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【待ち行列理論の使い方】トラック予約受付システムを導入すると何が変わるのか? | ロジギーク

行列ぎょうれつ理論りろん使つかかた】トラックやく受付うけつけシステムを導入どうにゅうするとなにわるのか?

2024ねん5がつ18にち

仕事しごと勉強べんきょう息抜いきぬきに。。。

トラックやく受付うけつけシステムとは?

おろ順番じゅんばんちによるトラックの時間じかんは、ただでさえ不足ふそくさけばれているトラックの回転かいてんりつげるおおきな要因よういんになっています。

この問題もんだい物流ぶつりゅうセンターのみならず、工場こうじょう店舗てんぽでもきています。

 

従来じゅうらい、トラックがおろしや荷積にづみをする順番じゅんばんはやいものじゅんでした。

人気にんきのレストランには順番じゅんばんちのひょう店頭てんとういてあって、それに名前なまえいておけば順番じゅんばんがきたらんでくれるあのやりかたおなじです。

このやりかた改良かいりょうして、あらかじめパソコンやスマホからいている時間じかん予約よやくれておき、その時間じかんわせて到着とうちゃくするというやりかたが「トラックやく受付うけつけシステム」です。

現在げんざい、10しゃえるシステムベンダーがこのシステムを提供ていきょうしており、導入どうにゅう企業きぎょうもどんどんえています。

 

「こんなたりまえのことがなぜいままでできていなかったのだろう?」

おもうくらい簡単かんたん解決かいけつさくで、効果こうかたかいことはだれでも想像そうぞうできますね。

しかし、それを論理ろんりてき説明せつめいできるひとすくないのではないでしょうか。

今回こんかいオペレーションズリサーチ一理いちりろんである「行列ぎょうれつ理論りろん」を使つかって、その理由りゆう数学すうがくてき解明かいめいします。

 

行列ぎょうれつ理論りろんとは?

ここで問題もんだいです。

レジがひとつしかないコンビニを想像そうぞうしてください。

毎朝まいあさ7~9には平均へいきん30にんとききゃくものをしにきます。

しかし、いつもこの時間じかんたいはレジの順番じゅんばんちがながくなるため、ベテランのレジちAさんにてもらうことにしました。

Aさんは平均へいきん30にんとききゃくをさばくことができます。

これでレジの順番じゅんばんちは解消かいしょうするでしょうか?

 

きゃくるスピードとレジが処理しょりするスピードがうのだから、解消かいしょうするにまっているだろ。馬鹿ばかにするな!」

おもうかもしれませんが、残念ざんねんながらこれではレジのまえ長蛇ちょうだれつができてしまいます。

なぜでしょうか?

 

きゃくがレジに到着とうちゃくするスピードは30にんときですので、平均へいきんすると2ふん1人ひとり到着とうちゃくします。

レジの処理しょりスピードも30にんときですので、平均へいきんするとふん1人ひとりぶん処理しょりできます。

もしきゃくがきっかり2ふんに1にんレジにて、レジもつねふんに1にんぶん処理しょりできれば、たしかに行列ぎょうれつはできません。

でも、そんなの現実げんじつにはありませんね。

きゃくれつくわわる間隔かんかくは、ふんときもあればふんときもあるかもしれません。

また、すこししかものをしないきゃくなら1ふんでレジ処理しょりできても、沢山たくさんものするきゃくたいしては5ふんかかるかもしれません。

つまり、きゃく到着とうちゃく間隔かんかくもレジの処理しょり人数にんずうランダム予測よそくできないのです。

 

このような場合ばあい最初さいしょきゃくを1ふんでレジ処理しょりできたとしても、つぎきゃくまでの間隔かんかくが5ふんなら、レジちは4分間ふんかんなにもすることがありません。

また、あるきゃくのレジ処理しょりで5ふんかかっているあいだに、4にんきゃく到着とうちゃくすることだってあります。

このようなことがかさなるので、行列ぎょうれつなしにスムーズにながれることなどありないのです。

 

そこで、

レジの処理しょりスピードがきゃく到着とうちゃくスピードにたいしてどれくらいはやければ、時間じかんはどれくらいになるのか?」

といういにこたえてくれるのが行列ぎょうれつ理論りろんです。

 

行列ぎょうれつ理論りろん使つかかた

行列ぎょうれつ理論りろんかんがかたむずかしくありませんので、さきほどのれい一緒いっしょにやっていきましょう。

 

きゃく到着とうちゃくスピードは30にんときですね。

これをλらむだ(ラムダとみます)とします。

レジの処理しょりスピードも30にんときですね。

これをμみゅー(ミューとみます)とします。

そして、μみゅーたいするλらむだ比率ひりつρろー(ローとみます)とします。

ですので、このれいでは

ρろーλらむだμみゅー=30/30=1

となります。

このとき、レジまえにできる行列ぎょうれつ人数にんずう

ρろー/(1-ρろー

になるというのが行列ぎょうれつ理論りろんです。

意外いがい簡単かんたんでしょ。

 

でも、このれい計算けいさんすると(1-ρろー)がゼロになってしまい、ゼロ除算じょざん計算けいさんできません。

あえていうなら、行列ぎょうれつ人数にんずう無限むげんだいになります。

レジの処理しょりスピードがきゃく到着とうちゃくスピードとおなじではおそすぎるということです。

ではレジの処理しょりスピードを40にんときげたらどうでしょうか?

するとρろーは、

ρろーλらむだμみゅー=30/40=0.75

になりますので、行列ぎょうれつ人数にんずう

ρろー/(1-ρろー)=0.75/0.25=3

つまりにんにまでります。

 

行列ぎょうれつ人数にんずうもとまれば、時間じかんもとまったようなものです。

レジの処理しょりスピードは40にんときですので、3にん処理しょりするには

3/40=0.075あいだ

ぶんなおすと、.ふんになります。

 

行列ぎょうれつ理論りろんをトラックの時間じかん応用おうようする

まず、トラックやく受付うけつけシステムが登場とうじょうするまえ状況じょうきょう想像そうぞうしてみましょう。

トラックの到着とうちゃく時間じかんランダムですね。

また積載せきさいしてある貨物かもつりょうや、これから積載せきさいする貨物かもつりょうもランダムです。

したがって、倉庫そうこ作業さぎょういん人数にんずうわらなければ処理しょりスピードランダムになります。

これはまさ行列ぎょうれつ理論りろん想定そうていする状況じょうきょうです。

 

たとえば、ある物流ぶつりゅうセンターでは午後ごご平均へいきんだいときでトラックが到着とうちゃくし、1かしょのトラックバースでおろしをするものとしましょう。

この場合ばあいλらむだは5です。

もしおろしスピードだいときなら、時間じかんはどれくらいになるでしょうか?

μみゅー=6なので、

ρろーλらむだμみゅー=5/6=0.83

ρろー/(1-ρろー)=0.83/(1-0.83)=5

となり、だいぶんのトラックがつことになります。

おろしスピードは6だいときですので、5だいぶん処理しょりするのに50ふんかかります。

つまり時間じかん50ふんです。

物流ぶつりゅう会社かいしゃにとっておろしスタッフの人数にんずうはそのままコストになりますので、そんなに余裕よゆうたせた人員じんいん配置はいちはしません。

その処理しょりりょうがトラック5だいときならば、6だいときくらいのおろしスピードにするのがせいぜいでしょう。

これがいままでトラックちの行列ぎょうれつができていた原因げんいんです。

 

トラックやく受付うけつけシステムの導入どうにゅうによってわること

では、トラックやく受付うけつけシステムが導入どうにゅうされるとどうわるのでしょうか?

うえ紹介しょうかいした行列ぎょうれつ理論りろんM/M/1モデルばれていて、到着とうちゃくスピードも処理しょりスピードのランダムである場合ばあい理論りろんです。

さらにいうと、到着とうちゃくスピードも処理しょりスピードもポアソン分布ぶんぷ指数しすう分布ぶんぷしたがうことを仮定かていしています。

 

トラックやく受付うけつけシステムを導入どうにゅうすると、到着とうちゃくスピード(到着とうちゃく時間じかん)がランダムでなくなるのでこのM/M/1モデルは使つかえなくなります。

一方いっぽうで、おろしの処理しょりスピードにはランダムせいのこっているため、時間じかんはゼロにはなりません。

やくシステムに入力にゅうりょくされる情報じょうほうから貨物かもつりょうかりますので、その情報じょうほうもとおろ人員じんいんすう調整ちょうせいできれば、つぎのトラックのおろ時間じかんまでに作業さぎょうわらせることも可能かのうです。

しかし現実げんじつには、そこまで柔軟じゅうなん対応たいおうできる現場げんばはないでしょう。

おろしの処理しょりスピードにランダムせいのこるというのはそういう意味いみです。

 

工場こうじょう生産せいさん現場げんばであれば確実かくじつせいひくいため、工程こうていあいだのスピードを同期どうきさせてムダをはぶくことはやりやすいのですが、物流ぶつりゅうでは道路どうろ状況じょうきょう天候てんこう状況じょうきょうとう確実かくじつ要素ようそ格段かくだんおおきくなります。

そのためやくシステムが導入どうにゅうされたとしても、処理しょりスピードを到着とうちゃくスピードに同期どうきさせることはできないため、トラックの時間じかんをゼロにすることはできないでしょう。

ぎゃくにそれに執着しゅうちゃくすると、おろ人員じんいんおおめに確保かくほすることになりコストぞうにつながります。

しかし到着とうちゃく時間じかんからランダムせいえるため、時間じかん削減さくげんされることは確実かくじつです。

さらにそこでられたデジタルデータからあらたなソリューションが開発かいはつされる可能かのうせいもあり、今後こんごはなせないソリューションです。