定本楓馬のファースト写真集「ここから これから」(KADOKAWA)が2月14日に発売された。
定本の出身地である北海道で撮影された「ここから これから」は、幼少期から俳優になることを決意した専門学校時代まで、彼の思い出がいっぱい詰まった1冊となっている。自身の“これまで”と“これから”を切り取った写真集について、そして自身の俳優人生について、定本は飾らず真っ直ぐな思いを吐露してくれた。また本記事では、「ここから これから」に収録されている写真から、定本が特にお気に入りだという一部カットを披露。さあ、「ここから これから」のページを開いて彼のルーツをたどる旅に出発しよう。
取材・文 / 興野汐里撮影 / Ryusei Imaiヘアメイク / あきスタイリスト / 東正晃
僕の人生を丸ごと見てほしい
──ファースト写真集発売、おめでとうございます。「ここから これから」に収録されているお写真は、2021年9月頃にご自身の故郷である北海道で撮影されたものだそうですが、どのような点にこだわって制作されたのでしょうか?
「ここから これから」というタイトルにもつながってくるんですが、これまでの自分とこれからの自分を見せたいというコンセプトがあって。これまでの自分を北海道で撮って、これからの自分を東京で撮ろうかという案も出ていたんですけど、結果的にすべてのカットを北海道で撮影することになったんです。撮影する中で一番心がけたのは自然体であることですね。昔の面影を残したままの自分が写っていたり、はたまた、東京で揉まれた自分が垣間見えていたりと、僕の人生を丸ごと見ていただけたら良いな、ということを意識して作りました。
定本楓馬ファースト写真集「ここから これから」(KADOKAWA)表紙
──定本さんらしい、まっすぐで素敵なテーマですね。「ここから これから」というタイトルはどういった経緯で決定されたのでしょう?
写真集の発売が決まった頃、自分自身が壁にぶち当たっていた時期でもあって……。いろいろと迷ったんですが、「自分の人生はここ(北海道)から始まったし、これからも自分はがんばっていきたい」という思いを込めて、この名前がぴったりなんじゃないかなと直感的に付けたんです。なので、一度決めてからは変えていなくて。それくらいビビッと来たタイトルでした。
──「壁にぶち当たっていた」というのは?
お仕事をしていく中で、課題というか悩みは付きものじゃないですか。自分がより上に行くために何が必要か、これから何をしていったら良いのか……エンジョイしつつも、悩みながら撮影に臨んでいる自分がいたんですね。でもそれって、すごく今の自分らしいなとも思って。「楽しく撮影しました!」というふうな見せ方をするのも良いけど、僕は嘘をつくと顔に出てしまうタイプなので(笑)、あえて包み隠さずに「正直に言うと、この時期、悩んでました」ってさらけ出したほうが良いんじゃないかと思ったんです。それを知ったうえで写真集を見てもらうと、違う見方ができて面白いかもしれません(笑)。
──そうだったんですね。本当の自分をどこまで見せるかということは、人前に出るお仕事をされている方が常に抱えている悩みなのではないかと思います。ですが、人間味を出していくことによって、俳優としての魅力がさらに増す場合もあるかもしれません。
そうですね。ファンの方々にもそう思っていただけたらうれしいです。悩んだ状態で撮影に臨んだんですけど、最終的には自分自身を見つめ直す良いきっかけになったんじゃないかなって、写真集が完成したときにそう思いました。
──「ここから これから」というタイトルが示すように、定本さんの中で重要な転機になったんですね。
そうですね。これだけたくさん自分の写真を撮っていただく機会も今までなかったので、楽しんでいる自分も悩んでいる自分も、ありのままの姿が記録として残るのはすごく良かったと思います。
定本楓馬ファースト写真集「ここから これから」(KADOKAWA)より。
お気に入りはあのカット!
──普段のお仕事でも被写体として撮影されることが多いと思うのですが、写真集の撮影を通して、改めて感じたことはありましたか?
僕、実は写真を撮られるのがあまり得意ではなかったんです。元気な役だったらテンションを上げて、静かな役だったら落ち着いたイメージを作る、というふうに役柄が決まっていればうまく入り込めるんですけど、いざ“定本”としてカメラの前に立つと、何をすれば良いのかわからなくなっちゃうんですよね(笑)。でも今回は、北海道で過ごした時間を思い返して、純粋に楽しみながら撮影に臨めた気がします。
──全編を通して、定本さんの自然にこぼれる笑顔が印象的でした。「ここから これから」の中で、特にお気に入りのカットがあれば教えてください。
全部お気に入りなんですけど、特にジンギスカンを食べているカットですね! このとき、本当にお腹が空いてたんですよ(笑)。撮影させていただいたお店は、お肉はもちろん、野菜にもこだわっていて、すごくおいしかったです。これまでは実家でジンギスカンを食べることが多かったので、専門店にはあまり行ったことがなかったんですけど、やっぱりお店で食べるジンギスカンは格別でしたね。幸せなひとときでした(笑)。
定本楓馬ファースト写真集「ここから これから」(KADOKAWA)より。
あとは、公園でバスケをしている写真ですね。同じバスケ部だった10年来の友達に急遽出てもらったんですよ! 彼とは今でも週1くらいでオンラインゲームをする仲なんですけど、コロナ禍でなかなか会えなかったこともあって、久しぶりに再会できてうれしかったです。
定本楓馬ファースト写真集「ここから これから」(KADOKAWA)より。
──離れていても共通の趣味を介してつながっているのってすごく良い関係性ですね。「ここから これから」にはそのほか、表紙にもなっている湖でのカットや、札幌の中心部で撮影されたカット、小樽の海沿いで撮影されたカットなどが収録されています。
表紙は早朝の支笏湖で撮影したものなんです。風がなくて波も静かで、すごく素敵なロケーションでした。大通公園はもともと学生時代によく行っていた場所で、小学校の遠足なんかを思い出して、すごく懐かしい気持ちになりましたね。公園の写真は、北海道に戻ってきて最初に撮影したカットということもあって、北海道を一番感じられたショットかもしれません。大通の狸小路商店街は、高校生のときにしょっちゅう遊びに行っていましたし、専門学校時代は学校が近かったのでよくお昼ご飯を食べに行っていた思い出の場所です。
──ご自身のルーツをたどりながら、撮影を進めていったんですね。札幌のほかにも小樽で撮影が行われたとか。
そうなんです。小樽にはおばあちゃんの家があるので、小さい頃によく連れて来てもらってたんですよ。幼少期に親と手をつないで歩いた場所で写真を撮ってもらって、すごく感慨深かったですね。