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ヒデ：X JAPANのライヴ中ちゅうに設もうけられたメンバーのソロ・コーナーで既すでに、バンドの１ギタリストという枠わくに収おさまらない自己じこ演出えんしゅつ能力のうりょくやアーティストとしての突出とっしゅつした才能さいのうを見みせていたhide。彼かれがソロ・キャリアをスタートさせたのは93年ねん。「最初さいしょは"どうせバケツの底そこを叩たたいたって買かうんだろ"って思おもった」とは当時とうじの彼かれの弁べん。バンドの知名度ちめいどを利用りようする気きはまったくない。むしろそれを取とっ払ばらったとこで勝負しょうぶしたい、という純じゅんで潔いさぎよい姿勢しせいゆえの発言はつげんだった。
彼かれのソロ・キャリアは、カラフルかつポップな２枚まいのシングル「eyes love you」と「50％50」でスタート。アルバム、ツアー・ビデオなどコンスタントに作品さくひんをリリースする傍かたわら、"いいものは世よに広ひろめたい"という至極しごくまっとうな理由りゆうで＜LEMONed＞を設立せつりつ。"自分じぶんは彼かれらの単たんなるファンだから"とプロデュース流行はやりの昨今さっこん、才能さいのうあるバンドやデザイナーたちに何なんら手てを加くわえることなく、チャンスと活動かつどうの場ばを与あたえ世よに送おくり出だす。また、都内とない数すうヶ所かしょをリンクさせたオールナイトのクラブ・イベントを企画きかくするなど、常つねに新あたらしいアイデアを意欲いよく的てきに実現じつげんしていった。
自身じしんの作品さくひんに関かんしても、マニュピレーターのI.N.A.と二人三脚ににんさんきゃくで目指めざしてきた革新かくしん的てきな音おと作づくりがシングル「pink spider」と３枚まい目めのアルバム『ja,zoo』で１ひとつの到達とうたつ点てんに。機械きかいモノとロックの融合ゆうごうを目指めざしたそのサウンドを自身じしんはサイボーグ・ロックと呼よんでいたが。メロディアスなポップスから重量じゅうりょう級きゅうのヘヴィ・ロックまであらゆるジャンルを内包ないほうしたその音おとは、単たんなるミクスチャーの枠わくを超こえ、極きわめて魅力みりょく的てきで斬新ざんしんなオリジナリティを擁ようしていた。
しかし98年ねん、急逝きゅうせい。ちょうど海外かいがいミュージシャンと組くんだバンドzilchも長ながい準備じゅんび期間きかんを終おえてようやく稼働かどうし始はじめていた——まさに全すべてがこれから、という時ときの出来事できごとだった。