中村なかむら吉右衛門きちえもんが77歳さいで死去しきょ、「鬼平おにへい犯科はんか帳ちょう」長谷川はせがわ平蔵へいぞう役やくなどで人気にんきを博はくす

中村なかむら吉右衛門きちえもんが11月28日にち18時じ43分ふんに心不全しんふぜんのため死去しきょしたと、本日ほんじつ12月がつ1日にちに歌舞伎座かぶきざが発表はっぴょうした。77歳さいだった。

1944年ねん5月がつ22日にち、八はち代目だいめ松本まつもと幸四郎こうしろうの次男じなんとして東京とうきょう都とで生うまれ、のちに母方ははかたの祖父そふ・初代しょだい中村なかむら吉右衛門きちえもんの養子ようしとなった吉右衛門きちえもん。1948年ねんに東京とうきょう劇場げきじょう「御ご存そん俎板まないた長兵衛ちょうべえ」の長松ながまつほかで中村なかむら萬まん之これ助すけを名乗なのり初はつ舞台ぶたいを踏ふみ、1966年ねんに「祇園ぎおん祭礼さいれい信仰しんこう記き 金閣寺きんかくじ」の此下東ひがし吉きちほかで二に代目だいめ中村なかむら吉右衛門きちえもんを襲名しゅうめいした。

1989年ねんからフジテレビ系けいのドラマ「鬼平おにへい犯科はんか帳ちょう」に主人公しゅじんこう・長谷川はせがわ平蔵へいぞう役やくで出演しゅつえん。人気にんきを博はくし、9シリーズに加くわえ、スペシャル版ばんが制作せいさくされた。また「利休りきゅう」「柘榴ざくろ坂ざかの仇討あだうち」といった映画えいがにも参加さんかしている。2011年ねんには人間にんげん国宝こくほうと称しょうされる重要じゅうよう無形むけい文化財ぶんかざい保持ほじ者しゃに認定にんてい。2017年ねんには文化ぶんか功労こうろう者しゃに選えらばれた。

このたびの訃報ふほうに際さいして、尾上おがみ菊五郎きくごろう、松本まつもと白鸚はくおう、松本まつもと幸四郎こうしろうのコメントが到着とうちゃく。菊五郎きくごろうは「長ながい役者やくしゃ人生じんせいを全身全霊ぜんしんぜんれいで頑張がんばられました。再ふたたび、一緒いっしょに舞台ぶたいに立たてることを願ねがっていましたので残念ざんねんでなりません」と、白鸚はくおうは「今いま、とても悲かなしいです。たった一人ひとりの弟おとうとですから。幼おさない頃ころ、波野なみのの家いえに養子ようしとなり、祖父そふの芸げいを一生いっしょうかけて成なし遂とげました。病院びょういんでの別わかれの顔かおは、安やすらかでとてもいい顔かおでした。播磨屋はりまやの祖父そふそっくりでした」と述のべた。幸四郎こうしろうは「叔父おじは先人せんじんを敬うやまい、その芸げいを体現たいげんし、芸術げいじゅつである歌舞伎かぶきを進化しんかされてこられました。叔父おじの芸げいを永遠えいえんのものにするために、教おしえていただいた我々われわれがその情熱じょうねつを心しんに刻きざみ舞台ぶたいを勤つとめて参まいります」と語かたっている。

なお葬儀そうぎ、告別こくべつ式しきは親族しんぞく葬そうにて執とり行おこなう予定よていとのことだ。

尾上おがみ菊五郎きくごろう コメント

長ながい役者やくしゃ人生じんせいを全身全霊ぜんしんぜんれいで頑張がんばられました。
再ふたたび、一緒いっしょに舞台ぶたいに立たてることを願ねがっていましたので残念ざんねんでなりません。
これまで幾度いくども同おなじ舞台ぶたいに立たちましたが、菊之助きくのすけの結婚けっこんを機きに、縁えんあって親戚しんせきとなり、孫まごの丑之助うしのすけも生うまれ、初はつお目見得めみえや初舞台はつぶたいでは共ともに孫まごの成長せいちょうを喜よろこび合あいました。平成へいせい最後さいごの舞台ぶたいでは「鈴ヶ森すずがもり」で私わたしが白井しらい権八ごんぱち、播磨屋はりまやさんが幡はた随ずい院いん長兵衛ちょうべえを勤つとめたのも深ふかく印象いんしょうに残のこっています。
本当ほんとうにお疲つかれ様さまでした。

松本まつもと白鸚はくおう コメント

別わかれは何時いつの刻こくも悲かなしいものです。
今いま、とても悲かなしいです。
たった一人ひとりの弟おとうとですから。幼おさない頃ころ、波野なみのの家いえに養子ようしとなり、祖父そふの芸げいを一生いっしょうかけて成なし遂とげました。病院びょういんでの別わかれの顔かおは、安やすらかでとてもいい顔かおでした。播磨屋はりまやの祖父そふそっくりでした。

松本まつもと幸四郎こうしろう コメント

叔父おじのお顔かおを見みた時とき、初はじめて涙なみだが溢あふれてきました。
80歳さいで「勧進かんじん帳ちょう」の弁慶べんけいを勤つとめる。必かならず復活ふっかつされてご自身じしんの目標もくひょうに向むかわれる日ひが来くると信しんじていましたので、訃報ふほうを聞きいてすぐにはこの事実じじつを受うけ入いれられる自分じぶんではありませんでした。叔父おじは先人せんじんを敬うやまい、その芸げいを体現たいげんし、芸術げいじゅつである歌舞伎かぶきを進化しんかされてこられました。叔父おじの芸げいを永遠えいえんのものにするために、教おしえていただいた我々われわれがその情熱じょうねつを心しんに刻きざみ舞台ぶたいを勤つとめて参まいります。
いずれも様ようには、叔父おじをご愛顧あいこくださり心しんより御礼おれい申もうし上あげます。