左から「ゴジラ-1.0」ポスタービジュアル、山崎貴。

「ゴジラ-1.0」をもっとたのしむ!ゴジラ+1.0(プラスワン) だい1かい [バックナンバー]

訪問ほうもんレポート】「ゴジラ-1.0」はどんな環境かんきょうつくられたのか?山崎やまざきたかしろぐみ調布ちょうふスタジオをめぐ

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11月3にち全国ぜんこく公開こうかいされるゴジラ70周年しゅうねん記念きねん作品さくひんゴジラ-1.0(ゴジラマイナスワン)」。そのVFX(視覚しかく効果こうか)をがけたのが、1974ねん設立せつりつされた映像えいぞう制作せいさく会社かいしゃしろぐみだ。同社どうしゃは「シン・ゴジラ」をはじめとする「シン」シリーズのVFXや、ゲーム「ゼルダの伝説でんせつ ティアーズ オブ ザ キングダム」のアニメーションの一部いちぶ制作せいさくしている。

「ゴジラ-1.0」のVFXはどのような環境かんきょう制作せいさくされたのか? それをるために東京とうきょう調布ちょうふにあるスタジオをおとずれた。この記事きじでは、しろぐみ所属しょぞくし、「ゴジラ-1.0」の監督かんとく脚本きゃくほん・VFXを担当たんとうした山崎やまざきたかによる“社内しゃないツアー”をおとどけする。

取材しゅざいぶん / 小澤おざわ康平やすひら 撮影さつえい / 梁瀬やなせたま

“まあまあいい椅子いす”でどこまでもけるフロア

東京とうきょうさんけん茶屋ちゃや調布ちょうふにスタジオをゆうするしろぐみ。2016ねん封切ふうぎられた「シン・ゴジラ」のVFXは三軒茶屋さんげんぢゃやつくられ、「ゴジラ-1.0」では調布ちょうふチームが制作せいさく担当たんとうした。2つのスタジオは明確めいかくかれているわけではなく、「ゴジラ-1.0」には「シン・ゴジラ」にたずさわったスタッフも参加さんかしている。

山崎やまざきのデスクは、ずらりとパソコンがならぶフロアの一番いちばんおくにある。つくえ左手ひだりてにはVFX制作せいさく参考さんこうにする大量たいりょう書籍しょせきかれ、右手みぎてにはゴジラのフィギュアが。VFXの制作せいさく期間きかんはここに常駐じょうちゅうするという山崎やまざきは「普通ふつう監督かんとくのチェックが1週間しゅうかんに1かいくらいだったりするんですが、うちの場合ばあいぼくつねにいるのでこまかく確認かくにんできます。トライアンドエラーの回数かいすうえて、飛躍ひやくてきにクオリティががるのがメリットですね。デメリットはチェックにわれてほかの作業さぎょうができないこと。自分じぶん仕事しごと支障ししょうます(笑)」とわらう。

デスクで作業をする山崎貴。

デスクで作業さぎょうをする山崎やまざきたか

山崎貴のデスクに置かれたゴジラのフィギュア。

山崎やまざきたかのデスクにかれたゴジラのフィギュア。

ゆか全体ぜんたいがフラットになっており、その理由りゆうについて「椅子いすでどこまでもけるんですよ。ピューって社員しゃいんのデスクにって『あのカットどうなった?』みたいな」とたのしそうにはな山崎やまざき。VFXの制作せいさくには長時間ちょうじかんのデスクワークがもとめられるため、できるだけラグジュアリーな職場しょくば環境かんきょう目指めざしているそうで、山崎やまざきいわく“まあまあいい椅子いす”が使用しようされている。

楽しそうに椅子で移動する山崎貴。

たのしそうに椅子いす移動いどうする山崎やまざきたか

登場とうじょう人物じんぶつたちとゴジラの物語ものがたり乖離かいりしないように

つづいておも合成ごうせい担当たんとうするスタッフのもとへ。神木しぼく隆之たかゆきかいえんじる敷島しきしま浩一こういち浜辺はまべ美波みなみふんする大石おおいし典子のりこが、上陸じょうりくしたゴジラからげるシーンの制作せいさく過程かてい映像えいぞうせてもらった。予告編よこくへんにも使用しようされているどうシーンはグリーンバックで撮影さつえいされ、ゴジラ、建物たてものくろけむりなどはすべてVFXによる合成ごうせい。カメラをおおきくくため、まち全体ぜんたいつく必要ひつようがあったという。

談笑しながら映像を観る山崎貴(奥)と白組スタッフ(手前)。

談笑だんしょうしながら映像えいぞう山崎やまざきたかおく)としろぐみスタッフ(手前てまえ)。

どう場面ばめん着手ちゃくしゅから完成かんせいまでに用意よういされた映像えいぞうのバージョンすうは55におよぶ。スタッフが制作せいさくしたものを山崎やまざきがチェックし、その指示しじけて調整ちょうせいされた映像えいぞうふたた山崎やまざき確認かくにん。そのかえしをてシーンがつくげられていく。55というかずすくないそうで、山崎やまざきは「この規模きぼのシーンだったらはやわったほうです。おおいときは(着手ちゃくしゅから完成かんせいまでの映像えいぞうすうが)200くらいいくときもあります」とかたった。

グリーンバックで撮影した映像にゴジラ、建物、黒煙などが合成されている。

グリーンバックで撮影さつえいした映像えいぞうにゴジラ、建物たてものくろけむりなどが合成ごうせいされている。

映画えいがを“VFXショー”としてせてしまうと、観客かんきゃくしんはなれてしまうとはな山崎やまざき。「『ゴジラ-1.0』で一番いちばん意識いしきしたのは、登場とうじょう人物じんぶつたちとゴジラの物語ものがたり乖離かいりしないようにすること。キャラクターの感情かんじょう表情ひょうじょうがゴジラに起因きいんしているとおきゃくさんにかんじてもらえなければ、神木しぼくくんや浜辺はまべさんのいいお芝居しばい台無だいなしになってしまいます。人間にんげんのパーソナルな物語ものがたりとゴジラの登場とうじょうという巨大きょだい出来事できごとを、いかにVFXによって接着せっちゃくするのか。これまでつちかってきた技術ぎじゅつによって、ひと怪獣かいじゅう違和感いわかんなくおな画面がめんうつすことができましたし、説得せっとくりょくのあるつくれたとおもいます」と自信じしんをのぞかせた。

「スター・ウォーズ」でようとなったモーションコントロールカメラ

地下ちか撮影さつえいスタジオになっており、その中央ちゅうおうにはモーションコントロールカメラ(カメラワークをコンピュータで制御せいぎょすることで、複雑ふくざつうごきをなんかいでも再現さいげんできる機材きざい)がかれている。現在げんざい使用しようする機会きかいすくなくなってきているが、1970年代ねんだい後半こうはんから1980年代ねんだい前半ぜんはんにかけて公開こうかいされた「スター・ウォーズ」きゅう3さく(エピソード4、5、6)においては、画期的かっきてき映像えいぞうようとなった。山崎やまざきは「このカメラによってミニチュアの宇宙船うちゅうせん実物じつぶつえるようになったんです。マニアックなはなしになっちゃうのでこまかい部分ぶぶんけますが(笑)」と無垢むく子供こどものようにキラキラとした表情ひょうじょうかべる。

モーションコントロールカメラ

モーションコントロールカメラ

撮影さつえいスタジオのおくにはミニチュアの制作せいさく部屋へやが。「ゴジラ-1.0」では3Dプリンタが活躍かつやくしたそうで、山崎やまざきは「デジタルデータのゴジラを出力しゅつりょくして、ゴジラの模型もけいつくりました。それを現実げんじつ世界せかい撮影さつえいしてVFX制作せいさくのリファレンス(参考さんこう資料しりょう)にしたんです。デジタルと現実げんじつおこなったりたりしないといけないときに、3Dプリンタはやくちますね」とかえった。

ゴジラの模型を作成した3Dプリンタ。

ゴジラの模型もけい作成さくせいした3Dプリンタ。

ミニチュアの制作部屋。緑の機械は切削加工に使う旋盤。

ミニチュアの制作せいさく部屋へやみどり機械きかい切削せっさく加工かこう使つか旋盤せんばん

スタッフたちのいこいの

制作せいさく合間あいま一息ひといきつくロビーもあり、スタッフたちの談笑だんしょうスペースになっている。社員しゃいん1人ひとり山崎やまざき印象いんしょうくと「はたらいているといや気持きもちになったり、上司じょうしきらいになったりすることがあるとおもうんです。でも山崎やまざきさんとの仕事しごとではそういうことが一切いっさいない。本当ほんとうたのしいひとですよ」というこたえがかえってきた。

和気あいあいと話す白組スタッフたち。

和気わきあいあいとはなしろぐみスタッフたち。

ミニチュア映像えいぞうチェック部屋へや

「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズなどで使われたミニチュアを見る山崎貴。

「ALWAYS さん丁目ちょうめ夕日ゆうひ」シリーズなどで使つかわれたミニチュアを山崎やまざきたか

スクリーンで映像を確認する山崎貴(右)と白組スタッフ(左)。

スクリーンで映像えいぞう確認かくにんする山崎やまざきたかみぎ)としろぐみスタッフ(ひだり)。

大きなスクリーンに映像を投影してチェックする。

おおきなスクリーンに映像えいぞう投影とうえいしてチェックする。

最初さいしょの「ゴジラ」にちか感情かんじょう

これまでの作品さくひんためしてきたVFX技術ぎじゅつを「ゴジラ-1.0」にんだという山崎やまざき。「『アルキメデスの大戦たいせん』のうみ航跡こうせき表現ひょうげん進化しんかさせてれたり、ゴジラが建物たてもの破壊はかいしたときのすうじゅうまん破片はへんといった繊細せんさい部分ぶぶんつくむことができて、いままで80てんだったことが100てんになった感覚かんかくがあります。いまさくそなえて、高性能こうせいのうなコンピュータなどの機材きざい投資とうししたかいがありました(笑)。1954ねん公開こうかいされた最初さいしょの『ゴジラ』があたえた恐怖きょうふって、当時とうじひとたちにとって衝撃しょうげきてきだったとおもうんです。それにちか感情かんじょう現代げんだいひとあじわってほしいです」とおもいをつたえた。

山崎貴

山崎やまざきたか

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「ゴジラ-1.0」をもっとたのしむ特集とくしゅう・ニュース・コラムを順次じゅんじ配信はいしん

しろぐみ(シログミ)

1974ねん設立せつりつされた映像えいぞう制作せいさく会社かいしゃ東京とうきょうさんけん茶屋ちゃや調布ちょうふにスタジオをゆうする。山崎やまざきたかのほか、山崎やまざきとともに「STAND BY ME ドラえもん」シリーズや「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」をがけた八木やぎ竜一りゅういち所属しょぞく

山崎やまざきたか(ヤマザキタカシ)

1964ねん6がつ12にちまれ、長野ながのけん出身しゅっしん。2000ねんに「ジュブナイル」で監督かんとくデビューした。おも監督かんとくさくに「ALWAYS さん丁目ちょうめ夕日ゆうひ」シリーズ、「永遠えいえんの0」「アルキメデスの大戦たいせん」「ゴーストブック おばけずかん」がある。2023ねん10がつ29にちまで長野ながの松本まつもと美術館びじゅつかん展覧てんらんかい映画えいが監督かんとく 山崎やまざきたか世界せかい」が開催かいさい

映画えいが「ゴジラ-1.0」

「ゴジラ-1.0」ポスタービジュアル

「ゴジラ-1.0」ポスタービジュアル

2023ねん11月3にち公開こうかいされるゴジラ70周年しゅうねん記念きねん作品さくひん戦後せんごのすべてをうしなった日本にっぽんに、ちをかけるようにゴジラがあらわれるさまがえがかれる。山崎やまざきたか監督かんとく脚本きゃくほん・VFXをにない、神木しぼく隆之たかゆきかい浜辺はまべ美波みなみ山田やまだ裕貴ゆき青木あおきたかしだか吉岡よしおか秀隆ひでたか安藤あんどうサクラ佐々木ささきぞうかいがキャストにつらねた。

映画えいが「ゴジラ-1.0」予告編よこくへん

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