2023.08.07(Mon)

「宝塚歌劇たからづかかげき時代じだいは、派手はでなほうではなかった」元もとトップ娘むすめ役やくの仙せん名めい彩いろどり世よ　「びっくりしてほしい」と新あらたに熱中ねっちゅうしているのは？

現在げんざい「永谷園ながたにえん」のテレビCMで、明あかるい笑顔えがおと美声びせいを届とどけている仙せん名めい彩いろどり世よ（せんなあやせ）。宝塚歌劇団たからづかかげきだん花はな組ぐみで明日あした海うみりおの相手あいて役やくとしてトップ娘むすめ役やくを務つとめ、2019年ねんに退団たいだん後ごも多おおくの舞台ぶたいで高たかい実力じつりょくを発揮はっきしている。そんな彼女かのじょが今こん夢中むちゅうになっているのが、プロ級きゅうの腕前うでまえと評判ひょうばんのミニチュアフード。指先ゆびさきほどの可愛かわいいアートに込こめたこだわりや今後こんごの夢ゆめ、さらに娘むすめ役やく時代じだいのアクセサリー作づくり秘話ひわや当時とうじの思おもいについてインタビューした。

3年ねん前まえからミニチュアフード作づくりに没頭ぼっとう

『ミス・サイゴン』『ジェーン・エア』など数々かずかずの舞台ぶたいに出演しゅつえんするかたわら、独学どくがくで習得しゅうとくした技術ぎじゅつでミニチュアフードを制作せいさくし、インスタグラムで披露ひろうしている仙せん名めい。最初さいしょに始はじめたのはコロナ禍かとなった2020年ねん6月がつ頃ごろだったそう。

「ステイホームになり、何なにか自宅じたくでできないかなと思おもって。もともとシルバニアファミリーが好すきで、小ちいさな食たべ物ものを作つくってみたいなとは思おもっていました。宝塚たからづかを卒業そつぎょうしてすぐに出演しゅつえんした舞台ぶたい『シャボン玉だまとんだ宇宙うちゅう（ソラ）までとんだ』でご一緒いっしょした濱田はまだめぐみさんが、ミニチュアフードアーティストのSNSを見みせてくださり、『いつか作つくってプレゼントしたい！』と思おもったのもきっかけでした」。

「宝塚たからづかに在ざい団だん中ちゅうは趣味しゅみに熱中ねっちゅうする時間じかんがほとんどなかった」と笑わらって打うち明あける彼女かのじょ。制作せいさくにあたりSNSやネットで公開こうかいされている画像がぞうを見みながら、まずトンカツとエビフライを作つくったという。「やっぱり一ひとつのものを作つくるのにも時間じかんはかかりましたが、『美味おいしそう』『食たべたいな』と味あじを想像そうぞうしていただけるものを作つくりたいと思おもいました。スーパーで食材しょくざいをよく観察かんさつするようにもなりました」。

基本きほん的てきに使つかうのは樹脂じゅし粘土ねんど。フルーツなどは透明とうめい粘土ねんどと言いわれるものを使つかい、素材そざい感かんまで追求ついきゅう。「最初さいしょはできるだけコストをかけず、どれだけクオリティの高たかいものができるかを試ためしたのですが、より極きわめていこうとするとある程度ていどのものが必要ひつようになり…。ここでしか買かえない！という材料ざいりょうも出でてきて、せめぎ合あいです」と苦笑くしょう。乾麺かんめんには美容びよう用ようのシリンジ（注射ちゅうしゃ器き）の先端せんたんを加工かこうし、粘土ねんどを注入ちゅうにゅうして絞しぼり出だしたそうだ。「真まっ直すぐ、同おなじ細ほそさに絞しぼり出だすのが難むずかしくて何なん度ども練習れんしゅうしました」。

器うつわも全すべて手作てづくりで彼女かのじょのセンスが活いかされている。「パスタの皿さらは石いしの粉こなの粘土ねんどを使つかい、油性ゆせいペンで着色ちゃくしょくしてニスを塗ぬったり。最近さいきんは電動でんどうのミニろくろを使つかい、オーブンで焼やいて陶器とうきのように仕上しあげ、ラーメンのどんぶりなどに活用かつようしています。机つくえに置おいたとき、トントンと音おとがするほうが本物ほんものっぽいですし、ある程度ていどの重おもさがあるほうがいいなと思おもって。それもまた集中しゅうちゅうできて楽たのしいです！」と、どんどんバリエーションが広ひろがっている。

個展こてんはいつか絶対ぜったいやりたい

今年ことし7月がつ、大阪おおさか・福島ふくしまに誕生たんじょうしたスクール・コミュニティ施設しせつ「ACTLABO OSAKA」でのオープニング企画きかく展てん「エンジテノアート」（〜2023年ねん8月がつ20日はつか）に、彼女かのじょのミニチュアフードも展示てんじされている。一般いっぱん向むけの展示てんじ会かいで披露ひろうするのは初はじめてとのことだ。

今後こんご、個展こてんを開ひらいたり、アートの販売はんばいといった仕事しごとに繋つなげていく夢ゆめはあるのだろうか。「作つくっていてとても楽たのしく、ずっと続つづけたいので、ぜひ仕事しごとにできたらうれしいです。個展こてんはいつか絶対ぜったいやりたいなと思おもっています。今いま、いろんな方ほうの個展こてんやアートイベントを見みに行いきながら勉強べんきょうしています。やはり空間くうかんづくりが大事だいじだなと。小ちいさいものだけ置おかれているより、写真しゃしんを飾かざり視覚しかく的てきに大おおきなものと比くらべていただけるようにするのがおもしろいかな」と夢ゆめを膨ふくらませている。

色いろ鮮あざやかな和菓子わがし、出演しゅつえん作さくに登場とうじょうする国くににちなんだグルメなど、さまざまなジャンルに挑戦ちょうせんしている仙せん名めい。「プレゼントさせていただくことが多おおく、完全かんぜんに自己じこ満足まんぞくなのですが（笑）、喜よろこんでくださる顔かおを見みるのがうれしくて！やっぱりミニチュアフードを見みてびっくりしてほしい、笑わらってほしい。『こんなものを作つくってるの!?』とおもしろがってほしいんです。それが大おおきなモチベーションになっています」と明あかるい声こえで話はなす。

また彼女かのじょ自身じしん、このアートを始はじめてからオンとオフの切きり替かえがうまくできるようになったという。「プライベートでも役やくのことを考かんがえて、うまく息抜いきぬきができなかったのですが、ミニチュアフードを始はじめてからは意識いしきしなくてもこれに没頭ぼっとうでき、いいリフレッシュになっています」。宝塚歌劇団たからづかかげきだんに首席しゅせきで入団にゅうだん、ストイックに芸げいに打うち込こむ印象いんしょうの仙せん名めいにとって、ミニチュアフードに向むかう時間じかんは舞台ぶたいに立たつうえでも意味いみあるものになっているようだ。

卒業そつぎょう公演こうえんでの思おもい出深でぶかい手作てづくりアイテム

宝塚歌劇団たからづかかげきだんには11年ねん以上いじょう在籍ざいせきした仙せん名めい。トップ娘むすめ役やくになったのは初舞台はつぶたいから8年ねん以上いじょう経たったタイミングで、決けっして早はやい就任しゅうにんではなかった。でもそれまでにヒロインを堂々どうどうと演えんじるなど実力じつりょく派は娘むすめ役やくと言いわれた彼女かのじょならではの活躍かつやくを重かさね、花はな組ぐみトップ娘むすめ役やくに就任しゅうにん後ごも“娘むすめ役やくの鑑かん”として、歌うたやダンスといった芸げいはもちろん、立たち居振いふる舞まいまで美うつくしく輝かがやき続つづけた。

そんな彼女かのじょの追求ついきゅう心しんが表あらわれていたのが数々かずかずの手作てづくりアクセサリーや頭あたま飾かざり。宝塚歌劇団たからづかかげきだんの娘むすめ役やくはこれらの多おおくを自分じぶんで制作せいさくする伝統でんとうがある。「遠とおくから見みても近ちかくで見みても美うつくしいものを、というのをポリシーにしていました。オペラグラスで観みてくださる方ほうにも『どうなってるんだろう』『きれいだな』と目めを引ひくものにしたくて」。

舞台ぶたい人じんとして忙いそがしい彼女かのじょは、「ギリギリにならないと動うごかないタイプということもあり、もうやらないと間まに合あわない！というぐらいの時期じきに作つくり出だしていました。いざ照明しょうめいの前まえに立たち、衣装いしょうを着きたらちょっと違ちがった、ということもあるので、舞台ぶたい稽古けいこの休憩きゅうけい中ちゅうも手てを加くわえ、公演こうえんが始はじまってからも変化へんかさせて。トップ時代じだいはひとつの衣装いしょうや場面ばめんで2、3種類しゅるい作つくっていました。妥協だきょうはしたくなかったです」と明あかす。「結構けっこう（パーツの）解体かいたいもしていました。思おもい出でのアクセサリーは取とっておきますが、例たとえばネックレスで使つかっていた一部いちぶを頭あたま飾かざりでまた使つかったり。どんなパーツも残のこし、無駄むだのないように意識いしきして」と工夫くふうを凝こらした。

思おもい出深でぶかいものとして、卒業そつぎょう公演こうえん『CASANOVA』のフィナーレ、トップコンビのデュエットダンスで身みに着つけていた頭あたま飾かざりを披露ひろうしてくれた。ブルー系けいのグラデーションが美うつくしいドレスに映はえる、清楚せいそかつゴージャス感かんのある繊細せんさいなデザイン。

「このときの衣装いしょうは色いろやイメージなど、デザイナーの先生せんせいが希望きぼうを聞きいてくださり、私わたしの言葉ことばを膨ふくらませて素晴すばらしいドレスを作つくってくださったんです。そのドレスの端切はぎれを事前じぜんに頂いただけたので、刺繍ししゅうのところを切きり取とり、ビーズをあしらうなどして制作せいさくしました」。衣装いしょうとアクセサリー類るいとの関連かんれん性せいをもたせることを常つねに意識いしきしていた彼女かのじょにとって、世界せかいにひとつの集大成しゅうたいせい的てきな頭あたま飾かざりだ。

また、当時とうじの娘むすめ役やくとしての心境しんきょうも振ふり返かえる。「自分じぶん自身じしん、派手はでなほうではなかったので、アクセサリーや頭あたま飾かざりを華はなやかにすることで、自分じぶんを表現ひょうげんしていたところがありました。足たりない部分ぶぶんをアクセサリーに助たすけていただいた」と笑顔えがおで語かたるが、男役おとこやくを従したがえて押おし出だしのあるダンスを踊おどるなど、彼女かのじょにしか出だせない華はなで観客かんきゃくを魅了みりょうしていたのが思おもい出だされる。

宝塚たからづかを卒業そつぎょう後ごはその歌唱かしょう力りょくや演技えんぎ力りょくを武器ぶきに、数々かずかずのステージで活躍かつやく。今年ことし出演しゅつえんした『ジェーン・エア』では世界せかい的てきな演出えんしゅつ家か、ジョン・ケアード氏しに「君きみたちは最高さいこうだ」と何なん度ども言いわれたことが印象いんしょうに残のこっている。「そうやって言いっていただくことが自信じしんに繋つながり、表現ひょうげんの幅はばが広ひろがったのを実感じっかんしました。自分じぶんも誰だれかを肯定こうていすることの大切たいせつさを学まなびました」。

今年ことし後半こうはんはミュージカル『のだめカンタービレ』の三木みき清きよし良りょう役やくや、俳優はいゆう・中井なかい智彦ともひことのライブ『「CREATE」 Singers Live』などが控ひかえている。「毎回まいかい新あたらしい現場げんばでの出会であいによってたくさんの刺激しげきがあり、いろんな方ほうから影響えいきょうを受うけて自分じぶん自身じしん変かわっていけるのが、宝塚たからづか時代じだいとはまた違ちがっておもしろいです」。常つねに感謝かんしゃの気持きもちを忘わすれない彼女かのじょの想おもいやこだわりが、今後こんごどんな表現ひょうげんとして表あらわれるのか楽たのしみだ。

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松下まつした洸こう平ひらめ、中越なかごえ典子のりこなど俳優はいゆうたちが多数たすう参加さんかしている「エンジテノアート」は、大阪おおさか・福島ふくしまの「ACTLABO OSAKA」で8月がつ20日はつかまで開催かいさい中ちゅう、入場にゅうじょう無料むりょう。ミュージカル『のだめカンタービレ』は10月3日にち～29日にちに「シアタークリエ」他たで上演じょうえん。『「CREATE」 Singers Live』は11月18日にちに「JZ Brat SOUND OF TOKYO」でおこなわれる。各かく詳細しょうさいはオフィシャルサイトへ。

■ACT LABOオープニング企画きかく　リコモーション＆キューブアーティストグループ展てん
『エンジテノアート』
期間きかん：2023年ねん7月がつ9日にち（日ひ）〜8月がつ20日はつか（日ひ）
時間じかん：平日へいじつ13：00〜20：00、土日どにち祝しゅく11：00〜18：00　※火ひ・水曜すいよう、8月がつ11日にち（金かね）〜8月がつ16日にち（水みず）休きゅう
出展しゅってんアーティスト：松下まつした洸こう平ひらめ、中越なかごえ典子のりこ、仙せん名めい彩いろどり世よ、小松こまつ利昌としまさ、川原田かわはらだ樹いつき、楠くすのき見み薫かおる、サリngROCK
会場かいじょう：ACTLABO OSAKA（大阪おおさか市し福島ふくしま区く福島ふくしま7−1−10　2F【JR福島ふくしま駅えき高架こうか下か】）
料金りょうきん：入場にゅうじょう無料むりょう