デジタル大辞泉だいじせん 「表現ひょうげん」の意味いみ・読よみ・例文れいぶん・類語るいご ひょう‐げん〔ヘウ‐〕【表現ひょうげん】 [名な](スル)心理しんり的てき、感情かんじょう的てき、精神せいしん的てきなどの内面ないめん的てきなものを、外面がいめん的てき、感性かんせい的てき形象けいしょうとして客観きゃっかん化かすること。また、その客観きゃっかん的てき形象けいしょうとしての、表情ひょうじょう・身振みぶり・言語げんご・記号きごう・造形ぞうけい物ぶつなど。「情感じょうかんを表現ひょうげんする」「全身ぜんしんで表現ひょうげんする」[補ほ説せつ]representationおよびexpressionの訳語やくご。[類語るいご]表出ひょうしゅつ・表白ひょうはく・発現はつげん・描出びょうしゅつ・形象けいしょう化か・体現たいげん・具現ぐげん・表明ひょうめい・筆舌ひつぜつ(―する)表あらわす・い表いあらわす・書かき表あらわす・名状めいじょうする・形容けいようする・表ひょうする・言いいこなす・言葉ことばを尽つくす・意いを尽つくす 出典しゅってん 小学館しょうがくかんデジタル大辞泉だいじせんについて 情報じょうほう | 凡例はんれい
精選せいせん版ばん 日本にっぽん国語こくご大だい辞典じてん 「表現ひょうげん」の意味いみ・読よみ・例文れいぶん・類語るいご ひょう‐げんヘウ‥【表現ひょうげん】 〘 名詞めいし 〙① 外そとにあらわれること。また、外そとにあらわすこと。[初出しょしゅつの実例じつれい]「地役ちえき権けんは継続けいぞく且表現ひょうげんのものに限かぎり」(出典しゅってん:民法みんぽう(明治めいじ二に九きゅう年ねん)(1896)二に八はち三さん条じょう)② 内面ないめん的てき・主観しゅかん的てきなものを、表情ひょうじょう、身振みぶり、言語げんご、音楽おんがく、絵画かいが、造型ぞうけいなど、外面がいめん的てき・感性かんせい的てきにとらえられる形式けいしきによって、伝達でんたつできるようにすること。表出ひょうしゅつ。〔哲学てつがく字彙じい(1881)〕[初出しょしゅつの実例じつれい]「適応てきおうした言語げんごで表現ひょうげん(ヘウゲン)する」(出典しゅってん:青年せいねん(1910‐11)〈森もり鴎外おうがい〉七なな) 出典しゅってん 精選せいせん版ばん 日本にっぽん国語こくご大だい辞典じてん精選せいせん版ばん 日本にっぽん国語こくご大だい辞典じてんについて 情報じょうほう | 凡例はんれい
日本にっぽん大だい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ) 「表現ひょうげん」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ 表現ひょうげんひょうげんexpression 英語えいごexpression フランス語ふらんすごAusdruck ドイツ語ご ラテン語らてんごの動詞どうしexprimoに由来ゆらいし、その原義げんぎは「ジュースなどを絞しぼり出だす」ことである(この原義げんぎは現在げんざいも「エスプレッソ」というイタリア風ふうコーヒーの呼よび名なのなかに生いきている)。4世紀せいきには言語げんご、絵画かいが、音楽おんがくなどに適用てきようされていたが、美学びがくと心理しんり学がくにおける重要じゅうような概念がいねんとなったのは18世紀せいき以後いごのことである。いくつかの用語ようご法ほうがあり、一義的いちぎてきに定義ていぎすることはむずかしいので、歴史れきしを下おりつつこれらの用語ようご法ほうに即そくして説明せつめいすることにする。[佐々木ささき健一けんいち]記号きごうと行為こういまず表現ひょうげんの主体しゅたいについて区別くべつしなくてはならない。文ぶんや作品さくひんが表現ひょうげんするのか、作者さくしゃが表現ひょうげんするのか、という区別くべつである。表現ひょうげんを人間にんげんの行為こういの一ひとつ(あるいはすべての行為こういの一いち側面そくめん)とみる第だい二にの概念がいねんは、われわれにはなじみ深ふかいものであるがより新あたらしいもので、当初とうしょ17世紀せいき後半こうはん、マルブランシュやライプニッツが用もちいたとき、この語かたりはもっぱら第だい一いちの記号きごう論ろん的てきな意味いみのものであった。たとえば「結果けっかは原因げんいんを表現ひょうげんする」というようない方いかたである。この「表現ひょうげん」は「しるし」にほぼ等ひとしく、現代げんだいでもソシュールの「シニフィアン」signifiantに相当そうとうするものを表現ひょうげんとよぶイェルムスレゥの用語ようご法ほうのなかに生いきている。[佐々木ささき健一けんいち]想そうと表現ひょうげん人ひとの行為こういとしての表現ひょうげんという考かんがえは、18世紀せいき末まつの芸術げいじゅつ論ろんのなかに確認かくにんできる。ことばを思想しそうの表現ひょうげんとするのは伝統でんとう的てきな考かんがえであり、17世紀せいきの美術びじゅつ論ろんにおいて表現ひょうげんとは情念じょうねんの表あらわれとしての「表情ひょうじょう」のことである。情緒じょうちょを中心ちゅうしんとする当時とうじの音楽おんがく美学びがくの動向どうこうから、音楽おんがくの表情ひょうじょうという考かんがえが生うまれたのは当然とうぜんである。これらの「表現ひょうげん」はどれも芸術げいじゅつ家かが引ひき受うけるべき仕事しごとであり、ここに「芸術げいじゅつ家かが表現ひょうげんする」という概念がいねんが生うまれてくる。その初期しょきの用例ようれいが18世紀せいき末まつのズルツァーに認みとめられる。19世紀せいき以後いご、芸術げいじゅつ家かの人格じんかくと結むすび付ついたその表現ひょうげん概念がいねんが標準ひょうじゅんとなる。[佐々木ささき健一けんいち]模倣もほうと表現ひょうげん芸術げいじゅつの本質ほんしつを自然しぜん模倣もほうに求もとめる伝統でんとう的てきな理論りろんを、詩しと絵画かいが、さらには音楽おんがくにも適用てきようしたとき、デュ・ボスJean Baptiste Du Bos(1670―1742)は、描写びょうしゃ的てき(模倣もほう的てき)なものと感情かんじょう表現ひょうげんにかかわるものとの間あいだに対立たいりつのあることを認識にんしきしていた。この対比たいひは18世紀せいきを貫つらぬく詩し画が論ろんの主要しゅよう論点ろんてんとなり、とくに18世紀せいき後半こうはんのイギリスとドイツの美学びがくでは模倣もほう論ろんを突とっき崩くずす要因よういんとなる。芸術げいじゅつの重点じゅうてんが外形がいけいを写うつし取とることから、精神せいしん的てき価値かちを伝つたえることへと移うつされる。またこの対比たいひはウィンケルマンにおいて「(模倣もほうに基もとづく)美びか表現ひょうげんか」という問題もんだいを提起ていきし、ここでの表現ひょうげんは、均衡きんこうよりも特性とくせい的てきなものを重おもんずるロマン派は的てきな概念がいねんとなっている。この表現ひょうげん概念がいねんの一ひとつの到達とうたつ点てんが、感情かんじょう的てき生せいの直接的ちょくせつてき発露はつろを求もとめた20世紀せいき初頭しょとうの表現ひょうげん主義しゅぎにある。[佐々木ささき健一けんいち]印象いんしょうと表現ひょうげん「外そとへ押おし出だすこと」としての表現ひょうげんは、「内うちに押おし付つけること」impressionとしての印象いんしょうと対たい(つい)をなす。受身うけみの印象いんしょうの世界せかいを転てんじて能動のうどう的てきな表現ひょうげんの世界せかいとしたものが文化ぶんかである、というカッシーラーの考かんがえのもとには、ディルタイによる精神せいしん科学かがくの基礎きそづけがある。体験たいけん・表現ひょうげん・理解りかいを関連かんれんづけた彼かれは、体験たいけんのなかには表現ひょうげんへの動うごきが含ふくまれており、表現ひょうげんは生なまの客観きゃっかん化かであるとする。ここで表現ひょうげんというのは、体験たいけんについての反省はんせいとは異ことなり、無意識むいしき的てきなものを含ふくんでおり、それを理解りかいするには特別とくべつな方法ほうほうが必要ひつようとなる。その方法ほうほうとしてディルタイのたてたのが解釈かいしゃく学がくである。かくして表現ひょうげんは、人ひとの行為こういでありその結果けっかでありながら、彼かれの意図いとを超こえて無意識むいしきの世界せかいに根ねを張はっているために、意味いみをうちにはらんだ記号きごう的てき性格せいかくを取とり戻もどす。[佐々木ささき健一けんいち]20世紀せいきの表現ひょうげん概念がいねんディルタイの思想しそうは精神せいしん史学しがくや文化ぶんか史学しがく、様式ようしきを中心ちゅうしん概念がいねんとする芸術げいじゅつ学がくの基礎きそとなり、今日きょうに続つづく解釈かいしゃく学がくの潮流ちょうりゅうをおこした。同おなじく生なまの哲学てつがくとよばれる流派りゅうはのなかで、クローチェは直観ちょっかんと表現ひょうげんを等とう置おけして「言語げんご学がくとしての美学びがく」を唱となえ、18世紀せいき以来いらいの表情ひょうじょうの研究けんきゅうの伝統でんとうを継ついでクラーゲスは「表現ひょうげん学がく」を体系たいけい化かした。またアドルノは、精神せいしん分析ぶんせきの考かんがえを導入どうにゅうすることによってマルクス主義まるくすしゅぎの決定けってい論ろんを乗のり越こえ、もっとも主観しゅかん的てきなものが客観きゃっかん性せいに媒介ばいかいされて経験けいけんされたものとして表現ひょうげんをとらえている。[佐々木ささき健一けんいち][参照さんしょう項目こうもく] | 記号きごう論ろん | 模倣もほう 出典しゅってん 小学館しょうがくかん 日本にっぽん大だい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ)日本にっぽん大だい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ)について 情報じょうほう | 凡例はんれい
ブリタニカ国際こくさい大だい百科ひゃっか事典じてん 小しょう項目こうもく事典じてん 「表現ひょうげん」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ 表現ひょうげんひょうげんrepresentation 数学すうがくでは群ぐん,環たまき,体からだなどの代数だいすう系けい R に対たいして,それと準じゅん同形どうけいな代数だいすう系けい をつくることを,R を で表現ひょうげんするといい, を R の表現ひょうげんという。もし R と とが同形どうけいであったならば, を R の同形どうけい表現ひょうげん,または忠実ちゅうじつな表現ひょうげんという。通常つうじょうは, は典型てんけい的てきな R0の部分ぶぶん系けいのなかに実現じつげんされ,R の R0のなかへの表現ひょうげんのつくられ方かたの総体そうたいを考かんがえることで,R の性質せいしつが規定きていされる。このような理論りろんを R の表現ひょうげん論ろんといい,基本きほん的てきな役割やくわりを果はたす。 出典しゅってん ブリタニカ国際こくさい大だい百科ひゃっか事典じてん 小しょう項目こうもく事典じてんブリタニカ国際こくさい大だい百科ひゃっか事典じてん 小しょう項目こうもく事典じてんについて 情報じょうほう