声こえだけで、さまざまなキャラクターを演えんじていく声優せいゆう。AT-DXオリジナルの新しん番組ばんぐみ「Re After Recording」は、声優せいゆうの「芝居しばい」のすごさや魅力みりょくをさらに深ふかく知しってもらうことを目的もくてきに生うまれた番組ばんぐみだ。第だい2回かいの題材だいざいには、久米田くめた康治こうじのマンガを原作げんさくとして、2020年ねんの4月がつから6月がつにわたって全ぜん12話わが放送ほうそうされたTVアニメ「かくしごと」をピックアップ。物語ものがたりの終盤しゅうばんは、原作げんさくの連載れんさいとほぼ同時どうじ進行しんこうで感動かんどう的てきな大団円だいだんえんが描えがかれたことでも話題わだいを集あつめた名作めいさくで、2021年ねん7月がつには、新規しんきカットが加くわわった「劇場げきじょう編集へんしゅう版ばんかくしごと ―ひめごとはなんですか―」も公開こうかいされている。今回こんかい再さいアフレコに臨のぞむのは、主人公しゅじんこうの後藤ごとう可か久ひさ士しを演えんじる神谷かみや浩史こうじと、一人娘ひとりむすめの後藤ごとう姫ひめを演えんじる高橋たかはし李り依よ。都内とない某所ぼうしょのスタジオを訪おとずれた2人ふたりは、番組ばんぐみスタッフから改あらためて企画きかく内容ないようや収録しゅうろくの段取だんどりについて説明せつめいを受うけた後のち、2本ほんのマイクが設置せっちされたアフレコブースの中なかへ。神谷かみやと高橋たかはしによる「Re After Recording」が始はじまった。

ブースに入はいってすぐ、設置せっちされたカメラの多おおさに驚おどろく2人ふたり。この「Re After Recording」では、6台だいものカメラを使つかって、アフレコ中ちゅうの声優せいゆうの姿すがたをさまざまな角度かくどから撮影さつえいするのだ。ブースの中なかの光景こうけいは、普段ふだんのアフレコとは少すこし異ことなっていたが、2人ふたりともリラックスした雰囲気ふんいき。スタッフの準備じゅんびが整ととのうまでの時間じかんは、コロナ禍か前まえに行おこなわれたアフレコの思おもい出でなどを語かたっていた。

今回こんかい再さいアフレコされるのは、全ぜん12話わの中なかから抜粋ばっすいされた14のシーン。実際じっさいのTVアニメのアフレコでは、Aパートのテストと本番ほんばんの後のち、休憩きゅうけいを挟はさんでBパートという順番じゅんばんで収録しゅうろくしていくのだが、今回こんかいは1シーンごとにテスト、本番ほんばんという形かたちで収録しゅうろくしていく。スタッフからの合図あいずでマイクの前まえに立たつ2人ふたり。まずは第だい1話わの冒頭ぼうとう、18歳さいの姫ひめの「隠かくし事ごとは、何なにですか？」というモノローグから、可か久ひさ士しと10歳さいの姫ひめが自宅じたくを出でて、職場しょくばと学校がっこうへ向むかうシーンまでのテストが始はじまった。18歳さいの姫ひめのモノローグやセリフは、シリアスな内容ないようが多おおいためか、芝居しばいをしている高橋たかはしの表情ひょうじょうも真剣しんけんでどこか切せつなそう。しかし、可か久ひさ士しと10歳さいの姫ひめが「気きをつけてな」「お父とうさんこそ」と声こえを掛かけ合あうシーンになった瞬間しゅんかん、明あかるい笑顔えがおに切きり替かわる。もちろん、芝居しばいも18歳さいから10歳さいへガラリと変化へんかした。

最初さいしょのテストの段階だんかいから、アニメで観みて聴きいてきた可か久ひさ士しと姫ひめの声こえが聞きこえてくる。テストの芝居しばいにはなんの問題もんだいもなく、そのまま本番ほんばん。その後ごもテンポよく次々つぎつぎと収録しゅうろくが進すすんで行いく。可か久ひさ士しと姫ひめというキャラクターの違ちがいも大おおきな要因よういんだとは思おもうが、マイク前まえにすっと立たち、あまり動うごかないまま芝居しばいをしていく神谷かみやに対たいし、10歳さいの姫ひめを演えんじるときの高橋たかはしは、表情ひょうじょう豊ゆたかで身体しんたいの動うごきも画面がめんの姫ひめと少すこしシンクロ。姫ひめが考かんがえ込こむシーンでは、かわいく首くびを傾かたむけて視線しせんを斜ななめ上じょうに向むけて不思議ふしぎそうな表情ひょうじょう。布団ふとんの中なかにもぐっていた姫ひめが、もぞもぞと顔かおを出だして話はなすシーンでは、姫ひめと同おなじように少すこし肩かたを左右さゆうに揺ゆらしていた。比較的ひかくてき真剣しんけんな表情ひょうじょうが続つづく神谷かみやも、可か久ひさ士しが優やさしく姫ひめに話はなしかけるときには、温あたたかい笑顔えがおに変かわる。

収録しゅうろくはスムーズに進行しんこう。時折ときおり、水分すいぶん補給ほきゅうをする程度ていどの間あいだを取とるだけで、次々つぎつぎに変かわるシーンを休やすみなく演えんじていく。最後さいごのテストを前まえに、スタッフが「こんなに連続れんぞくで録ろくることありますか？」と尋たずねると、高橋たかはしは「ないです」と笑顔えがおで即答そくとうしていた。2人ふたりとも身体しんたいを軽かるくストレッチするなど、少すこし疲つかれた様子ようすも見みせてはいたが、シリアスなシーンの続つづく12話わも一発いっぱつOK。予定よていスケジュールよりも少すこし短みじかい約やく1時じ間あいだで、「かくしごと」の再さいアフレコが終了しゅうりょうした。

セット変更へんこうも兼かねた休憩きゅうけいの後のち、アフレコブースの中なかで収録しゅうろくされたトークパートでは、再さいアフレコの感想かんそうだけではなく、「かくしごと」のアフレコスタジオでの思おもい出でなども語かたられていく。また、「かくしごと」に関かんする話題わだいに留とまらず、声優せいゆうという職業しょくぎょうを続つづける中なかで経験けいけんしてきた深ふかい話はなしも展開てんかい。「かくしごと」はもちろん声優せいゆうに興味きょうみがある人ひとは、ぜひ番組ばんぐみを観みてほしい。

5年ねんも前まえにやったことをもう一いち回かいできるのかなって（神谷かみや）

──この「Re After Recording」という番組ばんぐみへの出演しゅつえんオファーがあったときの率直そっちょくな感想かんそうを教おしえてください。

高橋たかはし李り依よ　まずは、番組ばんぐみの題材だいざいとして「かくしごと」という作品さくひんを選えらんでいただけたことが、すごくうれしかったです。そして、「神谷かみやさんは、出でますか？」ということが気きになりました（笑）。

──神谷かみやさんと一緒いっしょにということも、重要じゅうようなポイントだったのですね。

高橋たかはし　はい。「かくしごと」が題材だいざいになっていることと、神谷かみやさんともう一度いちど、掛かけ合あいができることの両方りょうほうがとてもうれしかったので、「ぜひ！」という感かんじでやらせていただきました。

神谷かみや浩史こうじ　実じつは、この企画きかくのお話はなし自体じたいはかなり前まえにいただいていたのですが、僕ぼくと李り依よちゃんのスケジュールが全然ぜんぜん合あわなくて。ずいぶん先さき延のばしになっていたので、企画きかく自体じたい、もうなくなったのかなと思おもっていたんです。それが、急きゅうにスケジュールが決きまり、本当ほんとうにやることになって。「マジか」って（笑）。

──なぜ、「マジか」と思おもわれたのですか？

神谷かみや　「かくしごと」のアフレコをしたのは5年ねんくらい前まえなんですけど。5年ねん前まえと今いまとでは、もう細胞さいぼうレベルでは別人べつじんなので（笑）。

──人間にんげんの身体しんたいの細胞さいぼうは、数すう年ねんで入いれ替かわるという説せつもありますね。

神谷かみや　5年ねんも前まえにやったことをもう一いち回かいできるのかなって。

高橋たかはし　神谷かみやさんでもそうですか？ 私わたしも変かわっちゃうだろうなーとは思おもいました。

神谷かみや　どういうふうにやったらできるのだろうと考かんがえて、当時とうじ使つかった台本だいほんと（今日きょうの）収録しゅうろく用ようの台本だいほんを比くらべてみたりしました。当時とうじの台本だいほんには、アフレコのときに（納谷なや僚介音響おんきょう監督かんとくや村野むらの佑たすく太ふとし監督かんとくから）聞きいた演出えんしゅつ意図いとも書かいてあるんです。それを改あらためて見直みなおして、自分じぶんの仕事しごとに対たいするアプローチもずいぶん変かわったなとか思おもいながら、今日きょうの収録しゅうろくに参加さんかしました。12話わ分ぶんの台本だいほんは、今日きょうもスタジオに持もってきています。

──アプローチが変かわると、やはり、お芝居しばい自体じたいにも変化へんかはあったのでしょうか？

神谷かみや　どうなんでしょう？ それを判断はんだんするのは、観みてくださる第三者だいさんしゃなので、自分じぶんとしてはわからないです。それに、変かわっていたとしても、それはしょうがないことなので（笑）。

高橋たかはし　大丈夫だいじょうぶ。完成かんせいした作品さくひんは、もうありますし（笑）。

神谷かみや　そうなんですよ。正解せいかいは、一いち回かい、アニメとしてお見みせしているので、そちらを観みていただけたらということで。ただ、「今いま、新あたらしくやると、こういうアプローチになります」という提案ていあんにはなったかなと思おもいます。