熊本市の路面電車・熊本市電で、2024年初めからドアを開けたままの走行や「信号無視」などの運行トラブルが相次ぎ、26日には脱線事故まで発生した。「市民の足」として長年親しまれてきた市電の信頼を揺るがしている背景に何があるのか。【中村敦茂】
7月までに計9件、相次ぐトラブル
「弁解の余地もございません」。5月14日、熊本市交通局のトップ、井芹和哉交通事業管理者らが市役所で頭を下げた。前日朝、車両が電車用の赤信号を見落として電停に進入した事案を受けた記者会見。けが人などはなかったが、同2日には別の電停でも赤信号の見落としがあったばかり。幹部らは硬い表情で謝罪を繰り返した。
1月には車両がドアを開けたまま約90メートル走行、2月にも走行中にドアが2度にわたり開いた。3月には故障した車両を別車両で押して移動した際、連結棒が外れるなど、7月までに計9件のトラブルが続いた。ドア開け走行2件は国が…