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運賃(ウンチン)とは? 意味や使い方 - コトバンク

運賃うんちんみ)ウンチン

デジタル大辞泉だいじせん運賃うんちん」の意味いみみ・例文れいぶん類語るいご

うん‐ちん【運賃うんちん

近世きんせいまで「うんぢん」とも》旅客りょかく貨物かもつはこ料金りょうきん運送うんそうちん
[類語るいご]旅費りょひ路用ろよう路銀ろぎん草鞋銭わらじせんわらじせん交通こうつう車代くるまだい足代あじろ料金りょうきん代金だいきん勘定かんじょう会計かいけい支払しはら精算せいさん愛想あいそあいそ愛想あいそあいそだい清算せいさん決済けっさい代価だいか手数料てすうりょうだい月謝げっしゃ有料ゆうりょう対価たいか手間賃てまちん賃金ちんぎん使用しようりょう送料そうりょう倉敷料くらしきりょう原稿げんこうりょう入場にゅうじょうりょう木戸銭きどせん授業じゅぎょうりょう口銭こうせん湯銭ゆせんちんちん宿賃やどちん店賃たなちんたなちん家賃やちん間代まだい部屋へやだいしつりょう席料せきりょう席代せきだい下宿げしゅくだい場所ばしょだい場代ばだい地代じだい

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精選せいせんばん 日本にっぽん国語こくごだい辞典じてん運賃うんちん」の意味いみみ・例文れいぶん類語るいご

うん‐ちん【運賃うんちん

  1. 名詞めいし ( ふるくは「うんぢん」 ) 運送うんそう料金りょうきん貨物かもつ旅客りょかくなどの運送うんそうたいして支払しはらわれる報酬ほうしゅう
    1. [初出しょしゅつ実例じつれい]「運賃うんちん并雑ようこくさんまんよんせんじゅうたば」(出典しゅってん日本にっぽんさんだい実録じつろくさだかんいちはちねん(876)さんがつきゅうにち)
    2. 「Vnginuo(ウンヂンヲ) ナス」(出典しゅってんにち葡辞しょ(1603‐04))

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改訂かいてい新版しんぱん 世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん運賃うんちん」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

運賃うんちん (うんちん)

交通こうつうあるいは交通こうつうサービスとは,特定とくてい輸送ゆそう対象たいしょう貨物かもつあるいは旅客りょかく)を特定とくてい方向ほうこう距離きょりかぎって特定とくてい水準すいじゅん速度そくどでもって場所ばしょてき移動いどうさせる行為こうい意味いみし,今日きょう,この意味いみにおける交通こうつうサービスの対価たいか運賃うんちんしょうされる。一般いっぱんにある特定とくてい交通こうつう機関きかん交通こうつうサービスを生産せいさんするとき,通路つうろway,運搬うんぱんvehicleおよび動力どうりょくmotive powerのみっつの要素ようそ交通こうつう機関きかんの3要素ようそ)をもちいて生産せいさんする。しかしときにはなんらかの社会しゃかいてきないし経済けいざいてき理由りゆうにより,これら3要素ようそのうち通路つうろのみのサービスを提供ていきょうする場合ばあい,あるいは運搬うんぱん動力どうりょくのみをもちいて,いわゆる狭義きょうぎ交通こうつうサービスを提供ていきょうする場合ばあいがみられる。これらふたつの場合ばあいのうち通路つうろサービスの対価たいかはとりわけ通行つうこうりょうtollとしょうされ,後者こうしゃ狭義きょうぎ交通こうつうサービスの対価たいか,すなわち狭義きょうぎ運賃うんちん区別くべつされる。このように今日きょう運賃うんちんrate,fareという用語ようごは,通行つうこうりょうふく総合そうごうてき交通こうつうサービスの対価たいか意味いみする場合ばあいと,狭義きょうぎ交通こうつうサービスの対価たいか限定げんていされる場合ばあいふたつについてとも使用しようされるので注意ちゅういようする。

 イギリスについてみれば,18世紀せいき後半こうはん運河うんが時代じだいから19世紀せいき前半ぜんはん鉄道てつどう時代じだい初期しょきいたるまでは,運河うんがおよび鉄道てつどう支配しはいてき通路つうろ会社かいしゃであり,これらは通路つうろサービスにたいして通行つうこうりょうした。しかし19世紀せいき後半こうはん鉄道てつどう成熟せいじゅくはいって鉄道てつどうたん通路つうろのみならず,運搬うんぱん動力どうりょくをもみずか提供ていきょう総合そうごうてき交通こうつうサービスを提供ていきょうするようになり,通行つうこうりょうプラス狭義きょうぎ運賃うんちんという総合そうごうてき対価たいか意味いみする用語ようご必要ひつようとしたが,人々ひとびとはそのさい運賃うんちんrate,fareという用語ようご拡大かくだい解釈かいしゃくすることによりあらたな事態じたい処理しょりした。それ以後いご,われわれは狭義きょうぎ運賃うんちんのみならず広義こうぎ運賃うんちんをも同一どういつ用語ようご表現ひょうげんするようになっている。なお通常つうじょう広義こうぎにしろ狭義きょうぎにしろ,運賃うんちん基本きほんてき特定とくてい距離きょり克服こくふくたいする対価たいかであるが,それは同時どうじにある特定とくてい水準すいじゅん速度そくど輸送ゆそう設備せつび便宜べんぎとう前提ぜんていとした対価たいかである。したがって,いまおな特定とくてい距離きょり克服こくふくさいしても,通常つうじょう水準すいじゅんえる特別とくべつ速度そくど輸送ゆそう設備せつび便宜べんぎとうもとめる場合ばあいには,運賃うんちん加算かさんしてしばしば特定とくてい料金りょうきんchargeが徴収ちょうしゅうされる。

今日きょう鉄道てつどうが,交通こうつう機関きかんの3要素ようそ結合けつごうして総合そうごうてき交通こうつうサービスを生産せいさんする代表だいひょうてき交通こうつう機関きかんであるとすれば,今日きょう高速こうそく有料ゆうりょう自動車じどうしゃどう典型てんけいてき通路つうろ会社かいしゃであり,また海上かいじょう運送うんそうぎょう航空こうくう運送うんそうぎょうおよび自動車じどうしゃ運送うんそうぎょう典型てんけいてき狭義きょうぎ交通こうつうサービスを生産せいさんする運送うんそうぎょうである。これら狭義きょうぎ運送うんそうぎょう一般いっぱんに,私的してき運送うんそうぎょうしゃprivate carrier契約けいやく運送うんそうぎょうcontract carrierおよび公共こうきょう運送うんそうぎょうpublic carrierの3しゅ経営けいえい形態けいたい分類ぶんるいされる。私的してき運送うんそうぎょうしゃ)はいわゆる自家用じかよう運送うんそうであり,この場合ばあい運送うんそう発生はっせいするが,運送うんそう価格かかくとしての運賃うんちん存在そんざいしない。他方たほう契約けいやく運送うんそうぎょう公共こうきょう運送うんそうぎょうには運送うんそうとともに運賃うんちん存在そんざいする。契約けいやく運送うんそうぎょうにおいては,運送うんそうしゃ特定とくてい荷主にぬしあるいは特定とくてい少数しょうすう利用りようしゃのみに交通こうつうサービスを供給きょうきゅうし,そのさい実現じつげんする運賃うんちん契約けいやく運賃うんちんないし特別とくべつ契約けいやく運賃うんちんしょうされる。公共こうきょう運送うんそうぎょうにおいては,契約けいやく運送うんそうぎょう場合ばあいことなり,運送うんそうしゃ特定とくてい多数たすう利用りようしゃたいして交通こうつうサービスを供給きょうきゅうし,一般いっぱんてき条件じょうけんそなえるすべての利用りようしゃたいし,事前じぜん公表こうひょうされている一定いってい運賃うんちんでもって一定いってい交通こうつうサービスを供給きょうきゅうする義務ぎむう。このたね運賃うんちん一般いっぱんおもててい運賃うんちんしょうされる。なお,公共こうきょう運送うんそうサービスにかんしては一般いっぱんに,サービスの安全あんぜんせい迅速じんそくせい規則きそくせいくわえてとく運賃うんちん低廉ていれんせい要求ようきゅうされる。

ラードナーDionysius Lardner(1793-1859)は《鉄道てつどう経済けいざいがくRailway Economy》(1850)において,鉄道てつどう代表だいひょうされる近代きんだいてき生産せいさんでは直接ちょくせつのほかに巨額きょがく固定こてい存在そんざいすることを指摘してきしたが,この巨額きょがく固定こてい存在そんざいは,鉄道てつどうたいして運送うんそう価値かちせつvalue of service theoryあるいは負担ふたんりょく原理げんりwhat-the-traffic-will-bear principleとしょうされる差別さべつ運賃うんちんろん展開てんかいさせることになった。すなわちかく輸送ゆそう対象たいしょうについてもとめられる直接的ちょくせつてき追加ついか費用ひようかく運賃うんちんさい下限かげん目安めやすとし,実際じっさい問題もんだい輸送ゆそう対象たいしょう期待きたいされる運賃うんちん負担ふたんりょくおうじて運賃うんちん決定けっていするという方法ほうほうである。この方法ほうほうもっと有効ゆうこう固定こてい償還しょうかん貢献こうけんするが,他面ためんかく輸送ゆそう対象たいしょう負担ふたんする固定こてい償還しょうかんぶん利潤りじゅん)にかなりのをもたらすことから,一部いちぶ人々ひとびとは,社会しゃかいてき公正こうせいける運賃うんちん決定けってい方式ほうしきであると非難ひなんする。このような人々ひとびとはむしろそう平均へいきん費用ひよう基礎きそをおく運送うんそう費用ひよう原理げんりcost of service principleの採用さいよう主張しゅちょうする。すなわち固定こてい償還しょうかんはすべての輸送ゆそう対象たいしょうにより公正こうせい賦課ふかされることが社会しゃかい正義まさよしにかなう方法ほうほうであるとかんがえるのである。ノーザン・パシフィック鉄道てつどうたいノース・ダコタしゅう政府せいふ事件じけん(1915)にかんするアメリカ最高裁判所さいこうさいばんしょ判決はんけつは,この費用ひよう原理げんり代表だいひょうする見解けんかいとして有名ゆうめいである。

 しかし実際じっさい問題もんだいとして,鉄道てつどうにみられる巨額きょがく固定こていはすべての輸送ゆそう対象たいしょう関連かんれんする共通きょうつうでもあり,個々ここ輸送ゆそう対象たいしょう科学かがくてき配分はいぶんすることはおよそ不可能ふかのうである。さらに現実げんじつになんらかの費用ひよう計算けいさんあるいは公正こうせい報酬ほうしゅう計算けいさんもとづき一見いっけん社会しゃかい正義せいぎそくした運賃うんちん算出さんしゅつされたとしても,その計算けいさん運賃うんちん個々ここ輸送ゆそう対象たいしょう運賃うんちん負担ふたんりょくえる場合ばあいには,それは経済けいざいてき無効むこうである。あるいはまた,1870年代ねんだいのアメリカのグレンジャーほうGranger lawsのように鉄道てつどう経営けいえい崩壊ほうかいさせるような低率ていりつ運賃うんちん強制きょうせいしても,これも経済けいざいてき無効むこうである。以上いじょうのような事情じじょうにより現実げんじつ運賃うんちん決定けっていにおいて効力こうりょくをもってきたのは,支配しはいてきに〈不当ふとうな〉人的じんてき物的ぶってき地域ちいきてき差別さべつ行為こうい禁止きんしという制約せいやくされた負担ふたんりょく原理げんり適用てきようであり,費用ひよう原理げんりはむしろ現実げんじつ負担ふたんりょく原理げんり実践じっせんたいする抑制よくせい効果こうかをもってきたというべきであろう。

 鉄道てつどうかんしてより具体ぐたいてきにみれば,負担ふたんりょく原理げんり実践じっせんは,等級とうきゅう分類ぶんるいclassificationと遠距離えんきょり逓減ていげん運賃うんちんtapering rate systemというふたつの重要じゅうよう特質とくしつあたえた。かく輸送ゆそう対象たいしょう期待きたいされる運賃うんちん負担ふたんりょくおおきさにより数個すうこ等級とうきゅう分類ぶんるいされ,どう一等いっとうきゅうぞくする輸送ゆそう対象たいしょうは,たとえ直接的ちょくせつてき運送うんそうがある場合ばあいにも,同一どういつ運賃うんちんりつ適用てきようされる。また運賃うんちん負担ふたんりょく距離きょり比例ひれいして持続じぞくすることは不可能ふかのうであるので,今日きょうでは一般いっぱんにベルギー方式ほうしきという特殊とくしゅ方式ほうしきにより,輸送ゆそう距離きょりびるにつれて運賃うんちんりつはむしろ低下ていかする遠距離えんきょり逓減ていげんせい採用さいようされる。鉄道てつどう時代じだい初期しょきかく鉄道てつどう会社かいしゃ営業えいぎょうキロすうみじかかった時代じだいには距離きょり比例ひれい運賃うんちんequal mileage rate systemが一般いっぱんてきであった。その別名べつめいハンガリー方式ほうしきばれる地帯ちたいべつ運賃うんちんzone-rate systemが採用さいようされたこともある。

 いずれにせよ負担ふたんりょく原理げんりは,直接的ちょくせつてき費用ひよう対応たいおうしない運賃うんちんあたえるとの意味いみで,鉄道てつどう用語ようごじょう,しばしば差別さべつ運賃うんちん同義どうぎほぐされている。また負担ふたんりょく原理げんり荷主にぬし利益りえきをあますところなくげるものとして,ときには吸血きゅうけつ原理げんりbleeding the traffic to deathといわれたこともある。これとはぎゃくにフランスのデュピュイJ.J.Dupuit,アメリカのハドリーArthur T.Hadley(1856-1930),あるいはイギリスのアクワースWilliam M.Acworth(1850-1925)などは負担ふたんりょく原理げんりもとづく差別さべつ運賃うんちんせいこそが,鉄道てつどうをして巨大きょだい固定こてい負担ふたんえさせ,また一様いちよう運賃うんちん制度せいどしたでなら当然とうぜんされるであろう運賃うんちん負担ふたんりょくちいさい弱小じゃくしょう荷主にぬしたいしても輸送ゆそうサービスを享受きょうじゅさせる慈悲じひふか原理げんりtempering the wind to theshorn lambであることを強調きょうちょうした。このたね説明せつめいとしてはハドリーのカキ事件じけん例証れいしょう有名ゆうめいである。

 鉄道てつどう代表だいひょうされる費用ひよう逓減ていげん産業さんぎょう一般いっぱん自然しぜん独占どくせんとしての特質とくしつをもつといわれる。しかしその独占どくせん過程かていにおいては,しばしば激烈げきれつ寡占かせんてき競争きょうそうがみられ,相互そうご高価こうか代償だいしょう支払しはらってのちプーリングpoolingという協調きょうちょう関係かんけい設定せっていする場合ばあいがある。プーリングのおもな形態けいたいとしては運輸うんゆプールtraffic poolと貨幣かへいプールmoney poolがある。前者ぜんしゃは,特定とくてい競争きょうそう品目ひんもくかんする運賃うんちん協定きょうてい運送うんそう分担ぶんたん比率ひりつ相互そうご協定きょうていし,おたがいの競争きょうそう排除はいじょするものであり,後者こうしゃ特定とくてい競争きょうそう品目ひんもくかんする,参加さんかしゃ運賃うんちん収入しゅうにゅう全部ぜんぶあるいは一部いちぶを,ひとまず共通きょうつうのプール勘定かんじょう供託きょうたくし,一定いってい期間きかんごとに,事前じぜん協定きょうていされた配分はいぶん比率ひりつでもってその供託きょうたくきん相互そうご配分はいぶんするというものである。このたねのプーリングとしては,アメリカ南部なんぶ全域ぜんいき主要しゅよう交通こうつう機関きかん傘下さんかおさめた南部なんぶ鉄道てつどう船舶せんぱく運輸うんゆ連合れんごう(1875-93)が有名ゆうめいである。日本にっぽんにおいても1902ねん明治めいじ35)と04ねんに,名古屋なごや大阪おおさかあいだの貨客輸送ゆそうかんして国鉄こくてつ私鉄してつ関西かんさい鉄道てつどう)のあいだ運輸うんゆプールが成立せいりつしている。このたねのプーリング協定きょうてい一般いっぱんに,きょうその経済けいざい情況じょうきょう変化へんか契機けいきとしてくずれやすい不安定ふあんてい性格せいかくをもち,長期ちょうきてきにみれば,やはり安価あんか運賃うんちん良質りょうしつのサービスを提供ていきょうしうる能率のうりつてき交通こうつう機関きかんが,同種どうしゅあるいは異種いしゅ劣悪れつあく競合きょうごう交通こうつう機関きかん駆逐くちくすることになろう。

 1938ねんになると,アメリカのホテリングH.Hotellingはあらたな運賃うんちん理論りろん展開てんかいした。すなわち,社会しゃかい全体ぜんたい経済けいざいてき厚生こうせいかんがえるとき,鉄道てつどうのような費用ひよう逓減ていげん産業さんぎょうにおいても,運賃うんちん輸送ゆそうサービスについてもとめられる限界げんかい費用ひよう直接ちょくせつ追加ついかぶん)に均等きんとうならしめ,そのさい発生はっせいする赤字あかじ国庫こっこ助成じょせいによりてんされるべきであると主張しゅちょうした。この見解けんかいはその限界げんかい費用ひよう価格かかく形成けいせい原理げんりmarginal cost pricing principleにもとづく運賃うんちん決定けっていとしてられているが,このあらたな運賃うんちん決定けっていは,現状げんじょうのきわめて不完全ふかんぜん経済けいざい情況じょうきょうしたでは厳密げんみつ適用てきようすることができないとの見方みかた有力ゆうりょくである。しかし外国がいこくしょ都市とし最近さいきん採用さいようされはじめているピーク・ロードpeak-load運賃うんちんせいあるいは特定とくてい時間じかんたいにおけるこん雑税ざつぜいcongestion taxの徴収ちょうしゅうなどは,おおまかにみれば,限界げんかい費用ひよう価格かかく形成けいせい原理げんりじゅんじた方向ほうこうでのあらたなこころみといえるであろう。ピーク・ロード運賃うんちんせいについては,イギリスしょ都市としのピーク運賃うんちんこん雑税ざつぜい徴収ちょうしゅうについてはシンガポール都心としん地区ちく乗入のりい制限せいげん計画けいかく(1975-)がよくられている(〈価格かかく形成けいせい〉のこう参照さんしょう)。

交通こうつうサービスは本来ほんらい,それ自体じたい人間にんげん本源ほんげんてき欲求よっきゅう充足じゅうそくさせるものであるよりは,むしろ最終さいしゅう消費しょうひざいあるいは生産せいさんざいたいする需要じゅようからされる派生はせい需要じゅようである。したがって,運賃うんちん変化へんか需要じゅようされる輸送ゆそうサービスにたいし,ある程度ていど直接的ちょくせつてき需要じゅよう効果こうかあたえるが,それ以上いじょう運賃うんちん変化へんか本源ほんげんてきざい価格かかく影響えいきょうおよぼし,その価格かかく変化へんかあたえる本源ほんげんてきざい需要じゅようへの影響えいきょうとおして,結局けっきょく,その輸送ゆそうサービスの需要じゅようりょう変化へんかあたえるという間接かんせつてき需要じゅよう効果こうかをもつ。しかし直接的ちょくせつてき効果こうかにしろ間接かんせつてき効果こうかにしろ,ほとんどのざい生産せいさん消費しょうひことなるので,運賃うんちん変化へんかはほとんどのざい関係かんけいをもつことになり,その経済けいざいてきないし社会しゃかいてき影響えいきょうりょくおおきい。そのような理由りゆうにより中世ちゅうせいこのかた,運賃うんちんあるいは通行つうこうりょう一般いっぱん公的こうてき規制きせいけてきた。ぎゃくにまたそのおおきな影響えいきょうりょくのゆえに,運賃うんちんたん経済けいざいてき理由りゆうによるのみならず,むしろ積極せっきょくてき政治せいじてきないし社会しゃかいてき理由りゆうにより決定けってい維持いじされる場合ばあいすくなくない。
航空こうくう運賃うんちん
執筆しっぴつしゃ

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日本にっぽんだい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ)運賃うんちん」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

運賃うんちん
うんちん
fare
freight
rate
tariff

交通こうつうサービスの提供ていきょうしゃ利用りようしゃとの運送うんそう契約けいやくもとづき、運送うんそう対価たいかとして支払しはらわれるもの。一般いっぱんてきにサービスの対価たいかは「価格かかく」とよばれるが、それが交通こうつうサービスにおいては「運賃うんちん」とよばれるにすぎず、両者りょうしゃあいだには本質ほんしつてきちがいはない。

 しかし、「運賃うんちん」と「料金りょうきん」には明確めいかくちがいがあるとされる。運賃うんちん輸送ゆそうたいする基本きほんてき対価たいかであり、運賃うんちん支払しはらいがなければ交通こうつうサービスは利用りようできない。一方いっぽう料金りょうきん基本きほんてき交通こうつうサービスに付随ふずいするサービスへの対価たいか理解りかいされる。たとえば、列車れっしゃ特急とっきゅう料金りょうきん座席ざせき指定してい料金りょうきん寝台しんだい料金りょうきんなどがこれに該当がいとうする。したがって、特急とっきゅう料金りょうきん支払しはらいをしても、運賃うんちん支払しはらわないときは交通こうつうサービスを利用りようすることはできない。以上いじょう整理せいりから、特急とっきゅう料金りょうきん特急とっきゅう運賃うんちんとはよばれないし、タクシー料金りょうきん厳密げんみつにはタクシー運賃うんちんとするのがただしい。

 従来じゅうらい旅客りょかく運賃うんちん総括そうかつ原価げんか主義しゅぎもとづいて決定けっていされていた。これは適正てきせい原価げんか適正てきせい利潤りじゅんくわえた総括そうかつ原価げんかひとしく運賃うんちん設定せっていする方式ほうしきである。そして運賃うんちん水準すいじゅん決定けっていのために、正味しょうみ資産しさん価値かち公正こうせい報酬ほうしゅうりつをかけ、それを適正てきせい利潤りじゅんとして費用ひようくわえるという公正こうせい報酬ほうしゅうりつ規制きせいが、おおくの場合ばあい適用てきようされていた。しかし、この方法ほうほう企業きぎょう経営けいえい努力どりょく刺激しげきしないという問題もんだいてんなどがあり、その運賃うんちん規制きせい緩和かんわされ、現在げんざいでは総括そうかつ原価げんか主義しゅぎかんがかた後退こうたいしている。

 運賃うんちんは、いわゆる公共こうきょう料金りょうきんひとつとされ、国民こくみん生活せいかつ直結ちょっけつするものとして、その値上ねあげや値下ねさげについては世間せけん注目ちゅうもくたかい。また運賃うんちん体系たいけい運賃うんちん水準すいじゅん変更へんこうはマクロ経済けいざいてきにもおおきな影響えいきょうあたえるために、その決定けっていについては政府せいふからの介入かいにゅうけることがある。ぎゃくにいえば、その影響えいきょうりょくおおきさから、以前いぜん国鉄こくてつ運賃うんちん改定かいていにおける国会こっかい紛糾ふんきゅう国鉄こくてつ運賃うんちん決定けっていには当時とうじ国会こっかい議決ぎけつ必要ひつようとした)など、運賃うんちん政争せいそうとされることもおおい。

 1990年代ねんだい以降いこう交通こうつうサービスの規制きせい緩和かんわによって、運賃うんちんかんする規制きせい緩和かんわされた。たとえば、総括そうかつ原価げんか厳密げんみつもとづいていた運賃うんちん上限じょうげん運賃うんちんせい移行いこうし(鉄道てつどう乗合のりあいバス)、はば運賃うんちんせい撤廃てっぱいされた(航空こうくう)。しかし、おおくの場合ばあい国土こくど交通こうつう大臣だいじん運賃うんちん変更へんこうできるという留保りゅうほ条件じょうけんがついているのが一般いっぱんてきである。

竹内たけうち健蔵けんぞう

斎藤さいとうたかし彦著『交通こうつう市場いちば政策せいさく構造こうぞう』(1991・中央経済社ちゅうおうけいざいしゃ)』山内やまうち弘隆ひろたか竹内たけうち健蔵けんぞうちょ交通こうつう経済けいざいがく』(2002・有斐閣ゆうひかく)』

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ブリタニカ国際こくさいだい百科ひゃっか事典じてん しょう項目こうもく事典じてん運賃うんちん」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

運賃うんちん
うんちん
fare; freight

運送うんそう用役ようえきたいして荷主にぬしなり旅客りょかく運送うんそう業者ぎょうしゃたいして支払しはら対価たいか旅客りょかく貨物かもつ相違そうい運送うんそう距離きょり運送うんそう対象たいしょう重量じゅうりょう容量ようりょう速度そくどなど交通こうつうサービスの生産せいさん費用ひようもとづいて形成けいせいされるほか,顧客こきゃく運賃うんちん負担ふたんりょくによっても決定けっていされる。距離きょり比例ひれいせい運賃うんちん遠距離えんきょり逓減ていげんせい運賃うんちん均一きんいつ運賃うんちん地帯ちたい運賃うんちん区間くかん運賃うんちんなどの種類しゅるいがある。なお,日本にっぽんの JRでは運賃うんちん寝台しんだい料金りょうきん特急とっきゅう料金りょうきんなどの「料金りょうきん」とは区別くべつされ,運送うんそう対価たいか運賃うんちん,サービスの対価たいか料金りょうきんとしているが,グリーン料金りょうきんが1とう運賃うんちん実質じっしつじょうおなじであるように,両者りょうしゃ区別くべつ明確めいかくではない。運賃うんちん料金りょうきん公共こうきょう料金りょうきん一種いっしゅとして政府せいふ公共こうきょう団体だんたいなどの規制きせいける。なお鉄道てつどう運賃うんちんなどには営業えいぎょう割引わりびき制度せいどがあり,往復おうふく割引わりびきをはじめさまざまの割引わりびき切符きっぷ売出うりだしされている。 (→航空こうくう運賃うんちん )  

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世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん旧版きゅうばんうち運賃うんちん言及げんきゅう

交通こうつう】より

…しかし市場いちば拡大かくだいし,輸送ゆそうりょう増加ぞうかするにつれ,輸送ゆそう専門せんもんとする業者ぎょうしゃあらわれるようになった。18世紀せいきイギリスでは,輸送ゆそう業者ぎょうしゃとして営業えいぎょうはじめるもの公共こうきょう運送うんそうじん(コモン・キャリアcommon carrier)としての責任せきにんわせ,運送うんそう依頼いらいされたなら理由りゆうなくことわってはならないこと,依頼いらいしゃによって不当ふとう差別さべつをしないこと,合理ごうりてき運賃うんちんはこぶこと,安全あんぜん輸送ゆそうをすることなどを義務ぎむづけた。こうした規制きせいによって,コモン・キャリアは公衆こうしゅうのために共同きょうどう利用りよう可能かのう輸送ゆそう機関きかんとなった。…

交通こうつう政策せいさく】より

…(1)は市場いちば失敗しっぱいであり,このような理由りゆう場合ばあい政府せいふは(a)鉄道てつどうがその典型てんけいであるが,費用ひよう逓減ていげん現象げんしょう存在そんざいし,自然しぜんてき独占どくせんのケースであるから自由じゆう競争きょうそう資源しげん浪費ろうひをもたらすこと,(b)騒音そうおん排気はいきガス,振動しんどうとう公害こうがいによる外部がいぶ経済けいざい存在そんざいすること,(c)交通こうつう施設しせつたいする投資とうし完了かんりょうまでになが年月としつきようするので将来しょうらいについての確実かくじつせいおおきいこと――を考慮こうりょしながら,資源しげん配分はいぶん適正てきせいをはかるために直接ちょくせつ市場いちば規制きせいする必要ひつようがある。(2)の理由りゆう場合ばあい,たとえば交通こうつう需要じゅよういちじるしくちいさいために運賃うんちん収入しゅうにゅう費用ひようつぐなうことができないような地域ちいきでは,公共こうきょう交通こうつう機関きかん経営けいえいりたないので交通こうつうサービスを提供ていきょうしなくなる。したがって自家用車じかようしゃ利用りようできない住民じゅうみんあし確保かくほするために,政府せいふ補助ほじょ政策せいさくおこな必要ひつようがある。…

※「運賃うんちん」について言及げんきゅうしている用語ようご解説かいせつ一部いちぶ掲載けいさいしています。

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