対応たいおうしているとかんがえられるので、室内しつない照度しょうどEとそのときの野外やがいでの障害しょうがいぶつのない天空てんくうからの野外やがい照度しょうどEsぜん天空てんくう照度しょうど)とのをとってひるひかりりつDとづけ、これを採光さいこうによるあかるさの指標しひょうとする。このとき両方りょうほう照度しょうどとも直射ちょくしゃ日光にっこうのぞいてかんがえている(A)。室内しつない必要ひつようあかるさの基準きじゅんとしては、ひょうのような基準きじゅんひるひかりりつとして推奨すいしょうされている。たとえば学校がっこう教室きょうしつひるひかりりつ2%であり、これはあかるい600ルクス、平生へいぜい300ルクス、くら100ルクスの照度しょうどがあることを意味いみしている。

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採光さいこう計算けいさん

建物たてもの設計せっけいするさい、ある部屋へやひるひかりりつ予測よそくし、ひょうしめした基準きじゅんひるひかりりつ満足まんぞくしているかかを検討けんとうするために採光さいこう計算けいさんひるひかり照明しょうめい計算けいさん)をおこなうことがある。採光さいこう計算けいさん原理げんり人工じんこう照明しょうめいにおける照明しょうめい計算けいさんおなじである。まどめん発光はっこうめんおおきいめん光源こうげんかんがえ、それによる照度しょうどもとめ、これを野外やがい照度しょうどぜん天空てんくう照度しょうど)でってひるひかりりつる。

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採光さいこうしつ

室内しつないひるひかりりつおおきいとひるひかり照度しょうどおおきくつねにきわめてあかるいが、いくらあかるくとも室内しつないあかるさの分布ぶんぷ入射にゅうしゃこう方向ほうこう適当てきとうでないとしつわる採光さいこうといわれる。しつのよい採光さいこうとはその部屋へや用途ようとによってもことなるが、たとえば事務じむしつ教室きょうしつでは、(1)ひるひかりりつ分布ぶんぷ均一きんいつであること、(2)まどそのものによる不快ふかいなまぶしさがないこと、(3)まど直射ちょくしゃ日光にっこう制御せいぎょ遮蔽しゃへいまたは適当てきとう導入どうにゅう)できるよけなどがあること、(4)手暗てくらがりやひかりまく反射はんしゃしょうじないようなまど配置はいちであること、(5)室内しつない表面ひょうめん仕上しあ反射はんしゃりつ適当てきとうおおきく視野しやあかるいこと、などをたしているものである。

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採光さいこう方式ほうしき

もっともおおいのががわまど(そくそう)採光さいこうがわこう)であり、片側かたがわ(かたがわ)採光さいこう両側りょうがわ(りょうがわ)採光さいこうとがある。なかでも片側かたがわ採光さいこうおおく、事務じむしつ教室きょうしつはほとんどこの方式ほうしきである。その長所ちょうしょは、おもな光線こうせんが1方向ほうこうからくるのでひかりまく反射はんしゃしょうじないこと(B)、透明とうめいまどにすればそとへの眺望ちょうぼうられることなどであり、短所たんしょは、照度しょうど分布ぶんぷ均一きんいつ部屋へやおく照度しょうど不足ふそくとなりやすく、また近隣きんりん建物たてものなどによる障害しょうがいけやすいことである。両側りょうがわ採光さいこう照度しょうど不足ふそくとなることはないが、おもな光線こうせんが2方向ほうこうからくるのできがなく、シルエット現象げんしょう逆光ぎゃっこうとなってかおなど見分みわけがつかなくなる現象げんしょう)がしょうじやすい。こうまど採光さいこうは、がわまど採光さいこうまど位置いちたか場合ばあいかんがえてよく、照度しょうど分布ぶんぷはよいが見通みとおしがきかず、通風つうふうもよくない。工場こうじょう体育館たいいくかん美術館びじゅつかんもちいられる。天窓てんまど採光さいこういただきこう)は屋根やねまたは天井てんじょうにあるまどによる採光さいこうで、長所ちょうしょは、照度しょうど分布ぶんぷ均一きんいつであること、隣接りんせつ建物たてもの障害しょうがいけないことなどであるが、短所たんしょは、外界がいかいへの見通みとおしがないこと、直射ちょくしゃ日光にっこうによるまぶしさをしょうじやすいことなどである。もちろん平屋ひらやまたは最上階さいじょうかいにしか使つかえず、だい面積めんせき工場こうじょう体育館たいいくかんもちいられる。いただきがわまど採光さいこういただきがわこう)は天井てんじょう付近ふきん鉛直えんちょくまたは鉛直えんちょくちかまどめんから採光さいこうする方式ほうしきで、工場こうじょうによく使用しようされるのこ(のこぎり)屋根やね採光さいこうこし(こし)屋根やね採光さいこうC)と、美術館びじゅつかんもちいられるもの(D)とがある。のこ屋根やね採光さいこうまどめんきたきにするので、直射ちょくしゃ日光にっこうがほとんどはいらないまぶしさのすくない安定あんていしたひかり環境かんきょうをつくれる。えつ屋根やね(モニタールーフmonitor roof)採光さいこうは、工場こうじょうねつ水蒸気すいじょうきはいガスの排気はいきのためにかんがえられたものが原形げんけいであるが、現在げんざいかたちだけがのこまどめん採光さいこうのためだけに使つかわれている。美術館びじゅつかんもちいられるいただきがわこうではDしめすように、絵画かいがめんでのひかりまく反射はんしゃけ、また鑑賞かんしょうしゃ場所ばしょくらくして鑑賞かんしょうしゃ姿すがた絵画かいがめんうつらないようにまどめんもうけねばならない。

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採光さいこう人工じんこう照明しょうめい

最近さいきん事務じむしつのように必要ひつよう照度しょうどが500あるいは750ルクス程度ていどになると、昼間ひるま採光さいこうだけではこの照度しょうどられず、人工じんこう照明しょうめいおぎなわなければならない。とくにまどからはなれた部屋へやおく部分ぶぶん昼間ひるまでも常時じょうじ人工じんこう照明しょうめい必要ひつようとする。一方いっぽうしょうエネルギーの観点かんてんから昼間ひるまはできるだけひるひかり利用りようしたい。現在げんざい採光さいこう設計せっけい要点ようてんは、この両者りょうしゃあいだのつりいをいかにとるかというところにある。ひるこうりょう計測けいそくして窓際まどぎわ人工じんこう照明しょうめい自動的じどうてき点滅てんめつまたは調しらべひかりする装置そうちもうけることも実用じつようされている。

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採光さいこう法規ほうき

建築けんちく基準きじゅんほうどう施行しこうれいでは、居室きょしつ居住きょじゅう執務しつむなどのために継続けいぞくてき使用しようするしつ)に採光さいこう有効ゆうこう面積めんせきをもつまどもうけることをさだめている。そのまど面積めんせきはその部屋へやゆか面積めんせきたいする比率ひりつとしてさだめられ、幼稚園ようちえんしょうなか高等こうとう学校がっこう教室きょうしつでは5ぶんの1以上いじょう住宅じゅうたく居室きょしつ病院びょういん病室びょうしつなどでは7ぶんの1以上いじょうである。ただし、どんなまどでも採光さいこう有効ゆうこうであるとはいえず、隣地りんち境界きょうかいせんちかすぎるまど有効ゆうこうでなくなるおそれがあるので注意ちゅういようする。

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ブリタニカ国際こくさいだい百科ひゃっか事典じてん しょう項目こうもく事典じてん採光さいこう」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

採光さいこう
さいこう

まどから太陽光たいようこう自然しぜんこうれて室内しつないあかるくすること。採光さいこうをよくすることにより,室内しつないあかるくはたらきやすくなり,能率のうりつてき衛生えいせいてき生活せいかついとなむことができ,きした気分きぶんられる。このためにはまどおおきいほうがのぞましく,室内しつないあかるさが一様いちようになるような位置いちえらぶ。建築けんちく基準きじゅんほうでは,居室きょしつには採光さいこうのためのまどやその開口かいこうもうけなければならないとさだめられ,住宅じゅうたく場合ばあいには居室きょしつゆか面積めんせきの 7ぶんの1以上いじょう規定きていされている(28じょう)。また室内しつない天井てんじょうゆかかべなどがあかるいいろ仕上しあげられていると,それからの反射はんしゃ室内しつないのすみずみまでひかりとどき,採光さいこう効率こうりつがよくなる。(→建築けんちく環境かんきょう工学こうがく

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百科ひゃっか事典じてんマイペディア採光さいこう」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

採光さいこう【さいこう】

自然しぜんこう建造けんぞうぶつちゅうれること。一般いっぱんまどつうじておこなわれるが,室内しつない利用りよう目的もくてきおう天窓てんまどがわいただきまどなどがつくられる。明確めいかくものることができ,あかるさの分布ぶんぷ均一きんいつ不快ふかいかん疲労ひろうかんこさせないものがよい。人工じんこう照明しょうめい,カーテンとう併用へいようして適当てきとう照度しょうど分布ぶんぷたも工夫くふう必要ひつよう

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リフォーム用語ようごしゅう採光さいこう」の解説かいせつ

採光さいこう

建築けんちく基準きじゅんほうでは、居室きょしつ採光さいこうのための開口かいこうもうけることが義務ぎむづけられており、建物たてもの用途ようとべつに、居室きょしつゆか面積めんせきたいする採光さいこうじょう有効ゆうこう部分ぶぶん面積めんせき比率ひりつ下限かげんさだめられている。→居室きょしつ

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普及ふきゅうばん どおり採光さいこう」のみ・字形じけい画数かくすう意味いみ

採光さいこう】さいこう

かりとり。

どおり」の項目こうもく

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いえとインテリアの用語ようごがわかる辞典じてん採光さいこう」の解説かいせつ

さいこう【採光さいこう

自然しぜんこう室内しつないにとりれること。

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世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん旧版きゅうばんうち採光さいこう言及げんきゅう

住宅じゅうたく】より

…これにたいし,台所だいどころから独立どくりつした食事しょくじしつ雰囲気ふんいきてきにはくが,日常にちじょうてき使用しようには家事かじ労働ろうどうめんでの負担ふたんおおきくなる。DK形式けいしきをとる場合ばあい食事しょくじをする部分ぶぶんにはゆとりあるひろさをあた採光さいこうなどの部屋へや居住きょじゅうせいには十分じゅうぶん注意ちゅういし,台所だいどころ部分ぶぶんには雑然ざつぜんとしないよう十分じゅうぶん収納しゅうのう用意よういすると同時どうじ機能きのうせいのみならず意匠いしょうめんでの配慮はいりょ必要ひつようである。また食事しょくじ台所だいどころべつにもうける場合ばあいには,台所だいどころない簡単かんたん食事しょくじ程度ていどはとれる場所ばしょ用意よういするのがのぞましい。…

※「採光さいこう」について言及げんきゅうしている用語ようご解説かいせつ一部いちぶ掲載けいさいしています。

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