VOGUE JAPAN

『ヴォーグ』（Vogue）はコンデナスト・パブリケーションズ（Condé Nast Publications）が発行はっこうするファッション・ライフスタイル雑誌ざっしである。世界せかい18カ国かこくとラテンアメリカで出版しゅっぱんされている。月刊げっかん雑誌ざっしで、内容ないようはファッション、ライフスタイル、デザインの話題わだいを中心ちゅうしんに提供ていきょうしている。またStyle.comというウェブサイトも運営うんえいしている。

■スタイルと影響えいきょう
『ヴォーグ』は、2006年ねん12月3日にち付づけのニューヨーク・タイムズ紙しにおいて、書籍しょせき批評ひひょう家かキャロライン・ウェーバーから「世界せかいで最もっとも影響えいきょう力りょくのあるファッション雑誌ざっし」とされ、以下いかのように評ひょうされている[1]。

（『ヴォーグ』は我々われわれの時代じだいの神かみである、ヴォルテールの有名ゆうめいな言葉ことばに“もし神かみが存在そんざいしないなら、神かみを発明はつめいしなければならない。”というのがある。その編集へんしゅうの優秀ゆうしゅうさと視覚しかくの堂々どうどうたる態度たいどは尊たっとばれて、雑誌ざっしは贅沢ぜいたく、セレブリティ、スタイルを崇拝すうはいする全すべての人ひとのバイブルとして長ながらく機能きのうした。そして、我々われわれが恐おそらく三位一体さんみいったいが今日きょうの消費しょうひ者しゃ文化ぶんかを支配しはいすることを当然とうぜんと思おもう間あいだ、優位ゆういにその台頭たいとうを起おこしている『ヴォーグ』の役割やくわりを過小かしょう評価ひょうかできない。）
—キャロライン・ウェーバー, New York Times, 2006年ねん12月3日にち号ごう

『ヴォーグ』は最先端さいせんたんのファッション、理想りそうのライフスタイルを紹介しょうかいする雑誌ざっしとして名なが知しられているが、それだけではなく美術びじゅつや文化ぶんか、政治せいじ等とうに関かんする記事きじも掲載けいさいされている。またこの雑誌ざっしに取とり上あげられたモデルは全ぜん世界せかい的てきな知名度ちめいどを獲得かくとくすることになるため、ファッションモデルが有名ゆうめいになるための登竜門とうりゅうもんとしての役目やくめも果はたしている。

『ヴォーグ』は以下いかに示しめす世界せかい18カ国かこく・1地域ちいきで発行はっこうされている。

・アメリカ
・イギリス
・イタリア
・インド
・オーストラリア
・ギリシャ
・スペイン
・韓国かんこく
・台湾たいわん
・中国ちゅうごく
・ドイツ
・トルコ
・日本にっぽん
・ブラジル
・フランス
・ポルトガル
・メキシコ
・ロシア
・ラテンアメリカ

男性だんせい向むけの「ヴォーグ・オム」やジュエリー雑誌ざっし「ヴォーグ・ジォイエロ」なども発刊はっかんされている。

■歴史れきし
『ヴォーグ』は1892年ねんに週刊しゅうかん誌しとしてアーサー・ボールドウィン・ターナーによって創刊そうかんされ、彼かれが1909年ねんに死去しきょした後のちは、コンデ・ナストが雑誌ざっしを受うけ継つぎ、徐々じょじょに発行はっこうの規模きぼを大おおきくしていった。ナストはまずそれまで週刊しゅうかん誌しとして発行はっこうしていた『ヴォーグ』を2週間しゅうかんおきの発行はっこうに変更へんこうし、1910年代ねんだい初期しょきには海外かいがいに進出しんしゅつ、最初さいしょにイギリスに向むかい、そこで『ヴォーグ』の発行はっこうを開始かいしした。イギリスでの販売はんばいは上手うまく行いったが、次つぎに進出しんしゅつしたスペインでは失敗しっぱい、しかしその後ごに進出しんしゅつしたフランスでは大だい成功せいこうを収おさめた。ナストの手腕しゅわんにより『ヴォーグ』の発行はっこう部数ぶすう・利益りえきは劇的げきてきに増加ぞうかし、購読こうどく契約けいやくの数かずも増加ぞうか、特とくに世界せかい恐慌きょうこう時じや第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん時じには急増きゅうぞうした。1960年代ねんだい、ダイアナ・ブリーランドが編集へんしゅう長ちょうについてからは、現代げんだい的てきなファッションを多おおく取とり上あげたり、性的せいてきなことも大胆だいたんに記事きじで扱あつかう編集へんしゅう術じゅつを行おこなったりしたことで、性せいの革命かくめい時代じだいの若者わかものの心しんをつかんだ。また『ヴォーグ』はスージー・パーカー、ツイッギー、ジーン・シュリンプトン、ローレン・ハットン、ヴェルーシュカ・ヴォン・レンドルフ、マリサ・ベレンソン、ペネロープ・トゥリーなどの有名ゆうめいなモデルを輩出はいしゅつしている[2]。

1973年ねんに『ヴォーグ』は月刊げっかん誌しとなり、編集へんしゅう長ちょうグレース・ミラベラの下もとで、読者どくしゃのライフスタイルの変化へんかに対応たいおうするために、さらなる編集へんしゅうの工夫くふう、斬新ざんしんなスタイルの追求ついきゅうを行おこない、雑誌ざっしは変化へんかを遂とげていった。

現在げんざい『ヴォーグ』アメリカ版ばんの編集へんしゅう長ちょうはアナ・ウィンター、トレードマークのボブヘアーと屋内おくないでもサングラスをかけていることでも有名ゆうめいである。1988年ねんに編集へんしゅうの役職やくしょくを引ひき継ついだ彼女かのじょは、ファッション誌し業界ぎょうかいで『ヴォーグ』の持もつ優すぐれたセンスと評判ひょうばんを守まもるため、より多おおくの人々ひとびとに向むけた、新あたらしくより親したしみやすい「ファッション」の形かたちを雑誌ざっしに掲載けいさいするようにした[3]。例たとえばウィンターが編集へんしゅう長ちょうに就ついてから初はじめて発行はっこうされた『ヴォーグ』の表紙ひょうしを飾かざったのは、クリスチャンラクロアのジャケットとジーンズに高価こうかな宝石ほうせきを身みに着つけたイスラエルのスーパーモデル、ミカエラ・ベルクの膝ひざから上うえを映うつした写真しゃしんであり、女性じょせいの顔かおのみを写うつしていたそれ以前いぜんの写真しゃしんとは一線いっせんを画かくしていた。これを『タイム』は「彼女かのじょの洋服ようふくと体からだの重要じゅうよう性せい。このイメージもジーンズとオートクチュールを合あわせる新あたらしいシックの形かたちで販売はんばい促進そくしんした。ウィンターのデビューカバーは今日きょうまでの現代げんだいファッションに知しられるクラスとその他たを和解わかいし仲介ちゅうかいした」と評ひょうした。ウィンターの下したでは新あたらしく若わかい才能さいのうは歓迎かんげいされた[1]。

ウィンターのファッションショーへの出席しゅっせきは、しばしば産業さんぎょうの中なかのデザイナーのプロフィールの指標しひょうととられる。2003年ねんに彼女かのじょは毎年まいとし資金しきんとガイダンスを少すくなくとも2人ふたりの新進しんしんデザイナーに提供ていきょうする基金ききんを生うみ出だすアメリカ・ファッション協議きょうぎ会かいに加くわわった[3]。これは新進しんしんデザイナーの間あいだで忠誠ちゅうせいを構築こうちくし、雑誌ざっしが優位ゆういな位置いちにい続つづけるのを助たすけると『タイム』は評ひょうした、「アメリカのファッションに対たいするかなりの影響えいきょう。彼女かのじょが登場とうじょうするまでランウェイショーは始はじまらない。彼女かのじょが彼かれらに油あぶらを塗ぬるので彼かれらは成功せいこうする。流行りゅうこうは彼女かのじょの命令めいれいで引ひき起おこされるか、無力むりょくになる。」[3]。

■脚注きゃくちゅう
1.Weber, Caroline (2006年ねん12月3日にち). “Fashion-Books: Review of"IN VOGUE:
The Illustrated History of the World's Most Famous Fashion Magazine (Rizzoli)"”. New York Times. 2007年ねん1月がつ28日にち閲覧えつらん。
2.Dwight, Eleanor. “The Divine Mrs. V”. New York Magazine. ml 2007年ねん11月18日にち 閲覧えつらん。
3.Orecklin, Michelle (2004年ねん2月がつ9日にち). “The Power List: Women in Fashion, #3 Anna Wintour”. Time magazine. 2007年ねん1月がつ29日にち閲覧えつらん。
4.Betts, Kate (2003年ねん4月がつ13日にち). “Anna Dearest”. New York Times. 2007年ねん1月がつ29日にち閲覧えつらん。
5.Wilson, Eric (2006年ねん12月28日にち). “The Devil Likes Attention”. New York Times. 2007年ねん1月がつ29日にち閲覧えつらん。
6.Noveck, Jocelyn (2007-05-30). “Fashion Mags Anger Some With Tobacco Ads”. 2007年ねん11月18日にち 閲覧えつらん。
7.Cadenhead, Rogers (2008年ねん3月がつ28日にち). “Annie Leibovitz Monkeys Around with LeBron James”. 2009年ねん12月30日にち閲覧えつらん。