刺激しげきが苦手にがてなのは遺伝いでんの関係かんけい...「内向ないこう型がた」と「外向がいこう型がた」を分わける科学かがく的てきな根拠こんきょ

あなたは自分じぶんが内向ないこう型がただと思おもいますか？ 外向がいこう型がただと思おもいますか？外向がいこう的てきな人ひとが目立めだつ世よの中なかなので、内向ないこう的てきな人ひとは自分じぶんを責せめたり、内向ないこう的てきであることに恥はずかしさを感かんじていたりするかもしれません。

しかし、内向ないこう的てきであることは悪わるいことではありません。内向ないこう性せいも外向がいこう性せいも一ひとつの性質せいしつでしかなく、科学かがく的てきにもその違ちがいは明確めいかくです。自身じしんも内向ないこう型がたであるというティボ・ムリスさんがその違ちがいを解説かいせつします。

※本稿ほんこうは『「ひとりが好すきな人ひと」の上手じょうずな生いき方かた』（ディスカヴァー・トゥエンティワン）を一部いちぶ抜粋ばっすい・編集へんしゅうしたものです。

内向ないこう型がたは外向がいこう型がたより外部がいぶの刺激しげきを受うけやすい

内向ないこう性せいと外向がいこう性せいのどちらになるかは、遺伝いでんによってかなり決きまっているようで、変かえることはできない。それは自分じぶんらしさの一部いちぶなのだ。

とはいえ内向ないこう型がたの人ひとが外向がいこう型がたのように振ふる舞まうことはできるし、その逆ぎゃくも可能かのうだが、いつまでも続つづけられるわけではない。内向ないこう型がたの人ひとは本来ほんらいの状態じょうたいに戻もどってエネルギーを補充ほじゅうする必要ひつようがある。

内向ないこう型がたの人ひとが外向がいこう型がたの人ひとと違ちがうのは、精神せいしん的てきエネルギーの生産せいさんと消費しょうひの方法ほうほうである。外向がいこう型がたの人ひとは外界がいかいから多おおくの刺激しげきを必要ひつようとしている。

もしそれが得えられなければ、エネルギーが消耗しょうもうし、退屈たいくつや孤独こどく、疲労ひろうを感かんじるようになる。

一方いっぽう、内向ないこう型がたの人ひとは外界がいかいの刺激しげきをあまり必要ひつようとせず、社交しゃこうの場ばで過すごす時間じかんはエネルギーの消耗しょうもうにつながりやすい。

そのため、内向ないこう型がたの人ひとはなるべく社交しゃこうの場ばから身みを遠とおざけ、自分じぶんらしく振ふる舞まうためにひとりで過すごすようになる。

なぜ内向ないこう型がたの人ひとは外界がいかいからの刺激しげきを必要ひつようとしないのか？

外向がいこう型がたの人ひとが外界がいかいからの刺激しげきをたくさん必要ひつようとしているのには、科学かがく的てきな理由りゆうがある。

外向がいこう型がたの人ひとは内向ないこう型がたの人ひとより神経しんけい伝達でんたつ物質ぶっしつドーパミンに敏感びんかんなのだ。実際じっさい、外向がいこう型がたの人ひとと内向ないこう型がたの人ひとでは、優勢ゆうせいな神経しんけい伝達でんたつ物質ぶっしつが異ことなる。

内向ないこう型がたの人ひとはアセチルコリンを主おもな神経しんけい伝達でんたつ物質ぶっしつとして使つかい、外向がいこう型がたの人ひとではドーパミンがその役割やくわりを果はたす。アセチルコリンは思考しこうと感情かんじょうを通つうじて生産せいさんされ、集中しゅうちゅう力りょくを研とぎ澄すまし、記憶きおく力りょくを改善かいぜんし、幸福こうふく感かんを高たかめる。

したがって、内向ないこう型がたの人ひとは思考しこう、観察かんさつ、熟慮じゅくりょに時間じかんを使つかうことによって、自分じぶんを刺激しげきすることができるのである。

一方いっぽう、外向がいこう型がたの人ひとは、より多おおくのドーパミンを生産せいさんする必要ひつようがあり、そのためにはたいていアドレナリンが必要ひつようになる。活動かつどうを増ふやすことと刺激しげきを求もとめることは、どちらもアドレナリンを増ふやすのに効果こうか的てきな方法ほうほうだ。

ドーパミンとアドレナリンが必要ひつようになるのは、外向がいこう型がたの人ひとが内向ないこう型がたの人ひとより大おおきなリスクをとりたがる主おもな理由りゆうである。

リスクをとることは、外向がいこう型がたの人ひとに必要ひつような刺激しげきを与あたえてくれる。彼かれらはひとりでいると退屈たいくつしやすい。

その結果けっか、外向がいこう型がたの人ひとは刺激しげきがあまり得えられないと、内向ないこう型がたの人ひとより集中しゅうちゅう力りょくを失うしないやすく、気分きぶんが沈しずみがちになる。

異ことなる神経しんけい伝達でんたつ物質ぶっしつの使用しようが内向ないこう型がたの人ひとと外向がいこう型がたの人ひとの違ちがいを説明せつめいできることについて、マーティン・レイニー博士はかせは次つぎのように述のべている。

「私わたしの見解けんかいでは、神経しんけい伝達でんたつ物質ぶっしつが神経しんけい経路けいろを通過つうかすることと、それが自律じりつ神経しんけい系けいの各かく部位ぶいにどのようにつながっているかが、気質きしつの謎なぞを解とく大おおきなカギになる。

外向がいこう型がたの人ひとはエネルギーを消費しょうひするドーパミンとアドレナリンといった交感神経こうかんしんけい系けいと深ふかいかかわりがあるのに対たいし、内向ないこう型がたの人ひとはエネルギーを保存ほぞんするアセチルコリンという副ふく交感神経こうかんしんけい系けいと深ふかいかかわりがある」

別べつの実験じっけんでは、内向ないこう型がたの人ひとは外向がいこう型がたの人ひとより外部がいぶの刺激しげきを受うけやすいことがわかった。この感受性かんじゅせいの違ちがいが、騒さわがしい環境かんきょうやにぎやかな場所ばしょに身みをおくと、内向ないこう型がたの人ひとが刺激しげきを受うけすぎるのに対たいし、外向がいこう型がたの人ひとがますます活発かっぱつになる原因げんいんである。

ドイツの心理しんり学者がくしゃハンス・アイゼンク博士はかせは1967年ねんの実験じっけんで、被験者ひけんしゃを内向ないこう型がたと外向がいこう型がたに分わけて、それぞれのタイプの人ひとたちにレモンジュースを飲のませ、唾液だえきの分泌ぶんぴつに違ちがいがあるかどうかを調しらべた。

すると博士はかせの予想よそうどおり、内向ないこう型がたの人ひとは外向がいこう型がたの人ひとより多おおくの唾液だえきを分泌ぶんぴつし、内向ないこう型がたの人ひとは感覚かんかく刺激しげきに興奮こうふんしやすいことがわかった。

さらに別べつの有名ゆうめいな実験じっけんでは、内向ないこう型がたの人ひとと外向がいこう型がたの人ひとが難むずかしいワードゲームに参加さんかするよう指示しじされた。そのゲームは試行錯誤しこうさくごを通つうじて学習がくしゅうするものだった。参加さんか者しゃたちはノイズが流ながれるヘッドフォンの着用ちゃくようが義務ぎむづけられ、自由じゆうに音量おんりょうを調整ちょうせいすることが許ゆるされた。

その結果けっか、外向がいこう型がたの人ひとは平均へいきん75デシベルに、内向ないこう型がたの人ひとは平均へいきん55デシベルに音量おんりょうを調整ちょうせいした。興味深きょうみぶかいことに、それぞれの状況じょうきょうのもとで、外向がいこう型がたの人ひとと内向ないこう型がたの人ひとは同おなじように刺激しげきを受うけ、同おなじようにうまくプレーした。

驚おどろくべきことに、外向がいこう型がたの人ひとが内向ないこう型がたの人ひとの選えらんだノイズレベルでゲームをすると、その逆ぎゃくのパターンもそうだが、両者りょうしゃのパフォーマンスが低下ていかした。

つまり、外向がいこう型がたの人ひとは刺激しげきが足たりず、内向ないこう型がたの人ひとは刺激しげきが強つよすぎて、それぞれの本来ほんらいのパフォーマンスを下回したまわる結果けっかにつながったのである。

結局けっきょく、内向ないこう型がたの人ひとは外向がいこう型がたの人ひとより小ちいさな刺激しげきに反応はんのうしやすいということだ。私わたしたちは内向ないこう型がただから、比較的ひかくてき小ちいさな感覚かんかく刺激しげきのほうがうまく機能きのうする。一方いっぽう、外向がいこう型がたの人ひとがうまく機能きのうするためには、より多おおくの刺激しげきにさらされる必要ひつようがある。

ただし、外向がいこう型がたと内向ないこう型がたのあいだには、両方りょうほうの性格せいかくを合あわせ持もつ「両りょう向むこう型がた」が存在そんざいする。ほとんどの人ひとは内向ないこう型がたと外向がいこう型がたのふたつしか選択肢せんたくしがないと思おもいがちだが、実際じっさいには、このふたつは程度ていどの差さこそあれ、長ながい物差ものさしの両りょう端はしにある。

あなたはこの物差ものさしのどのあたりに自分じぶんを位置いちづけるだろうか？