新あらたに開発かいはつされた男性だんせい用ようのオンデマンド型がた避妊ひにん薬やくは、精子せいしの運動うんどう性せいを標的ひょうてきにする。受精じゅせいのために、精子せいしが成熟せいじゅくした卵子らんしまで泳およぐのを防ふせぐのだ。（MICROGRAPH BY D. PHILLIPS, SCIENCE PHOTO LIBRARY）

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　1960年代ねんだいに発売はつばいされたホルモン剤ざいの避妊ひにんピルは、女性じょせいが自分じぶんの体からだをコントロールできるようになるという革命かくめいを起おこし、子こどもをつくる時期じきを自由じゆうに選えらべるようにした。しかし、意図いとしない妊娠にんしんは今いまでもよく起おこっている。国連こくれん人口じんこう基金ききんによると、世界中せかいじゅうで毎年まいとし報告ほうこくされている全すべての妊娠にんしんのうち、半数はんすう近ちかくの約やく1億おく2000万まん件けんは意図いとしない妊娠にんしんだ。

　そこで疑問ぎもんがわく。男性だんせいの避妊ひにん法ほうは役やくにたないのだろうか？

　その答こたえは今後こんご10年ねん以内いないにわかるかもしれない。科学かがく者しゃたちは、男性だんせいが女性じょせいと避妊ひにんの責任せきにんを共有きょうゆうできるピルやジェル、インプラントの実験じっけんに成功せいこうしている。その多おおくはコンドームよりも便利べんりな上うえに確実かくじつであり、パイプカット（精せい管かん切除せつじょ）よりも簡単かんたんにやめることができる。厄介やっかいな副作用ふくさようを引ひき起おこすホルモン剤ざいを使つかわない候補こうほ薬やくもある。

「これは公平こうへい性せいにおける大おおきな変化へんかです」と、避妊ひにんの研究けんきゅうに資金しきんを提供ていきょうする団体だんたい「男性だんせい避妊ひにんイニシアチブ」の事務じむ局長きょくちょうヘザー・バーダット氏しは言いう。これらの新あらたな避妊ひにん法ほうを紹介しょうかいしよう。

精子せいしができないようにするホルモンジェル

　現在げんざい使つかわれている女性じょせいの経口けいこう避妊ひにん薬やくピルは、ホルモンを使つかい、月つきに1～2個この卵子らんしが卵巣らんそうから出でる排卵はいらんを抑おさえる。対たいして男性だんせいの場合ばあい、何なん百ひゃく万まんもの精子せいしを足止あしどめしなければならない。そのため、男性だんせいではホルモンは精子せいしを作つくる段階だんかいをゆっくりと停止ていしさせる。

　米国べいこく内分泌ないぶんぴつ学会がっかいの発表はっぴょうによると、2024年ねん6月がつ2日にちに開催かいさいされた学会がっかいで、肩かたに毎日まいにち塗布とふするジェルの第だい2相そう臨床りんしょう試験しけんの有望ゆうぼうな結果けっかが報告ほうこくされた。200人にん以上いじょうの男性だんせいが毎日まいにちジェルを使つかったところ、15週間しゅうかん後ごには86％がジェルを有効ゆうこうな避妊ひにん法ほうに使つかえる程度ていどまで精子せいしの量りょうが減へった。

　このジェルには、プロゲステロンという合成ごうせい女性じょせいホルモンが含ふくまれている。プロゲステロンが、男性だんせいの生殖せいしょくホルモンであるテストステロンを、精子せいしが作つくれなくなる値ねまで低下ていかさせるのだ。

　ジェルが皮膚ひふに吸収きゅうしゅうされると、皮膚ひふのすぐ下かにジェルが少すこし残のこり、ジェルを使つかい続つづける限かぎり、男性だんせいを不妊症ふにんしょうにする避妊ひにんホルモンがゆっくりと放出ほうしゅつされる。

　性欲せいよく減退げんたいなどの副作用ふくさようを防ふせぐため、ジェルには少量しょうりょうのテストステロンも含ふくまれている。精子せいしをつくらないレベルを保たもちながら、体内たいないにテストステロンが戻もどされるようになっている。

　2012年ねんに行おこなわれた臨床りんしょう試験しけんでは、99人にんの男性だんせいでこのジェルの効果こうかを調しらべた。その結果けっか、88.5％の男性だんせいを一時いちじ的てきに不妊症ふにんしょうにできることがわかった。一方いっぽう、体重たいじゅう増加ぞうかやニキビ、性欲せいよく減退げんたい、気分きぶんの落おち込こみなど、ホルモンによる女性じょせい用よう避妊ひにん薬やくと同様どうようの副作用ふくさようが報告ほうこくされている。なお、この論文ろんぶんは2012年ねん7月がつに学術がくじゅつ誌し「The Journal of Clinical Endocrinologi & Metabolism」に掲載けいさいされた。

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