① ツバキ科の常緑高木または低木。本州中部以西の各地と本州中部以北の海岸付近に分布し、林の中に生える。観賞用に広く植えられる。まれに高さ一〇メートルを越す。葉は互生し、柄をもち厚く光沢がある。葉身は長さ約八センチメートルの楕円形ないし長楕円形または長卵形で先はとがり縁に細鋸歯(きょし)がある。早春、地方によっては冬、枝先に紅色の花をつけ、横または下向きに半開する。花弁は五枚あり、長さ約五センチメートルで基部は癒合している。雄しべは多数あり、下半部は癒合して筒状となり、さらに基部は花冠と癒合している。雌しべは一本で先端は三つに分かれている。果実は径約三センチメートルの球形で熟すと三裂して二~五個の淡黒色の種子を出す。種子はオレインなどの油を含み、しぼりとって化粧用、食用、工業用にする。自生品のほか、多くの園芸品種があり、自生品をヤブツバキまたはヤマツバキと呼ぶ。園芸品種には白花・淡紅花、絞り咲き・八重咲きなどがある。自生品にもいくつかの変種がある。漢名、山茶。《 季語・春 》