“2019年ねんのもっとも優すぐれた日本にっぽん映画えいが”「王国おうこく（あるいはその家いえについて）」劇場げきじょう公開こうかい

英国えいこく映画えいが協会きょうかいが“2019年ねんのもっとも優すぐれた日本にっぽん映画えいが”に選えらんだ草野くさのなつかの監督かんとく作さく「王国おうこく（あるいはその家いえについて）」の劇場げきじょう公開こうかいが決定けってい。12月9日にちより東京とうきょう・ポレポレ東中野ひがしなかのにて3週間しゅうかん限定げんていで上映じょうえいされる。

本ほん作さくはドキュメンタリーとフィクションのはざまで、俳優はいゆうが脚本きゃくほんの読よみ合あわせやリハーサルを通とおして役やくを獲得かくとくしていく際さいの身体しんたいの変化へんかに着目ちゃくもくした作品さくひん。結婚けっこんし子供こどももいる幼おさななじみの新居しんきょを訪おとずれた亜希あきを主人公しゅじんこうに、友人ゆうじんや家族かぞくという身近みぢかなテーマに接せっした人間にんげんの綱渡つなわたりをするような心情しんじょうに迫せまっていく。脚本きゃくほんは「ハッピーアワー」の高橋たかはし知とも由よしが担当たんとう。出演しゅつえんには澁谷しぶや麻美あさみ、笠島かさじま智さとし、足立あだち智さとし充たかし、龍りゅう健太けんたが名なを連つらねた。

映画えいがは2016年度ねんどの愛知あいち芸術げいじゅつ文化ぶんかセンター・愛知あいち県けん美術館びじゅつかんオリジナル映像えいぞう作品さくひんとして製作せいさくされ、2017年ねんに64分ふん版ばんが発表はっぴょうされた。それ以降いこう、再さい編集へんしゅうを施ほどこされた150分ふん版ばんが限定げんてい的てきな形かたちでの上映じょうえいや配信はいしんで紹介しょうかいされている。今回こんかい、オムニバス映画えいが「広島ひろしまを上演じょうえんする」の1編へんである草野くさのの最新さいしん作さく「夢ゆめの涯てまで」が第だい24回かい東京とうきょうフィルメックスのメイド・イン・ジャパン部門ぶもんに選出せんしゅつされたことを記念きねんし、劇場げきじょう公開こうかいが実現じつげんした。配給はいきゅうはコギトワークスが担当たんとう。YouTubeでは川添かわぞえ彩あやが手てがけた予告編よこくへんが公開こうかい中ちゅうだ。

草野くさのは2017年ねん初頭しょとうの撮影さつえいを振ふり返かえりながら「コロナ前まえに撮影さつえいした本ほん作さくがコロナを経へた今いまどう観みられるかは想像そうぞうもつかないが、作品さくひんがまた大おおきな景色けしきを見みせてくれること、そして今度こんどは観客かんきゃくの皆みなさんに遠とおくまで連つれて行いってもらえるであろうことを私わたしは楽たのしみにしています」とコメント。濱口はまぐち竜介りゅうすけは劇場げきじょう公開こうかいに寄よせて「自分じぶんが夢見ゆめみたことを先さきんじてやられてしまったような、そんな感覚かんかくを持もった。草野くさのなつか監督かんとくの勇気ゆうきと知性ちせいに敬意けいいを表あらわしたい」と語かたっている。

映画えいが「王国おうこく（あるいはその家いえについて）」予告編よこくへん

草野くさのなつか コメント

「王国おうこく（あるいはその家いえについて）」を撮影さつえいしたのは2017年ねんの年明としあけだった。初日しょにちにフィクション部分ぶぶんを撮影さつえいし、いよいよ作品さくひんの肝きもとなるリハーサル撮影さつえい、という2日にち目め、自分じぶんの見通みとおしの甘あまさが原因げんいんで身動みうごきの取とれない状態じょうたいになった。このとき、作品さくひんの本質ほんしつを理解りかいし打開だかい策さくを講こうじたのは私わたしではなくスタッフであり、駆動くどうし始はじめた撮影さつえいで大おおきな、広ひろい景色けしきを見みせてくれたのは役者やくしゃたちだった。翌年よくねん完成かんせいし2019年ねんに映画えいが祭さいを周しゅうったのち、映画えいが配信はいしんサイトMUBIでの配信はいしんが始はじまったまさにそのとき、世界中せかいじゅうでロックダウンが起おきた。
コロナ前まえに撮影さつえいした本ほん作さくがコロナを経へた今いまどう観みられるかは想像そうぞうもつかないが、作品さくひんがまた大おおきな景色けしきを見みせてくれること、そして今度こんどは観客かんきゃくの皆みなさんに遠とおくまで連つれて行いってもらえるであろうことを私わたしは楽たのしみにしています。

濱口はまぐち竜介りゅうすけ コメント

俳優はいゆうたちはテイクを重かさね、やがて「これしかない」という声こえに辿たどり着つく。この特権とっけん的てきな声こえが本来ほんらい「OK」テイクとなるものだ。しかし、このたった一ひとつの声こえは、実みのところすでに為なされた無数むすうの発声はっせいがその裏うらに張はり付ついた複ふく層そう的てきなものなのだ。「王国おうこく」ではその声こえは示しめされるとともに解体かいたいされて、あらゆる声こえが「OK」として響ひびく。自分じぶんが夢見ゆめみたことを先さきんじてやられてしまったような、そんな感覚かんかくを持もった。草野くさのなつか監督かんとくの勇気ゆうきと知性ちせいに敬意けいいを表あらわしたい。