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待ち行列理論を応用して10分カットが儲かる仕組みを解明してみた。 | ロジギーク

行列ぎょうれつ理論りろん応用おうようして10ふんカットがもうかる仕組しくみを解明かいめいしてみた。

2024ねん5がつ18にち

Photo by Dan Gold on Unsplash

10分間ふんかんカット – Wikipediaによると、10ふんカットは1990年代ねんだい後半こうはん日本にっぽん誕生たんじょうした業態ぎょうたいなのだそうです。

まさにデフレ日本にっぽん象徴しょうちょうというかんじですが、カンボジアにはそのうえをいく1ドル床屋とこや路上ろじょう沢山たくさんあります。

これは人件じんけん商売しょうばいですが、日本にっぽんの10ふんカットではたらいているスタッフの人件じんけんは、普通ふつう床屋とこやはたらいているスタッフの人件じんけんわらないはずです。

したがって、経営けいえいりたせるためには、普通ふつう床屋とこやおなじくらいの売上うりあげだか必要ひつようです。

そこで普通ふつう床屋とこやと10ふんカットの売上うりあげだか同等どうとうになるかを、行列ぎょうれつ理論りろん使つかって確認かくにんしてみました。

 

仕事しごと勉強べんきょう息抜いきぬきに。。。

けい収容しゅうよう人数にんずうかぎりがある場合ばあい行列ぎょうれつ

窓口まどぐちひとつしかない場合ばあいM/M/1モデルという行列ぎょうれつになりますが、これは普通ふつうけいないれる人数にんずう(または個数こすう)に制限せいげんがないことを前提ぜんていにしています。

しかし現実げんじつ世界せかいでは制限せいげんがあることのほうおおいとおもいます。

たとえば、ATMのまえにあまりになが行列ぎょうれつができていたら、また出直でなおしてくるでしょう。

また、コールセンターに電話でんわしてくるひとも、あまりに時間じかんければあきらめるかあらためてかけなおすとおもいます。

このように行列ぎょうれつながさが有限ゆうげんであることは、「けいない収容しゅうよう人数にんずうかぎりがある」と表現ひょうげんすることもできます。

 

状態じょうたい遷移せんい

まず、けい収容しゅうよう人数にんずう制限せいげんのない場合ばあいのM/M/1モデルの状態じょうたい遷移せんいをおさらいしておきましょう。

けい状態じょうたい人数にんずう個数こすうのこと)がりうる無制限むせいげんなので、それを0からjとし、到着とうちゃくりつλらむだ離脱りだつりつμみゅーとすると、つぎのようにけました。

 

これがけい収容しゅうよう人数にんずう制限せいげんがある場合ばあい、その収容しゅうよう人数にんずうをCとすると、つぎのようにけます。

 

状態じょうたいはC+1以上いじょうにはならないため、このようにみじかくなります。

 

つぎに、かく状態じょうたいになるかくりつΠぱいiもとめます。

状態じょうたいは0~Cまでしかないので、

Πぱい0Πぱい1Πぱい2+、、、+ΠぱいC=1

つはずですね。

また、けい収容しゅうよう人数にんずう制限せいげんのないM/M/1モデルで公式こうしき

ΠぱいjΠぱい0ρろーj  ・・・ しき

は、収容しゅうよう人数にんずう制限せいげんがある場合ばあいでもおなじくちます。

したがって、

Πぱい0+ρΠ0ρろー2Πぱい0+、、、+ρろーCΠぱい0=1

つはずです。

そして、等比とうひ級数きゅうすう公式こうしき利用りようしながらこれを変形へんけいすると

Πぱい0=(1-ρろー)/(1-ρろーC+1)  ・・・ しき

となります。

しき2をしき1に代入だいにゅうすることによって、すべての状態じょうたいについて、その状態じょうたいになるかくりつもとめることができるようになりました。

 

けい滞留たいりゅうする人数にんずう

つぎに、けい滞留たいりゅうする人数にんずうもとめるしきみちびきます。

けい滞留たいりゅうする人数にんずうといういいかたではイメージがかないひとは、ATMのれいでいうと、行列ぎょうれつならんでいる人数にんずうとATMでおかねろしている人数にんずう(これは1にん)の合計ごうけいのことだとかんがえてください。

これは期待きたい公式こうしきより、かく状態じょうたいとその状態じょうたいになるかくりつけたを、すべての状態じょうたいについてわせたになります。

したがって、けい滞留たいりゅうする人数にんずう期待きたいLは

となります。

 

つぎに、このLを窓口まどぐちにいる人数にんずう行列ぎょうれつ人数にんずう分解ぶんかいしてみましょう。

この行列ぎょうれつはM/M/1なので、窓口まどぐちひとつしかありません。

ということは、窓口まどぐちにいる人数にんずう0か1の2とおしかないことになります。

したがって、窓口まどぐちにいる人数にんずう期待きたいは、

Ls=0×Πぱい0+1×(Πぱい1Πぱい2+、、、+ΠぱいC)

=0+Πぱい1Πぱい2+、、、+ΠぱいC

=1-Πぱい0

になります。

 

行列ぎょうれつにいる人数にんずう期待きたいは、けい全体ぜんたい人数にんずうから窓口まどぐちにいる人数にんずうけばよいだけなので、

Lq=L-Ls

簡単かんたん計算けいさんできます。

 

けいれる人数にんずう

つぎけいれる人数にんずうもとめてみましょう。

「なんだそれは?」

おもわれるかもしれませんが、これがけい収容しゅうよう人数にんずう制限せいげんのあるM/M/1モデルのきもになります。

なぜきもになるのかというと、単位たんい時間じかんたりに到着とうちゃくする人数にんずう到着とうちゃくりつ)とけいれる人数にんずうことなってくるからです。

ちなみにけい収容しゅうよう人数にんずう制限せいげんのないM/M/1モデルでは、このふたつはおなです。

 

なぜことなってくるのかというと、けいなかにすでにCじんがいる場合ばあいは、つぎひと定員ていいんオーバーでけいれないからです。

けいなかにCひといる場合ばあい・・・単位たんい時間じかんたりにけいれる人数にんずう=0

けいなかにC-1ひと以下いかがいる場合ばあい・・・単位たんい時間じかんたりにけいれる人数にんずう単位たんい時間じかんたりに到着とうちゃくする人数にんずうλらむだ

これに注意ちゅういして単位たんい時間じかんたりにけいれる人数にんずう期待きたいもとめると、

にん×けいにCひといるかくりつλらむだじん×けいにC-1ひと以下いかがいるかくりつ

=0×ΠぱいCλらむだ(1-ΠぱいC)

λらむだ(1-ΠぱいC)  ・・・ しき

となります。

このしき3はとても重要じゅうようで、つぎの10ふんカットのシミュレーションで使つかいます。

 

10ぶんカットを行列ぎょうれつでシミュレーション

問題もんだい設定せってい

つぎのような普通ふつう床屋とこやさんと、10ふんカットの床屋とこやさんがあるとします。

普通ふつう床屋とこやさん】

料金りょうきん:5,000えんひと

カット時間じかん:60ふんひと

みせ収容しゅうよう人数にんずう:4にん

きゃく到着とうちゃくりつ:8にんとき

 

【10ふんカット】

料金りょうきん:1,000えんひと

カット時間じかん:10ふんひと

みせ収容しゅうよう人数にんずう:4にん

きゃく到着とうちゃくりつ:8にんとき

 

このとき、1あいだたりの売上うりあげだか期待きたいはそれぞれいくらになるでしょうか?

 

かんがかた

あいだたりの売上うりあげだかは、1あいだたりに何人なんにんきゃくみせれるかでまります。

定常ていじょう状態じょうたいではりとだしはバランスするはずなので、1あいだたりにみせた(=おかねはらった)人数にんずうは1あいだたりにみせはいった人数にんずうひとしくなり、それに料金りょうきんけたが1あいだたりの売上うりあげになるからです。

したがって、単位たんい時間じかんたりにけい(=みせ)にれる人数にんずう期待きたいしき3でもとめ、それに料金りょうきんけるだけです。

 

Excel計算けいさん

しき1~3を使つかってExcelシートで計算けいさんすると、つぎのようになります。

あいだたりの売上うりあげだか期待きたいは、普通ふつう床屋とこやさんが4,999えん、10ふんカットが5,378えんとなり、10ふんカットに軍配ぐんばいがりました。

 

最後さいご

条件じょうけんわせるために、普通ふつう床屋とこやも10ふんカットも収容しゅうよう人数にんずう=4,到着とうちゃくりつ=8としてシミュレーションしましたが、実際じっさいには普通ふつう床屋とこやに4にんきゃくがいる(っているきゃくが3にん)ことはないでしょう。

最後さいごきゃくは3~4あいだつことになるからです。

実際じっさいには普通ふつう床屋とこや収容しゅうよう人数にんずう=2、到着とうちゃくりつ=4くらいが現実げんじつてきかもしれません。

その条件じょうけんでシミュレーションすると、つぎのようになります。

 

普通ふつう床屋とこや売上うりあげだかすこりましたね。

これは可能かのうせいひくいものの、みせきゃく1人ひとりもいなくなってしまい、ちの時間じかんができる可能かのうせいが5%くらいあるためです。

これはΠぱい0をればかります。

普通ふつう床屋とこやでは.05になっていますね。

ちなみに10ふんカットではこうなるかくりつ10%もありますが、それでも売上うりあげだか期待きたいはこちらのほうおおきくなります。

 

このようにして収容しゅうよう人数にんずう制限せいげんがある場合ばあい行列ぎょうれつ計算けいさんできますが、今回こんかい床屋とこやおとずれる人数にんずう無限むげんであることを想定そうていしていました。

でも実際じっさいには、とおくのけんからわざわざおとずれてくるような床屋とこやはカリスマ理容りようがいるみせくらいなものでしょう。

つまり潜在せんざい顧客こきゃくすう有限ゆうげんであるのが現実げんじつてきです。

次回じかいはそのような行列ぎょうれつあつかいます。

有限ゆうげんソースの行列ぎょうれつ】フォークリフトが正常せいじょう稼働かどうする台数だいすうもとめるべつかい