「もったいないから持ってお帰り」。NHKの朝ドラ「虎に翼」で、敗戦後の絶望の淵にいた寅子の運命を変えたのは、偶然手にした焼き鳥を包んだ新聞紙だった。そこに新憲法全文が載っていて、戦後は平等な社会に変わると寅子に生きる希望を与える。焼き鳥を渡す女将(おかみ)を演じた在日コリアン3世で劇団代表、金民樹さん(49)が、名場面に隠れたもう一つの物語を語った。【外信部/堀山明子】
そんな重要な役を私が
――市販されている台本には、闇市の屋台で寅子に焼き鳥とどぶろくを出すのは「店の女将」としか書かれていません。
◆昨年末に在日コリアンのルーツを描いた演劇「ウトロ」の公演が東京であって、「虎に翼」の演出家の方が見に来られたんです。そのとき、「来年の朝ドラで、ほんの一場面だけど重要なカギを握る役があります。やってみませんか」とお誘いを受けました。…