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「あっ、気持きもちいい」。思おもわず笑えみがこぼれてしまう、やわらかな肌触はだざわり。カシミヤのような上質じょうしつ感かんとウールのようなぬくもり。これまでに体感たいかんしたことがない不思議ふしぎな心地ここちよさ……。今回こんかい、ロンハーマンが新あたらしい試こころみをした「Brewed Protein™」（ブリュード・プロテイン™）を起用きようした生地きじです。初はじめて耳みみにする方ほうも多おおいでしょうが、未来みらいに先駆さきがける革新かくしん的てきな素材そざいとして世界せかいから注目ちゅうもくを集あつめています。Brewed Protein™繊維せんいは、シルク、カシミヤ、ウール、ファーなどのような素材そざいを、植物しょくぶつ由来ゆらいの原料げんりょうから自在じざいに生うみ出だせる魔法まほうの繊維せんいなのです。その秘密ひみつは、最先端さいせんたんのバイオテクノロジー技術ぎじゅつによる、微生物びせいぶつの発酵はっこうプロセスで生成せいせいされた合成ごうせいタンパク質たんぱくしつ……。と説明せつめいすると、難むずかしく感かんじるでしょうが、私わたしたちの暮くらしに身近みぢかなワインやビール、チーズやヨーグルトなどの発酵はっこう食品しょくひんの製法せいほうと原理げんりは同おなじなのです。

Brewed Protein™繊維せんいにロンハーマンのシグネチャー素材そざいであるコットンを50%混紡こんぼうしてオリジナルの素材そざいに。糸いとが細ほそいために特別とくべつな編あみ機きを使つかって、美うつくしく滑なめらかなテクスチャに仕上しあげた

カシミヤやウールは、すぐれた天然てんねん素材そざいとして、古来こらいより人々ひとびとの暮くらしには欠かかせないものでした。ですが、近年きんねんはその生産せいさんには温室おんしつ効果こうかガス排出はいしゅつや動物どうぶつへのストレスなど、さまざまな問題もんだいが指摘してきされています。アルパカウールやファーなど動物どうぶつ由来ゆらいの素材そざいを使用しようしないことを表明ひょうめいしている、ハイブランドや大手おおてファッションメーカーも少すくなくありません。環境かんきょうや動物どうぶつに負荷ふかをかけることなく、カシミヤやウールを生産せいさんできれば。その難問なんもんを解とくカギと期待きたいされているのが、Brewed Protein™繊維せんいです。原料げんりょうはサトウキビなどの植物しょくぶつ由来ゆらいの糖とうのため、枯渇こかつ資源しげんに依存いぞんしない持続じぞく的てきに生産せいさんが可能かのう。動物どうぶつを飼育しいくするよりも土地とちや水みずの使用しよう量りょう、温室おんしつ効果こうかガスの排出はいしゅつ量りょうも大幅おおはばに削減さくげん。そして、素材そざい自体じたいは環境かんきょう分解ぶんかい性せいがあるため生態せいたい系けいの中なかで循環じゅんかん可能かのうという多おおくのメリットがあります。

「Brewed Protein」を手てがける山形やまがた県けん鶴岡つるおか市しにある「Spiber」の本社ほんしゃ工場こうじょう。世界中せかいじゅうから意欲いよく的てきなスタッフが集あつまる

Brewed Protein™繊維せんいの開発かいはつを手てがけるのは、「Spiber」（スパイバー）というスタートアップ企業きぎょうです。2007年ねん当時とうじ、大学院だいがくいんの学生がくせいが仲間なかまとともに、合成ごうせいタンパク質たんぱくしつ素材そざいの可能かのう性せいを夢見ゆめみて設立せつりつしました。世界せかいで初はじめて合成ごうせいタンパク質たんぱくしつ素材そざいの量産りょうさん化か技術ぎじゅつの確立かくりつに成功せいこうしたことで注目ちゅうもくを集あつめ、より多様たような素材そざい開発かいはつへと進化しんかさせ続つづけています。その本社ほんしゃがあるのは山形やまがた県けん鶴岡つるおか市し。出羽三山でわさんざんを遠望えんぼうする庄内平野しょうないへいや、周まわりを水田すいでんに囲かこまれ、夏なつは青々あおあおとした緑みどり、秋あきは黄金おうごん色しょくに染そまり、冬ふゆは深ふかい雪ゆきに覆おおわれます。自然しぜん豊ゆたかな環境かんきょうの中なかで、ひと際ぎわ、Spiberの近代きんだい的てきな建物たてものが目めを引ひきます。

Spiberの頭脳ずのうともいうべき研究けんきゅうラボ。20種類しゅるいのアミノ酸あみのさんで構成こうせいされるタンパク質たんぱくしつはアミノ酸あみのさんの組くみ合あわせや並ならべる順番じゅんばんにより、膨大ぼうだいな異ことなる性質せいしつが生成せいせいされる（例たとえば、カシミヤ、亀かめの甲羅こうら、爪つめ、髪かみの毛け、クモの糸いと等とう）。Spiberではそのアミノ酸あみのさんの配列はいれつを目的もくてきに合あわせてデザインし、独自どくじのタンパク質たんぱくしつを生産せいさんする技術ぎじゅつ、プラットフォームを確立かくりつ。応用おうよう範囲はんいとして見据みすえる領域りょういきは、アパレル業界ぎょうかいだけでなく、将来しょうらい的てきには自動車じどうしゃや食肉しょくにく、医療いりょうなど幅広はばひろい

世界せかいをリードしている企業きぎょうだけに、ラボも工場こうじょうも緊張きんちょう感かんに満みちた雰囲気ふんいきに包つつまれています。真剣しんけんな面持おももちで黙々もくもくと目めの前まえの研究けんきゅうや開発かいはつ、生産せいさんに向むき合あう社員しゃいんの方々かたがた。DNAレベルの研究けんきゅう開発かいはつを行おこなっているので、安全あんぜん性せいや機密きみつ事項じこうへの対策たいさくは厳重げんじゅうそのもの。一方いっぽう、海外かいがい出身しゅっしんのメンバーも多おおくオフィスフロアには英語えいごも飛とびかい、エネルギーと活気かっきに満みちた側面そくめんも併あわせ持もっています。現在げんざい、全ぜん社員しゃいんの数かずはおよそ300名めい。Brewed Protein™素材そざいの可能かのう性せいを信しんじて、世界中せかいじゅうからSpiberに集あつまっています。Brewed Protein™素材そざいの応用おうよう範囲はんいは繊維せんい加工かこうした状態じょうたいでのアパレル業界ぎょうかいへの活用かつように留とまらず、化粧けしょう品ひん、人工じんこう毛髪もうはつ、食肉しょくにく、自動車じどうしゃ、医療いりょう、建築けんちくと広大こうだいな領域りょういきを見据みすえています。まさに社会しゃかいを変かえる原動力げんどうりょくになるかもしれません。すべてのメンバーが、自分じぶんの役割やくわりを情熱じょうねつと責任せきにんを持もって果はたす。その源泉げんせんはBrewed Protein™素材そざいがつくり出だす新あたらしい未来みらいへの期待きたいなのです

世界せかい最先端さいせんたんの技術ぎじゅつが集あつまったラボと工場こうじょうで、携たずさわる全員ぜんいんが自分じぶんに課かせられた役割やくわりを黙々もくもくとこなす。そこにあるのはBrewed Protein™素材そざいへの期待きたい、循環じゅんかん型がたの社会しゃかい実現じつげんへの思おもい

私わたしたちが初はじめてBrewed Protein™繊維せんいと出合であったときも、同おなじ思おもいを抱いだきました。この新あたらしい素材そざいは、世界せかいをよりよくする可能かのう性せいを秘ひめているのでは。そして、ロンハーマンらしい服ふくづくりができるのでは。このワクワク感かんをぜひカタチにしたい。Brewed Protein™繊維せんいに触ふれてはいたものの、服ふくになったときにどのようなテクスチャになるのかわからないという手探てさぐりでのスタート。ですが、サンプルが仕上しあがったときに、私わたしたちの選択せんたくは間違まちがっていなかったと確信かくしんしました。最先端さいせんたんの素材そざいとはいえ、結局けっきょく「ものをつくる」のは人ひとなんだと改あらためて思おもいを強つよくしました。研究けんきゅうや開発かいはつ、生産せいさんに携たずさわるSpiberの皆みなさん、紡績ぼうせき工場こうじょうの皆みなさん、さまざまな方ほうの熱意ねついによって、新あたらしい試こころみが実みのったのだと。

自然しぜんに恵めぐまれた山形やまがた県けん鶴岡つるおか市し。国内こくないはもとより世界中せかいじゅうからSpiberの可能かのう性せいに期待きたいして、多おおくの社員しゃいんがこの地ちに移うつり住すんでいる

今回こんかい、Spiberの社員しゃいんの方ほうから、うれしい言葉ことばをいただきました。「ロンハーマンの服ふくには人ひとを引ひきつける力ちからがある」と。「展示てんじ会かいでのことです。『Brewed Protein』の情報じょうほうを掲かかげているわけではないのに、多おおくの方ほうがロンハーマンの服ふくの前まえで立たち止どまってくださる。そして、触ふれてみて『あっ、気持きもちいい』と。その上うえで『この素材そざいは何なにだろう』と興味きょうみを持もっていただける。やはり、物ものの良よさに勝まさるものはないとすごく実感じっかんしました」。まさに私わたしたちが目指めざしている服ふくづくりのあり方かたです。「素敵すてきね」、「かわいい」、「かっこいい」。お客様きゃくさまの心しんを動うごかして、服ふくを手てにとっていただく。それが結果けっかとして、環境かんきょうや社会しゃかいに良よいものであれば。

自然しぜんと共生きょうせいした環境かんきょうから、新あたらしい技術ぎじゅつが生うまれていく。Spiberのヘッドオフィス

今いま、世界せかいの価値かち観かんが変かわっていく中なかで、「ラグジュアリー」の定義ていぎも多様たよう化かしています。決けっして高価こうかなものだけがラグジュアリーではない。「いかに人ひとが快適かいてきに幸しあわせに暮くらしていけるか」、「カジュアルに自分じぶんらしくいられるか」ということも、ラグジュアリーではないでしょうか。今回こんかい、私わたしたちがBrewed Protein™の生地きじを使用しようしたのは、ワンマイルウエアです。カリフォルニアでは、ワンマイル（約やく1・6キロメートル）という日々ひびの暮くらしのエリアで、愛犬あいけんの散歩さんぽやモーニングコーヒーを買かいに行いくときに着きるような日常にちじょう的てきなアイテムをそう呼よびます。日々ひび身みにつけるアイテムだからこそ、上質じょうしつで特別とくべつな思おもいを込こめた素材そざいを。今いま、ロンハーマンがお客様きゃくさまへ提案ていあんできるラグジュアリーとはなにか。今回こんかいの「Brewed Protein™」とのコラボレーションによって、その答こたえの一ひとつが見みつかったと思おもいます。

今回こんかいロンハーマンが初はじめてBrewed Protein™繊維せんいを使用しようしたのは「ワンマイルウエア」。パンツ、スエット、フーディー、ビーニーの4アイテムをウィメンズ、メンズともにラインナップ。最上級さいじょうきゅうの素材そざいを使つかったアイテムの証あかしである「UPSTAIRS」をタグにクレジットしている