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摂食せっしょく嚥下えんか障害しょうがいとはDYSPAGIA

さまざまな病気びょうきよわいともなってこる、ちからむタイミングがむずかしくなることによってべることがむずかしくなる障害しょうがい

摂食せっしょく嚥下えんか(えんげ)障害しょうがいとは、もの認知にんちし、しょくものをとらえ、くちはこび、咀嚼そしゃく嚥下えんかするといったべることの一連いちれんながれのなかにおいて、どの時期じき障害しょうがいされてもこるとされています。

ひとは動物どうぶつにない特殊とくしゅなのど(咽頭いんとう)の構造こうぞうつことから、嚥下えんかさいにはしっかりといきめなければなりません。通常つうじょう、のどのなかには呼吸こきゅうのために気管きかんつねくちけています。嚥下えんかさいには、ものうごきにわせてタイミングよく気管きかんじて、食道しょくどうひらきます。気管きかんじ、食道しょくどうひら時間じかんはわずかに0.5びょうほどの出来事できごとです。このメカニズムとものうごきのタイミングにズレがしょうじるとあやまえん気管きかんなか食物しょくもつはいってしまうこと)といった状態じょうたいこります。また、ものは、くちからのど、のどから食道しょくどうまれます。したやのどの筋肉きんにくちからづよくうごかすことで、食道しょくどうなかものをねじみます。わたしたちは、もの重力じゅうりょく使つかってむのではなく、つよちからんでいるのです。一方いっぽうで、全身ぜんしん筋力きんりょく低下ていかや、運動うんどう障害しょうがいがみられる病気びょうきのせいで、つよちからくちやのどで発揮はっきできないことがあります。このような状態じょうたいになると、んだのちに、れずに、のどのなか食物しょくもつのこるといったことがこります。んだのちにはすぐさま呼吸こきゅう再開さいかいしますので、これによって、もの気管きかんなかまれることがあります。ここでもあやまえんこします。わたしたちが食事しょくじ安全あんぜんむためには、つよいパワーとぴったりったタイミングが必要ひつようとなります。

認知にんちしょうつひとはもの認知にんちすることが困難こんなんになり、うながしてもべなかったり、くちなかれたままんでしまったりなどの症状しょうじょうこります。また、べる行為こうい順序じゅんじょてておこなうことが困難こんなんになるため、はやいやみなど窒息ちっそく危険きけんともなうようなかたになります。すじ委縮いしゅくせいがわさく硬化こうかしょう(ALS)のひとは、機能きのう低下ていかまえに、くち機能きのう低下ていかがみられる場合ばあいおおく、とくした機能きのう低下ていかからむことが困難こんなんになったり、のどにものおくむことが困難こんなんになったりするために、食事しょくじ時間じかんいちじるしい延長えんちょうがみられます。また、口腔こうくう咽頭いんとう食道しょくどうなどに発症はっしょうした腫瘍しゅようなどにより、もの通過つうかせまくなり、食事しょくじ困難こんなんになることもあります。のう血管けっかん疾患しっかん後遺症こういしょうなどにより、口腔こうくう咽頭いんとう運動うんどう麻痺まひ感覚かんかく鈍麻どんましょうじることで、嚥下えんかさい十分じゅうぶんちから食物しょくもつにかけることが困難こんなんになり、1かい嚥下えんか可能かのうりょう制限せいげんされるために、嚥下えんか咽頭いんとうない食物しょくもつ残留ざんりゅうし、嚥下えんか呼吸こきゅう再開さいかいともあやまえんしてしまうことがきます。また、呼吸こきゅうめるタイミングと食物しょくもつむタイミングのずれによってあやまえんしょうじる場合ばあいもあります。これは、運動うんどう機能きのう低下ていかしめすパーキンソンびょう脊髄せきずい小脳しょうのう変性へんせいしょうなどおおくの疾患しっかんこる現象げんしょうでもあります。

このように、さまざまな病気びょうきよわいともなって、べる動作どうさ機能きのうちからむタイミングがむずかしくなることによってべることがむずかしくなることがあります。摂食せっしょく嚥下えんか障害しょうがいとは、さまざまな病気びょうきよわいともなってこるべることの障害しょうがいといえます。

摂食せっしょく嚥下えんか障害しょうがいたいする
支援しえん必要ひつようとする時期じき TIMING OF SUPPORT

       

摂食せっしょく嚥下えんか(えんげ)障害しょうがいたいする支援しえんは、はや時期じきにこしたことはありません。摂食せっしょく嚥下えんか障害しょうがいがあると、べられるもの制限せいげんくわわり、べるりょう減少げんしょうし、そしてべるたのしみをうしなうだけでなく、脱水だっすいてい栄養えいようといった状態じょうたいおちいり、これらの状態じょうたい摂食せっしょく機能きのうをさらに悪化あっかさせ、肺炎はいえん併発へいはつするというまけ循環じゅんかんおちいいるからです。摂食せっしょく嚥下えんか障害しょうがいのあるひとやその支援しえんしゃは、はや時期じき専門医せんもんいのアドバイスをけたほうがいでしょう。「がんばってべる」ことや「いろいろ工夫くふうしながらべる」ことは必要ひつようですが、ただ闇雲やみくもにそれをおこなっても負担ふたんおおきくなるばかりです。間違まちがったとろみのかたのアドバイスが、水分すいぶんにとろみをつけることをきらいにさせたり、かえってむことがむずかしい食事しょくじつくってしまっていたりする場面ばめんにもおお遭遇そうぐうします。

専門せんもんは、摂食せっしょく嚥下えんか状態じょうたい今後こんごこりうることをまえ、しょく形態けいたいしょく内容ないよう指導しどうや、食事しょくじさい姿勢しせい栄養えいよう水分すいぶん補給ほきゅう方法ほうほう、そして、たのしく美味おいしくべることのコツを伝授でんじゅしてくれます。また、それぞれの環境かんきょうわせた、実施じっし可能かのうなリハビリテーションの方法ほうほう提案ていあんします。

摂食せっしょく嚥下えんか障害しょうがいたいする
支援しえん実際じっさいACTUAL SUPPORT

摂食せっしょく嚥下えんか障害しょうがいゆうするひと摂食せっしょく状況じょうきょうをどの程度ていど維持いじ向上こうじょうすることができるか?そもそも、べること自体じたい可能かのうなのか?どのような食事しょくじまでべることができるのか?といった問題もんだいについてなやまれることがおおいでしょう。じつは、これらを決定けっていづけるのにもっと重要じゅうようなのは、本人ほんにん摂食せっしょく嚥下えんか機能きのうがどの程度ていどあるのかということを正確せいかく評価ひょうかすることが重要じゅうようです。

健康けんこうひとにとって、摂食せっしょく嚥下えんか機能きのうとは、おおきなてき(まと)をっていると形容けいようできます。つまり、どんなものをべても、一口ひとくちにたくさんべても、はやべても、なん問題もんだいなくべることが可能かのうです(1)。しかし、摂食せっしょく嚥下えんか障害しょうがいひとまとは、ちいさくそして、ゆがんでいると形容けいようされます。すなわち、ときにはてきはずれてしまい、あやまえん窒息ちっそくこしてしまいます(2)。

そこで、わたしたちは、いがんでしまったまとちいさくなってしまったまとをどのようにいがんでいるのか?どの程度ていどちいさくなっているのかを見極みきわめることにつとめます。そして、いがんだてきちいさくなったまとふたたおおきくすることができる方法ほうほうさぐります。一般いっぱんに、このふたたおおきくする努力どりょく訓練くんれんによっておこなわれます。これは、「治療ちりょうてきアプローチ」とんでいます(3)。

一方いっぽうで、訓練くんれん効果こうか一定いってい程度ていど期待きたいできますが、すべてのひと効果こうかがあるとはかぎりませんし、効果こうか限定げんていてき場合ばあい残念ざんねんながらあります。では、訓練くんれん効果こうかがらずに、てきおおきくならなかった、まとむかしのようなかたちにすることができなかったひとは、もうおいしくべることはできないのでしょうか?そんなことはありません。わたしたちは、ここでたとえいがんでしまっていても、ちいさくなってしまっていても、てきはずれないようにべられる方法ほうほうつけしてその方法ほうほう実践じっせんできるようにおおしえするのです。食事しょくじ形態けいたい工夫くふうしたり、かた工夫くふうをしたり、食事しょくじ介助かいじょ方法ほうほうべるときの姿勢しせい工夫くふうしたりすることがこれにあたります(4)。この方法ほうほうは、「代償だいしょうてきアプローチ」とって、治療ちりょうてきアプローチより消極しょうきょくてき印象いんしょうたれがちですが、おおくのひとたいして効果こうかたか方法ほうほうです。

1:一般いっぱんひとべる機能きのうのまと
2:摂食せっしょく嚥下えんか障害しょうがいしゃのまと
3:おおきくする努力どりょく
4:いかにるか?
5:地域ちいき全体ぜんたいでの支援しえん

また、食事しょくじ形態けいたい調整ちょうせいしたり、食事しょくじ介助かいじょ方法ほうほう適正てきせいするといったことは、簡単かんたんにもおもえますが、なかなか、自宅じたくでは実践じっせんできないことがおおいのも実際じっさいです。そこで、自宅じたくにいても、これらの支援しえんけられるように、地域ちいき全体ぜんたいめるようにする必要ひつようもあります。たとえば、摂食せっしょく嚥下えんか障害しょうがいがあるひとでもべやすい食事しょくじ提供ていきょうしていくれる通所つうしょ介護かいご施設しせつ地域ちいきにあればそれを利用りようすることも可能かのうです。また、介護かいごしょく最近さいきんではスマイルケアしょく)などをスーパーやドラッグストアでれることも、手軽てがる利用りようする方法ほうほうです。また、ヘルパーさんたちに、これらの食事しょくじつくってもらう技術ぎじゅつつたえる必要ひつようもあるでしょう。これらが地域ちいきでうまくいくと、自宅じたくだけではできなくても、地域ちいき全体ぜんたいべることをささえられるのです(5)。