1話わ後半こうはんで一気いっきに引ひき込こまれる！

──オンエアが始はじまった後のちということで、放送ほうそう済ずみのエピソードの内容ないようにも触ふれつつお話はなしを伺うかがわせてください。異い世界せかいファンタジーのような雰囲気ふんいきで物語ものがたりが展開てんかいされますが、第だい1話わのラストでここが実じつはゲームの世界せかいだということが明あかされます。視聴しちょう者しゃの皆みなさんも驚おどろかれたと思おもうのですが、おふたりはいかがでしたか？

矢野やの妃ひ菜さい喜き　驚おどろきました！ オーディションのときに原作げんさくマンガを読よませていただいたんですが、最初さいしょは「なんだか珍めずらしいタイプの異い世界せかいものだな」と思おもっていたんです。異い世界せかいものってたくさんありますけど、この作品さくひんには読よんでいて不思議ふしぎな違和感いわかんがあって。それが、本当ほんとうにアニメの第だい1話わの流ながれと同おなじような感かんじで、「ゲームの世界せかいだったんだ！」ということを知しって、ようやくその違和感いわかんの正体しょうたいがわかったというか。「なるほど！」「だから『この世界せかいは不完全ふかんぜんすぎる』ってタイトルなんだ！」って、一気いっきに引ひき込こまれましたね。

石川いしかわ界かい人じん　僕ぼくはX（旧きゅうTwitter）で原作げんさくの広告こうこくを見みかけたことがあり、以前いぜんからこの作品さくひんのことは知しっていました。そういう広告こうこくって、「衝撃しょうげき的てきな展開てんかいがありますよ」というところを抽出ちゅうしゅつして載のせていますよね。だから「何なにかあるんだろうな」と身構みがまえつつ（笑）、マンガを読よみ始はじめたんですが、ただ、読よみ始はじめても最初さいしょのほうではまったく違和感いわかんの正体しょうたいに気きづかなくて。ヒロインが燃もえて死しんでしまうという演出えんしゅつをされたときに、「これはいったいどういう話はなしなんだろう？」と強烈きょうれつに興味きょうみを惹ひかれた覚おぼえがあります。

──舞台ぶたいはゲームの中なかで、しかも未完成みかんせいなゲームなので不完全ふかんぜん。あらゆるところに“バグ”があり、主人公しゅじんこうのハガは“デバッガー”としてそれを調査ちょうさ・報告ほうこくするという役回やくまわりです。

石川いしかわ　ゲームの制作せいさく過程かていにデバッグという作業さぎょうがあるのは、一般いっぱん知識ちしきとしては知しっていましたが、それをどういうふうにドラマとして描えがいていくんだろう？というのが気きになりますよね。

矢野やの　私わたしも、デバッグをマンガやアニメの世界せかいに落おとし込こんで……というのは見みたことがなかったので、新あたらしいなって思おもいました。

──ちなみにおふたりは、ゲームはよくやられるんでしょうか？

石川いしかわ　最近さいきんはあまりしていないですね。「Apex Legends」や「Minecraft」のような、配信はいしんで人気にんきがあるゲームに没頭ぼっとうしていた時期じきもあるんですが、今いまはあまり時間じかんが作つくれていなくて。「あそこには行いけるのかな？ 行おこなってみよう」とか、「こんなことはできるのかな？ やってみよう」とか、そういうチャレンジができるゲームに当時とうじはハマりがちでした。これはお芝居しばいでもそうなんですが、この線せんでやってくださいと言いわれていても、「こういうアプローチはどうかな？」とあえてちょっと線せんから外はずれてみて、結果けっかいいものができればもちろんいいですし、もしダメだったとしても、そういうチャレンジをするのが僕ぼくは楽たのしいので。

矢野やの　私わたしは割わりとRPGものが好すきですね。据すえ置おき機きで「スプラトゥーン」とかもやるんですけど、最近さいきんは「原はら神かみ」とか、スマホゲームが多おおいです。

──「この世界せかいは不完全ふかんぜんすぎる」には、ゲーム好すきなら思おもわず“あるある”と頷うなずいてしまうような描写びょうしゃも多おおいと思おもうのですが、そのあたりはいかがでしたか。

矢野やの　そこまで詳くわしくはないので、どちらかというと「デバッガーの方ほうって普段ふだんこういうことをされてるんだ」って感かんじる部分ぶぶんが大おおきかったです。もちろん、現実げんじつのデバッガーの方ほうはきっと、コントローラーやキーボードでゲームを操作そうさしているじゃないですか？ その点てんハガさんたちは、体からだごと壁かべにぐりぐり押おし付つけているので、実際じっさいゲームの世界せかいに入はいったらそうやってデバッグするんだ、みたいなところが面白おもしろかったです。

石川いしかわ　ゲームのことをよく知しらなくても楽たのしめる作品さくひんなので、ゲームの世界せかいだということにこだわらなくてもいいんじゃないかなと思おもいます。世界せかいの違和感いわかんを拾ひろい集あつめる人ひとたちがいて、彼かれらがそれを追おい求もとめる先さきにどういう冒険ぼうけんが待まっているのか。そこに焦点しょうてんがあると思おもいますので、この目新めあたらしい設定せっていから生うまれるドラマを楽たのしんでもらえたらうれしいです。

アフレコ現場げんばでは、みんなが「ニコラかわいい！」

──おふたりが演えんじられたキャラクターについてもお話はなしを聞きかせてください。それぞれ、どんな印象いんしょうをお持もちですか。

石川いしかわ　ハガは、すごく性根しょうこんの優やさしいキャラクターなのかなと思おもっています。最初さいしょは、ちょっと人見知ひとみしりっぽいというか、あんまり人ひととの距離きょりを詰つめるようなタイプじゃないのかな？という人物じんぶつとして出でてくるんですが、第だい1話わの後半こうはんで、彼かれがここに至いたるまでに何なん度ども同おなじことを繰くり返かえしていて、それこそニコラが死しんでしまう場面ばめんを何なん度ども見みていることが明あかされて。すでに1つ、大おおきな心境しんきょうの変化へんかがあったんだなと、その理由りゆうがわかるんですよね。ニコラはNPCであるわけですが、そんなニコラとの向むき合あい方かたからも、彼かれの性根しょうこんのよさが見みて取とれる。それから、基本きほん的てきにデバッガーはいわゆるチート能力のうりょく的てきな力ちからを持もっていて、ゲーム内ないで一般いっぱんプレイヤーが強しいられるであろう理り（ことわり）から外はずれた動うごきができるという状況じょうきょうにあるんですが、ハガはその能力のうりょくを使つかわず、一般いっぱんプレイヤーと同おなじようにプレイをすると心しんに決きめている。すごく誠実せいじつな人物じんぶつでもありますね。

──演えんじていて、ハガに共感きょうかんできる部分ぶぶんはありましたか？

石川いしかわ　やっぱり誠実せいじつなところですかね（笑）。

──矢野やのさんから見みて、ハガはどんなキャラクターですか。

矢野やの　すごく頼たのもしいです！ それこそお芝居しばいの面めんでも、石川いしかわさんが突つき抜ぬけてくださるので、「私わたしもそこに付ついて行いこう！」って気持きもちで一緒いっしょにやらせていただいていました。ハガさんはすごく真面目まじめなんですけど、真面目まじめすぎてある意味いみこう、ちょっと変態へんたい的てきでもあるというか（笑）。

石川いしかわ　ニコラが一番いちばんまともかもしれないね。

矢野やの　そうですね。私わたしが演えんじるニコラは、すっごく純粋じゅんすいでまっすぐな、めちゃくちゃかわいい子こなんです。最初さいしょはその純朴じゅんぼくさをどのくらい出だせばいいのか難むずかしくて……。あまりかわいくしすぎてもニコラっぽくないなと思おもっていたので、そのあたりのバランス感かんを音響おんきょう監督かんとくさんとも相談そうだんしながら演えんじました。

石川いしかわ　ニコラの、夢ゆめを持もってひたむきになっているところ。それがほかのキャラクターとの対比たいひになっていて、めちゃくちゃいいんですよね。アフレコ現場げんばでも、みんなで「ニコラかわいいなあ」って言いいながら収録しゅうろくしていました。

──第だい3話わではそんなニコラが、テスラという別べつ人格じんかくを覗のぞかせます。このテスラも矢野やのさんが演えんじられていますが、テスラとの演えんじ分わけについても聞きかせてください。

矢野やの　テスラは、メタAIとして世界せかいを俯瞰ふかんして見みているようなキャラクターなので、そういう雰囲気ふんいきが出でればいいなと思おもって演えんじました。テスラはテスラで、めちゃくちゃごはんを食たべるんですよ。その食たべている姿すがたがまたかわいいんですよね。

石川いしかわ　今後こんご仲間なかまになるキャラクターたちも、一癖ひとくせも二に癖へきもあるキャラクターばかりなんです。彼かれらがパーティに加くわわることで、ハガとニコラの新あらたな一いち面めんがまた見みえてくるというか、掛かけ合あいにもメリハリが出でてくるので、この先さきもぜひ注目ちゅうもくしてもらえたらと思おもいます。

いろんな人間にんげんがいて、その価値かち観かんの違ちがいが面白おもしろい

──おっしゃる通とおり、これから個性こせい豊ゆたかなキャラクターがどんどん出でてきますよね。

石川いしかわ　僕ぼく、社長しゃちょうが好すきです。すごく人間にんげん臭くさいんですよ。今後こんごどういうふうに話はなしが展開てんかいしていくかっていうのは、ぜひオンエアを楽たのしみにしていてほしいんですが、個人こじん的てきには注目ちゅうもくしてほしいキャラの1人ひとりです。

矢野やの　私わたしはアマノですね。“フェザー”という種族しゅぞくで、シンプルに見みた目めがかわいいっていうのもありますし、彼かれにまつわるエピソードがいいんですよね。涙腺るいせんに来くると言いいますか。

石川いしかわ　この作品さくひんは毎まい話はなし毎ごと話ばなし、予想よそうのつかない展開てんかいが待まっているので、視聴しちょう前まえの方ほうには言いえないことが多おおいんですよ（笑）。強しいて言いうなら、今後こんごデバッガーがいっぱい出でてくるんですが、そのデバッガーたちの価値かち観かんの違ちがいの描えがき方かたが面白おもしろい。そのあたりを楽たのしみにしておいてもらいたいです。

矢野やの　いろんな人間にんげんがいますよね。

石川いしかわ　ははは（笑）。いいふわっと感かんだね。

矢野やの　“どうせゲームの中なかだから”って悪事あくじに走はしっちゃう人ひともいれば、それこそハガさんみたいに、真面目まじめに誠実せいじつにずっと1つのことを集中しゅうちゅうしてやっている人ひともいますし、本当ほんとうにいろんな人間にんげんがいるんです（笑）。すごく考かんがえさせられる作品さくひんでもあるかなって思おもいますね。

石川いしかわ　この作品さくひんのモンスターのデザインって特徴とくちょう的てきだと思おもうんですが、最初さいしょ見みたときどう思おもいました？

矢野やの　怖こわいというか、気味きみが悪わるいというか……いい意味いみでのリアル感かんがありますよね。第だい1話わに出でてくるホイモイドラゴンも、第だい一いち形態けいたいは「まあまあ、こういうのいるよな」って感かんじだったんですけど、戦闘せんとうモードに変身へんしんするときの、あのムリムリムリムリ……って中身なかみが出でてくるところとか、ちょっと気持きもち悪わるいですよね。

石川いしかわ　「ドラゴン、こんなふうにはならないでしょ!?」って思おもったよね（笑）。従来じゅうらいの、いわゆる定説ていせつとされているようなモンスターとは印象いんしょうが違ちがって、そこも楽たのしめる作品さくひんですよね。

──キモカワ、とも言いえるでしょうか？

石川いしかわ　キモカワかなあ？（笑）

矢野やの　よく見みたらかわいく見みえてきたかも、みたいな。でもホイモイドラゴンは、それを裏切うらぎられて「キモイ！」になった（笑）。

石川いしかわ　僕ぼくはけっこう好すきなんですが、モンスターによっては「これ大丈夫だいじょうぶかな？」ってモチーフのデザインだったりもする（笑）。そのあたりも、ケラケラ笑わらいながら観みていただけたら面白おもしろいのかなって思おもいます。

石川いしかわ＆矢野やのが、現実げんじつ世界せかいでバグだと思おもうことは……

──本ほん作さくでは、ハガをはじめとするデバッガーたちが、ゲームの中なかからログアウトできないという非常ひじょう事態じたいに置おかれています。もしおふたりが、ハガたちと似にたような状況じょうきょうに遭遇そうぐうしたら、どう行動こうどうしますか？

石川いしかわ　デバッガーとしてですよね？ ゲームですし、命いのちがどうなるかっていうのは実際じっさい問題もんだいわからないところではありますが……。現実げんじつ社会しゃかいでお金かねをもらってやっている“仕事しごと”ではあるので、ハガほど真面目まじめにではないでしょうけど、ある程度ていど働はたらきながら出でられるのを待まつかなと思おもいます。

──矢野やのさんはどうですか。

矢野やの　たぶん最初さいしょは、外そとに出でられないかとあがくと思おもうんですけど、「もう無理むりだな」ってなったら、楽たのしむほうに気持きもちを切きり替かえます。やっぱりゲームの世界せかいでしかできないこともあると思おもうので、ある程度ていど死しなないようにしつつ……。それこそこの作品さくひんだと、何なにかに没頭ぼっとうしてる人ひとのほうが狂くるわないでいられるという部分ぶぶんもあるので、楽たのしめることを見みつけて、意外いがいと順応じゅんのうできそうだなと。

──使つかっちゃいけないと言いわれているデバッグモードも、この状況じょうきょうだったら使つかいますか？

矢野やの　使つかっちゃいそうです。たぶんその、使つかったらどう困こまるかという知識ちしきもないので、使つかって「助たすけてー！」ってなる側ほのかもしれません。

石川いしかわ　僕ぼくはたぶん、仕事しごとで最低限さいていげん必要ひつようであれば使つかうかもな、っていう感かんじですね。やっぱりゲームなので、ログを取とられていたりとかして、「働はたらいてないじゃん？」っていう話はなしになったらもらえるお金かねももらえなくなりますし……。

矢野やの　すごく現実げんじつ的てき。

石川いしかわ　はい（笑）。現実げんじつ世界せかいとゲームの世界せかいの両方りょうほうがある世界せかい観かんなので、どっちのリスクも考かんがえちゃいますね。

──“バグ”つながりで最後さいごに、現実げんじつ世界せかいにおいてバグだと感かんじていること、「これはおかしいだろ」って言いいたいことをお聞ききしてもいいでしょうか。

矢野やの　太ふとらない人ひとがいることですかね。

石川いしかわ　ははは（笑）。

矢野やの　なんでなんですかね？ もちろん、そういう方ほうはそういう方ほうで、太ふとれないことを逆ぎゃくに気きにされていたりするとは思おもうんですけど……。体重たいじゅうを気きにせずいっぱい食たべられるなんて、うらやましいなって思おもっちゃいますね。

石川いしかわ　僕ぼくは30歳さいを越こえてからの月日つきひが経たつ早はやさ。これは本当ほんとうにバグだと思おもいますね。信しんじられないぐらい早はやいので、デバッグモードを使つかって1日にちの時間じかんが延のばせるとしたら、それは延のばしてしまいたいですね。仕事しごともしなきゃいけないけれど、映画えいがも観みたいし、ドラマも観みたいし、料理りょうりも作つくりたいし、飲のみ会かいも行いきたい。でも時間じかんがないと思おもっているうちに、1年ねんがあっという間まに過すぎていく。事務所じむしょに「年末ねんまつの休やすみを2週間しゅうかんくらいくれ！」って死しぬほど交渉こうしょうしています（笑）。