ピックルボールとは、テニス、バドミントン、卓球たっきゅうの要素ようそを組くみ合あわせたラケットスポーツで、心肺しんぱい機能きのうを高たかめ、減量げんりょうを助たすけ、バランスや運動うんどう協調きょうちょう性せい、柔軟じゅうなん性せいを高たかめる全身ぜんしん運動うんどうだ。（PHOTOGRAPH BY LINDSEY WASSON, THE NEW YORK TIMES/REDUX）

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　米べいユタ州しゅうの会社かいしゃ経営けいえい者しゃであるエド・ワーツ氏しは、新型しんがたコロナウイルスの流行りゅうこうが始はじまったころに自身じしんが経営けいえいするジムを閉しめた後のち、アクティブでいる方法ほうほうを探さがしていた。ある晩ばん、妻つまからデートで「ピックルボール」をやってみないかと提案ていあんされた。「それ以来いらい、妻つまと週しゅうに2〜3回かいプレーしています」と71歳さいのワーツ氏しは言いう。

　米国べいこくではこの夫婦ふうふを含ふくめ3600万まん人にんがピックルボールをプレーしており、競技きょうぎ人口じんこうの伸のび率りつが3年ねん連続れんぞくで最もっとも大おおきいスポーツとなっている。

「比較的ひかくてき短期間たんきかんで、ピックルボールの人気にんきはすでにランニングやバスケットボール、サイクリング、ゴルフのレベルに達たっしており、現在げんざいプレーしている人ひとの年齢ねんれい層そうの広ひろさから、この成長せいちょうは今後こんごも続つづくと考かんがえられます」と、米べいオハイオ州しゅうのクリーブランド・クリニック・リハビリテーション&スポーツセラピーの理学りがく療法りょうほう士しでリハビリテーションマネージャーのジム・エドワーズ氏しは言いう。

　1965年ねんに米国べいこくで誕生たんじょうしたピックルボールは、テニス、バドミントン、卓球たっきゅうの要素ようそを組くみ合あわせたラケットスポーツだ。横よこ6.10メートル、縦たて13.41メートルのコート（テニスコートはシングルスで横よこ8.23メートル、縦たて23.77メートル）で、1対たい1（シングルス）あるいは2対たい2（ダブルス）でプレーする。選手せんしゅは卓球たっきゅうのような硬かたいラケットを使つかい、中なかが空洞くうどうで表面ひょうめんに多数たすうの穴あなが空あいているプラスチックボールをネット越ごしに打うち合あう。

　このスポーツの主おもな利点りてんは、プレーする人ひとが言いうように楽たのしいだけでなく、体からだと心しんに良よいということだろう。

「ピックルボールは、心こころ血管けっかん系けいの健康けんこうを改善かいぜんし、減量げんりょうを助たすけ、バランスや運動うんどう協調きょうちょう性せい、柔軟じゅうなん性せいを向上こうじょうさせる、本当ほんとうの全身ぜんしん運動うんどうです」と、米べいメイヨー・クリニックの医師いしでスポーツ医学いがく専門せんもん家かのマシュー・アナステイジ氏しは言いう。「また、絶好ぜっこうの社交しゃこう場じょうにもなり、ストレスを軽かるくし、心しんの健康けんこうに良よい影響えいきょうを与あたえます」

米べいテキサス州しゅうオースティンの中心ちゅうしん街がいの駐車ちゅうしゃ場じょうの屋上おくじょうにあるアーバン・ピックルボール・クラブで試合しあいするプレーヤーたち。ピックルボールは米国べいこくで最もっとも急きゅう成長せいちょうしているスポーツのひとつで、競技きょうぎ人口じんこうは3600万まん人にん近ちかくにのぼる。（PHOTOGRAPH BY BRANDON BELL, GETTY IMAGES）

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　かつては老人ろうじんや退職たいしょく者しゃがのんびりと楽たのしむ裏庭うらにわのアクティビティと考かんがえられていた。しかし、ピックルボール・プロフェッショナルズ協会きょうかい（APP）が2023年ねんに行いった調査ちょうさにより、米国べいこくのプレーヤーの平均へいきん年齢ねんれいは34.8歳さいで、若わかいプレーヤーが毎年まいとし増ふえていることが明あきらかになった。

「現在げんざい、テイラー・スウィフト、ジョージ・クルーニー、レオナルド・ディカプリオ、ビリー・アイリッシュなどの有名人ゆうめいじんを含ふくむ、あらゆる年齢ねんれい層そうの人々ひとびとがピックルボールをプレーしています」と、米べいコロラド大学だいがくアンシュッツ医療いりょうキャンパスの精神せいしん科か医いで外来がいらい臨床りんしょう部長ぶちょうのエミリー・ヘメンディンガー氏しは言いう。（参考さんこう記事きじ：「テイラー・スウィフトのアルバムの「Tortured Poets」って何なに？」）

　アメリカンフットボールのパトリック・マホームズやトム・ブレイディ、テニスのセリーナ・ウィリアムズ、バスケットボールのレブロン・ジェームズなどのスター選手せんしゅも、このスポーツへの愛あいを公言こうげんしている。

社会しゃかい的てきな健康けんこうや心しんの健康けんこうに良よい理由りゆう

　ピックルボールは社会しゃかい的てきな健康けんこうやメンタルヘルスに大おおきな恩恵おんけいをもたらす。例たとえば、ピックルボールは年齢ねんれいや性別せいべつに縛しばられないため、多様たような背景はいけいを持もつ人々ひとびとを結むすびつけ、社交しゃこう生活せいかつを向上こうじょうさせることが知しられている。

「男性だんせいが女性じょせいと対戦たいせんすることが多おおく、子こどもは親おやや祖父母そふぼと一緒いっしょにプレーするのが一般いっぱん的てきです。他たのスポーツやアクティビティでは必かならずしも見みられるわけではないダイナミクスのおかげで、ピックルボールは間違まちがいなくユニークなのです」と、米べいウェスタン・コロラド大学だいがくの運動うんどう・スポーツ科学かがく者しゃであるランス・ダレック氏しは言いう。

　ピックルボールでは、プレー中ちゅうだけでなく、コートやパートナーを交代こうたいする際さいにも定期ていき的てきに社交しゃこうが生うまれる。それが、ピックルボールが孤独こどく感かんを減へらし、うつ症状しょうじょうを軽かるくし、人生じんせいの満足まんぞく度どを高たかめることを複数ふくすうの研究けんきゅうが示しめす理由りゆうの一ひとつだ。

「高齢こうれい者しゃは孤立こりつしがちで、うつや不安ふあんになりやすいため、これらの利点りてんは特とくに重要じゅうようです」とヘメンディンガー氏しは言いう。

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