「溜ため口こうスーパー SPRINGショー」拍手はくしゅ鳴なり止やまずダブルカーテンコール、伏線ふくせん1個いっこの大だい活劇かつげき

ラブレターズ溜ため口こう主演しゅえん、脚本きゃくほん、演出えんしゅつによる公演こうえん「溜ため口こうスーパー SPRINGショー グチタメ夜桜よざくら殺人さつじん事件じけん」が昨日きのう4月がつ27日にちに東京とうきょう・武蔵野むさしの公会堂こうかいどうで行おこなわれた。展開てんかいされたのは、ショーのリハーサル中ちゅうに起おこった不可解ふかかいな出来事できごとをきっかけに、ASH&D内ないで連鎖れんさする不穏ふおんな事件じけんを“グチタメ”こと溜ため口こうが解決かいけつに導みちびく物語ものがたり。人体じんたい改造かいぞうした仲間なかまたちの力ちからも借かりながら、グチタメが悪あくの親玉おやだま・大竹おおたけまことに挑いどむ大だい活劇かつげきが繰くり広ひろげられた。この記事きじでは夜よる公演こうえんの様子ようすをレポートする。

溜ため口こうが1人ひとりで歌うたい踊おどり、自身じしん演出えんしゅつの芝居しばいを上演じょうえんするエンタテインメントショー「溜ため口こうスーパーショー」シリーズの最新さいしん公演こうえん。2017年ねん10月がつに第だい1弾だんが開催かいさいされ、当初とうしょは東京とうきょう・LOFT9で“溜ため口こうがディナーを楽たのしむ様子ようすを観客かんきゃくが眺ながめるイベント“として人気にんきを博はくしたが、芝居しばいパートをメインにした2021年ねん7月がつの「溜ため口こうスーパードリームショー～新しん・世界せかいで一番いちばん熱あつい夏なつ～」、2023年ねん1月がつの「溜ため口こうスーパー生誕せいたんショー～グチタメ危機一髪ききいっぱつ～」も溜ため口こうが描えがく奇天烈きてれつな世界せかい観かんで来場らいじょう者しゃを魅了みりょうした。

前回ぜんかいの「生誕せいたんショー」に続つづき、タッカーノ、ターリーターキーたま、肉体にくたい戦士せんしギガといういつものプロダクション人力じんりき舎しゃキャストに加くわえ、ASH&Dコーポレーション勢ぜいのザ・ギース、ラブレターズ塚本つかもと、阿佐ヶ谷あさがや姉妹しまいもフル出演しゅつえん。大竹おおたけ涼太りょうた社長しゃちょうのピアノ演奏えんそうも彩いろどりを添そえ、大竹おおたけまことは声こえで参加さんかした。

人力じんりき舎しゃメンバーによる前説ぜんせつのあと、大竹おおたけ社長しゃちょうによる華々はなばなしいピアノの音色ねいろと共ともに溜ため口こうが登場とうじょう。生命せいめい力りょくあふれる歌声うたごえで届とどけられたのは、株式会社かぶしきがいしゃグロップのCMソングだ。溜ため口こうは大竹おおたけ社長しゃちょうとアイコンタクトを取とりながら、企業きぎょうのCMソングとは感かんじさせない緩急かんきゅうをつけたパフォーマンスで会場かいじょうのテンションを一気いっきに高たかめていく。演奏えんそうを終おえるやいなやすぐさま去さっていく社長しゃちょうに溜ため口こうは儚はかなさを感かんじつつ、昼ひる・夜よる公演こうえんとも満席まんせきで迎むかえられたことに感謝かんしゃ。「私わたしが考かんがえたやつなんで、しっかりしてません！」と立派りっぱなステージを期待きたいしないよう釘くぎを刺さしたかと思おもえば、その分ぶん、出演しゅつえん者しゃが豪華ごうかであるとアピールし、「なんだかよくわからないけど楽たのしい気持きもちになれると思おもいます！」とショーのスタートを告つげた。

「ドリフ大だい爆笑ばくしょう」のオープニング風ふうに出演しゅつえん者しゃが紹介しょうかいされると、いよいよ物語ものがたりへ。「溜ため口こうスーパー SPRINGショー」の準備じゅんびをしていた最中さいちゅう、ザ・ギース尾関おぜきが自分じぶんより先さきにケータリングに手てを付つけたラブレターズ塚本つかもとを咎とがめ、不要ふような緊張きんちょう感かんが漂ただよっていた。そこへ、大竹おおたけまことが稽古けいこの激励げきれいにやって来きた。焼やき肉にくに連つれて行いってもらおうと、大竹おおたけのご機嫌きげんをとる尾関おぜき。調子ちょうしに乗のって手てに持もっていた小道具こどうぐのピストルを大竹おおたけに向むけると爆ばく発音はつおんが鳴なり響ひびき、なんと大竹おおたけは絶命ぜつめいしてしまう。ショー開催かいさいのためにも事件じけんの解決かいけつを急いそぎたい溜ため口こうと人力じんりき舎しゃチームの3人にんは、先さきに稽古けいこ場じょうを出でていった阿佐ヶ谷あさがや姉妹しまいやザ・ギースの様子ようすを伺うかがいに行いくことに。

すると文化ぶんか放送ほうそう「大竹おおたけまこと ゴールデンラジオ！」出演しゅつえん中ちゅうに江こう里子さとこが毒どく入いりの飴あめを口くちにして倒たおれ、尾関おぜきを犯人はんにんだと早合点はやがてんした美穂みほが尾関おぜきを襲撃しゅうげき。勘違かんちがいで尾関おぜきを殺あやめてしまったことを悔くいた美穂みほは、自みずから高だか佐さを挑発ちょうはつして襲おそうよう仕向しむけ、報むくいを受うけた。負まけの連鎖れんさが止とまらない一連いちれんの事件じけん、仕組しくんでいたのは塚本つかもとだった。ケータリングに仕込しこまれていた洗脳せんのう薬やくで真しんの黒幕くろまく・大竹おおたけまことに操あやつられている塚本つかもとが、息いき絶たえたはずの3人にんを得意とくいのミシンで生いき返かえらせ、実じつは生いきていた大竹おおたけまことのしもべのような人間にんげんに高こう佐さも含ふくめて作づくり変かえてしまったという。溜ため口こうは「お前まえどこまで腕うでが上あがってるんだよ！」と趣味しゅみの域いきを超こえた塚本つかもとのミシンの技術ぎじゅつに驚おどろきを隠かくせない。

負傷ふしょうもあり、大竹おおたけまことの手下てしたたちに簡単かんたんにやられてしまう溜ため口こう。もはやここまでかと思おもわれたが、駆かけつけた大竹おおたけ涼太りょうた社長しゃちょうが「みなさんそこまでです！ それ以上いじょうやると社長しゃちょう権限けんげんでマネジメント契約けいやくを打うち切きりますよ！」と警告けいこくし、ピアノの音色ねいろで目めを覚さまさせる。そして人力じんりき舎しゃチームが羞恥心しゅうちしんの「羞恥心しゅうちしん」を頼たのもしく歌うたい出だすのと同時どうじに溜ため口こうは再ふたたび奮起ふんきし、パワーを溜ためて大竹おおたけまことに立たち向むかった。

しかし大竹おおたけまことはとにかく強つよく、一同いちどうはまったく歯はが立たたない。そこで江里子えりこが塚本つかもとのミシンの力ちからで人体じんたい改造かいぞうすることを提案ていあん。ケチで知しられる尾関おぜきが常つね日頃ひごろから拾ひろっているガラクタ、もとい“宝たからの山やま”を使つかってASH&Dメンバーを対たい大竹おおたけまこと仕様しように作つくり変かえる。チーム人力じんりき舎しゃも手てと足あしを高速こうそく回転かいてんさせて自みずからをドローンにしてしまうという荒業あらわざで加勢かせい。ドローンから投なげ込こむ手持てもちの武器ぶきがなくなってしまったため、ツバを吐はきかけるというささやかな攻撃こうげきを仕掛しかけると、意外いがいにも効きいた。

各々おのおの、武器ぶきを体からだに内蔵ないぞうしたASH&Dメンバーも大竹おおたけまことに対抗たいこうするが、やはり「強つよすぎる」。そこへ「みなさん、何なにを弱気よわきになってるんですか！」とひと目めでパワーアップしたことがわかる溜ため口こうが現あらわれ、見事みごとな立たち回まわりを見みせて大竹おおたけまことを打倒だとうした。激はげしい戦たたかいののち、「大竹おおたけさんを倒たおしたー！」と歓喜かんきする一同いちどうだったが、「これで……よかったんだよな？」となぜだか気持きもちは晴はれていない。本当ほんとうに「大竹おおたけまことに一矢いっし報むくいる」にはショーを成功せいこうさせることだと理解りかいし、高佐たかさがハープ、塚本つかもとがアサラト、大竹おおたけ涼太りょうた社長しゃちょうがピアノ、阿佐ヶ谷あさがや姉妹しまいと尾関おぜき、溜ため口こうが歌うた、という構成こうせいで玉置たまき浩二こうじの「田園でんえん」を披露ひろうした。

これを聴きいた大竹おおたけまことは、どういうわけか脳のうだけの姿すがたなって「お前まえたち、よくやった！ 褒ほめてやろう」と語かたりかけ、この場ばをあとに。一同いちどうは冗談じょうだんをいいながら「溜ため口こうスーパー SPRINGショー」に向むけて結束けっそくをさらに固かためていた。

エンディングには溜ため口こうがオリジナルソング「渋谷しぶやでパーティー」を歌うたいながら再さい登場とうじょう。キャスト全員ぜんいん集合しゅうごうして「もう最初さいしょのほうは覚おぼえてない」「やったそばから消去しょうきょしていく」「無駄むだな記憶きおく」などと内容ないようを振ふり返かえる。冒頭ぼうとうの登場とうじょう人物じんぶつ紹介しょうかいの場面ばめんで塚本つかもとがケータリングのお菓子かしを手てに持もって立たっていた、という伏線ふくせんも明あかされ、溜ため口こうは「以上いじょうです。まさかの伏線ふくせん1個いっこ」と脚本きゃくほんのシンプルさを強調きょうちょう。昼ひる公演こうえんも観かんに来きている来場らいじょう者しゃがいたことから、塚本つかもとは「観みられている気きがして、けっこう重圧じゅうあつでした」と犯人はんにん役やくを務つとめた心境しんきょうを明あかした。

出演しゅつえん者しゃ一いち人にんひとりの持もち味あじが発揮はっきされた今回こんかいのステージ。江里子えりこはダイナミックな死しに様さまや美うつくしい歌声うたごえで客席きゃくせきを魅了みりょうし、美穂みほはザ・ギースの2人ふたりとやり合あう役やくどころで、セリフ量りょうも膨大ぼうだいだった。そんな美穂みほの暗躍あんやくぶりに江こう里子さとこも感銘かんめい。しかしセリフを飛とばしてしまう場面ばめんもあり、美穂みほは「1つセリフ覚おぼえたと思おもったら1つ抜ぬけていく（笑）」と苦労くろうを語かたった。美穂みほのハプニングをアドリブで笑わらいに変かえていた高こう佐さは、ハープを傷きずつけられたシーンで見みせたすさまじい狂気きょうきでも会場かいじょうを圧倒あっとう。尾関おぜきがケータリングを根ねこそぎ持もち帰かえること、塚本つかもとのミシンやアサラトといった特技とくぎなど、メンバーの個性こせいや多彩たさいさを際立きわだたせた脚本きゃくほんに来場らいじょう者しゃは大おおきな拍手はくしゅを送おくる。溜ため口こう自身じしんも物語ものがたりを引ひっ張ぱるだけでなく歌唱かしょうパートでも輝かがやきを放はなっていた。

最後さいごはTOKIO「花はな唄うた」を全員ぜんいんで歌うたって大団円だいだんえん。溜ため口こうが「ダブルアンコールするような舞台ぶたいじゃない」と言いって一度いちど幕まくが下おりるも熱ねつを帯おびた客席きゃくせきからの拍手はくしゅは鳴なり止やまず、再ふたたび幕まくが上あがる。溜ため口こうは「イジらないでください！（笑）」と照てれながら、「気きをつけて帰かえってください！」と観客かんきゃくの帰かえりを促うながしていた。