「花はな芯しん」捨すて身みの演技えんぎに挑いどんだ村川むらかわ絵梨えり、瀬戸内せとうち寂聴じゃくちょうからの手紙てがみに涙なみだ浮うかべる

「花はな芯しん」の初日しょにち舞台ぶたい挨拶あいさつが本日ほんじつ8月がつ6日にちに東京とうきょう・テアトル新宿てあとるしんじゅくにて開催かいさいされ、キャストの村川むらかわ絵梨えり、林はやし遣や都と、安藤あんどう政信まさのぶ、藤本ふじもと泉いずみ、落合おちあいモトキ、毬谷まりたに友子ゆうこ、監督かんとくの安藤あんどう尋ひろが登壇とうだんした。

本ほん作さくは、瀬戸内せとうち寂聴じゃくちょうが瀬戸内せとうち晴美はるみの名なで発表はっぴょうした同名どうめい小説しょうせつをもとにした恋愛れんあい劇げき。夫おっとの上司じょうしに恋こいをして肉体にくたいの悦よろこびに目覚めざめ、常識じょうしきに背せを向むけながら“子宮しきゅう”の命めいずるまま生いきることを選えらぶ女性じょせい・園子そのこの姿すがたが描えがかれる。

村川むらかわは、安藤あんどう尋ひろから直々じきじきにオファーされたときの気持きもちを「女おんなの性せいを表あらわすような役やくを演えんじたこともなかったので私わたしに務つとまるか不安ふあんだったんですが、もう28歳さいになりますし、これをやらなかったら一生いっしょう後悔こうかいすると思おもいました」と明あかす。

園子そのこの夫おっとに扮ふんした林はやしは、現場げんばでの村川むらかわを「命いのちを削けずって役やくと向むかい合あっていた」と振ふり返かえる。さらに「会あってすぐ稽古けいこの段階だんかいで体からだを交まじ合あわせるので、もう嫌きらわれてもいい覚悟かくごでぶつかりました」と続つづけると、村川むらかわは「林はやしさんは真摯しんしに役やくと向むき合あって、思おもい切きりぶつけてくれるので、もう……大好だいすきです」と感謝かんしゃを述のべた。

一方いっぽう園子そのこの不倫ふりん相手あいてを演えんじた安藤あんどう政信まさのぶは、登壇とうだんするなり「僕ぼくは（ドラマ）『ROOKIES』から村川むらかわ絵梨えりのファンだったので、念願ねんがん叶かなって一緒いっしょに仕事しごとできてうれしいです。感無量かんむりょうです。いつ役者やくしゃやめてもいいです」とまくしたて、村川むらかわから「大だい嘘うそ！」と返かえされる。イベントの中盤ちゅうばんでも再ふたたび「ROOKIES」を持もち出だし「絵梨えりはもう、美人びじんですからね。でも、僕ぼくは着物きもの姿すがたより野球やきゅう帽ぼうのほうが好すきですね。スコア付つけてる絵梨えりのほうが好すきです。この映画えいがでもスコア付つけてたよね？」ととぼけた発言はつげんをして、村川むらかわから「何なに言いってるんですか！」とツッコミが入はいった。

ここで登壇とうだん者しゃへのサプライズとして、瀬戸内せとうちからの手紙てがみが読よみ上あげられた。手紙てがみの中なかで瀬戸内せとうちは、「花はな芯しん」を発表はっぴょうした当時とうじ「子宮しきゅう作家さっか」と批評ひひょう家かの批判ひはんを浴あび、その後ご5年間ねんかんほど文壇ぶんだんから無視むしされていたことを詳細しょうさいに述のべる。「あれから大方おおかた60年ねんも過すぎた今いま、こうして魅力みりょくあるすてきな映画えいがにして下くださって、夢ゆめのようです」「捨すて身みの特とくに全力ぜんりょくで熱演ねつえんしてくださったヒロイン役やくの村川むらかわ絵梨えりさんありがとう。まさかというこの思おもいがけない幸運こううんを冥土めいどの土産みやげに、94歳さいの私わたしは、やがてあの世よへの旅たびに発たつことでしょう」という瀬戸内せとうちの言葉ことばに、村川むらかわは思おもわず涙なみだを浮うかべ「こみ上あげてきました。本当ほんとうにやってよかったなと思おもいました」と話はなした。

最後さいごに村川むらかわが、これから作品さくひんを鑑賞かんしょうする観客かんきゃくへ向むけて「95分間ふんかん、いろんな世界せかいが待まっています。男性だんせいと女性じょせいで考かんがえ方かたが違ちがうということも描えがかれているので、どこかで感想かんそうを聞きかせていただきたいです」と語かたりかけ、イベントは終了しゅうりょうした。